PSVについて
PSV Eindhoven。アヤックス、フェイエノールトとともにオランダリーグのビッグ3の一角。
ここ数年の彼らは、アーセナルとやけに縁のあるクラブである。われらとは2022/23にUEL、23/24にUCLで2試合づつ対戦しており、今回の2試合を含めれば、4年間でなんと6試合も対戦することになった。偶然にしてはさすがに多い。
現在の彼らは、オランダリーグでは24試合を消化し52ポインツの2位。トップのアヤックスとは8ポインツ差。アーセナルの現在のリーグでの立場と似ていなくもない。ちなみに昨シーズンは、圧倒的破壊力(111ゴール)でリーグタイトルを取っている。
しかし、2位でも現在の状況はかなり悪いようだ。会見でもアルテタが彼らのフォームについての感想を求められているように、最近は突然の不調に陥っている。シーズンを10連勝でスタートしたチームが、直近10試合ではたった3試合しか勝っていない。OMG.
キープレイヤーズ
チームのリーディングスコアラーは、この試合も9でスタートが予想されるLuuk de Jong(34)。ここまでエールディヴィジでG11 A5。リーグタイトルを取った去年は彼ひとりで29ゴール決めたというのでヤバい。
もうひとりストライカーは、アメリカ人のRicardo Pepi(22)もリーグゴールが11ある。USMNT。彼は、今回はケガでプレイしないようだ。
それとおれのなかで悪人顔として定評あるNoa Lang(25)。同じくG6 A8。すばしっこくてやっかいなウィンガー。ウィンガーはRWのJohan Bakayokoも脅威。バカヨコ。日本語っぽい。
PSVには、去年の夏に元ToTのIvan Perisic(36)がフリーエイジェントで加入している。彼は、ユーヴェとのプレイオフで2レグのホーム/アウェイ両方でゴールを決めて、ラスト16進出のまさに立役者となった。さすがにユヴェントス相手にPSVが勝ち抜けるとは思わなかった。
もちろんこやつは元ToTということで、今回試合前会見でも「いまのアーセナルには欠けているものがあるから勝つチャンスがある」などと、なかなか挑発的コメントを残している。彼のおかげで、この試合はToTサポの注目度も高いかもしれない。
フォーム
リーグの直近6試合は、W1 D3 L2。1月末からひとつも勝っていない。
上にも書いたように、シーズンスタートは10連勝、そのあと4連勝もやってからこうなっている。
ただし、かなり悪いのはアウェイ試合に偏っており、ホームでは12試合敗けがない(W9 D3)。この3つのドロウが直近4試合に含まれるということは、かなり悪い時期でもホームで敗けない試合ができるということを示している。
CLのリーグフェイズでは、W4 D2 L2の14位でフィニッシュ。そしてユヴェントスとのプレイオフをギリギリ制して(アウェイで2-1敗け、ホームは延長戦で3-1勝ち)ラスト16へ進出した。
興味深いのは、CLでもホーム・アウェイのフォームが極端なこと。ホームではW4 D1の敗けなし、いっぽうアウェイではW1 D1 L3。これは、わかりやすい内弁慶タイプ。
チームニュース
Esmir Bajraktarevic、Malik Tillman、Ricardo Pepi、Sergiño Destがアウト。
元ガナーのLucas Pérezは、この試合でプレイ資格がないようだ。理由不明。せっかくだから観たかった。
Head to head
PSVはアーセナルとの直近6試合で、W2 D2 L2。50/50。
この6試合は、06/07 UCL(R16)、22/23 UEL(GS)、23/24 UCL(GS)のそれぞれ2レグス。いずれもアーセナルもPSVもホーム・アウェイで2勝したシーズンはない。
というか、この6試合でアーセナルが2レグでPSVを上回ったのは、昨シーズンのCLしかない。50/50とはいえ、実際はPSVのほうが勝負でアーセナルに勝っている。
試合結果予想
BBC Sport (Chris Sutton’s prediction) N/A
Sky Sports (Jones Knows) N/A
WhoScored.com 1-1
