試合の論点
アーセナル vs ニューカッスルのトーキングポインツ。
A hard-fought victory at our home ⚔️
Enjoy all the key highlights from our 1-0 win over Newcastle 🍿 pic.twitter.com/qCceAynq8o
— Arsenal (@Arsenal) May 18, 2025
アーセナルがついにPLで2位フィニッシュ&来年のCLを確保。このくやしさをもって25/26へ
今回の勝利で、アーセナルはPLのホームで4試合ぶりの勝利。ようやく2位と来年のCLを確保した。どちらもこれで3年連続。
しかし、タイトル争いをしていたチームとして、このタイミングまで2位もCLも確保できなかったというのが、アーセナルのPLでのまずさを示しているだろう。アーセナルはハヴァーツを失って以降のPL直近12試合で、今回を含めてたった4試合しか勝っていない。2位とはいえ、あまりにも悪かった。これじゃあタイトルを競う資格はない。
4つの敗けはともかく(リヴァプールでさえ3敗)、14もの引き分けはいい訳のしようがない。
もはやまがうことなきトップチームのひとつとして、毎度ドロウは敗けたような気分にさせられるが、実際敗けたようなものだろう。新シーズンは、まずここをどうにかせねばならない。ドロウが許されるのは、あきらかに勝てないときだけ。勝てる試合で引き分けてはいけない。そういう試合があまりにも多すぎた。
そのためにはまずゴール。勝てる試合で引き分けているのは、あともうひとつのゴールができなかったからだ。ここまでのドロウ14試合のうち、何試合がそういう試合だったかはあらためて確認しないとわからないが、今シーズンはまずほとんどがそれだろうと思う。
夏には攻撃の選手が補強される。それで、アーセナルの攻撃はどう改善されるか。どうポインツが改善されるか。
来シーズンは、間違いなくアーセナルとアルテタにとっては、決定的なシーズンになる。それなりにスクワッドも整い、チームも成熟し、あとはそれを操るもの次第。もういい訳もできない。
今年を含めて、この3年間はすべてそのための準備だったと思えるようなシーズンが期待される。
アーセナルはニューカッスルを乗り越えたのか?
もう試合後会見でも、目標達成し終えた安堵からか、ニューカッスルとこの試合に関するやりとりはほとんどないようであるが、一年で3度も敗けて、今回もここまで苦戦した相手については振り返る必要があるように思える。
彼らはエースのIsakを欠くという状況が、アーセナルにはかなり有利に働いたように思えるが、それでもあれだけ苦戦した。しかもホームで。
この試合は先週のアンフィールドでのPLリヴァプールにもちょっと似ていたと思う。前半の停滞と後半のカムバック。
まず前半。アーセナルはそれなりにボールを持てるが、つねに遅攻で相手ハーフでボールを持ってさあ攻撃しましょうというときにはすでにブロックが揃っているのに対し、相手がボールを奪えばいつでもカウンター。
アーセナルのミドフィールドはスカスカの素通りで、ロングボールでは簡単にDFラインの裏を取られる。もちろん、彼らくらいのチームにはプレス耐性もあるし、ダイレクトプレイを得意にしていることもあるが、相手がやれることややることがわかりきっているとき、それをあんなふうにやすやすとやらせてはいけないだろう。自分たちの強みを最大化し、相手の強みを無効化しようとするのが戦術なんだから。その点では、とくに前半はまったくうまくいってなかった。
いっぽう後半は、けっこう雰囲気が変わった。サリバと交代で入ったカラフィオーリがいい味を出していただろう。彼は攻撃に積極的なところがいい。ああいう試合に合っている。後半スタートからの5分間は、リッキー効果がかなりあった。
そして、55分にライスがファインゴールを決めると、その後まだ30分以上残っているのに、試合の雰囲気は、突然にお互い緊張感や集中力を失ってなんだか3-0で残り10分みたいな試合を観ているようだった。まあ、最後にはああいうゴタゴタもあったんだけども。なんとか勝てたのはよかった。
ぼくには、リヴァプールとこの試合の共通点として、アーセナルが相手をリスペクトしすぎという点が類似しているように思えた。
フロントの選手たちは勇ましくハイプレスに行くのだが、相手FWと駆け引きをしているバックの選手たちは裏を取られまいとする気持ちが強く、どうしてもハイラインで天地を圧縮できず、ミドフィールドにスペイスが生まれる。そうなると、彼らはオウンサードでハイプレスをかいくぐったとき、いとも簡単にミドルサードを経由してファイナルサードまでボールを運んでしまう。みたいな。
だから、アーセナルの選手たちはまだニューカッスルにかなり苦手意識を持っているし、相手を警戒しすぎてしまっているように見えた。
また、この試合でも目を疑うようなパスミスを何度かみたが、単純ミスがあまりにも多いのも、間違いなくそういう試合の傾向である。自分たちがボールを持っているのに、失敗して逆襲を恐れる緊張感で、肩の力が抜けない。
いちおうこの試合には勝てたことで、今後この苦手意識はやや和らぐかもしれないが、アーセナルは彼らとの関係で精神的に上位に立つためにも、もっと完全に相手より上回ったところを見せつける必要があるだろう。彼らには短期間に3度も敗けたせいもあり、本来の実力以上に恐れてしまっている。だから、あとは心理的な部分。そこが重要。なぜなら、彼らは強いから。
PLにおいて、いまのアーセナルでのいちばんの敵はシティでもリヴァプールでも、ましてやToTでもなく、ニューカッスルのようにぼくには思える。
来シーズンこそ、文句なしに勝って、お互いの立場をはっきりさせてもらいたい。トップになるのだから、苦手なチームを克服しないと。
この試合については以上。