試合の論点
アーセナル vs ウィガンのトーキングポインツ。
「とっても縦」アーセナルが攻撃に積極的。PLでも観たい
4 – Arsenal are the first Premier League team (from 1992-93) to score four goals in the opening 30 minutes of an FA Cup game. Domination. pic.twitter.com/EQviDbYZel
— OptaJoe (@OptaJoe) February 15, 2026
アーセナルは、FAカップで30分までに4ゴールした最初のPLクラブになったそうで。前半は、怒涛のゴールラッシュという感じだった。
G1:エゼのスルーボールからマドゥエケのゴール。
G2:エゼのスルーボールからマルティネリのゴール。ノーガードからエゼへのダイレクトパスもナイスだった。
G3:サカのカットバックからオウンゴール。カットバックはキング!
G4:ノーガードのロングパスからジェズースのゴール。ジェズースのタッチもおみごと。
超ダイレクト。
後半は、ゴールこそなかったものの、ヨクレスのポストにヒットさせたショットや(あれもベンジャミンのスルーボール1本)、ネリのGKに防がれたヘッダー、ほかにも惜しいチャンスがいくつもあった。そのすくなくないものが、カウンターを含むダイレクトプレイによるものだった。
この試合は、先月のCL Kairatととても似ていたと思う。エゼとハヴァーツで、アーセナルの攻撃がとても速くダイレクトになった試合。あのときの相手のクオリティもあり、今回も相手のクオリティがあり。要するに、実力差があって逆襲のリスクをあまり顧みずにプレイできれば、われらはこんなにもエキサイティングな見た目になるという。やる気さえあれば、それをやれるクオリティの選手たちばかり。
あんなふうに、躊躇なくスルーパスを狙うし、狭いエリアにいる選手にパスを出し、受けたほうはハーフターンで前を向き、ショートパスの連携にチャレンジ。ボックス外からのシュートもどしどし狙う。失敗もすくなくないが、それを気にせず何度でもトライする。
オフサイドラインが揃っていないとか、マークが緩いとか、実際に相手がザル守備ということもあるんだろうが、相手がカザフスタンリーグや三部リーグくらいのチームだと、こうやってかなりリスクをかけられる。それで、高い成功率が望める。PLチームが相手だとこうはいかない。
こうはいかないが、やはりもうちょっとPLもなんとかしてほしいと思わないでいられない。試合後のアルテタも「めっちゃ縦(very vertical)」と満足げで、彼だってこういう攻撃が嫌いなわけじゃない。KairatのあとPLリーズではそれができていた。
しかしそのあとは、チェルシー(リーグカップ)、サンダランド、ブレントフォードと強い相手がつづいたので、なかなか自分たちの思い通りにはならなかった。
だが、やはりこのチームはもう一度こういう攻撃プレイに意識的になるべきと思う。もっとリスクをかける。
サカの10が新しいオプションになるか #BS10
この試合の最大の論点はこれだろう。
今回、当初サカはベンチスタートのはずだったようだ。カラフィオーリがウォームアップ中にトラブルがあり、彼が急遽スタートすることに。
そのポジションがなんとNo.10だったという。試合後のアルテタもそれをずっと試してみたかったと明かした。
なんだか、彼が中央でプレイしていることがあまりにも見慣れないので、ヘンな感じがしたものだ。LB、LW、RWと、彼がこれまでアーセナルでプレイしてきたエリアはほぼワイドだから。それに左単足のウィンガーが中央でプレイしている違和感もあった。
だが、あらためて彼のハイライトを観るとこれが全然悪くない。
Bukayo Saka vs Wigan ←BGMがKhruangbin風の曲をAIでつくったみたいでめっちゃ気持ち悪い(笑)
狭いエリアでボールを持てるし、視野も広く、マーカーを牽制しながらプレイする身体の使いかたもうまい。ライン間でAM(10)しぐさもできるし、もちろんWGとポジションを入れ替えれば、いつもどおりのブカちゃん。さすがスターボーイはなんでもできる!
