試合の論点
レアル・マドリッド vs アーセナルのトーキングポインツ。
Quarter-finals ☑️
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— Arsenal (@Arsenal) April 17, 2025
アーセナル史上過去3度めのCLセミファイナル進出。セカンドレグはチームの経験値向上がプライスレス
ふう。なんとか勝ち抜けた。
初戦を3-0でリードしているとはいえ、さすがに相手のホームスタジアムで8万人に囲まれて、なにか特別なことが起きるんじゃないかという緊張感はあった。試合中ぼくのTLでも、アーセナルファンの「まだ30分しかたってない!」とか「まだ60分とは信じられない!」みたいなつぶやきが散見されたものだ。追いかける立場のRMのファンにとっては、あっという間だったのかもしれない。
ざっと試合で起きたできごとを振り返ってみよう。
まず11分。RMのコーナーキックのまずい守備から、アーセナルにペナルティが与えられる。VARレヴューは、結局オンフィールドの判断を支持。あのプレイは逆に、RMのひとはなぜあれがボックスで許されると思ったのかをむしろ問いたいね(笑)。完全に手でメリーノをつかまえて、倒している。ボックスのなかで、あんなあからさまなファウルが許されるのはPLくらいだろ(自虐)。
しかし、サカがなんとそのペナルティを失敗。
GKが横っ飛びするタイミングを外してふわりと上に蹴る、いわゆるパネンカで失敗するという大失態だった。がびーん。パネンカは、GKがどちらに飛んでもいいように本来は中央に蹴る必要があると思うが、ブカちゃんはGKが飛んだ方面に中途半端に蹴ってしまった。よりによっていちばん蹴っちゃダメな場所。彼が蹴った方向は、おそらく意図したものじゃなかったはず。だから、ボールをヒットすること自体しくじったんじゃないか。
あのような序盤でビッグマッチを早々に殺す可能性がある超絶プレッシャーのかかる場面だったので、サカも難しかったとは思う。だが、あれは決めてほしかった。パネンカみたいな、GKとの勝負を避けたみたいな蹴り方だったのも後悔が残る。
Two years to the day since Bukayo Saka’s last miss… and history repeats itself. pic.twitter.com/Gs516EN2TS
— ESPN UK (@ESPNUK) April 16, 2025
ペナルティ失敗といえば、サカにはイングランドでも苦い記憶があるし、彼は2年前の同じ日にペナルティを外していたこともあり(PLウェストハム)、今後はまたサカとペナルティがフォーカスされることになりそうだ。最初はオーデガードが蹴りそうな雰囲気もあったのに、あれはどういう交代だったのか。まあ、これもエースの責任だから、このあと彼をペナルティテイカーから外すのは賛成しないが、もっと心臓に毛が生えた選手がいれば、その選手が蹴ればいいと思う。MLSとかうまいはず。彼は心臓に剛毛が生えてそう。
そして24分。今度は、RMのフリーキックの守備でライスがMbappeをつかんで倒したとペナルティとイエローカードが宣告される。いかにも、レフリーが公平さを保とうとして両チームに似たような罰を与えるやつ。あんなソフトな接触はふつうどんなレフリーでもスルーするだろう。ライスはここでカードを受けるとつぎの試合でプレイできなくなるという大ピンチ。
しかし、これについては長いVARレビューのあと、ファウルなしということで判定が覆された。当然だろう。ライスがMbappeの身体に腕を回しているのは事実だが、彼を倒したわけじゃない。自分から倒れにいっているようにしか見えないので、どちらかといえばMbappeのシミュレイションが妥当。VARを待っているときのMbappeの表情などを観ても、本人もファウルじゃないとわかっててあんまり期待してなかったと思う。
0-0のまま後半へ。
59分、MLSがAntonio Rüdigerから踏みつけられるファウル事案が発生。プレイはそのまま続行され、倒れたままのMLSにレフが試合を止めるが、このプレイにカードなし。リプレイでもはっきりわかるように、これはふつうにレッドカード事案だろう。悪質。この日もMLSは、RMの選手たちにはかなりいやらしいプレイをしていたので、相手がいらだつ理由はあった。
これはMLSがIGにポストした写真。これはダメでしょう。
Rüdigerはこれ以外にもダーティなプレイを何度かしており、カード1枚で済んだのはラッキーだった。というか、試合後の界隈のファン反応だとRMのDFたちは伝統的にラフプレイが許されており(たとえばPepeやRamos)、今回のスルーっぷりも非常にレアルらしかったという。そうなのかあ。さすが世界一のビッグクラブ。
65分。ついに最初のゴールが決まる。サカ。
