昨日、アーセナルFCが発表したCovid-19によるクラブ運営への影響に関する声明に、界隈は大いにざわついている。
サンレヒとヴェンカテシャンの署名によるこの声明によれば、アーセナルFCは今回55人のスタッフを解雇することになるという。
そしてもうひとつ、信頼と実績のクオリティペイパー『Daily Mail』がエクスクルーシヴで報じた件。アーセナルが人員整理する55人のなかに、リクルート部門のトップ(Head of international recruitment)だったフランシス・カジガオも含まれるのだという。こりゃさすがに驚いた。
Arsenal SACK head of international scouting Francis Cagigao
ひどいシーズンのなかFAカップを取り、少ない予算でも興味深い移籍案件が実現しそうな状況にウキウキしていただろうファンには、まったく寝耳に水のショッキングな話である。
いったいアーセナルFCはこれからどこへ向かおうとしているのか。
クラブステイトメント
今回の「クラブからのお知らせ」をまるごと訳してみよう。今日はちょっち時間がないのでDeepLのお世話になるよ。
COVID-19のパンデミックを通して、私たちはアーセナル・フットボールクラブが将来のために強固で強固な立場で浮上することを確実にするために努力してきました。
他のサッカークラブやスポーツ、レジャー、エンターテイメント分野で事業を展開している他の多くの企業と同様に、COVID-19の影響を直接受けています。
私たちの主な収入源はすべて大幅に減少している。放送局、マッチデー、商業活動からの収入はすべて大きな打撃を受けており、その影響は少なくとも来たる2020/21シーズンまで続くだろう。
パンデミックは、134年の歴史の中で最も困難な時期の一つであり、私たちはコストを削減するための広範な措置を実施することによって迅速に対応してきました。選手、シニアサッカースタッフ、幹部チームは給与削減を志願し、資本支出のほとんどすべてを停止し、裁量的な営業支出は厳格にコントロールされています。
また、スタジアムの債務の借り換えという点では、オーナーであるクローエンケ、スポーツ&エンターテイメントからも多大な財務的支援を受けています。
これらの措置はすべて、パンデミックによるクラブへの影響を軽減し、チームへの投資を継続していくことに役立っています。このことは、今後も重要な優先事項となるでしょう。
私たちが予想していた以上に、収益の大幅かつ長期的な減少に直面することが明らかになりました。現在のところ、来シーズンの開幕までエミレーツ・スタジアムにファンが戻ってくることはなく、その後は限られた数しか戻ってこないというのが現状です。世界的な経済予測も非常にネガティブなものとなっています。
これは、ファンの可処分所得、法人顧客が接待やスポンサーに費やすお金、放送局がテレビの権利に投資できるかどうかに影響します。
「第二の波」が来ないことを願っていますが、それは目の前にある多くの不確実性の一つであることを受け入れ、それに応じて計画を立てる必要があります。
ここ数年、私たちはクラブを前進させるために一貫してスタッフの追加投資を行ってきましたが、収入の減少が予想される中、持続可能で責任ある方法で運営されていることを確認し、チームへの継続的な投資を可能にするためには、さらにコストを削減しなければならないことが明らかになりました。
私たちの目的は、可能な限り社員の仕事と基本給を守ることでした。残念なことに、今では55人の解雇を提案するところまで来ています。
私たちはこれらの提案を軽々しくしているわけではありませんし、この点に到達する前に、クラブと私たちの支出のあらゆる側面を見てきました。私たちは今、これらの提案について必要とされる30日間の協議期間に入っています。
私たちは、これが私たちの献身的なスタッフにとって動揺と困難であることを知っており、私たちの焦点は、可能な限りセンシティブにこれを管理することにあります。
今回提案された変更点は、最終的には、この偉大なサッカークラブを前進させ、コヴィド後の世界のために適切な組織を作り、こことヨーロッパのゲームのトップで効果的に競い合うためのリソースを確保することです。
Raúl Sanllehi, Head of Football
Vinai Venkatesham, Managing Director
以上。
Covid-19による影響で財政難がひどく、コストカットのために人員整理もやむを得なかったと。そういう主張である。
これに対するAST (Arsenal Supporters Trust)の声明。
It is also really important that those staff let go are given as much support as possible in terms of their redundancy package. We will be contacting Arsenal to stress these points’.
