試合の論点
チェルシー vs アーセナルのトーキングポインツ。
アーセナルはチェルシーの勢いに劣勢だった。10人相手の1-1ドロウにハッピーなのはアーセナルかも
アーセナルファンとしては認めたくないことだけども。
この試合は正直、チェルシーが11人のときも10人になったあとも、アーセナルは彼らの勢いを止めることができず、たじたじになってしまったことは否めないように思われる。
この試合のチェルシーはとにかくアグレッシヴだった。ハイエナジー。それは彼らの重要な戦略のひとつだったのだろう。最近の彼らがいつもそうなのかは知らないが、とにかくインテンスで、ラフだった。
アーセナルはもちろん、ToTとバイエルンに連勝したいまのフォームもあり、自信を持ってSBに乗り込んだはずだが、試合が始まってからいつまでたっても試合が落ち着かず、自分たちが主導権を握れずにいた。どちらがボールを持っても、ファイナルサードまでボールを運ぶみたいな、かなりオープンで大味な試合になってしまっていた。それはわれらが望まないタイプの試合だったろう。
チェルシーがオープンな試合をしたがったり攻め急ぐのは構わないとして、アーセナルまでそれに付き合ってしまったのはどういうことか。少なくとも、あれは理想的ではなかった。そこにはさまざまな要因があると思うが、ひとつはSBの雰囲気があった。あれは軽視できないように思う。
ぼくはヘッドホンで試合を鑑賞していて、最初からSBのノイズはなかなかのものだった。仮にあれがエミレーツだったらと思うと、まったく違う試合になっていても驚かない。それほど、あの場所の雰囲気がアーセナルのチームに影響を及ぼしていたように感じる(フェアに云えば時間帯によりアウェイサポの音量もかなりあったが)。
アーセナルはボールを持ったときに、もっと落ち着いてパスを回してもよかったのに、あの空気に飲まれたように、相手に合わせてプレイを急いでしまいパスミスを繰り返す。前半、メリーノ、ズビメンディ、モスケラといった選手が悪いパスを奪われて、不必要にピンチを招いている。彼らも平常心なら、きっとやらないもの。
そうして自らリズムを失い、相手のいいプレイを無理なやりかたで止めるしかなく、その結果カードをもらう。前半のアーセナルには4枚ものカードが出ているが(4分ズビ、13モス、27カラ、41ヒンカ)、どれも文句は云えないようなカードのもらいかただった。
それと、アーセナルのチーム事情もあったかもしれない。ガブリエルに加えてサリバのケガで、ヒンカピエとモスケラという初々しいCBペアにこのビッグマッチを任せることになり、さすがにこれまでの盤石の安定感は失われただろう。彼らはお互いに慣れていないだけでなく、周囲の選手たちとも長い時間をかけての相互理解もまだない。
アンフィールドでのモスケラはすごかったが、パートナーがヒンカピエのとき、同じパフォーマンスを再現することはできなかった。どんな選手だって新しいリーグやチームへの適応のための時間が必要で、どちらも責められないと思う。
またHTには、ぼくを含めて少なくないアーセナルファンがオーデガードの必要性を訴えていたように、まさにあのとき必要だったものは落ち着きだった。誰かに「慌てるような時間じゃない」と云ってほしかった。
そんなふうにして前半は終わってしまった。この間、相手に退場者が出たというのに、アーセナルはその優位を最大限活かることもできず。
ちなみに、AFC公式ライブオーディオでHTの分析として指摘されていた、前半のアーセナルの相手ボックス内タッチはたったの2というスタット。それが、アウェイチームがいかに攻撃に苦労していたかを物語っている。惜しいチャンスはいくつかあったものの、攻撃で十分な脅威をもたらすことはなく、ゴールの匂いはあまりしていなかった。10人でも11人でも。
そして、アウェイチームには数的優位がありながら、それはなんと後半もつづくのだった。
後半はじまってすぐ、48分に10人のチェルシーがコーナーからゴール。あれにはたいそう失望させられた。
しかし、そのおよそ10分後にはサカのクロスからメリーノがゴール(※オープンプレイである)。深夜に無言のガッツポーズ。
あそこから、アーセナルの逆襲が始まるのかと思いきや。その後の10 v 11の試合に似つかわしくないような展開で試合が進み、結局そのまま大した見せ場もなく試合は終わったのだった。ぎゃぼん。
まじめな話、10 v 11とは思えないような試合だったでしょう。あれで互角みたいな戦いってやっぱりなんかおかしいよね。フットボールでは多くの試合で人数が減ったチームは、もう成すすべなく守るしかないのだから。それほどフットボール試合におけるひとりの役割は大きい。だが、そうはならなかった。そこは素直に彼らはすごいと思う。わしはいつぞやのToTを思い出した。
まあ、彼らは今シーズン退場者がいる試合にめちゃくちゃ慣れているので(Caicedoで6人め)、それもあるかもしれないが。10人フットボールのスペシャリスト。
そういう試合だったので、この結果は、アーセナルとしては受け入れざるを得ないものだろうと思う。
残念ながら、この試合われらのエナジーはチェルシーに勝っていたとは思えないし、10人相手に2ポインツを落とした結果はかなり悔しいものではあるが、試合内容からしても1ポイントは妥当だと思う。この試合のアーセナルのパフォーマンスはベストではなかったのはたしかだから。
いっぽうチェルシーは、この試合で勝てなかったことを悔しがっているかもしれない。たとえ10人でもあっても11人のアーセナルと互角にプレイした。
が、それでもリーグリーダー相手にレッドカードを出しながら1ポイントは十分許容できる結果だろう。それに彼らのファンには、あの戦いっぷりはだいぶ励みになったと想像できる。なんなら自分たちはアーセナルよりも強いと錯覚しそうなほどには。
それでいんじゃないかと思う。
アーセナルはこの試合で勝っていたら、 間違いなく有頂天だった。
世界でもっとも勝ちたい地元のライバルに勝って、世界最強クラブのひとつに勝って、クソムカつくロンドンのライバルに勝って。
だが、このあともシーズンは長い。いまは、やっと1/3を消化したに過ぎない。ここで有頂天になるよりは、より警戒心を強めて、今後に備えるほうがいい。この試合はドロウくらいがちょうどいいよ、
われらの目標はトロフィ。センセイショナルである必要はない。ゆっくり勝っていけばいいのだ。
カイセドがレッドカードならヒンカピエもレッドカード?
