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【マッチレビュー】25/26 EPL フラム vs アーセナル(18/Oct/2025)苦手3試合で9ポインツ

試合の論点

フラム vs アーセナルのトーキングポインツ。

フラムに醜く勝つ。苦手なミッドテーブルチームをまた撃破

思ったよりもずっと難しい試合のスタートだった。アウェイでも、てっきり最初からアーセナルが圧倒するのかと思っていたから。

とくに前半。フラムの選手たちはボールを持てばかなりインテンスで生き生きしていて、しっかりボールを回し、ミッドブロックでの守備もとてもオーガナイズされていて悪くなかった。とくに彼らのフロントラインではRaul Jimenezが脅威だった。

そして、そのような時間帯でなぜかアーセナルの選手たちがたびたびパスをミスしてしまう。あれはなんだったんだろう。サカやガブリエルのような選手たちが、ふだんあまりやらないようなイージーなパスミスをしていた。不必要。それがさらに相手を勢いづかせた面もある。

16分にカラフィオーリのファインゴールがオフサイドで取り消されなければ、一気に流れが変わったかもしれないが、残念ながらそうはならなかった。

それと試合全体で感じたのは、アーセナルの選手たちがあまり元気そうに観えなかったこと。なんなら疲労が見えたような気さえする。あれはやはりIBの影響なのか。フラムの選手たちのエナジーとは対照的だった。やはり、あのチームの誰もがNTでもキープレイヤーであり、移動をともなう試合の疲労はあったかもしれない。

そういうこともあり前半の30分くらいまでは苦労するものの、それをすぎると今度はアーセナルがじょじょにプレッシャーをかけるようになり、ボールを支配。フラムはずるずるとラインを下げて、ミッドブロックからロウブロックへとおなじみの構図になっていった。あれにはスタンドにいたミック・ジャガー(だよね?)も喜んでいたはず。

そして後半もそのアーセナルの勢いがつづき、ついに58分にコーナーからトロサールがゴール。サカの左足インスウィンガーをビッグガビが頭でフリック、ファーポストにいたレオがタップイン。1-0。

しかし、そのあとサカのペナルティが覆ったりもろもろあったあとは、2-0になって試合が殺されなかったことに自信を得たのか、今度はフラムがプッシュすることになった。アーセナルは守りに入る。

だが、結局9分のような長い追加タイムが与えられながらもアーセナルが逃げ切り成功。今回もミッドテーブルチームに勝つお仕事を完了させたのだった。

今回の試合でアーセナルの攻撃を観ながら思ったのは、ロウブロックに苦しんだのは苦しんだのだが、その攻略には随所に工夫があったこと。我慢強く機会を伺いながら、何度もきらりと光るような攻撃アイディアがあった。

これはすぐ消えるかもしれないアーセナルの攻撃をまとめた長めのハイライト。

なかでも、後ろからワイドエリアへのダイアゴナルパスは有効だった。おもにライス、ときにティンバー。

深いエリアからワイドのトロサールやサカへ正確なパスは、フラムの人数をかけて中央をナロウに締めたブロック守備にはとくに効果的で、あれは何度もやっていたところを観るに準備されたプレイだったのだろう。ブロックの外側をただ各駅停車で回すだけみたいな攻撃よりもずっとよかった。カラフィオーリの幻ゴールも、ティンバーからのトロサールへの正確なダイアゴナルロングパスが起点だった。

それとスルーボール。狭いエリアでも忍耐づよくパスをつなぎ、隙をみてDFラインの裏を取る。残念ながらそこからゴールは決まらなかったが、ゴールの匂いはしていた。

この試合にわれわれを勝たせたのも最後には守備になったが、決めるべきゴールを決めればもっと楽に試合に勝てる。

セットプレイ、オープンプレイどちらでもよいので、今後もどしどしゴールを狙ってほしい。つくっているチャンス量からして、もっと多くのゴールを決めるにふさわしい。

まだまだガマンがつづくヨクレス

今回もゴールレスに終わったヴィクター・ヨクレス。彼は試合を通してあんなに走ってハイプレスにがんばっていたから、報われてほしかった。

ショッツ3でxGが0.4だから、ゴール脅威ではあったし、とくに37分のレノにセイヴを強いた、右サイドでサカのスルーボールからの強烈なショットなどは、DF裏に抜け出したいかにも9らしいものだったと思う。チームとしても、ああいうチャンスを彼のためにもっとつくりたい。

しかし、あらためてスポルティング時代の彼のハイライト動画をみると、前回や今回のようなショットでけっこうゴールを決めているのだよね。しかし、いまアーセナルでは決まらない。

ストライカーのスランプは解決が難しい。より多くのシュートを試みるしかないのか。

彼はそれ以外でのチームへの貢献があると擁護はされているものの、問題はこれがつづけばつづくほど彼の自信がどんどん削られていくことだろう。

9分のように、スルーボールに抜け出したところで中途半端なカットバックでプレイを終わらせるくらいなら、彼のようなストライカーなら左足でも強引にシュートに行くべきところで(相手もそのほうがイヤだろう)、シュートを選択しなかったところにはやや自信のなさを感じさせた。

ところでヨクレスについて、この試合の前にSky Sportsで彼の特集記事があった。それをリンクしておこう。

Viktor Gyokeres: Arsenal striker has gone six games without a goal – so how is he helping Mikel Arteta’s team?