ラヤのシンプルなロングボールをメリーノが競り勝ったところから始まる一連のプレイ。オーデガード、ライスとボックス周辺でパスを回し、メリーノの絶妙なスルーボールにDFライン裏に抜けたサカがGKと1 v 1。左足でボールをふわりと浮かせ、GKを華麗にかわすゴラッソで1-0。このときのRMの守備はオフサイドラインも揃っていないし、そもそも人数もいない。アーセナルに見慣れている目からすると、雑すぎる守備だった。
サカはこれでペナルティミスを挽回することに成功。試合のなかで、すぐに挽回ができたのは素晴らしい。
しかし、なんとその直後67分。サリバのありえないエラーから、イージーすぎるゴールを献上してしまった。
ラヤから短いスローでボールをボックス際で受けた彼は、ハイプレスをしかけてきたVini Jr.に気づかなかったようで、後ろからボールをかっさらわれ、そのまま無人のゴールへ。1-1。サカのゴラッソによってRMは最低でも4ゴールが必要になり、満座のベルナベウのスタンドを意気消沈させたはずが、時間をおかずしてまた息を吹き替えさせてしまうという。そりゃYES WE CANも云いたくなる。
記録的には、あれはボールを奪われたサリバのエラーになると思われるが、ラヤの過失も多少あるか。サリバは近くにいたとはいえ、相手マーカーのあの距離なら、もっと強いパスが必要だったし、そもそもラヤはCBにパスではなくロングボールを蹴るべきだったかもしれない。1-0でリードした慢心ゆえか。リードした直後だったのが痛かった。
サリバは、Mbappeに1 v 1でもさすがの対応をしたりと、DFラインの中心としてこの日も際立つパフォーマンスだったが、これだけでなく、このあともひとつミスをやっていたので、SF勝ち抜けが見えている状況でやや集中力を欠いた部分はあったかもしれない。
1-1になってからは、基本的にはRMが最後のプッシュする展開のなか、ときにアーセナルが反発するような、お互い一進一退の攻防があり。
そしてそのまま1-1で試合が終わるかに思われた94分。もう勝負は決まったも同然の時間帯で、両チームの選手ともにあとはフルタイムのホイッスルを待つだけ。
RMのコーナーキックからアーセナルはボールを奪うと、マルティネリが本人が試合後に述べたように、タンクに残った最後の気力を振り絞って全速力のラン。ネリはメリーノからのラストパスを受けると、ひとり彼を追いかけた相手選手もそのスピードに最後まで追いつけず。そのままドリブルをつづけたネリはGKとの1 v 1を制し、ゴール。見事なカウンターアタックのゴールだった。ひとりカウンター。
Giving 💯 until the final second.
🫡 @gabimartinelli pic.twitter.com/cOTq1Degwn
— Arsenal (@Arsenal) April 17, 2025
アーセナルは、最後の最後にてっぺんにチェリーをのせ、2-1で試合終了。
この試合もネリの攻守のハードワークはほんとうにすごかった。90分を過ぎてもあれだけ走れるスタミナも素晴らしいというだけでなく、彼の場合はやはりワークエシックというやつだろう。チームのためにハードワークを厭わない。類まれな献身性。メンタリティ。RMのブラジル人アタッカーたちがまったく振るわなかったのに対し、ネリのパフォーマンスはかなり印象的だった。セレソンのえらい人たちもにっこり。
この試合、引き分けで終わるのと勝ちで終わるのとは大違い。ファンとして試合後にこれだけ幸せな気分でいられるのも、ネリの超ハードワークのおかげ。ありがとう。
このセカンドレグを総括すると、もちろんすでにアーセナルの勝ち抜けの可能性はかなり高かったので、勝負の難易度はそれほどでもなかった。もちろん、あのレアル・マドリッドが相手なのだから、追われるもののプレッシャーはあったものの、ギリギリの勝負だったかといえば、そんなことはなかった。緊張はしつつも、選手たちはちゃんと冷静にいつもどおりプレイしたと思う。
だが、そのような試合でも得たものはとても大きい。とくにこの若い、これから成長をつづけていくチームゆえに、このようなビッグマッチを経験できたことはかなり重要だ。ほとんどの選手は、RMとの対戦自体が初めてだったし、フットボールキッズにとってまるで聖地のようなサンチャゴ・ベルナベウでのプレイも初めて。しかも、アウェイの敵対的雰囲気と極度の集中力が要求されるなか、プレイする経験を得た。この試合を終えて、選手たちはびっくりするくらい経験値がたくさんたまったはず。そしてそれは、間違いなく今後に活きる。
今回CLのセミファイナル進出という大きなご褒美を得たチームは、同時に選手たちにとって金では買うことができない経験をつめた。レアル・マドリッドのような世界一のビッグクラブに対しての貴重な勝利の記憶・手応えとともに。
とても有意義な試合だった。
マドリーはあまり強くない。先入観無く試合を見れば分かります。チェンさんのおっしゃる通り。
一方、今のPSGはめちゃ強い。試合を見れば分かります 笑
正直アーセナルでも分が悪いと思いますが、彼らにも隙があるとヴィラが示してくれたので、勝ち抜けを信じて応援します!
PSGもバルサも攻撃力は凄まじいですが、脆さも結構ありますね
インテルとアーセナルはその逆。堅守で勝ち残ったクラブ
矛盾対決。楽しみですね