彼が10でプレイするということは、好きな場所でプレイできる自由を得たのと同じ。最近では、彼が試合中RWのプレイエリアから逸脱することも少なくなかったが、あらためて彼がそのライセンスを得たという。
これは新境地なのでは? 本人にもチームにも。
ちなみに彼が下がった後半はジェズースが10をやり、これもまた悪くなかった。
とはいえ、彼はパッサーではないので、オーデガードやエゼのような天然チャンスクリエイターとしてはあまり期待できないかもしれない。だが、彼が中央でプレイすることで生まれるケミストリーは、アーセナルのチームにはなかなかユニークなものに思える。
それと、いまとくに“BS10”が興味深い状況もある。それは、マドゥエケの存在だ。
彼は、直近5試合でG3 A1とファインフォームで、この試合もとてもよかった。チームとしては彼を積極的に使っていきたいなかで、ポジションがかぶるサカが本格的に復帰すると、彼をLWでプレイさせるかあるいはベンチかを選ばねばならなかった。
だから、オーデガードとハヴァーツが不在のいま、10のサカ、RWのマドゥエケならふたりは共存できる。今回もOGを誘うふたりの連携もあり、関係ももちろん悪くない。
先日のブレントフォードで、エゼの10は懐疑的に観られるようになってしまったが(すくなくとも現状のストラクチャのなかでは)、サカの10はアルテタには魅力的なオプションになるかもしれない。
かつてアーセン・ヴェンゲルは、ティエリ・アンリをウィンガーからストライカーにコンヴァート。その後の歴史はご存知のとおり。
優秀な選手がポジションをコンヴァートして、さらに才能を開花させる例は少なくない。
ブカヨ・サカがウィンガーから10へ? これは、予想外の、ちょっとワクワクするような展開である。
忘れられた男ノーガードが自分の価値を示す
ファンのあいだでも、「アルテタはもっとノーガードを信頼すべき」という声はよく聞かれたと思う。
彼はもともとブレントフォードのキャプテンでMFとして一定のクオリティはあるはずなのに、アルテタが彼をあまり信頼しているようには見えなかったから。これまでの起用法からしても、アルテタが彼をライスやズビメンディほど評価していないのは明白というか。
もちろん、ライスやズビはトップクオリティだから、そこに及ばないのはしょうがないとして、でももうちょっとくらい信じてもいいのに、と多くのファンが感じていたと思う。
だから、この試合の彼のパフォーマンスは非常に勇気づけられるものだった。とくに攻撃面では、とてもクリエイティヴだった。
Scott Willisが、彼について興味深い指摘をしていた。彼のプレイがとても速く、ダイレクトだったという。
Christian Nørgaard, Performance – Arsenal vs Wigan
11 progressive passes completed, perhaps more impressive was that he was so quick with his progression, he has 246 seconds on the ball* and he produced 597 progressive yards with his passing.
2.4 progressive yards per second… pic.twitter.com/8ok7Ra12p2
— Scott Willis (@scottjwillis) February 15, 2026
ノーガードはプログレッシブパス11回成功。さらに印象的なのは、彼のプログレッシブパスの素早さだろう。ボール保持時間は246秒、パスで597ヤードのプログレッシブヤードを獲得した。 ボール保持時毎秒2.4プログレッシブヤード。
これが相対的にどれほど優れた数字なのかはよくわからないが、Stats Guyがこう云うのだから、きっと素晴らしい数字なのだろう。
今後、彼のプレイ時間が増えたらよいと思う。
What a performance from this man 👏 pic.twitter.com/m1PwHVhBvK
— Arsenal (@Arsenal) February 15, 2026
しかし、スポーツチームのファンとして、こういうのはいいよね。去年だとキヴィオール。チームの主役じゃないし、なんなら脇役だという自覚もありながら、それでも腐らず。プロとしてつねに準備をしており、チャンスがあれば、期待以上のパフォーマンスを発揮する。unsung hero
こういうのもある種のカタルシス。
おまけ:Wigan till I pie.
試合中継を観ていて、おもしろいバナーが気になって。
Till I dieならぬTill I pie
調べたら、ウィガンはパイと特別なつながりがある地域なのだとか。
彼らのマスコットもパイ。これはみうらじゅんもびっくりの英国ゆるキャラ。ガナザウルスとペナルティ戦も。
Gunnersaurus just beat Crusty the Pie 3-1 at pens.
Magic of the cup! pic.twitter.com/oRmgradzvL
— Charles Watts (@charles_watts) February 15, 2026
ウケる。
この試合については以上。















