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23-24プリシーズンフレンドリー バルセロナに大勝。ポジティヴなきざしがたくさん

23-24プリシーズン バルセロナ@USツアーで気づいたこと

予測不可能なチームになる

アルテタは、一時期からこういうことをよく口にするようになってきたように感じている。

「ファイナルサードにケイオスをつくる」とか、そういう相手が予測できないプレイをすることの重要性。とくに昨シーズン中からだろうか。ぼくらファンは、アルテタがアーセナルに来て以来、つねづねそういうことを議題にしてきたと思うのだけど、だんだんとその問題意識の距離が近づいてきたという。

アルテタがアーセナルに来たころは、戦術を細かくコントロールしすぎだとか、オーヴァコーチングだとか、とにかく彼はチームに厳格なルールに従うことを求めてきたように感じたものだ。しかし、それがある程度チームに浸透すると、今度は対戦相手がそれに対応するようになってきた。つまり、ボールを持ったとき、持っていないとき、アーセナルのチームがどう動くのかが予測できるため、それだけ対応しやすくなった。優秀なコーチのいるチームほど、アルテタの戦術を理解し予期しストロングポイントを無効化しようとした。

規律があればあるほど(選手たちが素直で優秀であればあるほど)それが忠実にパターン化され、相手にとって予測可能になってしまうというのは、皮肉なことだった。

そしてアルテタは、いまやプレイの予測不可能性について熱心に語っている。チームが採用できるオプションの数や、それを可能にする選手のヴァーサティリティを。これはチームの成長において、いかにもフェイズが先へ進んだことを感じさせる。

先日のフレンドリーマンU戦の前に、アルテタがチームの戦術オプションについて語ったこと。

It’s not A, B or C. It’s A1, A2, A3 — depending on how you want to look at it. We are looking at options — we are training different options — but also, sometimes, you have to leave players on the training ground to see because sometimes when they train with each other they give you a lot of information.

プランA、プランB、プランCではないのだ。プランA1、プランA2、プランA3。どのようにそれを観たいかにも依るが。われわれはオプションを観ている。いろいろなオプションをトレインしている。しかしまた、ときに、選手をまずトレイニンググラウンドに置いて観ることも必要になる。なぜなら、彼らがいっしょにトレインすれば、多くの情報をもたらすから。

『The Athletic』の数日前の記事では、アルテタが望む変幻自在のオプションについて、それを“カメレオン的”と称した。ウーナイを思い出す。

そして、そのひとつとして現在のディフェンスラインのヴァリエイションを挙げていた。ティンバーがあらたに加わったDFラインで、バック4にはこれだけのオプションがある。

そして、今回LBではティンバーがスタートに起用されるという意外なテストもあった。ティンバーLBのオプションはさすがにこのなかにも入っていないが、彼はこの試合でかなりよくやっていただろう。左右どちらでプレイしてもクオリティが大きく変わらないという、トミヤスにも劣らない彼のヴァーサティリティが証明されたと云ってもいい。

ティンバーまでLBのオプションになると、ますますKTの立場が怪しいように思われるが、じつはこのプリシーズンで、彼はスタートした試合こそひとつもないものの、毎試合LBとしてプレイしているLB候補も彼だけだったりする。

アルテタはことあるごとにKTはプランに入っていると述べているし、マネジャーからの信頼という意味では、ファンはそこまで彼の将来を心配しなくてもいいのかもしれない。もちろん、ティンバーまでLBで十分プレイできることがわかった現時点で、LBのデプスが過剰だというのは事実なので、このあと彼にかなりいいオファーがあれば、アルテタが残留を望んでも移籍は免れないのかもしれないが。

あとは、フロントのポジションの入れ替わりだとか、このチームの戦術オプションについてはいろいろな語りどころがありそうだが、今回の試合でとくに気になったのは試合終盤のラムズデイルのロングボール。あれは、試合中にほとんど練習に近いことをやっていたんじゃないかと、観ていて思った。リードしていた状況で、バックからのプレイのリスクを避けたというよりも。

ラムズデイルからCF(ジェズース)めがけてロングボールを放り込んで、彼がDFを背負ってそれをどう収めるか。どうセカンドボールを拾うか。あるいは、スペイスにいるウィングへ。55分のトロサールのゴールはそうしたラムズデイルのロングボールから生まれた。

アルテタのチームといえば、一時期はGKのショートパスから始まるバックからのプレイにだいぶこだわりを観せていたが、いまはそれを一段進めてGKからのロングレンジ/ミドルレンジのパスにもどんどん躊躇がなくなっている。パスの精度はラムズデイルの大きな長所でもある。もっともこのプリシーズンでは、彼のロングボールはため息を誘うようなものばかりで、全体的にあまり冴えていないが。。