— AST (@AST_arsenal) August 5, 2020
ASTは55人のスタッフがリダンダント化されるというニュースを見て悲しんでいる。 アーセナルの選手は、自発的な賃金カットを取ることによって、クラブでの節約に貢献しています。我々は、これらの貯蓄は、すべてのアーセナルのスタッフがこれらの困難な時代に見守られていることを確認するために使用されることを期待していた
また、解雇されたスタッフには、可能な限りのサポートを提供することも重要です。我々 はこれらの点を強調するためにアーセナルに連絡されます
なぜオーナー投資、あるいは予算のやりくりで55人を助けないのか?
Arseblogが怒りのtweetをしていた。「平均年俸を仮に£5万(675万円)だとしようか。55人で£2.75m。55人のハードワーキングしてるピーポーを救うのにどうしてビリオネアのオーナーがそれくらい出せないのか」。
決算が発表されるまでは憶測に過ぎないだろうが、55人でせいぜい£1-2m程度ではないかという指摘もある。これは£10mや20mといった規模の話ではない。
いずれにせよその程度のコストをカットしたいがために、クラブは55人を路頭に迷わせる決断をするのかと。
この件に関して、クラブの従業員に対する姿勢や、選手の高給契約などさまざまなアンバランスが指摘されているが、最大の疑問はやはりなぜオーナーは私財を投じてこの状況を援助しないのかということだろう。
オーナー投資のない「自律経営」はアーセナルのトレイドマークではあるが、いまこそオーナーはクラブのために金を使うべきときだ。
たしかに、去年のペペの獲得や、今回のステイディアム負債の借り換えでKSEの協力があったというので、もしかしたらAFCの最新の決算では、KSEによる初のオーナー投資が計上されるのかもしれない。しかし、であれば、なおのこと、なぜこの程度の援助ができないのだろう。スタン・クロンキの資産規模($100bn)からすれば、今回のコストカットの額はあまりにも小さいし、まさかこの程度でFFPに抵触するなどということもあるまい。
なんなら選手が給与から捻出することだってできるだろう。現在の給与総額は£230mというので、せいぜい1%程度である。財政難のクラブを助けようと(一部を除く)みんなでペイカットにも応じたのだから、今回もまたベレリンが声をかければ可能だったかもしれない。
<追記>
Arsenal players not happy with 55 staff being made redundant. They agreed 12.5% wage cut in April after receiving assurance nobody would lose jobs. Yesterday’s news left squad angry & they plan to raise it with #AFC bosses. With @gunnerblog @TheAthleticUK https://t.co/OWotcinKhh
— David Ornstein (@David_Ornstein) August 6, 2020
オーンステインによれば、アーセナルの選手たちは、そもそもクラブが従業員を解雇しないという約束のうえで、4月ペイカットに合意したので、昨日の声明に怒っているということ。。</追記>
またエジルひとりの給与の1-2ヶ月程度でもある(※彼の年俸は約£18m)。彼はプレイもしていないのに高給を受け取っているということで、今回スケイプゴートみたいになってしまっていて、若干気の毒だが。
この55人の解雇がショッキングなのは、アーセナルFCが自ら「ファミリー」を標榜しながら、そのファミリーの一部である従業員を財政難を理由に見捨てることだ。アーセナルは家族も守れないクラブだったのか?(いや何か手厚いサポートがあるのかもしらんけど)
もちろんクラブが厳しい財政難にさらされていることはなんの疑いもないし、財政的に未曾有の危機でもあるというのはわかる。だが、そのコストカットできる規模的にも、それがほんとにやむを得ない状況だったのかは疑わしいように感じる。
解雇される55人は、ちゃんと新しい仕事を見つけられるのか。クラブが危機だというこのご時世、転職だって簡単ではないだろう。
pic.twitter.com/FLnWtil5jx https://t.co/9BpKUHZiLt
— Ahmed🇧🇷 (@Ahmed91Gooner) August 5, 2020
