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アーセナル2025夏の移籍ウィンドウまとめ【Departures編】

「なぜアーセナルはいつも売却に苦労しているか?」by The Athletic

アーセナルのこの夏の売却益はリーグでワースト3位。しかし、この夏に限らず、アーセナルはつねに選手の売却に苦労している。アーセナルのファンとして、もっといい条件で売れないものかといつもイライラさせられてしまう。過去の売却履歴を観ても、もう歴史的にそうなっている。

クラブの過去の売却トップ10リストのなか、いまだにニコラ・アネルカ(99/00)やセスク・ファブレガス(11/12)が入っている。26年前の取り引きがいまも歴代2位(絶句)。

PLクラブがあまりにも財政に恵まれていることで、海外に満足できる買い手がいないという事実はあるにせよ、それでもPLのライバルクラブはアーセナルよりももっとうまくやっているように見える。

その全アーセナルファンの疑問に応えるかたちで、The Athleticが先週このような記事をアップしていた。「なぜアーセナルは売却に苦しむ?」。

Why have Arsenal struggled to sell? Are they at risk of breaching spending rules?

この記事で指摘されているアーセナルの商売ベタの理由として、以下が挙げられている。

  • 選手が高給でPL以外で買い手が見つからない(これはほかのPLクラブも同じ)
  • アルテタが選手をはっきり見限ることで選手価値が下がる(たとえばジンチェンコ)
  • 売却のタイミングが遅い(たとえばラムズデイル)
  • アカデミー選手の売却が少ない(リヴァプールやチェルシーとの比較)
  • 売却対象の選手たちがローン先でケガなどで活躍できなかった(これはアーセナルのせいでもない)

PLのトップクラブとしてやむを得ない部分はあるにせよ、アーセナルが改善できる部分があるとすると、「ジンチェンコのように既存の選手をあからさまに戦力外にせず、よきタイミングで無慈悲に売却する」ということだろうか。去年のESRやエディは悲しかったが、いいビジネスではあった。

ぼくは、個人的にはジンチェンコはいまもそこまで悪い選手じゃなかったと思っていて、とくに昨シーズンのオーデガードが不在だった時期、彼をもっとMFで試せばいいじゃないかとずっと感じていた。

実際にアルテタは彼をMFで起用した試合では「新しい発見」のようにポジティヴなコメントを残しているので、もっと使いようはあったんじゃないかと思わずにいられない。そういう意味では、彼もせっかくフィットしたシーズンだったのだから、あからさまな戦力外扱いのようにしないやりかたはあったんじゃないかと思われる。もちろん、この記事でも指摘されているように、そういう理由だけでマネジャーに選手起用を強いることもできないだろうが。

しかし、アルテタはクラブの意思決定ではかなり影響力があるタイプのマネジャーなのだから、現場監督としてもそれくらいの政治的なことは考えて動いてもいいと思う。

それと売却のタイミングについては、これもアーセナルの商売ベタのもっとも大きな理由に感じる。アルテタの時代以前にもアーロン・ラムジーやアレクシス・サンチェスらは、完全に売却のタイミングを間違えた例として思い出される。

この記事で指摘されているのはラムズデイルで、彼はローンでラヤが来た23/24シーズンにはPFA Team of the Yearにも選出されるほどの選手だった。MVでも当時GKとしてトップ評価だった。ラヤが来たときアーセナルはファーストGKがふたりいるという奇妙な状況で、それも議論になったものだが、結局はラムズデイルがセカンドGKに落ち着き、もともとGKのポジション争いなどほとんどなかったとわかった。ただ、既存の選手よりも優秀な選手が来て入れ替わったというだけ。

だから、あのときはやはりラヤが来た時点で無慈悲になるべきだったのかもしれない。ラムズデイルはPLのトップGKという名声ある立場から、いきなりセカンドGKになり自信も喪失。選手価値を大いに下げてしまった。その機会を逸したことで、数十パウンズを損失したとも云える。

あとは、優秀なアカデミー選手の定期的な輩出。近年のアーセナルでもMLSやワネーリ、ダウマンといったトップヒットはあるものの、それなりのクオリティの選手を毎年大量に出しているわけではないという。

ちなみにこの夏リヴァプールはアカデミー出身の選手だけで、£88mの売却益があったとのこと。もちろん、チェルシーははっきりとそういう戦略で動いている。大量にアカデミー選手を買って、大量にローン。そのなかで最優秀な選手をトップチームで使い、あとは売却。みたいな。

ぼくはアーセナルでそういうビジネスだけで若い選手たちを利用するみたいなやりかたはあまり好ましくないと思っていたが、ライバルたちと競っていくためにはそういうやりかたも今後必要になっていくのかもしれない。選手を資産として捉えるみたいな。もっと無慈悲になるというか。

今回の記録的支出で、クラブは財政ルールの抵触に近づいているため、アーセナルの内部でもこの部分で危機意識はかなりあるようだ。

こういったことは、アーセナルでも大いに改善の余地があるようには感じる。とくにアルテタには、もっと積極的なバックアップの活用などしてほしい。

アーセナルの賢いスクワッドビルディング、チームの躍進

移籍ウィンドウまとめ記事の最後は、明るい話題で終わろう。

Max Dowman joins Bukayo Saka, Ethan Nwaneri and Myles Lewis-Skelly in showing Arsenal’s Hale End academy is their biggest asset

Sky Sportsが報じたところによると、TMでのスクワッドの「市場価値総額」とそのスクワッドにかかった「コスト」で、アーセナルはPL20チームのなかでトップという。金額を観ると、2位の2倍近いのでわりと断トツである。£316mのプラス。

※これは8月25日時点での記事で、そのあとも移籍市場はつづいていたため、データがすでに更新されている可能性もある

これはつまり、アーセナルがスクワッドにかけた金に対して、とてもいい結果を出した、優秀なスクワッドにしているということ。かけた金以上に結果を出したことが、選手価値の向上につながっている。

この記事では、その要因としてアーセナルのヘイルエンド出身者の台頭を挙げている。サカ、MLS、ワネーリ、ダウマン、彼らのスクワッドコストは基本的にゼロである。

もっとも大きいのが当然サカで、彼の現在のMVは€150m(約£130m)。それが丸々プラスになる。クラブ記録の金額で購入したライスでさえ、現在のMVは買ったときの金額を上回っている。

このほかにも、アーセナルではマルティネリやサリバ、あるいはガブリエルといった特大の買い物上手もある。

その点でマンUやチェルシーは悲惨である。たっぷり金をかけて(なんならアーセナルよりも)スクワッドを築いているのに結果がそれに伴わず。選手価値も買ったときより下がっている。

アーセナルは売るほうはいまだにさっぱり振るわないが、買うほうはかなり優秀。チェルシーはその逆。マンUはどっちもダメ。もう滅びたほうがいいのでは?(名案)

アーセナルは、この夏もモスケラ(€15m)のようなビッグヒットを予感させる買い物もしている。今後もアーセナルがいい結果を残すかぎり、この傾向はつづきそうだ。

だから、あとは売却をなんとかすること。より完成されたクラブ運営を目指して、アーセナルもアルテタもそのためにできることをやってほしい。

 

おわり



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