これを書いている最中にSky Sportsのサイトを見ていたら、Ref Watchのページが更新されていて。ちょうどヒンカピエの話題だったので、それを。
試合中も彼の肘打ちがレッドカードだとスタンドはだいぶざわついていた。なんかあいつのほっぺがたんこぶみたいになってた。
ご意見番は、おなじみの元PLレフリーのDermot Gallagher。
ヒンカピエは退場になるべきだった?
事案:アーセナルDFのピエロ・ヒンカピエがチェルシーのTrevoh Chalobahに肘打ちしたあと退場を免れた。彼はそのかわりにイエローカード、VARがオンフィールドの決定を指示した。
DERMOTの見解:わたしはこれはイエローカードだと思う(判定は正しい)。Chalobahの頬を見てほだされてはいけない。チャレンジ自体を判断すべき。
ヒンカピエは跳躍したとき腕をてこにしたに過ぎない。彼は肘を振らなかったし、武器としても使わなかった。ただ腕を上げただけであり、ケガは不運だった、。無謀なチャレンジではあるが、彼を傷つけるためのチャレンジではなかった。
Caicedoのレッドカードについても議論がある。
事案: Moises Caicedoがミケル・メリーノへのタックルで退場した。
DERMOTの見解: あのタックルを見れば、あれはひどい。あれはレッドカードだ。わたしが思うのは、Anthonyが接触を見ていなかったこと。VARが彼にチェックを促し、大いに役立った。彼はそれを一目みてレッドカードを与えることにした。
JAY BOTHROYD: このチャレンジはレッドカードのチャレンジ。アグレッシヴだった。だが、わたしは彼がメリーノを傷つけようとしたとは思わない。
これは無謀とか、あるいは不器用の類だろう。Anthony Taylorはアドヴァンテッジをとった。彼はそれを見ていなかったし、イエローカード相当だと思った。
でも彼はそれを見てなかったのなら、なぜイエローカードを出したのか?
DERMOTの見解: 彼はファウル自体は見ていた。彼からすればあれはイエローカードだった。もしレッドカードだったら、アドヴァンテッジはとらない。
彼は接触の瞬間を見ていなかったのだと思う。そこがカギだ。試合は継続している、彼は戻り、スロウインのために試合を止め、VARがこれを見てみろという。
ヒンカピエのファウルは、まったく問題ないだろう。これはDermot Gallagherの云うとおり。あんなプレイでいちいちレッドカードを出していたらPLは成り立たない、あれは厳罰ではなくて、正しい判定だったと思う。
あれよりヒヤリとしたのはヨクレスだ。Ref Watchの対象にはなっていないようだが。
88分。あれは見ていて、あまりに危なっかしかった。もちろん、あれにレッドカードが出たら抵抗を感じてはいただろうが、正直、イエロー以上レッド未満という感じではあった。
試合終盤、アーセナルの選手たち(あるいはファンに)あきらめの気持ちがあったとしたら、あれがレッドを免れたからじゃないかとひそかに思っている。あれを見逃してもらえたらドロウもしょうがない。チームにそんな気持ちはなかったか。
サカとククレヤ
あやつのモチヴェイションがサカのクオリティを証明してしまっているんじゃないかと思うのだが。
毎試合であの執着はすごいと思う。
Bukayo Saka against Cucurella
Don’t wanna hear the “locked up” narrative just cos the result favoured Chelsea pic.twitter.com/dmnbYzH3mw
— – (@imzftbi) November 30, 2025
あいつがブカちゃんをポケットに入れていないことはたしか。
この試合については以上










