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ベルント・レノをアップグレイドする? アーセナルはなぜアーロン・ラムズデイルを狙うのか

アーセナルのターゲッツとの比較

レノとマット・ライアンと、いまアーセナルが交渉中といわれるシェフィールド・ユナイテッドのアーロン・ラムズデイルの比較を。

18-19から20-21の直近3年の国内リーグ。FBrefのリンクはこちらから。

ショットストップ PostShot xGD(p90)

  1. レノ +0.15
  2. ラムズデイル +0.02
  3. ライアン -0.01

ロングパス成功率(40ヤーズ以上のパス)

  1. ライアン 45.5%
  2. ラムズデイル 32.3%
  3. レノ 30.2%

クロスボールストップ成功率

  1. ラムズデイル 7.9%
  2. レノ 7.3%
  3. ライアン 7.0%

ディフェンシヴアクションのゴールからの平均距離(スウィーパーキーパー)

  1. ラムズデイル 14.7
  2. レノ 14.3
  3. ライアン 13.6

レノのショットストップ、ライアンのロングパスがなかなかだが、この3人で誰かが非常に突出しているというスタットはない。

アーロン・ラムズデイルはアーセナルが求める理想のGKなのか?

EURO2020のイングランドスクワッドに選出されて注目のGK、シェフUのアーロン・ラムズデイルをアーセナルが獲得しようとしているという。

昨日の『The Athletic』の記事によれば、アーセナルはエミ・マルティネスが退団して以降ずっと新しいGKを探していて、1月にはマット・ライアンを連れてきたが、その場しのぎではなく長期でチームに貢献できるGKを探しており、ラムズデイルに白羽の矢を立てたということである。23才と若いこと、それと英国人でホームグロウンということも歓迎されているようだ。

一方で、ファンのあいだではラムズデイルは「平凡な選手」という評価もちらほら出ていて、クラブが彼に£20M以上を出そうとしていることに不安もあるようである。

ぼくもとても興味があったので、彼の数字をチェックしてみた。まずは20-21PLでのランク。()の数字はレノのもの。

  • ショットストップ=PostShot xGD(p90)  +0.05 13位(10位)
  • クロスボールストップ成功率 9.5% 5位(9位)
  • ロングパス成功率(40ヤーズ以上のパス) 33.8% 19位(20位)
  • スウィーパー(ディフェンシヴアクションのゴールからの平均距離) 4位(9位)

レノと比べると、わりと似通ったところがあるっちゃある。ロングパスの成功率がかなり低い。

20-21の5メジャーリーグスでのランクはどうか。()の数字はレノのもの。

  • ショットストップ=PostShot xGD(p90)  +0.05 34位(16位)
  • クロスボールストップ成功率 9.5% 19位(33位
  • ロングパス成功率(40ヤーズ以上のパス) 33.8% 96位(101位)
  • スウィーパー(ディフェンシヴアクションのゴールからの平均距離) 30位(52位)

上位20%に入りそうなのはクロスボールストップのみ。ロングパスはレノ同様絶望的に悪い。

うーん、このあたりのデータだけ観ていると、インプレッシヴとは云えないような。

ラムズデイルのゴールキックのデータを見ると、シェフUではほぼロングボールを蹴っていて(ゴールキックのうち91.5%がロングボールはPLのGKでトップ)、昨今のトップチームがやるようなバックからのプレイはほぼやっていない様子。

アルテタのやりたいプレイにマッチしているのかというと疑問があるような気はする。

もちろん彼はイングランドNTに選ばれているくらいなので、これらの数字に現れない長所がたくさんあるのかもしれないが、アルテタが彼のどのあたりを気に入っているのか、正直データだけからだとちょっとよくわからない。

アーセナルの次世代GK選び

昔なら、GKはゴール前でショッツを防ぐことがもっとも重要で、それ以外のスキルを要求されるようになったのは比較的最近のことだろう。

このブログでも紹介した気がするが、何年か前にBBC SportsでPLのゴールキーパーのパス精度が近年著しく向上しているという記事もあった。PLにアリソン・ベッカーやエデルソンのような次世代型というべきモダンなGKが現れ、まるでアウトフィールドプレイヤーのひとりかのようにプレイしている。

