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アタッカー危機のアーセナルが冬の補強に失敗【2025】

日本時間の今朝が冬ウィンドウのデッドラインだったので、昨日の夜はいそいでPLシティのマッチレビューを書いて、なにかサプライズがあったときのためにスタンバイしていたんだけども。朝6時に起床したんだけども。

なんと、アーセナルFCはこの冬に誰一人新しい選手を取らずで、市場は閉じてしまった。逆サプライズ。

まあ、もともと移籍ウィンドウというのはあくまで夏が本番で、シーズン中である冬には動かないということはめずらしくはない。だが、まさかいまのアーセナルの状況で誰も取らないとは、いと信じがたし。アルテタだって「人数が足りない」と認めていたというのに。

もちろん彼らが一ヶ月間なにも動いていなかったはずもないので、結局いろいろ動いたけどダメでしたという感じだろうか。残された状況を見るに、残念ながらこれは失敗と考えるよりなさそうである。

厳しいことになった。



アーセナルが最後まで取り組んでいた案件は?

いろいろな噂はあった。だが驚くことに、これがなかったんじゃないかという。

デッドラインデイのオーンステインが、最終日のアーセナルの動きについて「わたしが知るかぎりない」とコメント。クラブとして、早々に誰も取らない判断をしていた可能性がある。

最後まで可能性が取りざたされていたヴィラのWatkinsについては、同じくオーンステインによれば、ヴィラは£60mで交渉に応じる姿勢を見せていたものの、アーセナルはそれに応えなかったという。ちなみに、数日前に伝えられたヴィラにお断りされたアーセナルの最初のオファーは、実際は£60mではなく£45mだったと云われ、アーセナルはそれを上回るオファーを彼にするつもりはなかったようだ。したがって、この交渉は進展しなかった。

ところで、ヴィラがWatkinsの売却について歩み寄る姿勢を示したことはちょっと興味深い。彼らはこの冬もうひとりのストライカーを巨額で売却しており、Watkinsは当然キープするものと思われた。もしかしたらWatkins本人からの要望がかなりあったのかもしれない。エメリは、本人はクラブに残りたがっていると主張していたがそれは眉唾である。

それと、これも数日前に伝えられていた、Benjamin Sesko。Leipzigは、この冬に彼を手放すなら移籍金に加えて追加フィー(£50m?)を要求するとされた件。これもアーセナルは応じず。夏に向かうのだろう。

またアーセナルも交渉をしていたというバイエルンのMathys Telについては、結局デッドラインデイに買取OPつきローンでToTに行った。彼とToTのストーリーはけっこう笑えるんだが、長くなるのでやめておこう。

そのほか、RosenborgのSverre Nypanは今シーズンはクラブに残留することを決め、またウォルヴズのMatheus Cunhaはクラブとの新契約が発表された。

このふたりについては、夏に獲得する可能性は残されたと云えるのかもしれない。Nypanの£10m前後と云われる移籍金は彼の評判を考えるとお買い得だ。またCunhaは、ウォルヴズがずっとオファーしていた新契約に応じたかたちだが、彼らの降格ギリギリの状況を考えると、ここで選手の将来にとって不利になる契約をわざわざ結んだとは考えにくい。それなりの条件で夏の移籍が許されるような契約が想像される。いやしらんけど。

ということで、アーセナルはサカとジェズースの代替を誰一人取らず、冬ウィンドウを終えた。

ちなみに、PLでこの冬に新たな補強をしなかったクラブは、アーセナルのほかにリヴァプールとチェルシー、フラムがある。それぞれのクラブ事情は知らないが、アーセナルのように必要なのに取れなかったというクラブはきっとないんだろう。

アーセナルはなぜこの冬に誰も取らなかったのか?

