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【マッチレビュー】25/26 EPL アーセナル vs エヴァトン(14/Mar/2026)アーセナルを22年ぶりタイトルに導くマックス・ダウマン

試合の論点

アーセナル vs エヴァトンのトーキングポインツ。

カラフィオーリのスーパーブロックが含まれてないハイライトなんて。

ハヴァーツのペナルティ疑惑も。

シーズンを決めた(かもしれない)試合。Max Dowman… changes everything!

この試合は89分まで、0-0。あの瞬間まで、ホームで2ポインツを落とすという最悪の事態も十分現実的だった。せっかく拡げた2位との差をもう一度縮めて、ライバルに希望を持たせてしまう。それはいまもっとも避けたいことだった。

この試合のエヴァトンは、正直かなり手強かった。

序盤こそアーセナルは、チームとして速いテンポを心がけていたことがわかるような小気味良いパフォーマンスで、かなり優勢に試合を進めていたが、エヴァトンが深く下がって守りだすとなかなか効果的な攻撃ができない。それなりに惜しいシュートは放っても、決定打にならない。

いっぽうでエヴァトンも守備から攻撃に転じると、これがまた鋭さを見せる。前半は少ないチャンスながらボールを持つアーセナルよりも危険な攻撃を繰り出すなど、アウェイでも自信満々にプレイしているように見えた。カラフィオーリのブロックやポストなど、ホームチームは運に助けられた面も否めない。

前半のアーセナルはショッツが13ありながら、SoTがわずか2。フィニッシュの精度にやや苦しんだものの、HT時点では後半への期待はまだ高い。

しかし、後半が始まるとアーセナルの最近の流れを彷彿とさせるかのように不安定に。

選手がちらほらパスミスをするようになり、相手のハイプレスにバックの選手たちもタジタジ。なぜかプレイの自信が揺らいでいく。

そして、なによりエヴァトンのロウブロックに対し、リスクをかけた攻撃ができなくなり、いくらボールを持ってもU字でブロック守備の外側をいったりきたりという、あきらかに悪い流れに。あの時間帯は、アーセナルの悪い攻撃パフォーマンスの事例としてそのうちどこかで使われそうだと思いながら観ていた。ローリスクのボールポゼッションがよけいに相手のロウブロックを招く典型的な悪循環。

61分にはヨクレスとマルティネリが入るも、まだ大きな変化は起きず。0-0のまま、じりじりと時間が過ぎていき、アルテタがついに決断する。

74分、ズビメンディに変えてダウマン。

ライスの6にサカとエゼの8、あるいはサカの10にエゼがややうしろ。そしてダウマンのRW。ここにもちろん、ダウマンといっしょにサブで入ったヒンカピエやモスケラのFBも入っていくる超攻撃的システム。

残り15分、この時間帯はもうほとんどスクランブル状態で、相手ハーフだけでプレイしているようだった。

そして、ここで違いを観せたのがマックス・ダウマン。彼が入ってからの時間では、アーセナルのチームでもっともパスを受けたのが彼(14)。チームも彼を信じて、彼にボールを預けようとした。

なんとか1ポイントを持ち帰ろうと、エヴァトンの全員がボールのうしろにいるような分厚いブロック守備をまえにして、何度も何度もプッシュするアーセナル。しかし、無情にも時間が流れていく。不安そうに眉間にしわをよせるスタンドの様子が何度もカメラに抜かれる。アルテタももうコートなぞ着ていられない。

そして、ついにことが起きたのが89分。

右タッチライン付近にいたダウマンがモスケラからスロウを受けるとボックスを見やり、余裕をもって長いクロスボール。これがPickfordの手がギリギリの届かず、バックポストの密集へ。ヒンカピエのあれはパスには見えないが(笑い)、とにかく彼に当たったボールが無人のゴール前にころころと転がると、ちょうどそこにいたヨクレスがなんなくゴール。ごっちゃんだろうがタップインだろうが、ストライカーはそこにいることが大事。ついに1-0。

