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【マッチレビュー】24/25 EPL ボーンマス vs アーセナル(19/Oct/2024)レッドカードFC

試合の論点

ボーンマス vs アーセナルのトーキングポインツ。

ふたたびレッドカードで試合が台無しに。だがそれ以外も問題?

アーセナルは今シーズンまだ無敗だったし、もう10月だというのに、2024年に入ってからからはアウェイでも無敗だったという。それがここで終わった。なんという残酷な。失望感がひどい。自分たちが強くなればなるほど敗けに慣れなくなって、たまにこういう試合を観ると心のダメッジが大きい。死にたい。でも生きてる。それが辛い(真理)。

この試合のプレビューでも触れたように、ボーンマスはアーセナルにとってはわりと相性の良い相手であり、彼らのような相手にこのようなことが起きたのも予想外で、さらに堪えた。

試合後のアルテタは憤りを隠さず、失望について語り、敗因はレッドカードであると認めた。

たしかに、もしあの退場がなければ、アーセナルはなんだかんだ勝っていたかもしれない。試合序盤から、お互い慎重というか腹のさぐりあいみたいな感じで試合は進み、アーセナルも全然波に乗れない感じはあったものの、90分の時間があればなんだかんだでボーンマスのレベルの相手になら、苦しんでいても最後には勝っている姿は想像はできた。苦しくてもチームはしぶとく勝ったレジリエンス、成熟したとか云ったりして。

ただ、レッドカードの前の調子でプレイをつづけていたら、アーセナルは試合に勝つにはそうとうに苦しんでいただろうことも想像できる。その点で、敗因はレッドカードという素朴な意見には100%は同意しかねる。

試合後は、当然レッドカードおよびVARについての議論が話題の中心になっているが、それ以前も、らしからぬパフォーマンスだったことは事実である。うまくいってなかった。アーセナルの前半のショッツは3で、レッドカード前は1。コーナーからのガブリエルのヘッダーで、ぼくのメモではシュートとして記録すらしていなかった。

そもそも、チームセレクションにおいてはアルテタのこの試合へのアプローチを問う声もあった。

とくに今回の3MF。ライス、メリーノ、パーティという組み合わせで、この3人は3人とも守備マインドのMFであり、それが消極的すぎなかったかというもの。

たしかに、試合が始まってからアーセナルはボーンマスのブロックを前にして、バックラインからボールを前に進めることにはかなり苦しんでいたり、自分たちのやりたいようにミドフィールドをコントロールしている感じはまったくしなかった。もちろん10人になったあとも。それについて、MFの影響はそれなりにあったとは感じる。

Sky Sportsの中継に出演していたフィオ・ウォルコットの試合後コメントが、この試合のトーンをよく説明していると思う。

ウォルコット:アーセナルは、しょっぱなから苦しんでいた。まるで彼らはいまだにIB中みたいで、彼らはお客さんだった。

彼らは、あまりにも頻繁にボールを失ったし、多くの選手が腕を振り上げ、フラストレイションが観られた。われわれがいつも彼らに観るような、フリーフロウイングなフットボールはそこになかった。選手たちが、お互いに文句を云いあっている姿は観たくないものだ。

わたしは、アーセナルがコントロールしているとは一度も感じなかった。ブロックを抜け出すにも鈍かった。練習時間が足りなかったみたいに。すべてにおいて後手で、結果にハングリーにも観えなかった。まるで流れ作業みたいだったよ。

結果にハングリーじゃない、というのはぼくも試合を観ていて感じたものだ。リードされたあとも。アルテタもライスも試合後の自分たちのリアクションを自画自賛しているが、そこまで結果を求めてハングリーだったようには観えない。

いつだったか、NLDでToTが10人になったときの彼らの猛攻を思い出す。あのとき、ひとり多いはずのアーセナルはタジタジだった。ああいうのが本物のハンガーだと思うが、今回のアーセナルを観ていて、そうしたエナジーやハンガーはあまり感じなかった。

それはともかく、チームがそうしたいつもと違う空気になったきっかけや理由として、ぼくはサカの不在が大きかったように思う。安心/信頼してボールを預けられる先がひとつ減ったこと。それと、彼が右サイドのあのポジションでボールを持ってくれることで生まれる、溜まっていく、あの独特の時間を今回のチームが持つことはついぞなかった。

彼は絶対的レギュラーであり、エースであり、彼の生み出すああいうリズムに慣れきったこのチームは、彼の不在に慣れていない。そのことが地味に大きな影響を及ぼした。

MFの消極的組み合わせもあるかもしれないし、もちろんフルデビューのメリーノがまだチームに慣れていないということもあるだろう。

そうしたことが重なった結果、チームはボールを失うことを恐れ、判断力を失い、パスの精度が下がり、フロウが生まれず。チームプレイの自信レベルが減退するという悪循環に陥ったんじゃないかと思った。最近のチームには観られなかったことだが、悪いときにはよくあることだ。