考えてみた。

理由1:市場機会

もっとも大き理由はチャンスがなかったからではないだろうか。オバメヤンやトロサールを取ったときのようなタイミングのいい案件、いわゆる市場機会がなかった。

<選手とクラブが移籍希望><アーセナルを進歩させられるほど優秀な選手><安い>。この条件に合う案件。そんなものはなかなかないが、それが各クラブが冬ウィンドウで目指すものでもある。ただでさえシーズン中で、基本的にクラブは選手を売りたがらないので、すんなりことが運ぶ案件はだいたい訳ありである。

そういう意味では、この冬のアーセナルの補強でもっとも現実味がありそうだったのはマンUのRashfordだったかなあといまでも思うが、彼のサラリーは一部負担するにしても高すぎたし、ヴィラのようなそれを喜んで負担しましょうという奇特なクラブもあった。もし彼への引き合いが少なく交渉の余地があれば、半年ローンはありえたように感じる。いまのスターリングみたいな感じ。

理由2:アーセナルのクオリティに見合う選手

しかしそうは云っても、この冬の移籍ウィンドウ全体を見渡せば、取引された選手のなかには、あの選手はアーセナルが取ってもよかったんじゃないかと思えるような選手がいなくもない。そういう選手が何人かは思い浮かぶでしょ?

もうひとつの理由は、アルテタが常々述べているところの「正しいプロファイルの選手」がいなかった。もっといえば、いまのチームを進歩させられると信じられるような選手が市場にいなかったということなんじゃないか。想定した予算内で。

いまのアーセナルは、PLとCLでシリアスにトップを競っているチームということは、すでにほとんど世界最高クオリティに近い。これは客観的な事実だ。チームと選手のスタンダードが急速に上がっているため、そうなると新しく加わるべき選手を見る目も当然それなりに厳しくならざるを得ず、選択肢も狭まる。

理由3:夏のメインターゲットに予算確保

これも間違いなくかなり大きな理由だろう。結局今回のウィンドウで£180m使ったというマンシティのようなクラブは実際どういう会計をやっているのかわからないが、ふつうのクラブは予算が限られている。

少し前のブログ記事でも書いたように、アーセナルは移籍市場で£160m(Net)くらいは使ってもFFPに抵触しないということで、それもそれなりの金額ではあるが、インフレした昨今ではもはや潤沢とは云えない。夏のアーセナルは、ストライカー、ウィンガーだけでなくMFやDFも必要になる可能性が高い。

逆に考えると、今回の冬ウィンドウでまったく金を使わなかったことで、夏のメインターゲットの獲得にかなり本気で取り組む意向が、見え隠れしないでもない。

もう長らく各所でアルテタのドリームターゲットと云われるニューカッスルのAlex Isak。もし、ニューカッスルが来シーズンのCLを逃すようだと彼の夏の移籍は現実味を帯び、そのために必要な予算はおそらく£100mを超える。アーセナルはZubimendiのRCに€60m(£51m)を支払うと云われているので、それだけでも予算いっぱいだ。

もちろん夏は選手の売却益もあるだろうから、それで予算を使い切るわけではないだろうが、それでもアーセナルは夏にそうとう大胆な計画を立てているかもしれない。

そう考えると、冬ウィンドウでメインターゲットでもない中途半端な選手に大きな予算を使うのははばかられたというのは理解できる。

理由4:今シーズンの残りスケジュール

じつはシーズンはすでに半分以上が終わっているのはご存知だろうか。え、うそ早い。やだ。

この前のシティは、アーセナルにとってPLのMD24。つまり、PLは全38試合のうち残り14試合となっている。もうちょっとで半分どころか2/3を消化するところ。

それと、CLもこのあとはファイナルまでの最大試合数が見えている。

FAカップは敗退したし、カラバオカップは……まあまだわからないけど、どうでもいいか。

つまり、現時点でこのあとこなさねばならない試合数が見えていて、いまのスクワッドを観たとき、ギリギリだけど行ける判断をしたというのはあるかもしれない。

それに、2月はCLのプレイオフを回避できたことで、ドゥバイにミニキャンプに行けるほど余裕ができたし、そこで疲れ切った選手たちのHPも多少回復できる。3-4月にはブカヨ・サカが戻って来る。トミーはわからんが、ベニーも近いうちに戻るだろう。

