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アーセナルはベン・ホワイトを壊してしまったのか?

インターナショナルブレイクがようやく終わり、アーセナルは週末のPL再開に向けて始動、昨日トレイニンググラウンドの様子が伝えられた。

IB中にナショナルチームでプレイした多くの選手がすでにロンドンに戻っており、元気そうな姿を見せている。

しかしながら、オーデガードやハヴァーツ、マドゥエケといったケガ人以外で不在だったのが、ベン・ホワイト。彼がこのチームトレイニングに加わらなかった理由は不明ながら、またなにか問題が出ているのかもしれない。

昨シーズンにヒザの手術を行って以降、チームに出たり入ったりを繰り返している彼ついて、ファンのあいだでは心配する声が拡がっている。

とくに23/24シーズン、ケガが完治しないままプレイをつづけていたという彼を、もしかしたらわれわれは酷使しすぎてしまったんじゃないかという危惧がある。

そして、これは既存のチームへの警鐘でもあり。



ベン・ホワイトは燃え尽きてしまったのか?

ホワイトが、RCBとしてアーセナルにやってきたのが21/22シーズン。

その翌年にはサリバの復帰からRBにポジションを移してここまで、アーセナル加入からまるまる4年という月日が流れ、現在は5シーズンめ。その多くの時間をレギュラーチームに欠かせないひとりとしてプレイしてきた。

しかし、昨シーズンにはヒザの手術を行ったこともありプレイ時間を減らし、現在はジュリアン・ティンバーのバックアップのような存在になっている事実は否めず。今シーズンここまではPL7試合で、彼がプレイ(スタート)した試合はわずか1試合にとどまる。

アーセナルに来て最初の3シーズン、彼は小さなケガのとき以外ほぼPLのすべての試合でプレイしており、とりわけアーセナルがCLに復帰した23/24シーズンのプレイ時間は突出していた。

※()内はすべてのコンペティション

<ベニー・ブランコのアーセナルでのプレイ時間>

  • 21/22シーズン PL 32試合 2,880分(37試合 3,278分)
  • 22/23シーズン PL 38試合 3,067分(46試合 3,470分)
  • 23/24シーズン PL 37試合 2,995分(51試合 4,086分)
  • 24/25シーズン PL 17試合 1,198分(26試合 1,531分)
  • 25/26シーズン PL 1試合 71分(3試合 200分)(※GW7まで)

今シーズンのPLでは、初戦のマンUでスタートし、そのつぎのリーズ、リヴァプールではスクワッド外(※ノック)、直近4試合がベンチ。そして、その間には、CLアスレチック・クラブでもケガでスクワッド外になっている。

いま彼のフィットネスが心配されているのは、手術をした以降もチームに出たり入ったりを繰り返しているからだろう。

その傾向は、昨シーズン後半のプレイ記録を見れば顕著だ。よくなったと思えば、ダメになり。またよくなったと思いきや、またダメ。手術で全快していないか、あるいはべつの部分も含めてケガがちになってしまったか。

24/25シーズンのホワイト。手術以降のPL

23/24シーズンのベン・ホワイトの酷使。ほぼアーセナルの全試合でプレイ

23/24シーズンは、アーセナルがPLで91というクラブで過去最多のゴールを決めたシーズン。サカ・オーデガード・ホワイトの右サイドのトリオは、チームの攻撃力アップにかなり貢献した。

いっぽう、ホワイト本人はずっとケガの苦痛に耐えながらプレイをしていたと云われる。「100%フィットネスでプレイしている選手などいない」とは彼の弁。この翌年のシーズンなかばに、ようやく手術を決意することになるという。

23/24シーズンといえば、ティンバーを獲得したシーズンでもあり、本来ならば、RBポジションはホワイトとティンバーでポジションを競うか、あるいはシェアするプランだっただろう。チームとしても、彼をそこまで酷使したくはなかった。

ところが、ティンバーがシーズン初戦でシーズンを棒に振る重症を負うという不運が起こる。そしてトミヤスのフィットネスも安定せず+フィットしたときはLBの仕事もあり、パーティがRBとしてプレイする試合もあったとはいえ、結果的にホワイトにかなりの負担がかかることになってしまったのだった。

このシーズンのカップ戦を含めたアーセナルの全52試合中、ホワイトは51試合でプレイ。46試合でスタートし、そのうちの37試合では90分フルでプレイしている。

それが、彼のその後のキャリアを左右するほどの影響を与えてしまったんじゃないかと多くのファンが心配している。

もちろん、彼はまだ28才でプロフットボーラーとしてはまだまだ最高レベルでプレイできる年齢であり、今後フィットネスを取り戻すこともあるだろうし、そこまで心配する必要はないのかもしれないが。今後どうなるか観てみるしかない。