ヴェンゲルさんはかつて「資金は使うことはできるが、同時にわれわれは600人の従業員がいることも忘れてはならない」と語った。まったく立派な態度である。アーセンは、アーセナルのクラブとしてのクラスをレペゼンしていた。
このクラブのいと尊き価値はどこへ行ってしまったのかと、思わざるを得ない。
がっかりだ。
blog更新ありがとうございました。
状況が改善されると良いのですが。
果たしてこれが必要な首切りだったのか、経営難に乗じて邪魔者を排除しようとした作戦なのか。
クラブはある意味でみんなのものなのだから、選手やファンが立ち上がって、どうにかみんなの力で良い方向に収めてほしいですな。
決定事項ではなく協議段階なのであれば、この決定が覆されることもありえるのでしょうか
FAカップの余韻に浸る間もなくとんでもニュースでした。
ヴェンゲルが去った影響は大きかったということでしょうか。幅広く掌握していた彼がいなくなり、本当にチームの事を考えているのか分からないような人物が暗躍するクラブになってしまったのか。
フロントはFAカップ獲ったことにより、ほら見ろうちらのやり方でやれば勝てるんやで!とか本気で思ってそうで怖い。
オーナーはもともとアレな輩ですし。
このクラブは本当にアーセナルなのだろうか。
DNAを壊さないでくれ…
組織のトップが自分のお友達で周りを固めるなんて最悪だと思う
サンジェイは自分がいなくなってもアーセナルFCが存続することを分かってるんだろうか
こんなことをしたら、選手獲得にも影響が出るのではないでしょうか…。スタッフを首にした金で、新しく雇われるのは気持ちがいいものではないかと。サンレヒこそ辞めてくれ。
僕は周囲のサッカーファンから何でアーセナルを応援するの?と聞かれていつもこう答えてきた。
「愛にあふれているから」
フットボール愛、芸術性への愛好、何より選手愛
これらはヴェンゲルのもとで確固として築かれ今までそれがクラブの代名詞として(少なくともファンの間では)語られてきた。
でもそれが揺らごうとしている。
何でスタッフ55人分の選手一人の半年分の給料にも満たない給与を支払おうとしないのか。
財政が厳しいのは事実だ。しかし代替手段がある。
その代替手段を選ばないのは単にサンジェイの政治的決断に他ならない。
ガジガオはクラブへの忠誠心が非常に強いことで有名で今のチームの核となっている選手の獲得も彼の功績が大きい。
はっきり言ってしまえばサンジェイよりよっぽどクラブに欠かせない存在だ。
クラブのアイデンティティが一つ失われた気分だ
もちろんスカウト部門だってスーパースカウトによる属人化されたもにでなく、クラブのスカウト部門として、そういった人達の知見などを蓄積した資産/資源を活用すればいいんだけど、、
正直、不安しかない。。
エージェントのcommission fee とか最初表にでなくて、後から暴露されてビックリみたいなのいくつもあったしなあ、、
アーセナルのこの酷い状態を招いた張本人は、スタン・クロエンケ。
このビジネスライクで、スポーツそのものに、愛情や情熱をみせないクズオーナーのお陰で、アーセナルは3流クラブに陥ってしまった。
多くの日本人は、中東やロシア、アジアの金持ちのオーナーより、アメリカ人はより健全だと認識しているが、このクズオーナーが、自身の所有チームでやってきた事をキチンと精査して欲しい。
アーセナルフットボールクラブの再生には、このクズオーナーやクロエンケ一族の退任、サッカーに情熱があり、正しいビジョンを持った新しいオーナーの就任が必要不可欠です。
クロエンケだけでなく、ドンラウールも何とも小さな人間でしょうか
ベンゲルを長い間見てきたせいかとても矮小な男に見えます
フロントが癌ではクラブが機能しません。更にはオーナーまで無関心では自浄作用が一切働かない事になっていてる始末
去年から不甲斐ない成績なのはやはりフロント、オーナーの責任ですよ
サンジェイ のコネベースでの選手選考は好きではないし、今回の件もあってかなり叩かれるでしょう。
ただ、サンジェイが辣腕を振るう前は、はっきり言って物足りない補強内容でした。スカウティングの見直しは必要だったと思います。
それに今のプレミアではある程度ブレイクした選手を獲得しないと通用しませんし、まして今の立場から早期CL復帰を狙うなら殊更です。
謎の若手を獲得してみて、プレイタイムを与えて育てるのは非効率的です。
アーセナルはこの深刻な財政難においても、補強の話題は盛んで、実際に何人かの強力な選手の獲得を狙っています。
サンジェイのやり方は我々には悪いものに見えても、これが現代のビッグクラブに合った手法なのかもしれません。
そしてアーセナルは今でも間違いなくビッグクラブであり、タレントを獲得すべきクラブです。