25/26シーズン、EPL全体が保守的になった?
ところで、今シーズンはアーセナルが消極的だと騒がれているだけでなく、リーグが全体的に保守的になったんじゃないかという話がある。
ターゲットマンへのロングボールやロングスロー、クロスの流行にセットピース。それに今回のアルテタ会見でも話題に出ているラグビー風のキックオフ(できるだけ深い位置のスローイン狙い)など、最近のPL試合でプラグマティック戦術に特徴的な傾向が随所に観られるのは事実だろう。よりリスクの低いアプローチをとるチームが増えている。ミッドテーブルチームだけでなく、トップチームでも。
極めつけは、先週のアーセナル戦のマンシティ。まさかPepのチームが、アウェイとはいえバック5のあのようなディープブロックでプレイするとは誰も思わず。このトレンドにおける象徴的なできごとのひとつだった。
先日のBBC Sport。「モダンフットボールがビッグサムの戦略を採用しはじめた?」。時代がようやくサム・アラダイスに追いついた。ウケる。
Sam Allardyce: Is modern football adopting Big Sam’s playbook?
ちなみに、アーセナルは「セットピースFC」やアルテタのチームの選びかたや戦いかたもあり、コンサバ化するチームの筆頭にも数えられているし、いまもこういうデータでせっせとナラティヴをつくられている。サンプルサイズが小さいし、このなかにOTのマンU、リヴァプールやシティが含まれていることを忘れるとまったくミスリーディングになるわけだが。
— Sky Sports Premier League (@SkySportsPL) September 26, 2025
しかし実際は、今シーズンはリーグ全体でチャンスとゴールが減っているとOpta。「先週のPL試合の総xGは19.4で、Optaが2016年に記録を始めてから最低」という。今シーズンは0-0で終わる試合もめっちゃ多いらしい。
Last weekend, the 20 Premier League teams produced a combined total of just 19.4 xG – the lowest in any Premier League gameweek in Opta’s record books (since 2016).
Are we entering an era of cautious football?https://t.co/yUu71B2c8G
— Opta Analyst (@OptaAnalyst) September 26, 2025
このまましばらくフットボールはどんどんつまらなくなっていくんだろうか。
この試合はそうじゃないといいのだが。
この試合のレフリーは、Jarred Gillett
リヴァプールファンとして知られる漢。Jarred Gillett。
今シーズン、彼が担当するアーセナルの試合はPLリーズにつづき2試合め。タイトルを競う直接のライバルチームのファンが、たった6試合のうち2試合めを担当する不条理。
おかしくね?
試合結果予想
BBC Sport (Chris Sutton’s prediction) 1-2
Sky Sports (Jones Knows) 1-0
WhoScored.com 1-2
アーセナルの敗け予想ひさびさに見たな。やはりおまえ。
BBC Sport(Chris Sutton):この対戦は、2023年にSJPでニューカッスルが議論な試合で勝って以来、ちょっとした恨み混じりの試合になっている。
アーセナルはSJPで3連敗中だが、今回はドロウですらダメだろう。なぜなら、彼らはトップのリヴァプールに追いつくためにはどんな失敗も許されないから。
だから、アルテタにはどうしても勝ちが必要。だが、この試合にどうアプローチする? 彼はニューカッスルをトップチームだと考えているのだとすれば、彼はまたしても中央に3人の屈強なMFトリオを使う?
