今回もまた、われらはなんという劇的な試合を目撃してしまったのか。
ホームでほとんど90分間のあいだ終始やきもきさせられながら、追加タイムに入った残り数分の最後の最後でああなるとは。アーセナルのファンにしてみれば、去年のボーンマスに匹敵する圧倒的カタルシスな試合の終わり方だった。
しかもデクラン・ライスだよ。あの土壇場で違いを生んだのは、この夏のアーセナルFCが社運を賭けた105ミリオンの漢。興奮せずにいられようか。
そしてダメ押しのジェズース。ライスのアレももちろんすごかったけど、じつはぼくはジェズースのアレのほうが、もっと大きなガッツポーズが出てしまった。
なんでかって? そりゃ相手がマンUだからである。あの雰囲気のなか、土壇場でリードされてもまだあきらめない彼らを、お株を奪うみごとなカウンターアタックで叩き潰した。彼らのようなチームを地獄のズンドコに葬り去った無慈悲な鉄槌。一度殺しても死なないので、もう一度あらためて殺したようなものだ。痛快だった。
というわけで、今回はアーセナルのファンにとっては最高の試合だった。おめでとう同士諸君!
ただ、この試合をPLクラシックとか名勝負みたいに云うにはちょっとした抵抗はある。内容的には、お互い最高レヴェルでプレイしたとも思っていないだろうし。マンUは全般的にアウェイらしい注意深いパフォーマンスだったし、アーセナルもチャンスこそつくったがフィニッシュは大味で、またしてもホームで失点するなどこれまでの課題は残ったまま。あんな試合でこんなことを指摘するのは無粋ですまんけど。
彼らはともかく、アーセナルのチームには、もっともっとハイレヴェルでプレイできる余地がある。ひとまず、IBに入るまでの序盤の4試合は、シーズンのこれからに向けて明るい気持ちで終えたと云えそうだ。
試合を振り返ろう。
Arsenal score two late goals to stun Man Utd
今回はコメント集として、後半は追ってアップします。
アルテタの試合後コメント「(ライスは)すばらしかった」
試合直後のアルテタのインタヴュー。AFCオフィシャルサイトのトランスクリプトより。
アルテタ:お話が美しく終わった。観客の皆さんと選手たちには、ともにこのときにいてくれたことに感謝する。彼らはもうしばらくチームを応援してくれている。
これは、たくさんの歴史がある大きな大きな大きな試合だった。そして述べたように、われわれが行ったようにその終わりかたはブリリアントだった。
わたしはチームのメンタリティを愛している。決意、勝利への熱意、とにかくやるのだと。われわれは決してあきらめない。もちろん、議論していたはずの状況で最初に失点してしまった。もしあんなことをすれば、彼らには殺されてしまう。が、われわれもすぐに反応した。
わたしが思うに、100分以上にわたってチームは非常に支配的であり、試合に勝つにふさわしかった。ただ、フェアに云えば、あのチームとのマージンはとても小さいので、違う結果になっていた可能性はある。
(IB前に勝ったこと)これはとても大きなブーストになる。まだ4試合だ。われわれは4勝にふさわしかったことははっきりしている。しかし、フェアに云えば、われわれのようなチームがやっていることに対し、試合の終盤でのマージンが十分にない。
それこそがわれわれが進歩せねばならないところだ。なぜなら、不安な気持ちになってしまい、最後にマジックモーメントを待たねばならないというのは、われわれが頼りたくないものだから。
試合後のプレスコンファレンス。AFCオフィシャルサイトより。
(試合は計画どおりになった?……)
アルテタ:そうだ。まったくそのとおりのようだった。わたしは、昨日彼らにはこういうことは起きると伝えていたのだ。観客には伝えたくなかったから、ちょっと感情的になってしまった!
