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イアン・ライト「(英国は)黒人スーパースターを受け入れる準備がない」

こんにちは。

昨日、Sky Sports提供のトーク番組“The Overlap”における、われらが叔父さんイアン・ライトの発言が話題だった。

ワールドカップ予選で快進撃をつづけるイングランドNTでの振る舞いで、最近英国メディアではJude Bellinghamに対する風当たりがかなり強かったらしいのだが、そんななかイアン・ライトが彼を擁護。

また、昨日のトーク番組でもその話題について触れ、興味深い視点から彼を擁護していたという。



「傲慢」批判にさらされるJude Bellingham。英国メディアが彼に執着するのは……

これを読んでくれている半分以上のかたは、ぼくよりJude Bellinghamについて詳しいと思うので無駄な説明は省くが、ひとことで云えば、彼はイングランドNTのキープレイヤーでありながら、最近の試合での態度や振る舞いが傲慢だとか、利己的だとかでメディアでだいぶ厳しく批判されていたというのですな。

「TuchelがBellinghamに警告」

「利己的スターが本性を表した」

「Judeは(W杯に連れて行かず)置いていけ」

のような見出しの数々。

もっとも、彼に対する批判で、「途中交代への不満とその後の態度」はそう伝えられただけで映像証拠はなく、トゥークルもそれを否定。「Kaneのゴールを祝わなかった」も試合後Kaneが彼とともにゴールを祝う写真をシェアして、その批判は反論されている。

それにも関わらず、彼に対する「傲慢」ナラティヴは形成されてゆく。その結果、世間では“Bellingham shouldn’t be a starter for England.”が訴えられ、先週のセルビア戦では、イングランドサポータ-さえ彼にブーを浴びせたという。

もともと彼は、かつてEuro 2016の試合でゴールを決めて “Who else?”(ほかに誰がこれをやれる?)と叫んだことがあり、当時はそれも批判を浴び。そういうキャラクターだとレッテルを貼られていたこともあるのかもしれない。

つまり、この一連の批判にはメディアの過剰反応が観られるというわけだ。それはなぜなのか。

加熱するBellinghamへの批判に対し、イアン・ライトがIGにポスト。

イアン・ライト:彼ら(英国メディア)はこの手のビーフをでっちあげる必要があるんだ。だって、イングランドのワールドカップ予選は順調すぎてほかにネタがないんだから。

そして、彼らは彼に近づけないのが気に入らない。自分たちが彼のキャリアに悪影響を与えられないことが許せない。ほかの多くの選手にやってきたみたいにね。彼は、才能と愛情に恵まれた若者だ。

「ほかの多くの選手にやってきた」。すぐに思いつくのはMarcus Rashfordかねえ。彼もだいぶ批判されたが、チャリティワークに熱心だったりどうもそういう人間性ではなさそうな。それと、スターリングもそういう感じだったな。わしなんか彼がアーセナルに来るまで問題児だと思ってたもの。

そして、このあとライティがこの件でもう一歩踏み込んだ発言をする。

イアン・ライト「(英国では)黒人スーパースターを受け入れる準備がない」

ライティのコメントは32分あたりから。ホストのギャリー・ネヴィルが尋ねる。

GN:ライティ。この前のキミのIGはかなり注目されていたね。Bellinghamについてのあれこれはたしかにあるし、キミの云うことは完全に正しいと思う。あのコメントのなかで、“they hate that they can’t get to him”(彼らは彼に近づけないのが気に入らない)とあるけど、あれはどういう意味?

IW:彼の両親は彼をPLから遠ざけた。彼はPLでプレイしていない。ジャーナリストから遠ざけたんだ。そこに書いたみたいに、彼らは彼に近づけない。だから彼らはレアル・マドリッドが守ろうとしているものを汚そうとするみたいにやろうとしている。彼らは彼に近づくことはできないんだ。彼はまさに達成者であり勝者。それが彼のやりたいことで、彼は勝つ。

彼らが云っていた「(Kaneのゴールを)Judeが祝わなかった」というのは、完全な虚偽だよね。だから、彼らは自分たちがつくりたいニュースをつくっているわけだ。

イングランドの予選通過はめちゃくちゃイージーだよ。彼らはまったく失点もしておらず、すべての試合に楽に勝っている。だから、彼ら(メディア)にはその他のネタが必要で、それがナラティヴになる。

わたしがJudeについて単純に心配しているのは、彼がコントロールできない人間だからだ。誰も彼をコントロールできない。

“Who else?”の件や、ワールドカップ予選で彼がやったこと、それが彼が人々に示していることだ。「ぼくはここにいる。ぼくは黒人でぼくには誇りがある。準備万端だ」と。そういうヴァイブに我慢ならない特定の人たちがいる。

わたしは英国人だよ。若いころは「でもキミは実際は英国人ではないでしょ?」なんて云われた。「そうです、わたしは英国人です」。

わたしは、彼らが黒人のスーパースターに準備ができていないんじゃないかと思っている。Judeのような動きができるものに。さっきも云ったように、彼らは彼に触れることはできない。彼は出ていき、パフォームし、自分がやるべきことをやる。“Who else?”は、そういうひとたちにとって、あまりにも傲慢に見えるんだ。

フットボールで例えようか。彼らはみんな、N’Golo Kanteが大好きだよね。彼は謙虚な黒人で、彼は自分の仕事をする。わたしは彼がUncle Tom(※白人の承認を得ることに熱心な黒人)だとか云っているのではないよ。それが彼のパーソナリティというだけ。

だが、それがPaul PogbaやBellinghamで、ああいうエナジーがあると、受け入れられない。ああいう人物だと。Judeのようなひとは、なぜだか、人々に恐れを抱かせるんだ。

それが、これから出ていこうという黒人が教えられることだ。自分にできるベストを行いたいだけでも、頭を垂れていろという。もっとマシないいかたをすれば、謙虚なクソ奴隷でいること。これがそういう類のエナジーを引き起こす。

なぜなら、もし黒人が率直に発言して、そのレベルでプレイして、まったく気にしないなら、ある特定の人々を怖がらせてしまうから。

それこそがJudeに起きていることだ。

この件についてr/Gunnersの反応などを見るに、アーセナルファンは同様の事例としてMLSのことを想起するひとが多いようだ。

彼も去年シティでのゴールセレブレイションでは、だいぶ叩かれた。彼がもし白人だったら、メディアの扱いも違っていたんじゃねーのという話である。

「ズラタンみたいに振る舞う黒人選手を想像してみろ」。たしかに。

r/Soccerの当該サブでは、ライバルクラブのファンを含めてイアン・ライトを称賛する声が多数。

「もしJack GrealishやFodenが黒人だったら、いまごろ血の海」。これはウケる。

Rashfordとスターリングの名前もそこここに出てきて、やっぱりこういう話題でみんな想像するひとは同じ。ちなみにスターリングは、The Overlapのネヴィルとライティのやりとりのなかにも、かつてメディアからのいわれなき批判に苦しんだひとりとして登場する。

海外から来た選手がたまに英国メディアの独特さについて話すことがあるが、やっぱり独特なんだねえ。もちろん悪い意味で。

本来はそこでソーシャルメディアですよ、となってほしいところなんだが、こっちはオールドメディア以上の地獄が待っている。

こんな未来だとは誰も思ってなかった。

 

おわる



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