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アマチュアコーチがアルテタに訊くトップコーチの極意

こんにちは。

アーセナルが本気でタイトルを競っている今シーズン、それを気に入らないものたちによるアンチな言説がますます世間で盛り上がりを見せるなか、アルテタを“annoying manager”として疎む声もすくなくない。彼がいまのチームを築くうえでの最重要人物なのは事実であり、彼というひと自身がいまのチームを体現しているとも云えるので、アンチアーセナルの輩に集中攻撃を受けやすい面はある。

そんなときふと思うのは、アルテタの同業者からの評価。

対戦相手のマネジャーが記者会見でアルテタを称賛することはあるが、それは公の場でのコメントとして社交辞令もあるとして、実際のところ世界中のフットボールコーチたちは、ミケル・アルテタというマネジャーの仕事をどう評価しているのか。気になるじゃないか。「ムカつく」みたいな言語化以前の感想ではなく、純粋にコーチとしての能力に対する評価。

近年の躍進で、アーセナルはクラブ運営でもワールドフットボールで注目の存在だと思うが、コーチアルテタも世界中のコーチが注目している存在だと思うのだよね。いままさにこの瞬間、チームを国内だけでなくヨーロッパのトップにしている漢であり。

PFA Player of The Yearは選手が選ぶ最優秀選手で、それのマネジャー版があればいいのにと思う。マネジャーが選ぶマネジャー。残念ながらそれはないみたいだ。

さて。昨日のTNT Sportsが、Sunday League(※アマチュアリーグ)のコーチがアルテタにインタビューするという、おもしろい企画の動画コンテンツをアップしていた。

憧れのトップコーチとの一対一の対面に、聞き手のAlexはだいぶ緊張の様子で、彼らのようなアマチュアコーチがアルテタに抱くリスペクトがよくわかる。もっとも、このひとはノースロンドンのチームのかたであり、シーズンチケットを持つ熱心なアーセナルファンというので、アルテタに特別な気持ちを抱いていても不思議はないのだけど。

今回はこれを紹介しよう。



アマチュアコーチがアルテタに訊く「これまでで最大のミステイクは?」

Alex:とても緊張しています……

MA:(笑い)緊張することはないよ。

Alex:今日はいくつか質問を持ってきました。

MA:どうぞ。

アマチュアコーチはいかが?

Alex:いま、わたしたちのチームはお互いにトップにいます。あなたは自分がアマチュアチームに向いていると思いますか?

MA:(笑い)どうだろう。いまアーセナルでやっているのと同じくらい情熱を持ってやれるだろうけどね。

わたしが思うのは、どんなレベルでトレイニングしているかは関係なくて、そういうコーチを観るととても感心してしまうんだ。アカデミーレベルとか。やっていることはかなり違うが、とてもちゃんとしたものだ。

わたしがいままででもっとも学んだマネジャーは誰かと訊かれたら、それはアカデミーレベルのアマチュアコーチだったと云う。

Alex:ほんとですか?

MA:イエス。それはリソースのレベルではなく、情熱のレベルだから。そしてあなたたちもとてもクリエイティヴでなければならない。たくさんの状況に適応しなければならないし、それは簡単じゃないから。

Alex:まさに。

MA:ある試合では15人の選手が来ると思ったら、足りなくて自分がピッチに入らなきゃならなくなる。それもじつにフットボールだ。試合に勝とうと思ったら、勝つための計画からいかにそれをを実行するか。

試合日の想定外の事態への対処法

Alex:そういう意味では、計画どおりにいかないこともあります。試合の日に遅刻する選手がいたり、交通渋滞でキットが届かないとか。試合当日のフラストレイションにはどんなものがありますか?

MA:フラストレイションというより、おそらく恐れ(fears)だね。

自分たちでコントロールできないことが起きて、それに対処しなきゃならない。ラインナップは準備しているのに、キックオフの2時間前になって3人の体調不良がわかったり、気分が優れないと云うものがいたり。ウォームアップ中に起きる問題や、相手がこちらが想定外だったラインナップを用意してきたり。

Alex:あー、ありますね。

MA:それに対応せねばならない。でも、だからこそ、どんなシナリオにも対応できるようにしないと。

結局は、集中すべきことに優先順位をつけることを習得せねばならなくなる。それがわたしが年齢を重ねるにつれて考えていること。目標を達成するために、正しいエナジーのレベルでチームにより透明性をもたらすことが上手になる。

選手との付き合いかた

Alex:アマチュア選手と付き合っていると、彼らはプリマドンナ気取りになるときがある。自分をまるでプロのように思いこんでしまうんです。自分が世界一の選手だと。

MA:(笑い)

Alex:あなたはいつでもビッグパーソナリティに対処しなければならないですよね? デクラン・ライスは巨額で来たし、スターボーイのサカもいる。そういういろいろなエゴやいろいろなパーソナリティにどう対処していますか?