ただ、このベンジャミン・ホワイトの問題は、アーセナルあるいはアルテタにとっては警鐘のようにも思えるのだ。

いま酷使されすぎかもしれない選手たち

昨シーズンのサカのハムストリングの故障は、象徴的だったように思える。彼は若いころからの長時間のプレイによる過負荷を長らく危惧されていて、結局やってしまった。三ヶ月の離脱は彼のプロキャリアでも初めてという大ケガ。

個人差はあるとはいえ、基本的にはひとりの選手を長く使えば使うほどケガのリスクは高まるのだ。アルテタのようにレギュラーチームを固定したがるコーチならなおさら個人の負担が重い。

今シーズンはスクワッドも充実し、アルテタにとってはロテイションをやりやすくなったことは朗報だが、それでも今シーズンここまでを観るに、気をつけたほうがいいレギュラー選手はいるだろう。とくにふたりを挙げたい。

ひとりはティンバー。

昨シーズンは大ケガからの復帰シーズンでフィットネスはやや不安定なところもあったものの、今シーズンはPLの全試合でプレイしている。ホワイトのフィットネスが安定していないこともあるし、彼自身がますますクオリティを示してチームに欠かせない存在になっていることもある。現時点ではチームのベストプレイヤーのひとりといえる。VVDもリヴァプールに彼がほしいと云ってた。

しかし、彼のアグレッシヴなプレイスタイルもあり、試合中に痛むことも少なくない。彼が倒れるのを観るたびにヒヤリとしてしまう。

チームにはRBとしてプレイできるモスケラもいるため、余裕がある試合状況なら彼と交代する機会を増やしたほうがいいかもしれない。ちなみにモスケラは先日The Athleticの独占インタビューで、思ったより多くの時間プレイできてとても満足と述べていた。よきこと。

もちろん、今後ホワイトのフィットネスが戻るようなら彼と時間をシェアすればよい。

それと、ズビメンディも大事に使いたい選手だろう。彼の存在はこのチームにとって重要すぎる。

彼はPLのウェストハムで一度ベンチスタートになった以外は、PLの全試合でスタートしている。彼はケガの少ないほうの選手だが、いまのように使いつづければこのあとはどうなるかわからない。PLのインテンシティは、彼の身体にも負担がかかっているはず。

6のオプションはライス(オーデガードとエゼのダブル10はまた観たい)、ノーガードがいる。今シーズンは、LBですっかりポジションを失っているMLSも6で観てみたい。

とくに、今週末のPL試合は、IB期間中ズビメンディがスペインで長い時間プレイしていたことを考えると、場合によっては彼を休ませたほうがよいような気がしないでもない。

※ズビは、昨日のトレイニングに姿を見せていたものの、ベルタらといっしょにチームトレイニングを観ていただけで、身体を動かすことはなかったようだ

アルテタに求められる賢いチームマネジメント

今シーズンは、アルテタにとって初めて信頼のおけるフルスクワッドが揃ったとも云える。ここまでのシーズンのような、数合わせとしてベンチに入れているだけで、試合のなかで実際に使うことが躊躇されるような選手がほぼいない。ベンチの選手にも、スターティング11に劣らないくらいのクオリティがある。

それはつまりアルテタにとって、試合のなかでベンチにいる選手をより積極的に使え、あるいはスターティング11を固定せずともチームの競争力を維持でき、個人の負担を減らすことでスクワッド全体をもっと健康に保てることを意味する。

長らくアルテタのスクワッドマネジメントは課題のひとつだと云われてきたが、本気でタイトルを狙う今シーズンこそ賢い負荷管理をすべきだ。シーズン38試合でできるだけ多くのポインツを稼ぐためにも、長期間安定したチームを維持せねばならなず、そのためにはキープレイヤーを酷使してケガさせるわけにはいかない。

それに関して、今シーズンはすでにポジティヴな兆候もあるようにも思える。

たとえば、ライスのベンチ(PLフォレスト)や、スビメンディのベンチ(PLウェストハム)。どちらもけっこう意外だった。そのとき、ふたりともフィットしていなかったわけではない。こういうキープレイヤーを外すチームセレクションは、これまでのスクワッドではできなかった。そのような余裕がなかった。

今年はとくに試合数の多くなるだろうわれわれは、今後もそういう先を見据えたセレクションをすべきで、なんならこのあとのミッドテーブルとのPLの連戦では、そのあたりのローテイションはみどころになようにも思える。

 

おわり



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