サカのケガはそこまで深刻なものじゃないようなので、オーデガードのようにしばらく不在の適応を求められることにならないだろうが、今回はまたしてもレギュラー固定化のネガティヴな側面を観たという気がしている。プレイする選手を固定すればするほど、万が一のときに慣れない事態への対応を強いられる。もちろん、サカのような選手をレギュラーで使わない選択肢などないので、ある程度は避けられない問題ではあるのだが。

失点の原因になったキヴィオールの初歩的なエラーだって、彼ばかりを責められない。彼はふだんからまともにプレイするチャンスがないんだから。プレイしていない選手がやらかすリスクは、プレイしている選手よりも当然高い。マネジャーからの信頼も感じていない選手に、もっと自信を持ってプレイせよとは云えない。

今回の3MFのセレクションが気に入らないひとは、ワニエリをスタートさせるべきだったと考えているのかもしれないが、ここはまあアルテタが彼を抜擢しなくても驚きはない。パーティは好調だし、今回も彼は悪くなかった。

夏にESRやヴィエラを放出したときは、アルテタはワニエリにだいぶ期待しているように感じたものだが、なんだかんだオーデガード不在でもアルテタは彼の代替としてワニエリを起用するつもりはないらしい。キャプテンの不在は彼には絶好のチャンスに思えたものだが、ここまで彼がスタートしたのは、リーグカップのボルトンだけである。そして、オーデガードはもうそろそろすると復帰して、ワニエリのチャンスもまた以前のように戻る。

まあ、だからアルテタに求めたいのは、もう少しでいいので、ふだんからサブにもチャンスを与えることだ。今回も短い時間でも印象的なパフォーマンスだったワニエリは、この試合でスタートに抜擢してもよかったかもしれないし(ぼくはメリーノを優先したことにも不満はないけど)、キヴィオールにもふだんからもうちょっとだけでも、プレイ時間を与えておくべきだったかもしれない。今回のようなことがあると、少なくとも信頼を示す必要は感じる。サブで入れてやらかした直後にサブで外すのは罰みたいだしな。

バックアップも含めてクオリティを上げるのは、どんなクラブも難しい。が、アルテタにはもうちょっとできることがあると、ぼくは思う。全員で戦うと彼はつねづね云っているのだから、それと矛盾しないでほしいのだ。

サリバにレッドカードはふさわしかったか。ラストマンディフェンスの距離に関するVAR議論

30分のサリバのレッドカード。この試合に決定的な影響を及ぼしたレフリーの重要な決断だった。アルテタは「このレヴェルで10人は、まぢ無理」と述べた。

ぼくも含めてリアルタイムで何が起きていたのかわかっていなかったひとが多いようだが、じつはあれは相手のラストパスではなくトロサールからのパスだった。ほとんど自殺行為のような…… なぜ彼がわざわざあのような危険なプレイを選んだのかはわからないが、その後の彼の様子からも自分が戦犯であることを十分自覚しているようには観えた。

ボーンマスの9のEvanilsonはその瞬間はオフサイドポジションだったものの、味方のパスじゃないのでそもそもオフサイド判定はなく。意表を突かれたサリバも彼を止めるには手を使ってつかまえるしかなかった。多くのメディアは、これを「パニック」と評した。

センターサークル付近で起きた事案に対し、レフリーのRobert Jonesは、当初イエローカードを提示。その後、VARレフの進言もありピッチサイドのモニタへ。イエローカードの判定を変更して、レッドカードを提示。最後尾のDFが相手アタッカーを止める、いわゆるラストマンディフェンス。相手のオフェンスがGKと1 v 1になる機会を防いだと判断した。

VARの確認は、あそこでEvanilsonがGKと1 v 1になる可能性を検討したはずで、深さではサリバと近いポジションにいたベンジャミンがもうちょっと後ろにいたら、彼が追いついたかもしれず、イエローの判定を維持する口実にもなったかもしれない。だが、リプレイではベンジャミンの瞬間的な反応は少し遅れてふたりよりも高い場所にいたため、彼の1 v 1機会だったと判断されたのだろう。ビッグガビももうちょっと高い位置にいる。

その後の試合を思えば、サリバはあのとき相手のランを許してもよかったかもしれない。リーグ随一という彼の俊足なら一度抜かれても追いついた可能性だってある。いちおうホワイトもいたし、ラヤも信頼できるGKだ。Evanilsonは、完全にプレッシャーを免れた状況でもなかった。

