試合の論点
アーセナル vs レアル・マドリッドのトーキングポインツ。
アーセナルがセミファイナル進出に向け大きく前進したファーストレグ
アーセナルファンとして、まさかこんな試合になるとは思わなんだ。なんなら、セカンドレグに向けてこちらが絶望するような逆の結果だって想像した。CLでは、そういう展開にも慣れているし。
それがホームで3-0快勝。ライスのふたつのダイレクトフリーキックと、メリーノのファインゴール。相手の凶悪なアタッカーたちには最後までゴールも許さずクリンシートまで。これはもう快勝と云っていいでしょう。
結果だけでなく、内容もかなりよかったんじゃないか。ビッグマッチの緊張からか、試合序盤は個人のミスもいくつかあったし、攻撃時の人数のかけかたもいつもどおりではなかったものの、概ねよいと思えるパフォーマンスだった。お互いにチャンスをつくるなど一進一退に観えた前半も悪くなかったし、とくに後半ゴールが立て続けに決まってからは、ほとんど完全に相手の戦意を喪失させた。
3点めが決まったあとも、PLのシティ(5-1)やCLのPSV(7-1)みたいに、もっともっとゴールできるんじゃないかと期待したほど。ちなみに、それは相手もそう感じていたようで、試合後のBellinghamは「3点で済んでよかった」と述べていた。正直なひとだ。
ホームとはいえ、世界最強チームを相手にこれだけパフォームできるなら、われらはそうとう強いってことか。レアル・マドリッドのような超ビッグクラブに勝つことで、チームにとっては間違いなく大きな自信になった。
試合後は、各所で「エミレーツ時代で最高の夜」(ポール・マーソン)のように絶賛されている。
今回と似たようなビッグマッチとしては、やはりCLでバルセロナに勝利した2010/11の試合が思い浮かぶ。ジャック19才が大活躍したやつ。だが、その試合と今回との大きな違いは、あのときのバルサとは、つぎに対戦したときに勝てるかどうかわからないくらいの実力差があったのに対し、今回の試合では仮に10回プレイしたら半分かそれ以上、いやもっと?、勝てそうに思えたこと。
レアル・マドリッドに勝てるなら、どんなチームにも勝てるんじゃないか。
まあ、実際はわれらもフラムにもエヴァトンにも勝てないチームなんだけど。でも、アーセナルの強みを消しにくるより、自分たちの強みを活かそうとするチームとの対戦なら、やはりアーセナルはかなり強い。
試合後にレアルの選手たちは、セカンドレグで挽回できると一様にコメントしていたが、実際ホームでも彼らが残り90分で3-0をひっくり返すのはかなり難しいはず。べつにアーセナルのファンだからマイチームに贔屓目にそう云っているのではなく、今年のCLの実績としてもアーセナルの守備が堅牢なのは事実だから。リーグフェイズ8試合36チーム中、xGAがベスト(5.8)で、失点が2位(3)である。
今回も見せたように、アーセナルは守るときは全員がボールの後ろに引くし、オウンハーフに戻るのも早い。FWたちだって守備をまったくサボらない。あれくらい引くと、相手は攻撃で使えるスペイスがほとんどなく、MbappeなどレアルのFWたちも守備ブロックをこじ開けるのは苦労していた。彼らが脅威だったのは、カウンターの局面がほとんどだ。
サンチャゴ・ベルナベウのアーセナルは、パーク・ザ・バスじみたことすら厭わない。それでいて、チャンスとあらば攻撃もできるチームなのだから、この結果に意気消沈するのもわかる。もしアーセナルがベルナベウでひとつでもゴールしようものなら、そこでゲイムオーバーだろう。
もちろん、あと90分何が起きるかわからないのは確かで、何かの間違いでも仮に2-0みたいなスコアになれば、彼らも奇跡を信じてしまう。そういうときにことは起きる。
まあ、でもさすがに大丈夫だろうと思う。1-0や2-0のようなスコアだったら、勝ち抜けを強く信じることはできなかったかもしれないが、3-0はそう簡単に逆転できない。
今回の試合結果を受けて、Optaのスーパーコンピューターでは、アーセナルがタイトルの本命になったという(28.4%)。もちろん、QFは今日(水曜)も2試合あるためこれがどう動くかまだわからない。セカンドレグの前ながら、SFへの勝ち抜けは96%でアーセナル有利と見積もられている。
🚨 NEW UCL FAVOURITE 🚨
After their remarkable 3-0 win against Real Madrid, Arsenal are now the Opta supercomputer’s favourites to win the Champions League.
— 96% chance to progress to the semis
— 54.2% chance to make the final
— 28.4% to win the competitionRead more:
— Opta Analyst (@OptaAnalyst) April 8, 2025
考えてみれば、今年のCLタイトル予想では1位がシティ、2位がレアル、3位がアーセナルと云われていた。このうち、シティはすでにレアルに敗け、レアルもアーセナルに敗けそうとなれば、アーセナルが本命扱いされるのは当然かもしれない。すでに、リヴァプールも敗退している。現時点での2位予想はバルセロナ。
こうなったら、ファイナルでバルサとやりたいですね。
レアル・マドリッドって強いの? 戦術はMbappe?