(どんな気分?……)
グレイト。われわれは全員がとてもハードにワークしてきて、こういう試合になるのも覚悟してきた。こうしたときはこれからもつづく。観客がチームととても繋がっているのを観ること、歴史ある今日のようなビッグマッチで祝福すること、それは素晴らしいもの。だから、わたしはとてもうれしい。
(完璧なパフォーマンスではなかった……)
そう。とくにわれわれが相手にあげてしまったゴール。最初のふたつのパスをしているときにインサイドでボールを失うことについては、われわれも話していた。あのチームにやれば、やられてしまう。われわれはまたやってしまった。
セカンドハーフでは、彼らは2点めを取る可能性だってあった。それは覆されたのだが。
試合のその他の部分は、勝利、決意、チームの熱意、勝利への意志とメンタリティがあった。とても誇らしく思う。
(終盤にゴールすることについて……)
わたしはブカヨがもっと早くゴールしてくれたほうがよかった。ほかにもチャンスがあったし! しかし、もしそれが起きないのなら、べつのやりかたで起こさねばならない。試合に勝つためには、チームはべつのツールが必要なのだ。
われわれには反応するキャパシティが必要だった。それは、ファーストハーフに見せたゴールのようなものだったと思う。そこが違いになり、トーンをセットしたと思う。チームに自信を与えた。だからとてもよかった。
(デクラン・ライスのパフォーマンス……)
すごいパフォーマンスだったと思う。ホールディングMFが自分のエリアを支配するために、必要なものはプレッシングだ。そして、彼がいかにブレイクアッププレイをしたか。多くの時間で、少しチームがゆるくなったときに彼がいかにチームをまとめたか。
彼は非常に支配的であり、そして試合に勝つためにマジックモーメントを生み出した。わたしは、彼にはとても満足している。
(デクラン・ライスのメンタリティ……)
われわれは昨日もそれをやっていた。だが、昨日の心拍数は80で、今日は190だ。だから、同じクオリティレヴェルを生むにせよ、そのときのプレッシャーは独特なのだ。今日、彼が示したように必要だったクオリティと落ち着きがあった。
(彼のドレッシングルームでのリーダーシップ……)
とても自然にやっている。彼はグレイトな少年だ。彼には、全員と自分自身に対して極めて厳しい面と、ちょっとした冗談を云う側面といいミクスチャがあると思う。選手たちやスタッフのあいだでも、非常に謙虚でいる。彼はすばらしく溶け込んでいると思う。
(ライスはよりゴールに関与できるようになっていく?……)
間違いなく。彼の技術力やああいうときの実行力を観れば。彼のシューティングレンジ、正確さ、スペイスがないところで生み出すパワー、両足。彼はそれを両足でやれるのだ。彼のボックスに侵入するときのタイミング、覚悟をもったポジショニング、彼が今後どれだけゴールしていくか。
つまり、結局はゴールというのはいかにそこにいつもいるかなのだから。
(今シーズンの序盤で勢いを維持することの重要性……)
どのチームにとっても、コンペティションは初戦だ。もし最初に勝てないのなら、つぎの試合、3試合め、そこからさらに34試合も残っている。だから、試合に集中することだ。自然にプレイしていれば、結果は来る。
もし勝利にふさわしければ、38試合のあとでふさわしい場所にいるはず。われわれは、そこに集中するほかない。まだとてもとても初期だ。
(トマス・パーティのケガ……)
わからない。残念ながら彼はトレイニング中にケガをして、あまりいいようには観えない。まだいくつかの検査は必要で、おそらく数週間のアウトになると思う。鼠径部のようだが、その中間のどこかかもしれない。
(インターナショナルブレイク前のチームのパフォーマンスレヴェルについて……)
とてもハッピー。われわれは4試合プレイして4試合で勝ちがふさわしかった。今回はまったく違う結果になった可能性もある。試合の終盤になってしまえば、それまであったチームの差は反映されない。
いまもわれわれのコントロールにおいては、もっとうまくやれることがあったし、チームがもっと早く試合に勝てるような方向へ、われわれは進歩と進化をつづけていくだろう。
(ファビオ・ヴィエラがつぎの試合でスタートする可能性?……)
どの選手にもそのチャンスはある。今日はカイでスタートすると決めた。とくに試合の終盤、最後の数分で必要なときには、ファビオがビッグインパクトをもたらしてくれるとわれわれもわかっていたし、彼で状況を変えることができる。
彼が入ってきたときの観客の様子が去年とは違うことに気づいただろう。彼はより成熟して、スクワッドのなかではシニアになってきた。自信もとてもつけている。そうしたオプションを持てることが、わたしはとてもうれしい。
以上
意外にあっさりしたコメントに感じた。こんなふうに感情を爆発させていたので、もっと興奮した感じかと思った。
デクラン・ライスの試合後コメント「ぼくらは絶対にあきらめない」
スーパーライスのスーパーゴール。アーセナルでの初ゴールは忘れられないものに。試合後インタヴュー。AFCオフィシャルサイトより。
ライス:ゴールして、ステディアムが噴火して、安堵して、こんなすごい試合で3ポインツ取ることができた。素晴らしいことだし、これこそぼくらがフットボールで目指しているもの。
(最初の失点後すぐゴール)バウンスバック。こんなにも若いチームでファイト、スピリット、ハンガーを示した。スクワッドのなかにあるメンタリティが観られただろう。ぼくらは絶対にあきらめない。
マインドセット、メンタリティ、エナジー。ぼくらはチャンスはつくっても、いまそれをフィニッシュすることができていなかった。それは必ず来るし、ぼくらを毎日進歩させようとしているマネジャーがいる。ぼくらは、学ぶことに貪欲で、このスクワッドにはいいことをやれるちからがある。