このストレイトレッドカードによって、サリバはこのあと1試合のサスペンションで(※この場合バンは3試合ではなく1試合らしい)、PLリヴァプール(H)という超重要な試合を逃すことになったのだから、代償はあまりにも大きい。それに比べれば、ここで1失点して11人で追いかけるほうがまだマシだった。

総合的に考えて、あれは彼の取るべきオプションではなかった。だが瞬間的に最悪の選択をした。だからパニックと云われているんだろう。

サリバはシニアキャリア157試合めにして、これが初めてのレッドカードだという。アーセナルでは93試合にして初めて。やらかさない選手がやった。ライスでも観た光景。

ぼくは、この判定はさすがに文句は云えないと思ったので、試合後にアーセナルのファンたちが騒いでいても(今回はいつもより控えめではあったかも)、たいして気にしなかった。あきらめるしかないと思った。逆に相手が同じことをやったら絶対レッドだと思うし。

ただ、ぼくが知らなかったのは、これについての細かいルール。24/25シーズンのPLのルールブックには、ラストマンディフェンスのファウルを判定する際に考慮されるべき事項として、以下の記載があるという。

  • Distance between the offence and the goal(攻撃側とゴールまでの距離)
  • The general direction of the play(プレイの方向)
  • Likelihood of keeping or gaining control of the ball(ボールをキープできた/コントロールできた可能性)
  • Location and number of defenders(場所とDFの数)

ここでもっとも重要なのは、ひとつめのオフェンスとゴールとの距離。センターラインとゴールまでは、ピッチの半分という長い距離がある。ルールに具体的な距離の長さが明記されていない以上は、当然議論になるポイント。

メインレフのRobert Jonesが、当初イエローカードが妥当と判断したことは興味深い。彼がいた位置は事案が起きた場所からそう遠くはなく、事案の位置も当然わかったうえでの判断だった。

彼にVARレビューを促したのは、この日VARレフを担当していたJarred Gillett。誰あろう、リヴァプールファンのあなたである。またおまえか。なぜ彼はいまだにリヴァプールの直接のライバルであるアーセナルの試合を担当できるのだろうか。理解に苦しむ。こういうことがあれば、痛くもない腹を探られるに決まっているのだから、彼はエヴァトンだけでなく、とくにいまはアーセナルやシティに試合に関わってはいいはずがない。

それと、この日はTV中継でちょうどこの事案が起きたとき、スタンドにいたハワード・ウェブ(PGMOLのボス)の姿が抜かれて、彼がなにやら誰かと連絡を取り合う様子が映されていたことで、彼がこのレッドカードの決断に関与したのではないかと疑われていた。ただこれについては複数のメディアが報じているように、彼はただレフたちのやりとりを聞いていただけとPLが説明しているようだ。まあ、いくらアーセナルに不利な判定が多いとはいえ、ここでそこのボスが堂々と指示を出しているなんて想像力はさすがに持てない。

まあ、とにかくそのようにして結局はアーセナルに超不利な判定が支持され、われわれは試合に敗けたのである。

……というような土曜日があり。問題は日曜である。なんと、#LIVCHEでこのサリバのレッドカードとかなり似た事案が起き、それがイエローカードで済んだという。なんというタイミングでふたつの事案が起きたのか。

場所も#BOUARSとかなり似たような位置。ぼくはこの試合は観てないが、手前に青のDFがいないなら、サリバよりももっと明確なレッドカード対象じゃなければおかしい。

これについては、リヴァプールのボスArne Slotも試合後にコメントしている。

Slot:わたしの意見では、ちょっとアンラッキーな判定もあった。

レフリーのピッチでの判定を覆せば決定的なものになりえた。そこは理解できない。そうなれば、あれはレッドカードだっただろう。(アーセナルで)わたしが観たときはレッドカードだった。

今回も「なぜか」アーセナルの判定に関しては厳しかった。一貫性はどこにある?

先日ハワード・ウェブは、シティで2枚めカードで退場になったトロサールと、Szobozlaiの判定の違いは“game state”にあったと述べた。追いかけるほうと追いかけられるほう、試合の状況で立場がそれぞれ違うから、判定も違うらしい。それならそうとルールに書いておいてもらわないと。Letter of the lawの精神はどこへ行った。

サリバと今度の件はどんな説明をするのだろう。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

One Commnet on “【マッチレビュー】24/25 EPL ボーンマス vs アーセナル(19/Oct/2024)レッドカードFC

  1. あれでVAR介入出来る意味がわからないよ!一発レッドなら分かるけど距離やコントロールを考えても「明確な間違い」とは言えないからレフのジャッジを尊重すべきやつ

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