ただ、そういうトレンドがあるにせよ、もちろんいまも彼らほどモダンじゃないGKはたくさんいて、それなりに結果を出していたりする。

今回データを観ていてあらためて思ったが、世の中のGKはそれぞれ個性があって、どういうGKを選ぶかは、そのチームがどうプレイしたいかに依ると思うのだ。

オブラクもノイヤーも現時点での世界最高のGKだということは誰も疑わないだろうが、彼らだってショットストップやロングパスなどそれぞれに長所は違っている。オブラクはショットストップでは並ぶものはいないほどでも、ロングパスの精度では5メジャーリーグスでトップ25にも入らない(※43位)。

そうしたことを踏まえつつ、アーセナルのGK選びでは、もっともと重要なことはなんなのかと思う。

アーセナルに来てからのアルテタのやりかたを見ていれば、やはりCBと同じようにモダンな「ボールプレイングGK」のニーズがあるように思えてならないが、アーロン・ラムズデイルのさほど際立っているとは思えないそのあたりのスタッツを観ていると、もしかしたらアルテタはGKにはもっと保守的なものを求めているのかもとも思えてきた。ボールを前進させることをGKに期待しないのであれば、ロングパスの精度など問題にならない。

ただ、それでも引っかかるのはショットストップのようなスタットでも、ラムズデイルよりレノのほうがまだ優秀ということ。

レノをアップグレイドしたいのに、ラムズデイルだと年齢が若返るだけで、性能的にはダウングレイドになってしまうのではないかと心配になった。本来そういうリプレイスメントはやってはいけないと思う。

彼をセカンドGKとして取るというのなら理解できるが、その場合、イングランドのNTに選ばれるような選手がビッグクラブといえどセカンド待遇で来たがるのかどうか。

その点、アンドレ・オナーナはしっかり期待できそうなデータがあるし、先日のエントリでも紹介したようにモダンなGKとしての評価も高い。単純なセイヴ%のデータで比較しても、レノやラムズデイルらよりもかなり優秀だ。彼は1年アヤックスに残り来夏フリー移籍をする意向だという説もあるので、彼が加入する余地が残っているといいと思う。

 

ということで、個人的には、ラムズデイルをセカンドとして(マット・ライアンを逃したときの代替として)獲得するのはいいが、レノをあと1年キープして、来年にはオナーナかあるいはほかの、アーセナルを進歩させてくれるよりモダンなファーストGKを取ることが、成功への近道に思える。

ベン・ホワイトにあれだけ投資してCBをモダンなタイプにアップグレイドするのであれば、いずれGKもそうしなければおかしい。

 

おわる



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2 Comments on “ベルント・レノをアップグレイドする? アーセナルはなぜアーロン・ラムズデイルを狙うのか

  1. ユーロはハイライトしか見ない今日この頃。お疲れ様です。

    ロングパスについては、レノの能力が低いのは勿論ですが、
    受け手(ターゲット)の問題もあると思います。
    ジルーがいた頃は、彼が何とかしてくれました。
    今はラカが頑張ってはいますが、サイズの違いは如何ともしがたく・・・

    ズラタンでも獲得しますか?(笑)

  2. ラムズデイルの良さは。。。僕もあまり良く分からないですナw。
    言えば最近ビルドアップでよく使うパスはGK→FBで、プレスの頭上を越しさえすれば短くてもいい。「40ヤード以上」のくくりでデータを出すと悪いのかも。

    レノもねえ。。本来ロングレンジよりミドルレンジが得意なはずなので、あんなにDFラインがガチャガチャしなければFBへのパスはもっと通ると思うんだけども。

    そういえば僕はオナーナ推しだけど不安も1つ。
    ハイボールの処理でびっくりするような判断ミスが多い。PLは接触プレーにファウルを取らないから不確定要素が多く、ハイボールの判断が悪いのは心配だ。

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