昨日、twitterのほうでちょっとだけ伝えたように、『The Athletic』のアーセナルライターズがなかなかネガティヴ論調の記事をアップしていた。
読むとアーセナルFCの将来がたいへんに不安になりそうな内容の記事で、ぜひこの不安をファンのみんなと共有したいなと(笑い)。
ここではサマリを紹介するだけなので、記事全文を読むには、『The Athletic』に登録されてください。
ではHere we go.
「アーセナルの権力者の経験不足が、再構築に亀裂をもたらす」by The Athletic
昨日の『The Athletic』。gunnerblogのジェイムスとエイミー・ロウレンスとあとオーンステインも協力したらしい大ボリュームの記事。
何が書かれていたか、ざっくり紹介しよう。以下要約。
- 55人解雇からいまだに解雇はつづいており、アーセナルではスタッフのあいだでモラルが下がっている
- 去年カジガオらスカウティングチームをいっせいに解雇したのに、あらたにスカウトチームを編成するためにヘッドハンティングカンパニーと契約した
- アルテタ・エドゥ・VVも現在のポジションでは実績も経験もない。このルーキー3人が重い責任を負っているという現状
- アルテタはチームから信頼されている(カルト的とも)が、オバメヤンなど一部では関係悪化も
- アーセナル関係者「アルテタはプレス会見でほんとうでないことを云う」
- スタッフ「最低でも5人のシニア選手、ルイス、ウィリアン、レノ、ジャカ、ベレリンが退団したがっている」
- ネルソンとエンケティアも退団可能性が高い
- レノのフォームが落ち、ルナーソンを連れてきたGKコーチ、イニャキ・カナの適性に疑問。他のGKコーチ、ビッボとウッドマンはすでに退団したのは部門の再構築をカナに任せるため。危険
- 昨夏アルテタはコーチをあらたに雇う資金を得たのに、期待された経験豊富なコーチではなく、ふたりのジュニアコーチ(Carlos Cuesta and Miguel Molina)を選択。シニアコーチを雇うより自分の権力強化を選んだ可能性
- FAカップを取ったあとアルテタのタイトルをヘッドコーチからマネジャーにしたことにはクラブのなかで反対もあった
- ヴェンゲル以降ではヘッドコーチは消耗品のように扱って継続性と長期的計画を担保するつもりだった。それがアルテタをマネジャーにしてしまい、難しくなった
- アーセナルの再構築のためにオーナー投資は必須だが、それの使用をアルテタとエドゥに任せてしまって大丈夫か
- エドゥはトップチームのフィジオとしてボーンマスからニック・コートを迎たが、彼は数ヶ月で退団
- エドゥが連れてきたフィジオのブルーノ・マツィオッティもクラブのなかで賛否両論。今シーズン限りの短期契約。高額。既存のコルニーのスタッフから評判が悪い
- これからAFCにジョインするリチャード・ガーリックは、ハス・ファーミーが担っていた契約担当を引き継ぐ。エドゥはスポーツ面の判断に専念できる
- だが、そもそもファーミーが去ったのはエドゥの権限が拡大したから
- エドゥはクラブで自分が一番の権力者だと思っている
- クラブでもっともトップにいるのは当然スタン・クロンキとジョシュ・クロンキ。だが彼らにはアルテタやエドゥのやることをチェックする機能やノウハウがない。彼らへの信頼ありきの構造になっている
- 今シーズンの失敗をなぜそうなったのか、どう改善できるのか、アルテタやエドゥの説明を理解できるフットボールの専門知識をもったものがいない
- ティム・ルイス(※彼が来てぺぺの案件を調査後、サンレヒはすぐ退任)はKSEとクラブの架け橋だが、彼だけでは足りない
- 以前、元ガナーのデイヴィッド・オレアリーのボードメンバー入りを提案したのは現ボードメンバーのフィル・ハリス
- ダニエル・エクのオファーの件で、オレアリーのボード入りがふたたび注目。ティエリ・アンリらが求める「アーセナルハート」を持っている
- アーセナルはヴェンゲル&ガジディスの時代から経験の浅い人材を起用する傾向がある
- クロンキが最初にクラブ運営を任せたのがガジディスで、クラブはいまだにそのダメージがつづいている
以上。
もちろん、はしょった部分もある。
わたしの雑感
以下いくつかのトピックについて雑感。
一度解体したスカウティングチームを再編成?
去年の9月、AFCの古参スタッフでもあるフランシス・カジガオを筆頭に、ヨーロッパの重要エリアのスカウトメンを軒並みファイアしたことはまだ記憶にあたらしいが、先日の「アーセナルがスカウトメンのリクルートのためにヘッドハンティングカンパニー(Nolan Partners)と契約する」というニュースにはたいそう驚かされた。
Arsenal move to strengthen scouting network in latest recruitment reshuffle
たしか、選手リクルート手法を「コンタクトブックからデータドリヴンへ」というようなコンセプト変更で行われた人員整理だったはずだが、こんなにも早く方針を変えるとはどういうことなのか?
