試合の論点
エヴァトン vs アーセナルのトーキングポインツ。
Three points secured 🔒
Catch the highlights from our 1-0 win against Everton 📺 pic.twitter.com/3rGW8NGxCU
— Arsenal (@Arsenal) December 21, 2025
前回あわや大惨事だったウォルヴズと似た試合。今回もギリギリ勝利のあとあじで低フォームがつづく
スタッツだけ観れば、アーセナルの楽勝だったと思うひとがいてもおかしくないような数字ではある。
しかし、試合を観ていたら、とても楽に勝ったようには思えない。今回もウォルヴズのときのように、あわや大惨事もありえたような展開だった。エヴァトンの拙攻に助けられた部分もけっこうある。
結局、われらがいつまでも2点めを奪えなかったことがこの苦しさの理由でしょうな。
たしかにゴールするためのチャンスはあっても、それを決めないことには試合は最後まで終わらない。われわれとウォルヴズとの、あるいはエヴァトンとの実力差があれば、2-0にしてしまえば相手の気持ちはかなり折れる。しかし、1-0ならなんでも起きる。その結果、最後まで相手があきらめない。
そのような試合だったので、ファンとしては観ていてフラストレイションのたまる試合だったのだが、試合後のアルテタは、自分たちがチャンスをつくっていたからという理由であまり悲観的にはなっていないようだった。
この試合でアーセナルがつくっためぼしいチャンスは、まず51分のサカ。
サカのスルーボールに右ワイド深くに侵入したジュリティンが、そのままボックスに走り込んでいたサカにカットバックして絶好のチャンスをつくったが、ゴール前にDFが何人もいたこともあり決められず。タイミングで彼のシュートが右足になってしまったのも不運だった。もしあれが左足ならズドンと決まっていたかもしれない。
Saka great chance pic.twitter.com/gw2h2BKEN4
— George (@George_Zur) December 20, 2025
そして、ここで残念だったのは、ティンバーが素直にゴールの真ん前にいたヨクレスにクロスボールを送っていれば、ドンピシャだったかもしれないこと。ヨクレスにとっては、この日のベストチャンスだったかもしれない。
もしサカがあれを決めていればジュリティンのクレヴァーなプレイとして記憶に残っていただろうが、あそこはゴール前のヨクレスへのクロスにチャレンジしてもらいたかった。とくにヨクレスにゴールさせることは、いまのアーセナルには1ゴール以上の価値があるから。
それと65分のトロサールのポストにヒットしたショット。
ナイスなビルドアップから。
Lovely build up leading to that chance https://t.co/elLC8KCc8q pic.twitter.com/kEqAczBy5k
— George (@George_Zur) December 20, 2025
シュート。
Trossard hits the post pic.twitter.com/GcMvWrKSaZ
— George (@George_Zur) December 20, 2025
これはトロサールには、時間と空間の余裕がありすぎたケイスだろう。あのエリアでボールを持ったときにめったにない考える時間があって、逆に考えすぎてしまった。こういうのは、まれによくある。弘法も筆の誤り。
その5分後のズビメンディのこれまたポストにヒットのショット。
Zubimendi off the post pic.twitter.com/kxq1KJZGsk
— George (@George_Zur) December 20, 2025
これが決まらないのがいまのアーセナルと思う。シーズンのもっと早い時期なら、決まってたんじゃないか。そういう勢いがもたらす運もある。
こうやって振り返ると、まあたしかに悪くないか。試合後は、早起きして損したくらいの気分だったけど(笑い)。
しかしいまのこのチームの問題は、よかった時期にあった勢いをどう取り戻すか。いまはあきらかに、チーム全体で調子が停滞している。なにかがおかしい。試合が始まってすぐ、カラフィオーリとヒンカピエが守備で激突するなんてありえない。
ガブリエルの復帰は今月末のPLヴィラ(H)がターゲットという噂があるが、そこまでにリーグカップのパレス(H)とPLブライトン(H)がある。この綱渡りのような、だましだましのようなパフォーマンスで、結果を得ていかねばならない。
ここはけっこうシーズンの踏ん張りどころかもしれない。ガブリエルとハヴァーツが戻ったら、さすがに取り戻せる勢いがあるだろう。
ヨクレスに大きな変化なし? しかしペナルティテイカーは賛成
マッチプレビューにも少し書いたように、個人的にはこの試合でヨクレスのポジショニングや動きに変化があるかどうか注目していたが、正直あまり変化は感じなかった。
彼はあいかわらず中央で相手のDFを背負っているように見えたし、とくにワイドの選手とポジションを入れ替えているような感じもなかった。TVで全部映っているわけじゃないから、見えてる部分だけを観てそう思っただけだけど。
相手が最大限警戒しているなかで、正々堂々と勝負を挑んでる。そして、とくにうまくいっている感触はない。
ただ、この試合で正々堂々の勝負をしているとき彼にひとつだけ見せ場があったのは、ふらふらとボールを持って上がっていったサリバが彼に出したスルーボール。44分。Saliba, the Creator.