GKがどのようにボールを展開するかわからない。それもまた予測不可能性。

このチームには長身のハヴァーツも加わった。彼の頭を目掛けてロングボールを蹴ったり、クロスを入れたり(今回サカがそれにトライしていた)、これまでのチームに新しい次元をもたらしている。

新シーズンに、アルテタが戦術的にどこまで「カメレオン」をやるのか。ある程度のデプスが揃ったところで、ちゃんとサブを有効活用するようになるのか。興味深い。

そこはあきらかに、来るシーズンのみどころだろう。

ハヴァーツはジャカより多くゴール貢献しそう

ゴール1。このプリシーズンでは2点め。3点を取っているトロサールに次いで、チームで2番めのゴール数(サカも)。

今回は若干ごっちゃん状況ではあったものの、彼がチャンスでボックス内にいることが多くなっているということは、自ずとゴール貢献も増えるだろうと予想できる。彼のクオリティ云々というよりは、このチームでクオリティ高いチャンスを量産しているなかで、毎回あのあたりにいるということは自然とそうなるということ。

ハヴァーツは左8として、新シーズンからはジャカの後継を務めることが濃厚であり、ジャカのラストシーズンのゴール貢献(全コンペティションでG9 A7)は彼にとっては大きなハードルだったはずだが、あの調子だとそれに匹敵するアウトプットは期待していいのかもしれない。もちろん、ジャカと違って、ハヴァーツはナチュラルアタッカーでもあり、同じチャンス状況ならより多くのゴールが期待される。とくに高さは強力な武器。

この試合のハヴァーツも、アルテタはだいぶ満足しているようだし、このまま大きなトラブルなくアーセナルのチームに定着していってもらいたい。

トロサールはベンチに置いておくには良すぎ問題

トロサールはいちおう右足の選手であるが、あの左足でのゴール。もう利き足がどちらかわからないほどの両足使い。最近はカソルラとの比較で語られることも多くなっていると感じる。小柄なテクニシャン。頼れる漢。

このプリシーズンのトロサールのパフォーマンスを観ていたら、アルテタは新シーズンはマルティネリよりもトロサールをLWで優先して起用するような、ますます、そんな気がしてくる。

「予測不可能性」の一環で、アルテタはフロントの選手たちには試合中にかなりポジションの入れ替わりを許している(求めている)ようで、その場合、トロサールのLW、ハヴァーツのL8、ジェズースのCFは、3人とも各ポジションに適性があり、今回のようにひんぱんに場所を入れ替えてもより自然にプレイできる。これには非常に大きなメリットがある。

もちろんマルティネリは、去年のチームのリーディングスコアラーとしてほとんどブレイクしているような状況で、サカと同様ひきつづき左ウィングのポジションを確保したかに思えたが、それに増してトロサール効果が捨てがたい。彼が起こすトライアングルのケミストリ。彼の周囲も活きるし、彼自身もゴール脅威になれる。それは今回の単独ゴールでもあらためて証明した。

アルテタにとってトロサールをどうするかは、チームセレクションにおいてもっとも大きい難問のひとつになっている。

その他

ESRは、新シーズンに向けて準備万端という感じ。フィットネスも問題なさそうだし、あいかわらずのハードワーカー。

この試合を観て、彼の直近の大きな問題はトロサールの存在かもしれないと思った。LW、L8、フォルス9候補という、プレイできるポジションがほぼ被っていて、トロサールは絶好調。

彼もなんとかチャンスを得てほしいが、しばらくは我慢が必要かもしれない。そのような状況で、小さなチャンスを活かしていくしかない。

ヴィエラは、なんといういつもどおり。試合では消えていても、ファインゴールをぶち込んで彼のことを思い出させてくれる。彼ももっとプレイタイムを増やして、自信をつけさせたいんだよなあ。でもいまのチームだとその余裕がない。やはり理想はローンのように思えるが。。

84分に登場したAmario Cozier-Duberry(18)とロブホは、ふたりともUSツアーで初プレイで、このサブはおもいでづくりな起用だったか。

ただ、ふたりで状況が違うのは、Cozier-DuberryがUSツアーに参加した唯一のアカデミー選手ということで、将来性が見込まれているいっぽう、ロブホは残念ながらこのチームのなかでのプライオリティはほとんど最低だろう。RCBのサードチョイスといっても、チームにはそこでプレイできるキヴィオールやトミヤスまでいる。シーズン中、カップ戦も含めてスタートできる試合があるかどうかも疑わしい。昨シーズン同様、クローザーとして活躍できる試合があれば。ここまで来たらいっしょにタイトルを取ってもらいたい。

 

この試合について以上。

 

つぎの試合は水曜のフレンドリー、ASモナコ。エミレーツでレッドアンドホワイトを着て。これがこの夏の最後のフレンドリーマッチ。

それが終わると、週末日曜のコミュニティ・シールド、マンシティ。ウェンブリーで。

そしてそして、そのあとは、もうPLが始まっちゃう。早い! 最高!

COYGです。



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