アーセナルのPL MD27は、ノッティンガム・フォレスト(A)。エドゥの転職先。いまごろ彼はアーセナルをどんな気持ちで観てるだろうか。
アーセナルは、先日のウェストハムにまさかの敗けでPLのタイトル争いから脱落したと思われている昨今ながら、昨日のアルテタの会見にはしびれたよね。アーセナルはタイトルをあきらめたのかという質問に対し、「おれの屍を越えてゆけ(Over my dead body)」。
思わず辞書を引いてしまった。“Over my dead body.” というイディオムは、要するに「絶対にありえない」とか、それを受け入れないことの決意表明のような意味だという。ここでタイトルをあきらめる考えはまったくない。もしそう考えたいのなら、その前にまず(タイトルを信じる)わたしを倒してからそうしろと。
これはアツい。ちょっと元気出たかも。
まあ、ミケルの立場なら当然のことを云っただけなのだろうが、ことばの選択が絶妙だった。どのメディアもそれを見出しにしているくらい。さすがである。
そういう状況でやってきたこの試合。ずっと目標としてきたPLタイトルが絶望的になり、ただでさえチームのムードはよくないだろうなか、トップチームとのアウェイ試合でアーセナルの選手たちは果たしてどうバウンスバックするのか。
アルテタの試合前コメント「おれの屍をこえてゆけ」
昨日行われたミケル・アルテタの試合前記者会見。AFC公式サイトより。
(マルティネリ、サカ、ワニエリのフィットネスについて……)
アルテタ:イーサンは足がつっただけだ。最近の彼は違う負荷がかかっていた。だが大丈夫。ブカヨとガビは、よく回復しているが復帰にはまだかかる。
(週末の結果がタイトル争いに与える影響……)
非常に失望した週末だった。その前の15試合で10試合に勝ち5試合に引き分けた。リヴァプールとまったく同じだ。+23のGDもまったく同じ。つまり、様々なことが起きていたことを考慮しても、われわれはこの3-4ヶ月は極めて安定していたのだ。
われわれは勢いをつくり、週末もやるべきことをやらねばならなかった。その前の15試合と何も変わらない。そしてわれわれは敗け、リヴァプールは勝った。
われわれはそうして勢いを築こうとしているときであり、それがとくにそれがタフな状況があるときなら、とても受け入れがたい結果だった。とてもたくさんの試合をプレイしているという現実もあるし、そこに戻らねばならない。
一貫性のレヴェルを持ち、もう一度やっていくハンガーがなければならない。それが水曜にわれわれがやっていくことだ。
(リヴァプールのフォーム……)
そこはコントロールできない。結局このリーグでは、勝った試合の数がものをいう。われわれもそのチャンスがあるのなら、その数まで達しなければならない。
われわれは、間違いなく今後もトライをつづけていく。
(課題解決を楽しんでいる?……)
毎日の選手たちとの取り組みは、まったくもって満足できるものだ。コーチやスタッフともこうした状況を乗り越えていこうとしている。
もし誰かがシーズンの始めに、いまごろアーセナルはレッドカードが5回も出ていて、そのどれも30分はあり、多数のケガ人が出ていると伝えられたら、せいぜいがテーブルの真ん中あたりにいると思うだろう。CLに行けるか行けないか。
だが、そうはなっていない。それが示すのは、レジリエンス、リソース、それにチームと個人の持つ野心。そして、そこにはわたしにとっては、もっとも誇らしい時間のひとつでもある。
問題は、そのような場所にいるときに、もっともっと欲しがるかだ。わたしは止まるつもりはないよ。わたしの屍を乗り越えていけ。考えることをやめ、チームが勝つ可能性に賭けないのなら、相手より上回ろうとパフォームしようとしないのなら。何が起きているかに関わらず、そうした一貫したスタンダードがある。
(メリーノはまだフォルス9でプレイできる?……)
イエス。相手によるし、自分たちのオプションやチームが何を生み出すか次第。攻撃の選手は、チームが生み出すものやケミストリ、流動性に大いに依存するものだ。お互いにどう干渉していくか。
レスターにはとてもよく効いたが、この前はその多くを欠いていた。
(MFからどうやってゴールを増やす?……)
それは修正している。なぜなら、われわれの15試合でのGDはリーグでもベストの+23だから。それをやるのはとても独特なことだ。しかし、われわれは、全員からもっとゴールがほしいし、それを増やせるエリアがあることもわかっている。
(ウェストハム戦はあなたにとってもっともフラストレイティングだった?……)
わからない。フラストレイションではない。わたしが考えるのはフィーリングだ。われわれがいまいる場所にいるために、どれほどのことをやってきたか。
だから、「OK、つぎのステップへ行こう」と云えるチャンスがあるのなら、水曜にはそうしなければならない。とくにリヴァプールのフォームを考えれば。
あれはタフだったし、受け入れるのはキツかった。あんなに安定していたホームだったから。
(Nuno Espirito Santoのフォレストでの功績……)
信じられないほどだ。彼らがやっていることや、彼のやってきたこと。あそこだけじゃなく、ウォルヴズでも彼はやっていた。あれもすごかった。
PLに昇格してからの彼らは、彼とコーチングスタッフの大きな功績だ。選手とクラブもそう。際立つストーリー。
(近年のフォレストの躍進……)
とても困難だったはず。だから特別なストーリーなのだ。
(あなたはまだPLタイトルを勝てると思っている?……)