最近は、さすがにアーセナルに辛口の予想が多いな。こんなチーム状況じゃしゃあないか。
試合のみどころ
CLはリーグフェイズをいい感じに終えて、ようやくノックアウトラウンドへ。この間、PLのほうが絶望的になるという事件もあった。ずっと目指してきた目標を失ったショックたるや。
だから、そうとうにキツい。だが、それを乗り越えねばならない。シーズンはまだ3ヶ月もある。
アーセナルは直近2試合、PLで勝てておらず、しかも悪いポインツの落とし方をしている。
前回の試合からのこの一週間で、気持ち的にはリセットできたかもしれない。だが、ポインツを落としPLの目標を失って傷ついたこのチームは、試合で勝つことから自信をつける必要がある。それを勢いにする必要がある。それがないと、今後安定的に試合に勝っていくことが難しくなり、ほんとうにトップ4争いに巻き込まれかねない。そんなことになれば、大惨事どころの騒ぎではない。
このPL2試合でのもっとも心配なところは、アーセナルがアタッカー危機のなかでひとつもゴールできていないことだ。流れに抗えていない。しかもフォレスト戦は、アーセナルにとって今シーズン5回めのノーゴール試合であり、このタイミングで昨シーズン全体の記録ともう並んだという。ショッキング。
だから、今回の試合もまたゴールがテーマになる。
PSVは、どこまでアーセナルを意識した戦術をやってくるかはわからないが、もしPLの試合を研究して、アーセナルが苦手なやりかたを徹底してくるようだとわれらが苦しむのは必至だ。アーセナルが苦手なやりかたは、もうわりとはっきりしているだろう。
いっぽうで、彼らがホーム試合で自分たちの攻撃力を過信して(※リーグ24試合でG73はリーグでもダントツのトップ。アーセナルより3試合少なくG20以上多い)、ボールを持って攻撃してくるようだと、アーセナルにはむしろやりやすくなるかもしれない。ピッチがよりオープンになる。
アーセナルはリーグフェイズでも守備はトップクオリティで(5.8 xGAは全体でベスト)、守りのほうはかなり信頼できる。相手が守りに専念しなければ、攻められるリスクがありながらも、攻撃のほうはかなりやりやすくなる。そちらのほうが、アーセナルが結果を出せる確率が高まるんじゃないだろうか。
われらが考えうるもっともいやな展開は、ファーストレグでリードされて、ホームでのセカンドレグで、当然ゴールが期待されるなかいつまでもゴールできない展開だろう。このチームは攻撃にこっぴどい問題を抱えているため、絶対にゴールが必要みたいな状況に追い込まれたときには、格別のプレッシャーがかかるはず。しかもホームで。それも時間がたつほどに……
PSVはホームで強い。そしてアウェイで弱い。だから今回のアウェイ試合は、アーセナルにとってはドロウでも最悪ではない。だが、ホーム試合でのゴールにすべてがかかるような状況は、このチームには危険だ。ラスト8(QF)への勝ち抜けの確率を上げるにはやはり勝ちたい。
そのためには今回のファーストレグでゴールが必要。しかし、それがまったく心もとないという。いやー、ゴールっていったどうやったら決まるんですかね。最近ますますわからなくなってきた。まぐれでもなんでもいいので、ゴールがひとつ決まってくれたらだいぶ安心できるのだが。
そのためにも、アーセナルの選手たちがシュートにどれだけ積極的になれるかも注目しよう。それもまた大きな問題だ。
アーセナルのキープレイヤーはイーサン・ワネーリを挙げる。相手ハーフにスペイスがあれば、彼のドリブルも活きるだろうし、WHUやフォレストがやったような、彼のカットインサイドからの左足をかなり警戒した守備も、PSVは彼らほどうまくやれないかもしれない。彼の攻撃力を発揮できる機会は、アーセナルの強みを消すことを最優先したPLのミッドテーブル相手よりもありそうに思える。
PSVの攻撃力があるとはいえ、アーセナルには守備力もあり、たくさんゴールが決まるような試合には思えない。となれば、1ゴールが決め手になりうる。イーサン。キミに託した。
キックオフは、日本時間で3月5日(水)早朝5:00。東京も雪が降ってて激寒かも? お茶の間でヨーロッパ気分を味わうと思えばいいか。
COYG!