こんにちは。
ここ数日のライスのニュースはちょっとうんざりしてきたな。
ついに昨日、アーセナルがWHUの希望額と云われる£100m超えのオファー(£100m+5mというクラブ記録&英国選手記録)を出したというのに、支払い方法が気に入らないといってWHUはまだシティの出方を待っているという。ゴールポスト動いてね?
アーセナルが実際に現実味あるオファーをしても、WHUが決心しないのではどうにもならない。
そして、ブレイキングニュースを待ち続ける終わらない48アワーズ。
ソーシャルメディアでは、このオファーを彼らが受け入れないなら、われらはもうライスから撤退したほうがいいという意見も多くみかけるようになった。毎日のニュースを観ていると、いい加減そういう気分にもなるわな。わしもけっこう同意。シティが金に糸目をつけないのなら、いずれにせよ入札競争では勝てないのだし。馬鹿げたマネーゲイム。だいたい彼は残り契約1年ですぞ? ハムはいくらなんでも高望みしすぎだろう。
いっぽう、カイ・ハヴァーツは、AFCのメディアチームがやらかしてしまったようで、加入後に発表されるはずだったインタヴュー映像などが誤ってAppのほうにアップされてしまって(※もちろんいまは消えている)、流出コンテンツでもうほとんど公開状態という。発表のインパクトが台無し。これは担当者は胃が痛いやつ。同情する。
それと各種報道を信じるなら、ジュリアン・ティンバーは、ここまでアヤックスとスムースなやりとりですんなり決まりそうな雲行き。相思相愛で理想の契約。
というような感じで、アーセナルはこの夏にかつてない巨額を使おうとしているのは間違いないのだけど、そもそもそんなに大金を使って「FFPは大丈夫なのか?」という疑問はある。ちょっと以前のアーセナルなら考えられないほどの気前良さ。
それについておなじみの『The Athletic』(ジェイムズ・マクニコラス)が解説記事(※要課金)を書いていたので、今回はそれをざっくり紹介しよう。
「なぜ2023夏のアーセナルはFFPルールに抵触せずに£200mの巨額を使えるか?」by Gunnerblog
ラフな要約。この記事にも言及があるように、いつものフットボールファイナンス先生Swiss Ramble氏のデータも利用されている。リスペクト。
この3年のアーセナルの現状
- アーセナルは、Covidパンデミックが終わった2021夏から今夏まで、移籍市場で£300m以上をつかっている(£145m+£165m)
- アーセナルのこの3年間の税引前損失は£226m
- しかしこの夏にさらに巨額を使おうとしているアーセナルは、それでも冷静
2023~のアーセナルの著しい収入増加:PL、CL、スポンサー、放映権料
- 「アーセナルがFFPを憂える必要があるようには見えない」by リヴァプール大学の経済学教授
- 22-23シーズンのPL賞金(2位)と海外の放映権料分配金で£180m
- 早期敗退した22-23 UEL(ラスト16)で£30m
- エミレーツのスポンサー収入
- TV放映権料を見込める英国クラブとして、23-24 UCLでグループ突破なら£50m。もっと進めば£70-80m
- アーセナルは最後にCLクラブだったシーズン16-17の収入は£419m。23-24はそれを超える収入を見込んでいる
- ヨーロッパがなかった21-22アーセナルの収入は、ToTより£75m、チェルシーより£114m少なかった。23-24のアーセナルはそれを追い越す可能性がある
コストコントロールの著しい改善
- 「アーセナルはこの5-6年でコストコントロールをかなり改善している」by Sheffield Hallam大学のスポーツファイナンスのエキスパート
- たとえば選手の分割払い。ジェズースの£45mは5年分割払い(毎年£9mづつ)
- アーセナルの給与総額は、2018よりも2022のほうが低い(※ただし、新しい選手やCLクラブになり今後はそれが増えていく)
- アーセナルの21-22シーズンの給与総額£212mは総収入の58%。無観客シーズンだった20-21はこれが70%に達していた
- ちなみに21-22の給与総額はマンUが£384m、シティが£354m、チェルシーが£340m
選手の売却益
- この夏の£200mにもおよぶだろう支出は、ジャカ、パーティ、KT、バロガンらの選手売却である程度相殺される
その他
- チェルシー、レスター、シティ、WHUと違い、アーセナルは去年9月のUEFAのFFP監視リスト(19クラブ)に入っていない
- 英国のビッグクラブがUEFAルールに抵触しないのは、TV収入の恩恵が大きい
以上
アーセナルは、以前いつだったかFFP監視リストに入ったというニュースがあったけども、あれとは違うのかな。それとも最新リストから外れたということなのか。正直FFPは、UEFAのFFPとか、FAのFFPとかいろいろあって複雑で理解が難しい。
それにしても、アーセナルはどんどん健全になっていくなあ。たくさん稼いで、たくさん使って。そして強くなって。また稼いで。好循環。それだけ、仕事にまじめで優秀な人たちが、いまクラブに揃っているということなんでしょうな。エドゥやアルテタ、VV、ガーリック、ルイスらを筆頭に。オーナーもすっかりやる気になっちゃった。ちゃんとリターンのある投資。打てば響く。
あの、どこへ向かっているのかもわからないような混沌としていた時代がウソみたいである。
さあ、そろそろライスも決着がつきそうかな。どうなるにせよ、ビッグニュース。待とう。
おわり