MA:そこは結局カルチャーだと思う。成長したいもの、その一員になりたいものなら誰でも立ち入れるようなフィールドと土壌をこちらで用意してあげる。環境を知り、彼らに期待されていることを知ること。そこにどんなスタンダードがあるのか。

そして、彼らはそこで自分のクオリティやパーソナリティを発揮できる。自分たちが望むチームや状況をつくるために。

でも結局は、自分たち自身に要求するスタンダードということだと思う。

アマチュアコーチへのアドヴァイス

Alex:わたしに助言をもらえませんか。わたしのチームはいまQF、SFにいて、リーグも勝つつもりです。

MA:いいね。でかした。(握手)

Alex:祈っていてください(笑い)。だから、わたしたちはシーズン終了時に両方のトロフィを掲げている可能性がある。このチャレンジングな時期にいるわたしにどんな助言がありますか。あなたはFAカップを勝っています。

MA:われわれの傾向、すくなくともわたしとしては、そういうポジションにいても、進歩の余地がある部分を観る。もっとうまくやるべき部分。

しかし、うまくいっている部分を観ることが必要なときもある。いまの自分たちをここまで連れてきたもの。そして、それを継続しようとする。それに価値を与える。

選手たちがたくさんいいことをして、そのようなポジションにいるのだとしたら、彼らの感じていることに自信と信念を与えることだ。

スタッフの重要性

Alex:あなたにはたくさんのサポートしてくれるスタッフがいます。ニコラス(ヨヴァー)もそのなかのひとりであり、セットピースがかなりうまくいっているいま、彼は時の人ですね。試合に勝つために彼らはどれほど重要?

MA:とても重要。そのワークはわれわれの文化のひとつでもあるんだ。

8年前か9年前、わたしに考えがあってニコをマンシティに連れていった。達成したいことがあって、彼がその一部にならないかと。なぜなら、試合のなかではオープンプレイだとか、セットピースだとか、ダイレクトプレイだとかべつべつにはできないから。すべてはつながっている。だから、そういう準備をする。

そこでその考えを買ってくれるコーチや選手が必要になる。なぜなら、それはプロセスであり、それぞれにとても関連があるから。同時にとても不安定にもなりうる。

そして、特定の分野で自分より優秀なエキスパートにいてもらうことが必要になる。

試合分析の難しさ

Alex:試合には勝つこともあれば、敗けることもあります。敗けは少ないかもしれませんが。分析で難しいのはどこですか?

MA:それは、分析するときの感情の状態だと思う。わたしたちコーチにしてみれば、この仕事で勝つか敗けるかではまったく違うから。そしてその感じ方も違う。

Alex:100%そうですね。

MA:でも結局は、もっとチームを助けるにはどうすべきだったかが出発点になるべきだ。なぜなら、まず最初は選手の批判になってしまうから。わたしが伝えたことを彼らはしなかったと。

まずは鏡を観なければならない。どう試合を準備し、キーメッセージは何だったか。準備したことが実際に起きたか。実行の問題、ポジションの理解、もっとうまくやれる選手がいたか。そしてとても正直になる。

選手たちがそのような脆さを観る必要もあるが、それでも自信は失ってはいけない。だから、そこから学び、そのあとどうするかだ。多くの試合が学びの機会をもたらしてくれると思う。

Alex:そのとおりですね。

MA:試合が終わってから、どんなアクション、どんな時間を分析しても遅すぎる。試合が教えてくれることはなにか。そこでコンスタントに学ぶ必要がある。

これまでの最大のミスは?

Alex:わたしはまだマネジメント歴2年です。この2年でもたくさんのミスをやってきて、その都度修正も試みてきました。選手たちにやりすぎてしまったこともあります。ポジティヴよりネガティヴになってしまったり。そんなとき、わたしはあなたの選手たちへの話し方を参考にしました。

あなたのミスについて、ひとつだけ挙げるとしたら?

