先日行われたスウォンジーvsアーセナル戦でのBBCライブテキストより。
前半終了間際の44分、スウォンジーのキ選手がペナルティボックス内に侵入し転倒。すわペナルティかとスタジアムが固唾をのむなか、レフェリーのマイク・ジョーンズはすかさずキ選手にイエローカードを提示。キ選手の小汚い手口に欺かれなかったレフェリーは拍手喝采を浴びたのであった。
個人的にキ選手はいいCMだと思うけど、レイシストだしダイバーだしでメンタリティに問題のある選手だ。
エミレーツ地方に在住だという日本人グーナーの方もいっていたように、ダイブは本当に厳罰化がふさわしいと思う。おれもつねづねそう感じている。
そんななか、FA(The Football Association)がダイブ/シミュレーションについて、出場停止のペナルティを与えることを検討中だというニュースがあった。
各紙の報道によれば、FAはダイブと怪我の虚偽申告(時間稼ぎ?)に対しては出場停止処分を下す方向で動きはじめたという。
このルールはすでにスコティッシュ・リーグで導入されているということで、FAは現在取材調査中であるとのこと。プレミアリーグでは現状、暴力行為のみが出場停止処分の対象となっている。
直近でも、ハル・シティのスノドグラスがクリスタルパレス戦で本人も認めたというダイブ、スウォンジー戦でスパーズのアリがフリーキックを獲得した疑惑のファールと、シミュレーション行為はますます注目を浴びるようになっている。
今回のこのFAの行動については、健全なプレミアリーグ運営のためにもまったく理にかなった処置といえる。
イエローカードの何%がダイビング? (C)BBC SPORT
先日、クラブ・ワールドカップがらみでVARについても書いたけれど、ダイブを始めとした選手による不正が注目を大きく集めだしたのは、テクノロジーの進化と無縁ではない。HDTVの普及やカメラの高機能化などによって、シミュレーションがシミュレーションだと、現場の審判よりも、お茶の間にはっきりと伝わるようになってしまった。
そして将来にはもちろんビデオアシスタントレフェリーがある。それがレフェリーの目の届かないところで行われたとしても、ほとんどの不正がこれで暴かれてしまうだろう。
たしかにダイビングの判定は決して簡単ではない。怪我をしないようにタックルをよけるのはフットボーラーの本能であろうし、それが本当にレフェリーを欺くためのチート行為なのか、あるいは(故意でなく)タックルをよけたために接触せずに転んだのか、見抜くことは難しい。
VARが導入されたとしても、それは「目」に過ぎない。それを見て判断するのは人間である。
もしVAR導入以降に、それがレフェリーを欺く行為かどうかの判断すらAIなどのテクノロジーに委ねることになったときに、「(間違った)レフェリングも試合のうち」といった価値観が存在するような、古き良きフットボールの時代が本当に終わるという気がする。