もしそうじゃないなら、わたしは自宅に帰っている。数字的には可能だ。そこにいるのだから、試合をプレイしないと。3日前には差を縮められたかもしれないのが、突然1.5試合離された。それは関係ない。われわれはつづけていかねばならない。
(わらにもすがる思い?……)
ノー。それが難しさ。3日前より高くなっただけ。しかし、もしPLを勝ちたいのなら、なにか特別なことをしなければならない。もしいろいろな状況があってもPLを勝つなら、PLの歴史上、おそらく誰もやっていないような特別なことをやらねばならない。
(ディシプリンに問題がある?……)
大きな問題がある。ディシプリンのことじゃない。たくさんの要素がそこに関わっている。
(今シーズン、ベン・ホワイト不在で欠いていたもの……)
彼は、チームにとてもとても特別なものを与えてくれる選手だ。とくに右サイドのユニットで。われわれは、ここまでの全シーズンで彼を入れたその右ユニットがプレイしていない。ブカヨとマーティンも。たくさんいっしょにプレイしてきたユニットだ。
彼の復帰は素晴らしい。オプションが増えるし、彼のエナジーもある。彼がチームに加わることで生み出すものもある。それはずっと失われていたものだ。
(もしイングランドが彼を選ばなかったら?……)
それはThomas [Tuchel]が決めることで、わたしじゃない。
(土曜はなにゆえにチームのスタンダードからあれほど程遠かったので?……)
なぜなら、われわれは当然やっているべきウェストハムをロープに追い詰めることをしなかったから。とくに、あるエリアでは時間も空間もあったのに。われわれは十分じゃなかった。ボールを持ったときと、ボックスを守るとき。とくにふたつの状況で、そのうちのひとつがわれわれに高くついた。
とてもはっきりしている。われわれはあれとはまったく違うスタンダードを設定せねばならないところをそうしなかった。彼らはわれわれよりも強かったのか? わたしは2回見返した。彼らが試合に勝つにふさわしかった? わたしには疑問だ。
しかし、われわれは自分たちを見つめている。もっとうまくもっともっとやれたはず。そこは間違いない。
(まだタイトルを勝てると選手たちに思いを伝達せねばならない?……)
彼らはわかっている。なぜなら、最近も違う場所にいたが、ものごとは急速に変わるとわかっているから。われわれはそこにいなければならないし、われわれはその戦いをつづけるにふさわしい。
(なぜにアーセナルは、ウェストハム、ヴィラ、ニューカッスル、フラムのようなチームに苦しんでいる?……)
彼らはすべて違うチームだ。われわれとのパフォーマンスに関してもそう。彼らとの試合のうちのいくつかは、相手が勝つにふさわしかったものもあるし、もしわれわれがたくさんの状況をつくったそうした相手との試合で、ボックスで正確であったのなら、われわれが勝つにふさわしかった。それ以外の、たとえばニューカッスルのアウェイなどは、われわれは勝つにふさわしくなかった。
(チームはフォーメイションの変更も考えている?……)
イエス。だが4-3-3にしても、われわれが試合のなかのフェイズでほんとうに4-3-3でプレイしているのかわからない。なぜなら、ハイプレスでも深くにいてもかたちを変えるから。ファースト、セカンド、ファイナルサードのシェイプがある。
だが、結局は選手たちがもたらすオプションだ。彼らのクオリティとコネクション。われわれは間違いなくベンのクオリティは使っていく。
(スポーティングダイレクター指名の進捗について……)
それはクラブへの質問だ。タイミングやセレクションについては、わたしよりも彼らのほうが適切な回答ができる。
(夏の前に新しいSDが来る?……)
われわれの計画としては、いまのアーセナルにとりベストだと信じられる人材を見つけること。それがクラブがやろうとしていることだ。
(今シーズンのオーデガードはケガの影響を受けている?……)
わからない。たぶんその答えはノーになるが。なぜなら、彼は非常に力強く復帰してきたし、とても高いレヴェルでパフォームしていた。そのあと、ある期間それを維持していて、そこにはチームからのコンスタントな要求がある。とくにクリエイティヴな選手に。それは非常に難しいものだ。
先日も10人になったときに見せた彼の姿勢や意志、いかに責任を負うか、どうやってチームを駆動させたがっているか。そこは際立っているよ。あれこそわたしが選手に要求するものだ。それをことを起こせるように継続していく。
マーティンは間違いなく誰よりもトライしている。
(マーティンの役割が変わった?……)
ノー。彼の数字は、われわれの期待とかなり近い。xGや彼の攻撃するエリア。もしかしたら、彼の影響力は多少落ちているのかもしれない。彼がゴールを決めてきたエリアでいくつかペナルティがあったのも、要素になっているのかもしれない。
われわれはどの選手からのゴールのレヴェルを上げたいし、マーティンもそのなかのひとりだ。
会見の後半。
サマリー。ここは毎度YTの備考欄をコピペしているんだが、AIによる生成なのかすごくいい加減。だいたいどんなことが話されていたかくらいはわかるからいいが、せめて質問と回答くらい体裁を整えてくれたらほしかった(届かない思い)。
- I think we’ve made big strides this season because we should be in a very different position with everything that has happened.