一説によれば、データ主導のコンセプトは変わらず、以前よりは縮小されたスカウティングチームになるようだが、それにしても。
1年もたたずに、こういった方針転換のようなものが行われるということは、それだけアーセナル内部におけるプロセスの混乱が示唆されているようにも受け取れる。
5人のシニア選手が退団希望
それは、ダヴィド・ルイス、ウィリアン、レノ、ジャカ、ベレリン。
ルイスは今シーズンで契約切れだし、ベレリンの夏の移籍はもう既定路線みたいなものだ。最近の彼はなんだか悟ったような顔をしている。それと最近はレノの退団がしきりに噂されていた。
なので、顔ぶれにはあまり驚きはない。
だが、このなかでもっとも注目すべきはウィリアンだろう。彼はAFCに来たばかりで、シーズンが終わってもまだ2年の巨額契約がある。
もちろん、彼のいまの心情を思えば、理解できないでもない。意気揚々と移籍してきたわりにはあたらしいチームでまったくうまくいかず、すでにペッキングオーダーはすっかり下がってしまいベンチ要員。なんなら、アーセナルのファンからは大量の嫌がらせを受けていることも想像に難くない。
要するに失敗移籍だと、クラブだけでなく本人も感じているということか。
彼が夏にほかのクラブに移籍できるならWin-Win状況になるが、残念ながら彼のサラリーを払えるクラブはこの世の中にあまりない。
ローンでサラリーの部分を相手クラブに負担してもらうというのが現実的かもしれない。なんてひどい補強だったんだ(絶句)。エドゥやアルテタはその現実を受け止められるだろうか。
ジャカにも少し驚いた。
だが、ジャカファンのみんなには大変に申し訳ないが、つねづね「ジャカ=罠」論を唱えているブログ主としては、彼の退団はアーセナルにはポジティヴだと思っている。もちろんリーダーを失うことはネガティヴだが、それ以上にメリットがある。ジャカの移籍が決まるようなら、それはあらためて書こう。そして敵を増やしていく(笑い)。
長期プランと「ヘッドコーチ」
これはたぶん多くのほかのクラブがやっていることだろう。ごくふつうな。
ヴェンゲルさんとかサー・アレックスみたいな、ひとりの現場監督がクラブ運営に大きく関わるみたいな特殊なやり方ではなく、フットボールの監督はもっと役割を限定して専念させて、彼がダメならさっさとつぎの人材を探す。クラブがどういうスタイルでプレイしたいか、どれくらいの予算で動くかというプランがありきで、それにあった人材を当てていく。リスクが少ない。
アーセナルもポストヴェンゲルでそういう方針でやっていくつもりだったが、FAカップを取って浮かれてミケルをうっかりマネジャーに昇格させてしまった。つまりVVは、そういう方針を理解していなかったということ?
それまでエドゥとVVのふたりがクラブ運営のトップにいて、その下にヘッドコーチのアルテタがいたのに、彼がマネジャーにステップアップすることによってより大きな責任と権限を得ることになった。いまは3人体制のようになっている。つまり、今年の成績不振のように彼に何かあっても解任しづらくなってしまっている。
どうしてこういうことが起きるのだろう?