残り1分の歓喜。爆発的な歓声につつまれるエミレーツ。

いやあ、これはたぎりましたね。閉塞感がでかければでかいほどの解放感。フラストレイションが解消されるカタルシス。あのとき、誰もがもうだめかもと思っていたに違いないのだから。

実質アシスト(プリアシスト)のマックスボーイも喜びのあまりうしろからGyoにしがみついて首をしめているのも気づかなくてもしょうがないよ。

しかし、ここで終わらないのがPL。

6分の追加タイムが判明すると、アーセナルは当然勝つつもりでいながらエヴァトンがあきらめていないことに気づき、追いつかれる恐怖からだんだんとナーヴァスになっていく。今シーズンのPLで何度も起きていることを考えれば、ここで安心しろというほうが無理である。

そして、こういうとき恐ろしいのがセットピース。なにかが起きがち。一度ミラクルが起きているので、ここで何が起きてもおかしくない。そういう気持ちになっていく。

96分にエヴァトンはロングスロウからコーナーを得る。この最後のワンプレイになるかもしれない時間、エヴァトンはGKまでオフェンスに加わる捨て身プレイを選択。エミレーツに緊張感が走る。エミレーツだけでなく世界中のパブやお茶の間がそうだったはず。わしもこのときは、自宅であんなにドキドキしながらアーセナルの試合を観たことはないというほどだった。

最後のシーンは映像で。Peter Druryの名調子でどうぞ。これは消えるかもしれない。

こちらは消えないAFC公式。エイドリアン・クラークの“Ohohoho hoooo!”が聴ける。

別アングル。彼が最後のDFを抜いたとき、ひときわ高まる歓声が鳥肌もの。

なんという16才の落ち着きか。彼はDFを抜く前にはパスもできたかもしれないし、ロングシュートの選択もあった。しかし、彼は最初からパス先を探そうともせず、自分でボールを持って運んでいくことを選び、みごとにドリブル成功。

ダウマンが独走状態に入ったあと、追走する相手DFをブロックしようとするネリのお兄ちゃんムーブもナイス。カウンターアタックの大先輩である。

2-0で試合終了! ふう。

1-0で終わっただけでも十分記憶に残りそうな試合だったのに、こんな最後まで用意されていたとは。なんというシナリオで、なんという運命だろうか。この試合は、さすがに何年も語り継がれる類の試合になっただろう。

いくらなんでもできすぎの物語とは思う。しかし、事実は小説より奇なり。

 

手前味噌ながら、最近はこのブログでも何度か、シーズンのこのステージにおける新しいエナジーの重要性みたいなことに触れていた。長いシーズンを通したチームのバイオリズムのなかで、よりによってこの決定的に重要な時期に停滞期に入っているように見えて、だからこそそれを変える、現状を打破するサムシングが必要だと。最終コーナーを曲がり、もう一度チームの尻をひっぱたきブーストするもの。

なんと、まさにそれが現れてしまった。しかもこのように劇的なかたちで。

マックス・ダウマン。16才と73日。EPL史上最年少のゴールスコアラーに。アーセナルだけでなく、英国フットボールの歴史にも名を刻んだ。

アーセナルは、残り7試合。もちろん、まだこのあと何が起きるかわからない。だが、この劇的な勝利はアーセナルファンにリーグタイトルを確信させるには十分な気がする。仮にこのあとのシティの結果がなくても。

この試合の苦しさとその最終的な解決は、アーセナルのシーズンと相似だ。ずっと困難な戦いを強いられて強いられて、しかし最後にはそれを解決できると示した。どんな険しい道のりでも、最後には目標を達成する。このチームは、自らのパフォーマンスでもう一度そう信じるちからを与えてくれた。

この試合はアーセナルのシーズンを決めた試合と、のちに語られそうである。

 

試合については以上!

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