Gyokers attempt blocked pic.twitter.com/cyPXCSA3Vj
— George (@George_Zur) December 20, 2025
相手DFと並びつつ、裏抜けのランをしかける彼に合わせたラストパス。残念ながら、これはうまくフィニッシュできなかったのだが(それも彼の課題だろう)これがヒントだよなあと思ったり。彼の強みを活かすなら、こういう機会をもっとたくさんつくりたい。
彼は試合中、何度も何度も繰り返しこの動きを行っているが、そこにパスが出てくることがたいへんに稀。マルティネリもマドゥエケもこのタイプだろうが、なかなかパスを出してもらえないし、今回は何度かその動きに合わせようとしたパスもあったように見えたが、さすがに距離があると難しく相手DFへのナイスパスになってしまうこともしばしば。
しかし、それが彼のプレイだというのなら、なんとかその連携を洗練させていきたいものだ。オーデガード、ズビメンディ、ティンバーら、スルーパスを出すほうにクオリティは十分ある。あとは失敗を恐れない勇気と思う。
それと、ヨクレスについて、これは変化がどうこうの話ではないのだが、ちょっとがっかりするシーンがありそれを書いておこう。メモによると61分。
彼がロングボールのターゲットになって、相手DFを背負った状態でボールを持って1 v 1になったとき、彼は味方が上がってくるまでボールをキープできずに結局奪われてしまった。彼のようなあまりテクニックのない選手でも、ああいうところで勝つフィジカリティは疑っていなかったので、あれにはかなりがっかりさせられた。そこで勝たなきゃいつ勝つんだという。
彼のこの日のデュエルは2/7。おそらくそこもデュエル失敗に含まれているだろう。テクニックで相手を出し抜くストライカーもいれば、フィジカリティで相手を出し抜くストライカーもいる。彼は後者でエリートでなければならず。ああいうところでは、確実に身体の強さを発揮して相手DFの脅威になっていてほしかった。そうすれば、彼にはいつ何時もかならず複数人でマークにつかねばならず、ほかの選手がフリーになりやすいから。PLの屈強なCBが相手とはいえ、1 v 1であのようにやられてほしくはなかった。やはりポルトガルリーグのDFとはクオリティが違うんだろうか。
まあ、彼はうまくやるときもあるから、そこだけにフォーカスするのもフェアじゃないかもだけど。
Since the start of his first season with Sporting CP in 2023/24, Viktor Gyökeres has converted all 19 penalties he has taken in league competition.
19 taken, 19 scored. ⚽️ pic.twitter.com/cTaA6IkmVG
— Squawka (@Squawka) December 20, 2025
彼がチームのペナルティ担当になるのは、けっこう賛成。
彼は、ポルトガルでの2年間からここまで一度もペナルティを外したことがないという。19/19。ペナルティは、そういう選手が蹴るべき。
突如バレーボール選手が出現!? エヴァトンの珍プレー。アーセナルはラッキーにペナルティを免れた?

そもそも、彼はなぜあれが許されると彼は思ったのか。
Everton’s Jake O’Brien playing a different sport 🥴 pic.twitter.com/lON3YbEZvD
— B/R Football (@brfootball) December 20, 2025
それはいいとして。
この試合では、アーセナルのボックスで何かが起きるたびにホームサポーターが大騒ぎしてレフリーにプレッシャーをかけていて、モイーズの試合後コメントでも「自分たちの有利な判定をされなかった」と恨み節が聞かれた。
そしてそのなかで、VARチェックまでされたのが57分の事案。サリバが相手選手がボールに先に触れた足をあとから蹴ってしまった。しかし、結局それはノーペナルティの判定に。スタンドからは特大のブーが浴びせられる。
試合後もエヴァトンサポーターや多くのアンチアーセナルたちは、「これがペナルティじゃないとは頭がおかしい」とレフリーを痛烈に批判しているわけだが、アーセナルファンがすぐに思い出したのはこれだろう。わしもすぐにこれを思い出した。
pic.twitter.com/tykMDA2VyK this cost us the league. I couldn’t be less arsed https://t.co/0vlxS51135
— Calum (@CalArsenal) December 20, 2025
ちょうど2年前のVilla Parkで、ジェズースが今回と同じように足を蹴られておとがめなしだったときのこと。これと同じじゃないの。あのときもおとがめなし。今回もおとがめなし。いちおう一貫している。もし、今回のこれがペナルティなら、Villa Parkのアレもペナルティでなければいけなかった。
ただ、サリバが相手選手を蹴ってしまっているのはたしかなので、これがルールとしてペナルティにならない理由については純粋に興味はある。VARチェックについて公式アカウントによるリアルタイムの説明は以下である。
#EVEARS – 57’
The referee’s call of no penalty to Everton was checked and confirmed by VAR – with it deemed the contact from Saliba on Barry wasn’t sufficient for a penalty.
— Premier League Match Centre (@PLMatchCentre) December 20, 2025
「サリバによるBarryへの接触は、ペナルティには十分でなかった」
「十分でなかった(wasn’t sufficient)」。つまり、量的な問題ということ? 強いとか弱いとか。そういう基準なら、もっと難しいケイスもありそうであり、アーセナルが当事者だったときファンとしてその判定に納得できるかどうかはわからんなあ。
まあ、今回はもともとソフトな接触に見えるのもあるし、サリバに蹴られた相手選手のその後の反応は、どうみてもネイマールばりに大げさであり、VARレビューしたレフリーの心証は悪かったのもあるかもしれない。とくに悩まずノーペナルティと判断したに違いない。
これをもって「またアーセナルのチートか」などと云っている学校や職場のお友だちがいたら、ちゃんと論破してあげてね!
この試合については以上














