ちわっす。
ワールドカップ2022は、結局フランスがアルゼンチンとのファイナルへ。モロッコは強かったなあ。それにしても、あのチームでサリバのプレイ機会はあまりないとはいえ、このキャリアの序盤にもう最高の舞台を体験することになるとは。どえらい。
さてフランスといえば、今年はアーセナルからStade de Reimsへのローンで大活躍のフォラリン・バロガン。
ここまで15試合でG8 A2。G8はアーセナルならトップスコアラーであり、当のフランスリーグでも、G+Aで彼より優秀なのはネイマールとエンバッペだけみたいな時期もあったほど。つまりフランスリーグとはいえ、ストライカーとしての生産性でトップを競っていた。
将来有望の若い選手が、ローン先でうまくいかないことも少なくないなか、これは期待以上といっていい。
そのような充実のシーズンをフランスで過ごしているバロガンが、インタヴューに応えていた。
‘It felt like we were going into a zombie apocalypse’ – Folarin Balogun’s lively Ligue 1 loan spell
おなじみの『The Athletic』。課金メディアゆえ、発言の部分だけ紹介しよう。
フォラリン・バロガンのロングインタヴュー by The Athletic【2022年12月】
※オリジナルの記事とは、部分的に順番を入れ替えたりした箇所もある。※小見出しは訳者による。※一部は省略してある
リーグアンの洗礼「ゾンビ映画かと思った」
バロガン:(初戦のマルセイユ戦)ぼくは、チームメイツに訊かなきゃならなかったくらい。「これはフットボールの試合なの? それともめちゃくちゃにされに行くの?」。クレイジーな経験だったよ。
ぼくらがVelodromに近づくにつれ、拳銃を持った警官がいて、あちこちで発煙筒が火を吹いていた。まるでゾンビ映画(zombie apocalypse)のなかに入っていくみたいな。あんなの観たこともなかった。
(OMアウェイから2ヶ月後、PSGを苦しめる)あれも最高にクレイジーな経験だった。メッシはいなかったけど、エンバッペ相手に90分プレイするなんて……。彼を間近で観て、彼の動きがどれだけヤバいかわかった。
彼はすごくシャープで、自分のプレイに覚悟がある。ネイマールが70分に入ってきて、彼なんてぼくが子どものころYouTubeで観てた選手。彼のトリックをすぐ近くで観られたのはナイスだった。
ぼくも試合に集中するのに一所懸命で話はしなかった。その試合はドロウ(※0-0)で、試合後の彼らもそんな気分じゃなかっただろう。彼らの目には、あきらかに機会を逃したという感じがあった。怒っている選手なんかもいて、ぼくらが話をするようなチャンスはなかったね。
イングランドのような国外リーグからすると、このリーグはイージーに観られているかもしれないが、メッシ、ネイマール、エンバッペのような選手たちが毎週プレイしている。もしイージーな場所なら、彼らはここでプレイしていない。
このリーグのフィジカリティもぼくの進歩を助けてくれる。センターバックは強く、速く、賢い。とても経験豊富だ。彼らにはフィジカルも経験もあるから、試合をよく読む。ベストDFと対戦するのはワクワクするし、この15年以上ベストのSergio Ramosや、いまのベストであるMarquinhosなんかもいる。この経験からたくさんを学べることにワクワクしていた。
それと試合のなかで大きなことは、ぼくのリンクアッププレイやホールドアッププレイを進歩させること。ぼくがフランスでやっていることはそれ。トレイニングでチームメイツとやっているときでさえ、とてもフィジカルだ。
フランス行きの決断。ラカ&ぺぺの助言
(アーセナルに残りフランスへローンへ行くという選択)フランスのReimsというのは、ぼくには斬新なオプションだった。外国でプレイすることなんてまったく考えたこともなかったから。
マネジャーに云われたんだ。「キミがここに来て正しいことをするなら、キミはプレイすることになる」と。白か黒かだった。あとは自分次第で、自分がリスクを取りたいかどうか。そしてぼくらはそれが正しいステップだと決断した。
移籍を決める前には、ラカとニコ(ぺぺ)とも話した。ラカには、プレイをし始めることが必要なぼくにはいいリーグだと云われた。そのあとアメリカでのプリシーズンツアーでニコにも話を聞いた。あのときは、ぼくがプレイしていなかったから、彼はぼくがちょっと不満だと思っていたみたいだね。
彼からは、ただポジティヴでいろと云われた。ハードワークをつづけろと。そのあとにフレンチリーグへのローンについて考えたかもしれない。「自分を出せるなら、おまえはあのリーグでも絶対プレイできる」と。ニコにはシーズン10ゴールの目標を課されたよ。「それができれば、おまえは成長したということ」だって。
彼にはだいぶ励まされた。だからその気にもなった。でも、同時にあまり深くは考えなかった。そのあとになって、ぼくがフランスから興味を持たれていると聞いて、彼の云っていたことが脳裏をよぎった。
フランスへ行くまでのバロガン
(21-22シーズンの初戦ブレントフォードでスターティング11に。※PLも初体験)あの試合の一番の思い出は、とにかく忙しなかったということ。ぼくは、てっきり試合は観ているものとばかり思っていたら、あと数時間というところで、PLの初戦でスタートすることになった。