こんなにもアタッキングフットボールをやっていれば、ピッチの高いところでボールを奪いたいが、そうなればときにはカウンターアタックにさらされることもある。
ぼくらは、自分たちが知っていることにこだわっていく。証明していくことをつづけ、ドアをプッシュしつづけて、最後にそれが報われる。
ファンはずっとチームといっしょにいてくれたから、あのフィーリングには本物の変化があった。彼らもあの瞬間に興奮していた。
“Ice Ice Baby”のVanilla Iceは、最近突然印税が増えて驚いていたりして。
アーロン・ラムズデイルの試合後コメント「(ライスが)プレッシャーを感じているのかどうかもわからない」
セイヴ1。マンUのSoTは2なので、あの失点とあのセイヴだけ。GKとしての見せ場は多くなかった。AFCオフィシャルサイトより。
ラムズデイル:あんなエンディングだったから、どっちに転んでもおかしくなかったと思う。3-0で楽に勝ちたいと思うかもだけど、ああいう気分を味わえるのは、フットボールでもあまりないことだ。
IBの前にすばらしい終わりかただった。これでぼくらも一息つける。リラックスして楽しむよ。
ハチャメチャな試合だったね。1-0でリードされて、1-1になり、そのあとペナルティかと思ったらそれもなく。その後には失点したと思ったらしてなかった。
だから、アーセナルウェイでプレイをつづけることだ。自分たちのやりたいようにプレイする。これは選手たちにとってのtestamentだ。ぼくらは自分たちのやっていることをただ信じている。
今週、マネジャーが云っていたように、芝生の上で関係性は築かれる。それが4-5日のトレインでユニットになっていく。ジンチェンコがケガから戻ってきたが、観てわかったように、クリックし始めるまでゆっくりだった。
(ライスについて)彼はずっとニコニコしている! ぼくはべつのインタヴューで、彼にかかっているプレッシャーを取り除けるか訊かれたんだけど、彼がプレッシャーを感じているかどうかもわからないんだ。
彼がこんなに早くゴールできたのはグレイト。ぼくらは彼にもっとゴールしてほしい。し、もっとシュートしてゴールできるポジションにいてほしい。彼はファーストハーフにヘッダーでゴールしているべきだったかもしれない。
それと、彼が後ろに戻っていくところも観られたはず。だから、彼がアーセナルで4試合プレイして、もし彼がもっとチームと時間をともにすれば、チームがもっと彼といっしょにいれば、ここからシーズンの終わりまで、まったく違うデクラン・ライスが観られるはず。彼はトップだ。
セレブレイションはクレイジーだったな。ぼくらもRice Rice Babyを歌った。正直、おかしな午後だったよ。ぼくもフットボールステディアムでRice Rice Babyを聴くことになるとは思ってもみなかった。40才から18才までの人たちがみんなで踊り狂って。でもそれがフットボールであり、ぼくらが愛するもの!
ジェズース&マルティネリの試合後コメンツ
ブラジルメディア? どんなことを話しているかぼくも知りたいので、トランスクリプトを見つけたら、あとで追記するかも。
⚽️. @gabimartinelli com @j_castelobranco 🎙️
Entrevistas completas no podcast essa semana. pic.twitter.com/pmyvoMPNir
— Correspondentes Premier (@CorrespoPremier) September 3, 2023
エリック・テン・ハーグの試合後コメント「オフサイドはなかった」
マンUボスが試合後にナイスなコメントを残してくれて、さらにナイス。負け犬はこうでないと。
ETH:われわれのパフォーマンスは悪くなかった。いいプレイをしたと思う。だが、多くの決断がわれわれの味方にならなかった。そうなれば試合には勝てない。われわれも試合に勝つには、多少でも運は必要だった。
(Alejandro Garnachoのゴール)あれはオフサイドではなかった。(VARの)間違ったアングルだ。
(ハヴァーツの)ペナルティがないならカードが出ないとおかしいし、Hoijundはペナルティだった。われわれが失点したときはJonny Evansへのファウルがあったのに、なぜそれが許されたのか。まったくclear and obviousだ。
チャンスがあればフィニッシュしなければと云うこともできるし、1-0のあと失点すべきじゃないとも云える。それも真実だ。しかし、わたしはパフォーマンスには満足していたんだ。
勝った試合のあとで、こういうのは、もっともっと聞きたい。
レヴューエントリの前半は以上。後半はあとで
IB明けはよっぽどのことが無い限り、ビエイラとジェズスの先発でお願いしたい。
エディはプレスに積極的でなく、まるでウォルコットのように怒られない程度に手を抜く、蹴られそうだと最後まで行かない。ウーデゴールが何回も詰めろ、行け、と指示してたけど見ないふり。
あと、彼はオンザボールで前向いてドリブルができず、かといって狭いスペースでファーストコントロールで
シュートできるところに一発で置くこともできず。
悪いけどエディはレベルが低いと思う。冬にはリーグアンにローンで出そう。バログンの方が上じゃね?
ミトロビッチやジルーなど見てて、CFは専門職で年取っても結構できるなぁと思っていたけど、タッチなどは彼らはマジックを持っている。ヒメネスやホイルンドは身体で相手を困らせるし汚れ役をやる決意がある。
エディは悪い意味でウォルコットたちのように美味しい所がスキな気がする。
テン・ハーグの最高の負け惜しみで、旨い酒が呑めそうです。(^o^)
ライスも、ジェズースも、オーデガードも、ファビオも良かった。
けど、一番はガブリエル。
あのストップは見事!神業でしたよ。
この後、ノースロンドンが控えてるので、皆様、無事にチームに帰って来て下さいね。