それを誰が決めるのか? 意思決定プロセスに懸念
現状オーナーは、エドゥ、ヴェンカテシャン、アルテタの責任において、信頼ありきで運営を任せてしまっているが、それで正しい判断ができるのかという。
とくに彼らは経験不足はあきらかで、彼らのこのほんの短い期間でも、わりと不安が露呈していると。この3人の平均年齢が40才くらいだと考えると、アーセナルのレヴェルの規模の企業という観点からしても異例の若さかもしれない。
こうなると、新しく来るリチャード・ガーリックに期待だし(※彼は来週月曜からAFCで働き始めるとか)、あるいは元ガナーでリーズやヴィラでのマネジャー経験もあるというデヴィッド・オレアリーのようなフットボールを熟知していて、なおかつアーセナルマンであるという人物がボードに入っていくことも期待される。
ダニエル・エクの買収が実現すると、一気にものごとは変わっていきそうだが、今回のリポートを読んでいたら、エドゥもVVもアルテタもKSE支持というか、積極的にSpotify反対の立場にならざるを得ないだろうと思えてきた。
なぜなら、エク&インヴィンシブルがアーセナルFCに入ってくると、彼らの立場が脅かされるから。脅かされるといったら大げさかもしれないが、少なくとも、やることなすこと、つねに厳しいチェックを受けなければならなくなるはず。
これまでのように代理人つながりで取れるから、という理由で選手を取るような安易な決断はもうできなくなるかもしれない。
もう自分たちの好き勝手にはできなくなる。でも、それが企業としては健全な姿だろうとも思う。
アーセナルはチームビルディングのほうで、てんやわんやのように見えて、実際はそれよりももっと過酷なてんやわんやがクラブ運営の舞台裏で行われてるという話。
てんやわんやですよ。
おわり
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エドゥとアルテタ、アーセナルFC再構築のプランのなさへの懸念 by ティム・スティルマン | ARSENAL CHANGE EVERYTHING
ベジェリンは去年売却すべきでしたかね
昨シーズン初め右SB3人いましたから。誰か1人は売るべきだったかと慰留したベジェリンが心ここにあらすで、AMNはレンタルでとか全くよくわからない
エメリもアルテタもジャカを中心にチーム作りしたのが未だによくわからないです
かれの判断力の悪さとボール離れの遅さはキープ力の無さは毎回辟易してました
私はここがずっと補強ポイントだと思ってたんですけどね
ジャカについて全く同意です。
これって少数意見じゃない気がします。
ここに書いてあることのすべてが事実だとは思いませんが、おおむね正しいのでしょう。
クラブ運営とかリクルートとかいろいろ疑問符がつくところはもちろんありますが、そりゃ失敗したシーズンが続いて疑問符つかないわけないですよね。
アーセナルの行く末は心配ですが、いちファンとしては結果を見守るしかないかなと思います。さすがにドライすぎるかな。。
ウィリアンとかの失敗もありますが、ガブリエルとかパーティとかバログンとか今のボードメンバーの功績も認められるべきだとは思いますけどね。
今はダメでもあと三年後、今のメンバーが成熟出来たら、とワクワクしてるファンは多いはず。
それを率いるべきがアルテタなのかは不明ですが。。
The Athleticは55人の解雇以降
情報統制が厳しくなったのがおもしろくなくて
アーセナルは良くないという結論ありきで記事を書いている気がします。
Athletic紙はネガティブにペンを執ってる気がする。ただ矢張り現状のクラブマネジメントはお粗末と言って過言ではない。
エドゥ主導の大鉈は尽くがケイオスを招いてサポーターのフラストレーションを蓄積させている。
アルテタはピッチの外にパッションをむけているが
Athletic紙はネガティブにペンを執ってる気がする。ただ矢張り現状のクラブマネジメントはお粗末と言って過言ではない。
エドゥ主導の大鉈は尽くがケイオスを招いてサポーターのフラストレーションを蓄積させている。
アルテタはピッチの外にパッションを向けているが、それを感じさせずに上手く取り繕っている。
エドゥとアルテタの二人にはクラブに纏わるストーリーがあり、それがサポーターの目を霞ませている。
しかしこの二人は決して信用すべきではないと思う。
ユナイテッドとリバプールのゲーム見ました。
どちらにも言えるのは個の力と感じました。クロスの質とゆうか、上げる場所のバリエーションが全く違いますね。アーリークロスとゆう言葉ではかたづけられない。やっぱ金かけてるチームは違うっすね。
リバプールのあのショートカウンターはもう破壊力がやばい。奪う位置と奪ったあとの走り出すスピード、パスの精度、簡単そうにうなるようなプレイを何度もやってました。そこにバックパスはほぼなし。
おれたちの選手も並以下はいないはずで、スピードでいえばむしろリバプールよりも早い選手はいそうですが、なんで同じようなことができないのでしょうね。奪ったらとりあえずCBにもどして相手が整うのを待ってから攻めるって、どんだけ正々堂々なんだよ、カカロットかよ。
クロップ来てくれないかな。
丁寧にビルドアップして、サイドバックからセンターバック、逆サイドからまた戻して、、、のU字で、年に数回、”アーセナルらしい!”という切り崩しが見られる、というのが現状になってしまいました。フラストレーション。エンケティアとネルソンがでるかも?っていうのが、一番悲しいポイントでした。もうベテランと若手の融合、じゃなくて、とことん、若手主体で行ってほしい。ESRは10点10アシストできる子ですよ。エンケティア10点、ネルソン7点、サカ10点。。。取らぬ狸ですが、アルテタがそのリスクを取れるか?というとものすごく疑問です。サリバもマブロパノスもジョーも戻して、パーティーの隣がAMNでも、エンケティアとフロだけで来年乗り切るのも、2022-23シーズンの大躍進を考えたらありなんじゃないですか?でも、アルテタはやらない。シティのような強いチームをチューンナップするのは得意かもしれないけど、革命を起こすタイプではない。でも、短期でころころ変わるチームになったらそれこそ幻滅ですけどね。