興奮したよ。期待もした。でも、ぼくは試合のなかで受け身になってしまった。そこから何が学べたか見つけようとした。
そこで何が起きたのか、理解するのに数日はかかった。よかったこと、悪かったことを評価した。でも、それは後付けであり、結局あれはまったくもってぼくに必要な経験だったんだ。
翌日にはあの試合を分析するMTGがあって、みんながそれぞれどこが悪かったのかを指摘していた。ほかの選手たちが、あれにどんなふうに対処しようとしていたかがわかるのは役立つ。
あのときぼくがわかってなかったのは、あれがただの一試合であり、シーズンのなかにはまだたくさんの試合があること。ぼくの頭のなかはぐちゃぐちゃになっていたんだ。「ぼくらは試合に敗けた。悪夢だ」と。でもほかの選手たちはこんなふうに云っていた。「いま一番やるべきことはトレイニングで正しいことをすることで、つぎの試合に備えよう」。ぼくは彼らの導きに従って、そこからまた始めることになった。
(21-22シーズン前半はおもにAFC U-23でプレイ)Kevin Betsy(※U-23ヘッドコーチ)には、かなりお世話になった。
シーズンの半分だけど、ぼくは彼の下でプレイするのが好きだった。たくさん話もして、個人的にもいい関係だった。選手をいつファーストチームとトレイニングさせるか、U-23に戻すか、マネジャーに任せられていて彼もやりやすかっただろう。でもケヴィンはいつでもぼくに責任をもたせたし、成長を促してくれた。
彼はより対話を重視するコーチであり、観せて・伝えるタイプのコーチ。スクリーンをやるときに、そのやりかたを説明するだけでなく、トレイニングで実際にやってみせる。ぼくには学びやすかった。
彼はやるべきランについても、ぼくが映像として思い浮かべるのを助けてくれた。タイミングや二重の動き。彼はつねに深く掘り下げるひとでもあったから、なにかささいなことを尋ねても、彼はそれを分析してたくさん役立つ情報をくれた。
(8月以降PLでプレイすることなく、1月からローンでミドルスブラへ。FAカップではマンUとトトナムに勝利)ミドルスブラの選手として彼らとプレイするのは、またとても違った印象だった。ポゼッションしないことに慣れてなかったし、「最初の5分間は失点しないようにしよう」みたいなマインドセットにも。そこはとても新鮮だった。
ぼくらの場合、ああした相手との試合では「とにかく追いかけて、あとボールをキープしよう」なんて思うけど、すぐにそれがナイーヴだと気がつく。ゲイムプランを尊重せねばならないし、マネジャーが選手にやらせたがっていることを尊重せねばならない。
(ボロのボスChris Wilderに求められたこと)ああいう試合で、もしぼくらがディープブロックをやっていてボールを持っていないとき、そこでボールを奪ったらトランジションですぐボールをぼくに預けようと。クリスは、ぼくにボールを預けて時間を稼ぎたがっていて、それができるか、あるいはチームのためにファウルをもらうか。そこからぼくらはピッチを上がっていき、ゆっくり進んでいく。
それはどんな試合、どんなときも求められるが、クリスのミドルスブラではとくにそういうところがあった。
外国で人間として成長
(16才からひとり暮らし。異文化への適応)どこか新しい場所に慣れるうえでもっとも大きなことは、自分ひとりでなにがができるか。たくさんのひとが助けてはくれるけど、結局は自分で努力しなきゃならない。これはとてもトリッキーで、たぶんぼくのこれまでのキャリアのなかでももっともチャレンジングなことだ。
小さな殻に閉じこもっていることもできるし、ぬるま湯から出ないでいることもできる。あるいは、知らない食べ物を食べてみたり、ひとと話してみたり、新しいことをしたり。
ミスはするもの。ぼくがフランス語で誰かに話しかけようとすれば、間違えたことばを使う。ぼくはただ学んでいる。そこからどう進歩できるか。自分にとっていい経験を詰めるか。
チームとの最初のトレイニングセッションを思い出す。
ポゼッションについて取り組んでいた。コーチがフランス語で説明していて、ぼくはそれを観ながら基本をやっているように観えた。ぼくもずっとやってきたようなノーマルなポゼッションのドリル。そして、ビブを取ると、どうも自分が誤解していたことに気づく。彼らは、ぼくが慣れているやりかたとは違うことをやっていたから。
彼らは説明しようとしてくれていたけど、ぼくはそれを理解できなかったんだ。そのとき自分が外国にいることを実感した。彼らが思ってたのと違うことをやっているのを観て「これはすごくビッグチャレンジになりそうだ」とショックを受けた。
(週2回のフランス語のレッスンで上達)更衣室で誰かがぼくに話しかけてきても、もうジョークが理解できるようになった。彼らと同じタイミングで笑えているからね。
以上
全体的に、とても充実したフットボールライフを送っているっぽい語りに思える。困難があっても、それを少しづつ乗り越えている実感があるというか。
それにしても、バロガンがいくら高評価とはいえ、初めての外国で、彼がここまで活躍するとはさすがに思われてなかっただろう。
アーセナルと契約更新する前には、ヨーロッパのかなり数のクラブが彼に興味を示していたというのも伊達じゃない。
ぺぺから「ポジティブでいろ」とアドバイスがあったのが、色々と考えさせられますね
バロガン頑張ろがん
頑張ろがん…もう日本語のジョークも理解できるLOL