MA:たくさんあるが、ときどきフォーカスされる部分だとすると、とくに最初やってしまったのは、戦術面にこだわりすぎたことだと思う。それで、あまりに多い情報量が選手の負担になってしまった。

そして、感情面の重要さがある。選手があることを実行しなかったとき、なぜそれをしなかったのかと云う。それができないのかと云う。彼ができないことを求めているのか。そこで彼は恐れ、あるいは疑いを抱き、なぜ自分がそれをやっているのかわからなくなる。

選手になぜそれをやるかの理由を伝えることはもっとも重要なことだが、それをやるためには、選手とつながり、どうしたら選手が自分の求めに応じるのかを知る必要がある。それが正しいボタンを押すとき。

情熱を取り戻すアーセナルサポーター

Alex:わたしはもう何年もエミレーツに通っていますが、ファンや情熱を取り戻したのはあなたです。トンネル、North London Forever、その他もろもろ。コンコースのTVを消したりとか。あなたが来てから雰囲気はどんどんよくなっていて……

MA:それは、わたしも気持ちを同じくするサポーターだから。

試合を観に行って1-0で敗けたとして、もしわたしがそのチームを応援しているなら、それは個人の体験になる。しかし、そのあと1-2で試合に勝つと、なにかの一部になった気がする。

もしわたしがとても批判的なら、勝ったときはどうする? 祝うべきか? チームが難しいときはどうする?

わたしは、それ(一体感)が非常に重要だと思う。

われわれはとても大きく前進しており、それでいていまだにファンにもたらすまでには遠い。なぜなら、われわれにはすごいファンベイスがあるから。

われわれのサポーターはとてもいい。いまはチームともかなり親密。われわれはそれを利用する必要がある。

ヴェンゲルに学んだこと

Alex:あなたはこの国のもっとも偉大なマネジャーのひとりであるアーセン・ヴェンゲルの下でプレイしました。彼から学んだことは?

MA:まずは、このゲイムに対する愛情とリスペクト。そしてつぎに、彼がいかに選手たちに自分を表現してもらいたがっていたか。彼は、自分の望むものを選手たちに伝えるのがとてもうまかったんだ。ピッチでの自由を許し、自分で決断することを許した。

そしてわたしは、それが素晴らしいバランスだと思った。彼はそれについてとてもとても安定して、冷静で落ち着いていた。

グアルディオラに学んだこと

Alex:あなたは最初のマネジャー職としてPepの下でも働きました。彼もまた偉大なひとり。彼からは何を学んだ?

MA:わたしはバルセロナにいた15才のころからPepに学んでいる。そして、そのあとは彼といっしょに働く特権を得た。彼とともに、とてもすごい時間を過ごしたよ。わたしの意見としては、彼は歴史上最高のマスターであり、ゲイムとゲイムの理解に革命をもたらした人物だ。

彼のチームに加わったことは、すごい経験だったし、とてもとても感謝している。

 

Alex:今日は忙しいところありがとうございました。

MA:こちらこそ。残りシーズンがんばろう。

Alex:お互いにトロフィを持ち帰りましょう!

MA:イエス。

以上

 

「選手に戦術を詰め込もうとしすぎた」という反省。これはアルテタの口から初めて聞いたような? これは意外に画期的なインタビューだったかも。

ヴェンゲルさんの自由についての言及もあり、最近のアーセナルはやっぱり決め事と自由のバランスを模索しているところもあるのかもしれない。たしかに、以前のようなシステム的にしゃっちょこばった感じは、あまり見られなくなったようには思う。フロント5とか云ってたころにくらべて。

 

この動画は視聴者にすこぶる好評のようで、YTのコメント欄には、たくさんの賞賛コメントが並んでいた。上からいくつか訳してみよう。

「彼の緊張はマジだな。貧乏揺すりが止まらない笑」

「こういうコンテンツがもっと必要。ジャーナリストのインタビューよりよっぽどいい」

「ミケルの優しい面が出ている。インタビュワーの緊張をほぐそうとして優しくアドバイスしてる」

「素晴らしいインタビュー。じつに自覚的マネジャー」

「これはチャーミング! PLマネジャーはみんなやるべき」

「なんてインタビュー。とても洞察あるやりとり」

「アルテタヘイターには観るのがつらい……」

等々。

 

それにしても、アルテタは毎日死ぬほど忙しいだろうに、インタビューコンテンツがほんとうに多い。やっぱり本人が話すのが好きで、オファーを断らないとか。日本のメディアも単独インタビューを申し込めばいいのに。

今回は毛色のすこし違うインタビューで、とてもよかったと思う。

 

それではブログの最後にお聴きいただきましょう。El Michels Affair feat. Shintaro Sakamotoで“Indifference”。

最近、坂本慎太郎のインタビュー読んでたらBig Crown Recordsの話が出てきて。お互いにシンパシーを感じていて、今回いっしょに仕事をしたのだとか。

わしもBig Crown Recordsはチャンネル登録しているくらい好きなので、へえと思いましたな。

 

おわる



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お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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