彼は、こういう試合では非常に消極的、守備的になるように見えるし、わたしは真っ当な疑問として、そのように慎重になっていてアーセナルがPLを勝つことができるのかどうかを問いたい。
アルテタはもっと向かっていく必要がある。
ニューカッスルは予想が難しいのは、彼らはあまりゴールしていないから。しかし、それでも彼らを倒すのは簡単ではない。
わたしがアーセナルを推す理由はいくつかある。ひとつはブカヨ・サカがあらためてフィットしていること。それともしエゼがスタートするなら、彼は本物の脅威をもたらすはず。彼らにはマルティネリもいる。
しかし、何が起きるかはまったくもってアルテタ次第。
試合のみどころ
アーセナルは最高とは云えないまでも、ここまでのシーズン序盤はまあ悪くはない。敗けた試合は、まぐれのようなフリーキック理由のリヴァプールだけ。ホームでシティとドロウは期待はずれではあったが、彼らくらいのチームなら想定内。
いっぽうで、ニューカッスルはIsakやWillsonが去り、新しいフロントラインでいまだアウトプットには苦しんでいる最中。5試合で3ゴールでは、さすがにトップチームのひとつとは云えないだろう。※xGでもリーグ14位
したがって、順当にいけばアーセナルが3ポインツを持って帰れそうな予感はある。
しかしながら、Eddie Howeのニューカッスルはそもそも守備が優秀なチームで、近年のアーセナルはとくに彼らのミッドブロック戦術には悩まされてきた。メディア予想で三者が誰もドロウを予想しなかったのはやや意外で、ニューカッスルが攻撃に難ありなら、彼らが守ることに専念すればするだけアーセナルはゴールが難しくなる。スコアレスドローや1-1などという結果は、わりと容易に想像できそうに思える。彼らはゴールも少ないが、失点も少ない(3)。
そこで、注目されるのはやはりアルテタのアプローチ。ここまでのリヴァプールやマンシティとの対戦で、ちまたでもすっかり消極的・保守的だという烙印を押されてしまった。
今シーズンはヨクレスという欠けた攻撃ピースが加わったとはいえ、アーセナルがゴールを量産するようになっているかといえばそんなことはなく。相手の厚い守備にてこずって、なかなかチャンスがつくれないのはこれまでとあまり変わっていないように見える。彼にラストパスが届いていないのだ。
昨日、ヨクレスがトップというPLのスプリントランキングのデータが話題になっていたが、彼がスプリントしたときにボールが出ていないの現実だろう。ここまでの彼はショッツの絶対量が少なすぎる。
しかも、オーデガードのようなクリエイター不在で、そのかわりにアルテタが重用しているのがメリーノである。メリーノは、ライン間やポケットの狭小エリアでボールが持てるMFで、ビルドアップでは優秀だが、クリエイティヴな選手ではない。むしろ、チームにとってはデュエルのような泥臭い系のオフザボールの貢献のほうが大きい。だから、アーセナルがいくら長い時間ボールを持ってもクリエイトできないとき、彼のような選手がやり玉に上がってしまう。
そうならないためにも、アーセナルは攻撃での積極的な姿勢がほしい。
ほんとうはオーデガードとエゼに同じチームでプレイしてもらいたいが、それは難しいか。なら、エゼ。彼をどうプレイさせるか。
アーセナルに来てからの彼は、これまでLW、RCM、LCMと異なる3つのポジションでプレイしていて、もっとも中央でプレイしたのはやはり前回のLCMでプレイしたポート・ヴェイル。本人はポジションは問わないというが、彼にどれだけ多くのボールに触れさせるかは、おもにプレイする場所によるだろうし、このチームのクリエイティヴィティに大いに関わる。ニューカッスルのような守備ストラクチャのあるチームが相手なら、まさにクリエイティヴィティこそ勝負を決めるカギになる。
エゼがどの程度チームプレイに関与するか、それをチームとしてどう奨励するか。そこはこの試合の重要なみどころになる。
それと繰り返すように、ヨクレスにできるだけチャンスを供給すること。ここまでの彼を見ていても、ゴール前でCV率がそこまで高いわけじゃない。だったら、できるだけ多くのチャンスを彼に与えるしかない。縦への速い展開は有効だし、彼がこれまでに決めたゴールやチャンスを振り返っても意外性あるワンタッチのラストパスも有効。そういう工夫やトライはひきつづき観たいところだ。フロントで彼は彼なりにがんばっているし、ボールが来るのを待っている。それを使わない手はない。
あとは、スーパーサブ。マルティネリとトロサールは、最近の試合でどちらもベンチから結果を出している。この試合でもそれは期待したい。
キックオフは、日本時間で9月29日(月)0:30。日曜夜。
どうしても勝ちたい。
COYG!