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Arsenal, Controversy

アーセナルがVisit Rwandaのスポンサーシップ継続を検討で物議を醸す

こんにちは。

おとといのThe Athleticが、アーセナルFCが現在シャツ袖のスポンサーである“Visit Rwanda”との契約延長について検討していると伝えていた。

Arsenal in discussions over extending Visit Rwanda sponsorship deal

ルワンダといえば、2022年からすでに3年も隣国のコンゴと紛争状態にあり、いまも停戦に至っておらず。国連および英国・米国を含めた西側諸国がルワンダを批難している現状もあるという。

Democratic Republic of the Congo-Rwanda conflict (2022-2025) – Wikipedia

大統領のPaul Kagameが熱心なアーセナルファンとして知られるも、戦争となり多くの人命が失われているとなれば、そんな呑気なことも云っていられない。

アーセナルは、このような議論なスポンサーシップを継続すべきなんだろうか。



「アーセナルがVisit Rwandaのスポンサー契約延長を協議中」 by the Athletic

記事の一部を引用しよう。

アーセナルは、ルワンダ観光局とのスポンサー契約延長について協議中だ。

このPLのクラブは、東アフリカの国の観光局との関係を理由に批判されており、スポンサーシップはサポーターの抗議の対象となっている。

男子チームと女子チームのVisit Rwandaシャツ袖スポンサーシップは、2018年に始まり、当初の3年契約が2021年には延長されている。

クラブの23/24年度決算によれば、総額£218mのコマーシャル収入のうち、この契約による収入は£10mだった。

ヒューマン・ライツ・ウォッチによる、ルワンダ愛国戦線(RPF)について2023年の声明。

ルワンダ愛国戦線(RPF)が、政府の実際の反対派および潜在的な反対派に対する弾圧を継続しており、十数名の野党政治家が投獄されている。

多くの人々が、虚偽の理由で起訴されたり有罪判決を受けたりしている。

AFCサポーターズグループ“Gunners For Peace”による、2025年4月の抗議声明。

バイエルン・ミュニックはVisit Rwandaにノーを云えるだけの品格を持っていた。アーセナルファンの90%がそれに反対している。

しかし、もしアーセナルボードが再びこの汚い金銭を受け取るなら、わたしたちの有名な「価値」と魂が売り物にされていることを世界に示すことになる。これは汚く、小さなクラブのメンタリティにほかならない。

Gunners For Peaceの“Visit Totthham”キャンペーン。「Rwandaを訪れるならトトナムのほうがまだマシ」。

KSEとVisit Rwanda

アーセナルとルワンダ観光局との関係では、そもそもKSEと彼らとの近い関係があるという。

KSEが所有するNFLのLA Ramsも、アーセナルと同様にVisit Rwandaとスポンサー契約を結んでいる。

コンゴ共和国がAFCほかにVisit Rwandaとの契約終了を求めている

今年の2月には、紛争の当事者であるコンゴ共和国が、アーセナル、バイエルン、PSGに対して、Visit Rwandaとの取り引きをやめてほしいと要請したというBloombergのニュース

その後、8月にバイエルンが「Visit Rwandaから、ルワンダでのアカデミーフットボールへの協力に移行する」と表明したそうで、実質Visit Rwandaの契約を打ち切る(延長せず)方向に向かった。