こんなことを云うと、彼らのファンにぶっ殺されそうだけど。
最初から最後までエミレーツのスーパーラウドなスタンドの後押しもあって、敵対的雰囲気は満々で、彼らもそうとうやりにくかったとは思うけれど、そんなのアウェイならどこも同じだろうし、CLのビッグマッチでも百戦錬磨の彼らなら慣れているはず。それで、あのクオリティなのか? それとも、ふだんの彼らの姿とはだいぶ違ったのか。Vini Jrがお腹こわしてたとか? ていうか39才がレギュラー?!
これが本来の彼らとは全然思わないが、実際本来の彼らの実力とどれほどかけ離れていたのかを知りたいという気がしている。
Vini Jr. vs Arsenal:
0 goals
0 assists
0 shots on target
0 chances created
0 key passes
0 successful dribbles
0 accurate crossesCardio. pic.twitter.com/P3Xq4nTFVD
— StatMuse FC (@statmusefc) April 8, 2025
これが、ほぼアーセナルしか知らないわたしが、今回のレアル・マドリッドを観た率直な感想である。もしかしたら、彼らのことを買いかぶりすぎていたのかもしれないとすら思った。想像していたようなチームじゃなかったというか。
試合前、彼らがDFラインに問題を抱えているという話があって、観ていて、それはたしかにそうなのかもしれないとは思った。CL8試合でクリンシートがないとか。とくにワイドの守備では、サカもネリもボールを持ったときにわりとやりたいようにやれていたから。
しかし、攻撃のほうもそこまでクオリティが高いように思えなかった。もちろん個人のクオリティは超高い。だが、チームとしてのクオリティはどうか。彼らのビルドアップなどを観ていて「レアルには戦術がない」「戦術はMbappe」などと云うひとの意味がちょっと理解できたような気がしたものだ。
アルテタのチームが戦術のかたまりみたいなものだとすると、Ancelottiのチームはチーム戦術よりも個人の依存度がかなり高いように見える。いかにフロントの選手にボールを渡して仕事をしてもらうかが重要。今回の試合だと彼らのショッツ9のうち、MbappeとVini Jrふたりで6だった。
チームとしての事前の決め事に感じたのは、サイドを変えるスウィッチングパスだけみたいな。たしかにそれは多用していた。
それと、プレッシングについても、彼らのフロントふたりの消極的なプレスぶりはちょっと新鮮ですらあった。あそこまでゆるいプレス(あるいはやってるふり)は、今日のPLではどのチームにもほぼ観られないのではないだろうか。もう何年も前のチームを観ているような錯覚を起こす。ふだんから、あれで試合に勝っているのなら逆にすごい。
なんか、ニューカッスルのほうがふつうに強くね?(またお叱りをうけそう笑)
もちろん来週サンチャゴ・ベルナベウの彼らは、この試合のようにはプレイしないとは思う。3点差であとがないし、もっとアグレッシヴに積極的にゴールを狙ってくる。だが、今回の試合を観たかぎりでは、やはり彼らの名前だけで恐れすぎる必要はないとも思ったのだった。
フットボールはなんだって起きるのだから、来週だってなんだって起きる。だが、今回の試合を観ていて、アーセナルの強さをより信じられるようになった。攻守のハードワークとディシプリンのレベルが違う。レアルがどうプレイしようが、アーセナルがいつもどおりやるべきことを粛々とやれば、きっと勝ち抜けはできるだろうと信じられる。
ライスのゴールは喜ぶのを忘れて2発とも唖然としてしまいました。
そして事の大きさに気づき涙が溢れてきました。
105億ポンドの元は今日だけで取れていると感じました。むしろ安い。
仰るように確かにあのバルサ戦も同じようなカタルシスを感じましたね。
ビクトール・バルデスのニアを抜いたファン・ペルシ。
セスクのロンググラウンダー、ベントナーのデコイ(クロスに合わせようとしたのでしょうが)、アルシャビンの当てるだけのようなフィニッシュ。
昨日のことのように思い出します。
数々の軌跡を起こしてきたベルナベウなので3-0でも全く油断出来ませんが大丈夫!今シーズンのアーセナルは一度も3点取られた事はないのです。
105億ポンドはさすがに高いなぁ(笑)
もちろん冗談ですよ
COYG!!!
あ、ほんとですね(笑)
失礼しました〜すみません!
1億500万ポンドでしたね。
怪我もしなけりゃ好不調の波も少なく、6と8を高次元でこなすんですから参りました。
MLSといい、「初」をこの大舞台で出すなんてやはりスーパースターの星のもとに生まれたんですね。
歴史的なゲームになりましたね!
間違いなく数十年後も語り草になると思います。本当に素晴らしい夜でした
North London Forever!!
このチームを好きでよかった…
チェンさんもありがとう…!!