試合の論点
トットナム vs アーセナルのトーキングポインツ。
Taking all three points back to N5 🤩
📺 Highlights of our vital north London derby win have arrived 👇 pic.twitter.com/ijZPcpPwkf
— Arsenal (@Arsenal) April 28, 2024
これぞNLD? 奇妙な試合。だが最後は勝つ
全体的に、こんな奇妙な試合もなかなかないと思うような試合だった。とくに前半。
それもそのはずで、ゴールが生まれたタイミングを観ると、両チームあわせて5ゴールのうち、4つが相手の勢いがある時間帯に生まれている。ふつうは逆で、それはゴールに迫る勢いある時間帯にこそ生まれるものだろう。
ToTにしてみれば、前半の3失点はじつに受け入れがたいものだったろうと想像できる。
まず最初のゴールはサカのコーナーからのオウンゴール。サカの蹴ったボールは、大男たちが揃うボックス内にはちょっと低いように観えたが、これがきれいに決まった。ホームチームには不運。
そして27分に決まったサカの2点めは、その前にはポストにヒットするToTのショットもあったりとゴールの気配が濃い時間帯で、実際のその5分前には、VARで覆されることになるToTのオンサイドギリギリの幻ゴールもあった。
そしてそのサカのゴールを振り返れば、その流れのなかには、ToTのふたつのペナルティ抗議が。それがレフに流される混沌のなかで、アーセナルの素晴らしいカウンターアタックが決まる。ホームチームは当然納得いかない。
38分ハヴァーツの3点めも、コーナーキックから。試合の勢いとは関係なく。ホームチームは以下略。
前半のあの試合内容で70%以上ボールを支配して、それでも3-0で敗けてるとは信じがたい。まるで往年のアーセナルのような。
そして後半、今度はラヤのやらかした時間をみると、そこはこの試合でアーセナルにもっとも勢いがある時間帯だったという。むしろ、いい時間だったからこそのラヤのやらかしかもしれないが。ちょっとした気の緩み。ショートパスでボールをつなぎたいという欲が出てしまった。
したがって、この試合で唯一プッシュしている側が決めたゴールはToTの2点めとなる、ペナルティだけだった。守るボックスでライスがボールクリアしようとして相手を蹴飛ばしてしまった。あの時間帯はアーセナルがかなり押し込まれていたので、ああいうことは起きる。
ということで、アーセナル界隈は当然この勝利に大いに盛り上がっていたが、トトナムのファンがどんな気分かを考えると、ニヤニヤが止まらない。
m9(^Д^)プギャー
NLD最高☆
大舞台でまたしても堅牢な守備を披露。ラヤのクロス対応
「攻撃が試合を勝たせ、守備がタイトルを勝たせる」。
今年よく目にするこの格言がどこから来たのかぼくは知らないが、いまのアーセナルにとってはまさにスポットオンの格言になっている。
今回の試合を総括するならば、やはりアーセナルの堅牢な守備がこの重要な試合を勝たせる決め手になったと云えるだろう。あれだけアーセナルのハーフで試合を進めながらも、彼らのショッツを15、SoTを2に抑えた。シティやリヴァプールの攻撃を黙らせる守備は、ここでも健在だった。
なんなら、あの失ったふたつのゴールを思えば(個人エラーとペナルティ)、クリンシートを達成していた可能性すらある。正直、前半が終わった時点ではそれもかなり期待したのだが。
アーセナルは、アウェイのタフな場所であれだけの時間プッシュされながらも、耐えに耐えた。
そして、もっとも重要だったのが0-3から2-3になって、ホームチームに完全に勢いがシフトした最後の20分。なんとか1点のリードを守りきったこと。あれは大きい。タイトル争いにおいて、アーセナルはドロウでは十分ではなかった。
もしこの試合をドロウで終えていたら、われわれのタイトルの希望はほとんど失われて、お通夜みたいになっていたはずである。
守備については、いつもはサリバやビッグガビ、ベンジャミンらCBを称賛されるところだが、今回はラヤも大いに褒めねばなるまい。失点につながる致命的エラーをやらかしたあとのパフォーマンスは印象的だった。とくに終盤のクロス対応。相手のクロスがシンプルだったこともあるが、ゴール前に飛んでくるボールをことごとくつかまえた。
『The Telegraph』の記事によると、ラヤのクロスストップは際立っているらしい(12%)。ちなみに、PL平均が6.6%でラムズデイルは5.8%とのこと。彼はGKにしては低身長なのだから、これは技術なんだろう。
この超重要なNLDで、試合を決めたのはディフェンス。
The Mikel Arteta Block™
ハイプレッシングコンテスト
個人的に、今回の試合のスタッツでとくに目を引いたのは、PPDA(※守備アクションごとのパス数:プレス強度を示す)。
ToTのそれが5.9。これは、かなりインテンス。たしかにボールを持っている選手に対し、つねに執拗に追いかけてくるような印象があった。ボールを持った選手に考える時間を与えない。
あれではバックラインが余裕をもってボールを回すことはできず、ショートパスでのビルドアップはかなり難しかった。結局ラヤのエラーもあのハイプレスに強いられたようなものだろう。
ラヤは、この試合ではほとんど安全第一でプレイしていて(ロングボールが24)、あそこで欲張って短くつなごうとしたのが命取りになってしまった。目を疑うようなエラーだったが、本人も試合後に述べているように、あの場面でどれほど心理的な圧力を感じていたかということ。あんななんでもないパスをミスするくらいに。
アーセナルのPPDAも優秀で、実際にそこからチャンスもつくっているが、ToTのハイプレスはさらに強かった。
試合後は、ToTの15日間の休養について言及されることも多かったが(※ぼくは20日間だと思いこんでたが15日と云ってるひとが多い)、そこはこの試合の重要なポイントだったかもしれない。彼らには、ほとんど疲れ知らずみたいな、あれだけインテンスなハイプレッシングを最後までつづけられる肉体的キャパシティもあったということだ。
プレッシング競争だったら、間違いなくホームチームが勝っていた。
彼らのインテンスなハイプレッシングは、一時期のヘヴィメタルなKloppのリヴァプールをほうふつとさせるが、シーズンを通してみれば失点も多く、リスキーなハイラインでカウンターに脆弱な守備も含めて全体的にはそこまで洗練されていないのかもしれない。