サカが戻れば、いまもっともデプスのないフロント3も、以下のように悪くないような気がしてくる。

  • マルティネリ
  • トロサール
  • ハヴァーツ
  • サカ
  • ワニエリ
  • スターリング

もちろんハヴァーツしかいないCFがもっともヤバいが、CLジローナでもやったように9の代替はできる。なんなら、ぼくはサカがいずれ9でプレイを始める運命と思っているので、計画よりはちょっと早いが彼がそれを始めてもいい。超優秀な選手は最後はストライカーでプレイするものだ。そうすれば、ワニエリをRWでキープもできる。

クラブは、残りシーズンの試合数とスクワッドを見比べて、誰も取らないことを決断した。

理由5:ワニエリとMLSはまるで新しいサイン

これもありそう。

ワニエリがもしRWであれだけフィットしていなかったら、サカの不在はもっともっと深刻な事態だった。だが、彼がトップレヴェルの試合でもあれだけのプレイができることがわかったこと。それで、クラブが考えを変えた可能性はある。彼がRWでプレイを始めたのは、12月末からで、その自信が持てるようになった時期と冬ウィンドウはばっちり重なっている。

MLSはシティのゴールでいまやときのひとだが、彼ももう本格的にファーストチーム/レギュラーの一員としてアルテタから認識されているだろう。

アルテタも先日述べていたように、プリシーズンの時点では彼らがこれほどプレイすることになるとは考えてもいなかったというから、これは計算外のことが起きている。

だから、これはいわゆるアレだ。まるで新しいサインみたいだ!

アーセナルは冬に誰も取らなかったんじゃない。もう新しい選手は来ていたのである。

アーセナルの冬の補強なしはどでかいギャンブル

デッドラインデイの結末に、多くのアーセナルファンは動揺している。ミケルがかわいそうとも。ひさしぶりに#クロンキアウトのハッシュタグもみかけた。

チャールズ・ワッツ。

アーセナルが誰も連れてこなかったことは、とても大きなリスクだ。アルテタは攻撃の人数が足りないとこの数ヶ月ずっと云ってきたし、選手たちも助けを求めている。だが、これまでと何も変わっていない。

選手たちは、ここから5月まで限界までプッシュされることになるだろう。

スクワッドは、ウィンドウが開いた当初よりもむしろ弱体化している。これはどでかいギャンブルだ。ジェズースのケガで空いた穴を埋めることすらしないなど、頭おかしい。

ハヴァーツもしばらく援助がない。これから彼に要求されるだろうことはほとんど不公平ですらある。ハヴァーツは必ずフィットしていなければならない。

ギリギリ行けそうだという判断は、ギリギリダメなリスクもはらんでるってことだよね。

ここからさらにケガ人が出ない保証はないし、むしろ一部の選手に負担が集中して、今後はケガのリスクはもっと高まる。とくに、唯一の9となったハヴァーツはかなりそれが危ぶまれる。

だから、やはりアーセナルがこの冬に誰も取らなかったことは、ギャンブルなんだろう。勝つかもしれないし、負けるかもしれない。アーセナルの規模のクラブで、わざわざそういったリスクをかけるべきだとは思えないが、こうなってしまったものはしょうがない。

アーセナルは、この冬にはSD探しもやっていたという報道をどこかで読んだ記憶があるが、こうなったのはやっぱりエドゥがいなくなった影響もあるんだろうか。彼がいま好調のフォレストを観ながらこたつでぬくぬくしている姿を想像すると、ちょっと腹が立つ。みかんとか食ってな。

アーセナルは今年、PLもCLも勝つつもりだ。しかし、このあとチームになにかあってどちらも頓挫するようなら、この冬の判断は大きな批判を免れないだろう。

どうか何事も起きませんように。お祈りしておこう。

 

おわり



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