- There’s not a team in Premier League history with five red cards and the amount of injuries that we’ve had that has been in the position that we are today.
- One of my proudest moments because this could have gone downhill very fast. The mentality and the culture is holding it together.
- Everyone can do analysis. If you don’t want to give context to a situation then don’t give context. Many clubs this season have certain context for where they are.
- The amount of injuries is a lot factors. It would be great to pinpoint one thing but unfortunately that’s not possible. Load normally is one of the biggest.
- We could have been mid table this season given everything that has happened. What have we not achieved? Some fans think very differently. We haven’t won the league? That will happen at the end of the season. You have to understand the circumstances that we’ve had To deal with. I’m not here to justify anything.
- Ben White for England? We has to have a conversation with Thomas Tuchel. The right decision will be made.
- How to keep motivation strong? We have to give players reasons to think differently and to change that way of thinking.
- The players know how different the table looked two or three days ago and how different it can look in two or three weeks.
- I’m sure we are aware of the contract situations for every player. I don’t know if talks have started with Saliba and Saka.
- Very disappointing moment for Myles Lewis-Skelly, we were gaining momentum in the match at the time of the red card. It put us in a very difficult situation.
- Disciplinary issues? In certain red cards we had, we could have done things differently. When you are ask players why they make certain decisions, they are very spontaneous. It’s a very quick decision. Difficult to change that.
- Concerns with lack of goals? We have what we have. We are where we are. And always you have to have the intention to change and evolve and understanding what you can demand to the players.
- You have to think in different ways. You have to find the resources to achieve what you need to achieve.
- Too early to talk about the summer.
- Players and agents are very aware of what the intentions of the club are. In the right moment we will discuss certain contracts.
- Would be incredible for Myles to receive England call up.
以上
タイトル争いをあきらめないっていうのは、まあいいか。ここで「もう無理」と正直になったら、みんなもっとがっかりしてしまう。から元気でも、「まだ可能性は残されている」くらいは云っておいたほうがよかったとは思う。シーズンはここで終わりじゃない。まだ12試合もあるから。だからこれはどちらかといえば、内側に向けたメッセージにきこえる。
今回の会見で興味深かったやりとりのひとつは、「なぜWHU、ニューカッスル、ヴィラやフラムのようなチームに勝てないのか」の部分。つまり、ビッグ6のようなチームにはいい結果を出しているのに、ミッドテーブルチームには奇妙なほど苦しんでいるという事実。強いチームより弱いチームに弱いというのは、ふつう意味わからんよね。これは興味深い質問ですねえ。
ミケルの回答はともかくとして、この件については、わりといまのアーセナルが抱えている本質的なところで説明できるように感じる。
昨日、誰かが今年のCLでのアーセナルの守備の優秀さと攻撃の不味さをあげて「インテルにそっくり」と云っていたのが気にかかっていたが、たぶんそういうことだろう。強いチームとプレイするときは守備力が問われ、弱いチームとプレイするときは攻撃力が問われる。いまのアーセナルがつねに問われているのは守備ではなく攻撃で、だからボールを持って攻撃する時間が長くなるだけ苦しむというおかしなことが起きる。たとえば土曜のウェストハムでも、その傾向が如実にあらわれたわけだ。
もちろんそんな単純な話ではないだろうが、極論そういうことなんじゃないか。そして守備がいいと云いながら、そういう試合では少なからず失点もしているのがさらに痛い。
このチームは、こちらが攻撃の主導権を握るような試合がとくに苦手なのだ。なんと。現在の極端なアタッカー不足のような特殊状況が、それをさらに顕著にしている。困ったものだ。
それと、オーデガードのパフォーマンスへの懸念についての質問がいくつかある。これは当然出るべき質問だろう。最近、チーム内での彼の役割が変わったんじゃないかと思うひとがいてもおかしくない。
実際ここでは何が起きているんだろう。今回アルテタはオーデガード、サカ、ホワイトの3人の「右ユニット」についても言及しているように、彼だけの問題というよりは周囲の選手たちも含めての可能性もある。この3人でプレイした時間が長かったし、今シーズンは3人揃ったことがほとんどない。でも、だからしょうがないねとはならない。彼はキャプテンでもあり。責任もある。
ウェストハムでも注目していたが、彼はこれまでどおりボールはつねに要求するし、ボールを持てば気の利いたパスも出す。プレスにも積極的。おそらく姿勢は変わっていない。だが、全体がすこしづつ足りないような気はする。そして、今シーズンはゴールもアシストも全然しなくなってしまった。
まずはベンジャミンが戻り、このあとサカが戻ってきて、彼に好影響があるかどうか。観てみよう。