PSGは不明。あとはヨーロッパのビッグクラブでは、アトレチコ・マドリッドが彼らと契約中。

アーセナルは、多くのファンがそれを願うなかで、ここでVisit Rwandaの契約を延長しないという決断もできそうだが果たして。

「現状ではVisit Rwandaがもっともいいオファー」

フットボールファイナンスに詳しいŁukasz Bączek氏によると。

アーセナルは、Visit Rwandaと現行契約の年間£10mをアップグレイドする交渉を進めている。

AFCの袖スポンサーには、そのほかにいくつかの国際的ブランドも興味を持っていてドイツのSAPもそのひとつ。

しかし、ここまでVisit Rwandaがもっとも良好な条件をオファーしている。

クラブは袖スポンサーに年間£15-20mの収入を模索している。

ASAHI Super Dryは年間£20mくらい出せんのか。彼らはサイバー攻撃でそれどころじゃないか。

わたしの雑感

“Visit Rwanda”って、こうなってしまえば、典型的なスポーツウォッシングだよなあといつも思う。

アーセナルでも、たまに選手らが、あるいは元選手らがルワンダを訪れて野生のゴリラに感動したりしているんだが、そのいっぽうでは戦争で人間を殺したり、権力者が一般人の人権を蹂躙している。そういう見られたくない現実から人々の目を遠ざけたいがために、スポーツエンタテインメントを利用している意図が感じられて、ゴリラを観ても全然ほっこりしない。ゴリさんたちに罪はないけど。

ウキペによると、この紛争で2024年11月から2025年3月までに7,000人以上が死亡、60万人以上が避難している。

そんななかで、つい最近もフラミニとサニャがVisit Rwandaの広告塔をやっていた。スポンサー契約のなかには、こうして観光PRコンテンツにAFC関係者が出演することも含まれるのだろう。

ちなみにこのTWの反応はさぞかしネガティヴかと思いきや、意外に肯定的なリプライが多くて気持ち悪く感じてしまった。これはネットサポーターズ的なやつ? そういう世界である。

Visit Rwandaがほかのスポンサー候補とくらべてどれほど多くの収入をもたらすのかはわからないが、AFCはその増えた金額の分の評判を落とすことも勘定すべきだろう。おもに自分たちのファンから。クラブのclassとかvalueをもっとも大切にしているのが、ファンなんだから。

ファンとしては、わざわざ自分たちから首を突っ込んでクラブの評判は落とす必要はないように思える。

ところでスポンサーシップとは違うが、この手の議論だと、最近イスラエルのUEFAコンペティションへの参加がよく議論になっていた。

ウクライナに侵攻したロシアはバンしたのに、パレスチナでジェノサイドやってるイスラエルはなぜにいまだに参加が許されているのか。UEFAのダブルスタンダードここに極まれりと。

そうそう、イスラエルといえばなんでそもそも中東の彼らがUEFAに属しているかの話題も興味深かった。たしかに、サウジとかイラクとか中東のあのエリアはフットボールではアジア(AFC = Asian Football Confederation)に含まれるもんね。

それについては、簡単にいうと、イスラエルが周囲のアラブ諸国から軒並み試合をボイコットされてAFCにいられず、UEFAが特例的に彼らをヨーロッパの一部として招き入れたという経緯があるらしい。1994年にUEFAに正式加盟。

まったくいろんな意味で特殊な国である。異物。

おまけ:EPLクラブのシャツ収入(24/25シーズン)

以下のグラフィックはr/Gunnersより拝借。クレジット表記もあるので、オリジナルはŁukasz Bączek氏かもしれない。

キット、胸、袖をあわせたシャツスポンサーシップの総収入は、マンUがリーグトップ。アーセナルは2位。

基本的に、シャツの媒体価値が高いクラブのランキングなので、この順位はそのままクラブの価値ランキングと受け取っても問題ないであろう。腐ってもマンU。あれだけ低迷しても、人気は揺るがず。

こうして観ると、Visit Rwandaの£10mは、たしかにほかのトップ5クラブと比べると割安で、クラブがさらなる増収を求めるのも頷ける。

ところでビッグ6クラブでは、チェルシーの胸と袖が突出して安いのはなにか理由があるのか気になる。ここが平均的な金額になるだけで、彼らはかなりの増収になりそうだ。

いちばん下のイプスウィッチ・タウンの胸スポンサー“Ed Sheeran”てなんだよと思って調べたら、あのEd Sheeranがスポンサーになっているのか。イプスウィッチは彼の地元クラブ。個人が年間£3mも払ってるってすげえな。それでレコードが売れるわけでもないだろうに、ほとんど寄付みたいなもの。

 

おわり



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