彼の味方へのスペイスつくりや、そのほかもろもろの興味深い分析がある。

今後も彼のケチャドバを待っている。

エゼは「アーセナル対策」に適応中

エゼにはだいぶ期待はしているし、よくやっていると思うのだが、オーデガードの不在を考えると、あのポジションの選手としてはやや物足りなさが否めない。

チームの方針なのかどうかは不明だが、基本的にいまのエゼはピッチの中央エリアでボールが来るのを待ってしまうひとだ。オーデガードなら、(良くも悪くも)ボールが来なければ自分が下がってボールをもらいに行くし、チームプレイの中心でイニシアティブを取ろうとする。

今回のフラムのように、ミッドブロック/ロウブロックでかなりナロウに守られると中央のスペイスがほとんどなく、攻撃で中央を経由する機会がかなり少なくなる。それもエゼの存在感を薄くしている理由だろう。

それはこれまでの試合でも薄々感じていたことであるが、今回の試合ではとても感じた。

ちなみにエゼのタッチは62分のプレイで39。彼より後ろでプレイするライスやズビのタッチは当然その倍近くあるが、サカ(90分で86)やトロサール(81分で57)といったアタッカーたちのタッチ頻度と比較しても、やはりエゼのチームプレイへの関与はかなり控えめに思える。

試合後のアルテタも、エゼはもっとスペイスがある試合に慣れていると述べていて、今回のような典型的アーセナル対策をばっちりやってくるチームの戦いかたに慣れていないことを示唆しているだろう。彼がプレイする場所はとくにスペイスがない。それはヨクレスも同じ。

エゼのような選手はボールに触れてなんぼだろう。オフザボールの選手じゃない。彼もオーデガードのようにもっと下がってボールに触りに行くほうがいいのかは、よくわからないが、せっかくB2Bのライスもいるということは、エゼが下がれば彼が上がってプレイするスペイスもつくれるということ。チームとして、より流動的な姿を想像できる。

彼のベストを引き出すには、もっとボールに触れる機会をつくるべきで、今後どのように適応していくのか。注目したい。

エゼもヨクレスも、アーセナルに来るまでこんなロウブロックの相手にプレイした経験がそんなにないとジェイムズ・ベンジ。

VARで覆ったペナルティ判定

65分の事案。これは無謀なチャレンジ。あまりにリスキー。

63分に交代でピッチに入ったフラムのKevinが直後、サカのドリブルにチャレンジ。サカがボックス際(内側)で倒れて、レフリーがペナルティを宣告する。

その後、しばらく時間をかけてVARレビューが行われ、その結果「フラムの22は、ボールをプレイしています」とノーファウルに。

TV中継でも何度も流れた映像を観ても、事実はよくわからず。はっきりと無罪の証拠が示されたわけでもなく、その判断はかなり微妙だったと思われる。

おそらくは、Kevinがサカの右足にふれるよりも先にボールに触ったかどうかが重要なポイントだったように思われるが、ピッチでのレフからの説明アナウンスでもその点には触れられなかった。“plays the ball”が彼が先にボールに触れていたことになるのか。それとも守備側にボールをプレイしようとしていた意図があるから、どっちが先にボールに触れたかは関係ない?

試合には勝ったからアーセナルファンもあまり問題にはしていないが、もし悪い結果だったら、この事案はもっとフォーカスされていただろう。

今後PGMOL側からちゃんと映像を使って説明されることがあれば、チェックしたい。

今週のカラフィオーリ

昨シーズン、ハヴァーツがケガで長期離脱したとき、結局メリーノが即席ストライカーとして起用されたわけだが、あのときメリーノ以外にもカラフィオーリやサリバも9としてプレイできるんじゃないかという冗談はあった。彼らは子どものころはストライカーだったと。

そして、今週のカラフィオーリ。あのオフサイドで取り消された幻のゴラッソを入れれれば、彼のショッツ3で、それはヨクレスと変わらないという。前回のWHUのときと同じだ。

あのワンタッチでのショットはディフェンダーの技じゃない。

間違いなく、いまアーセナルのチームでもっとも「おもしろい」漢。

 

この試合については以上

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