土曜のリヴァプール戦について、どうにかうまいことまとめてブログに書きたいと、ずっとあれやこれやと考えていた、
そして昨日、アーセナルのプレッシャーについて触れているこのとてもインサイトフルなブログエントリを読んで、これを元ネタにして少し書いてみたいと思った。
Two steps forward, three steps back
ぼくのブログではおなじみの7am氏の「2歩進んで、3歩下がる」というタイトルのブログエントリ。ぼくは最近のチームは「3歩進んで2歩下がる」のように、少しづつでも着実に進歩しているものだと思っていたのだが、どうも毎試合でちょっとずつ後退していっているというほうが、だんだんしっくりし始めてきてしまった。
アーセナルはプレスができないし、プレスに対処できない
リヴァプール戦では、アーセナルはとにかく相手のプレッシングに対応できず、オウンハーフでボールを失いまくっていた。
リヴァプールがあの手のプレッシングゲイムに秀でていることは、誰だって知っていることだ。アルテタのチームだってそのための準備をしていなかったはずがないのだが、あのボールを持って何もできず、すべて相手の思い通りにしかならないような無様なさまは、観ていてほんとうにフラストレイションがたまった。プレス耐性については、アルテタのチームでも、むしろ以前のほうがよほどよかったのではないか。
あの日のセバーヨスが悪すぎた影響もあるかもしれない(※セバーヨスは前半だけでポゼッションロストが8)。云うまでもなく、彼のポジションはビルドアップの要であり、チームプレイの中心だった。
そんななかで、レノはバックからプレイすることを諦め、ゴールキックはロングボール一択。しかし、アーセナルのFWのセットアップはロングボールなど想定されておらず、ゴールキックは毎回相手にボールを返すだけの儀式みたいになっていた(※レノのロングボール成功は6/19。ちなみにアリソンは5/8)。
プレッシングに苦しまされたチームの典型的な試合だとも云えるだろう。だが、ここまで相手にやりたい放題やられるチームもPLにはもう存在しないと思う。それくらいイージーで無抵抗だった。
さて、そのアーセナルのプレッシングに関して冒頭のブログが書いていたことを少し引用したい。一部を要約する。
プレッシングが下手なアーセナル
- リヴァプール戦のアーセナルのプレッシャーは183で、じつは今シーズン最多だった
- ただし、19-20シーズンの最多プレッシャーは278(対マンU)で、さらに18-19シーズンの最多は366(対チェルシー)。これは今回のリヴァプールのちょうど2倍
- アーセナルがハイプレッシャーをやるチームであったことはない。プレス自体もそうだしプレスの位置もそう
- 18-19のアーセナルはプレッシャー全般でリーグ17位。ハイプレッシャーでは同10位
- 19-20のアーセナルのハイプレッシャーは悪化してリーグ13位(20-21現在は9位)
アーセナルにはハイプレッシャーをかけろ
- アーセナルの相手はアーセナルにハイプレスする
- 18-19はアーセナルはリーグでもっともハイプレスされたチーム(46/game)
- 19-20はリーグ3位(44.2/game)
- 20-21シーズンはここまでで2位(36.5/game)
強いチームはプレス耐性があるためプレスを受けない
- ちなみにリヴァプールとシティはもっともハイプレッシャーを受けないチーム。彼らの相手はプレスするよりシットディープして守るほうを選ぶ
- 仮にハイプレスを仕掛けても、彼ら相手にはなかなか成功しない
- シティはハイプレッシャーを試合で36回かそれ以上受けたすべての試合で勝っている(7)
- リヴァプールは同条件で5勝2敗(2敗はヴィラとエヴァトン)
- 彼らは過去の2シーズンも非常に似通っている
- つまりシティとリヴァプールには、プレスを破ることができる選手がいる
- 一方、アーセナルにはプレスを破れる選手がいない
- 今シーズン、アーセナルは試合で57回かそれ以上ハイプレッシャーを受けた試合で、W0 D3 L3(※今回リヴァプールのハイプレッシャーは61)
- 昨シーズンは少しよかった。同条件で、W3 D2 L3
- エメリではさらに少しマシ。W6 D1 L5
- 要するにアーセナルはハイプレスに対処できていない
リヴァプール戦で起きたこと
- この試合のアーセナルのプレッシャー成功率は22.4%
- アーセナルはプレスの成功率が25%を下回った試合では、W2 D2 L6
- それがこの試合でも起きたこと。プレスが下手。プレスがオーガナイズされていない。選手は簡単に抜かれ、ボールのリカヴァに苦しんでいる
- これは「ドリブルパスト」データにも観られる。この試合の「v ドリブラータックル」はひどい(リヴァプールは9/13成功)
- アーセナルがドリブラーズに10回かそれ以上抜かれた試合はW5 D2 L8
- また3回かそれ以上ドリブルでshot creating actionsをつくられた試合ではW1 D2 L4。このW1 はラピッド・ヴィエナ
要約ここまで。データはFBrefで確認できる。
簡単にまとめると、アーセナルはプレッシングをあまりしないし、上手にできない。一方で相手はアーセナルが相手だとハイプレッシングをかましてくるし、それが効果てきめん。プレッシングは、やるのもされるのも苦手。それがアーセナル。
アルテタは現場レベルの中では、スミス=ロウ、サカ、ウーデゴール、レノ、KTの次にパフォーマンスしている。
なので、アルテタを外すとしたら、ガナの成績ではなく、アルテタより良い人がいいアイデアを引っさげてガナの監督をやりたいです、って言ってきたときだけだと思う。
そして、既にエメリのときに失敗しているので、(更に辛いのがその前後でのミスリンタット、サンジェイなどの上層部構築にも失敗している。。。)たとえ2部に落ちても、アルテタで行くべきでしょう。
そして高額選手を取り除き、若手でリスタート。もちろん、ファンの期待値も調整が必要。
売り買いで成功しないし現場と強化が結びつかないから、ウィリアンとかガブリエルとか微妙な案件が増えちゃう。。つらい。