アーセナルファンのあいだで、ファーストチームデビューへの期待が日に日に高まっているマックス・ダウマン(15)。すでにファーストチームのトレイニングに加わることも、彼にとっては日常になっている。
今晩のFAカップ、マンU(H)でも彼のスクワッド入りを望む声は少なくない。
そんななか、The Athleticが15才のヤングタレントが置かれている特殊な状況について記事をアップしていた。「なぜマックス・ダウマンはFAカップでプレイできてPLでできないのか」。
Why Max Dowman, 15, can play in the FA Cup for Arsenal – but not in the Premier League
そう、彼は今日のFAカップではプレイできても、今シーズンのPLではプレイする資格がないという。FAユースカップに至っては、対戦相手によってプレイできたりできなかったり。いったいなぜ?
マックス・ダウマン(15)は今シーズンのPLでプレイできず、FAカップではプレイできる
記事を要約しよう。※記事全文はオリジナルをご参照。要課金 ※小見出しは訳者による
フットボールはますます若年化している
- 15才でFAカップデビューを果たした選手はこれまでに14人おり、そのうちの6人はこの10年で起きていて、さらに今世紀以前の例は、Jermaine Pennantただひとり
- FAカップ全体の記録としては、Paris Hamilton-Downesの13才11ヶ月1日があるが、それは2019年ノンリーグチームの予選でのできごとだった
- フットボールはますます若くなっている。今週末のFAカップ3rdラウンドでも、とくにビッグクラブが早いステイジでチームをロテイトする機会になっていることもある
注目されるマックス・ダウマンの最年少記録
- そんな選手のひとりが、アーセナルのマックス・ダウマン。もし彼が日曜のマンU戦で少しでもプレイすれば、FAカップ(プロパー)の記録を破ることになる
- 去年9月、彼はUEFAユースリーグの最年少ゴール記録をつくった。14才8ヶ月19日。そして先月の彼はアーセナルU-21の最年少プレイヤーにもなった。12月31日に15才になる一ヶ月前
- 彼がファーストチームでプレイすれば、イーサン・ワニエリの最年少記録を破る。それに、彼はもうアルテタのチームのトレイニングに参加している
- ワニエリはPLにおける最年少記録を持っている。15才5ヶ月28日
- しかし、異なるコンペティションにおける奇妙な一貫性のなさで、ダウマンはFAカップのプレイ資格はあるのに、今シーズンのPLではプレイできない
FAとPL、コンペティションでの微妙なルールの違い
- FAのルールによれば、16才以下のアカデミー選手は正しい登録手続きがあればFAカップでもプレイすることができる。選手の親・保護者・学校からの書面による同意
- いっぽうPLでは、U-16のエイジグループを下回る選手はマッチデイスクワッドに入ることはできない。つまり、今シーズンPLでプレイするためには、その選手が2024年8月31日までに15才になっていなければならなかった
- したがって、ダウマンがPLデビューできるもっとも早い時期は2025年8月になる。それは、ワニエリが2022年にデビューしたときよりも、数ヶ月年長になっているタイミング(ワニエリのPL最年少プレイヤーの記録は破れない)
- ルールにはほかにも独特なものがある。ダウマンは今回のエミレーツでのマンU戦でプレイできるにも関わらず、12月のFAユースカップのサードラウンド、アウェイで4-3勝利したHertford Town U-18戦では、年齢のおかげでプレイできなかった
- FAユースカップのルールは複雑だ。今シーズンはすべての試合で、ナショナルリーグのクラブが参加していて(たとえばHertford Town)、彼らと対戦する試合では2024年8月31日までに15才になっている選手だけがプレイする資格がある。したがって、ダウマンにプレイ資格はなかった
- しかし、試合の相手がPLかEFL(English Football League)クラブの場合は、選手が2024年8月31日までに18才以下の選手がプレイできるため、ダウマンもその試合でプレイできた。アーセナルは4thラウンドでQPRと対戦している
- つまり、マックス・ダウマンは今シーズンのPLとFAユースカップの4ディヴィジョン以外との試合では、プレイ資格がない
- 奇妙なルールである
以上
彼が今シーズンのPLのプレイ資格がないという話は、もっと広く知られていてもおかしくなかったと思うが、ちまたの反応を見るに今回この記事で知ったというひとが多いようだ。それも不思議。ていうか知ってた? わし知らんかった。
英国フットボールリーグの説明
最後のほう、英国のディヴィジョン(リーグ)の話がややこしいか。おさらいしよう。ググってみつけた画像。これはわかりやすい。
ピラミッドの頂点にEPLこと「プレミアリーグ」があって、その下に「チャンピオンシップ」、「リーグワン」、「リーグトゥー」(この3つの下部リーグがEFL)。そこから下はまとめてノンリーグ。10年ほど前、レスターのジェイミー・ヴァーディの「ノンリーグ出身」というサクセスストーリーもありましたね。
マックス・ダウマンのシニアデビュー?
ダウマンのファーストチームデビューへの期待。
この件は、このブログでも毎回ずっと待ってるみたいに書いてるのだが、誰かが「15才にそんなに期待するほうがおかしくね?」と正論を云っていて、それもそうかとちょっと反省している。
ワニエリの事例があったし、アーセナルファンとしては「ヘイルエンドすごい」をつい期待してしまっていた。記録をつくれば、また誇らしくなるのかと。
でも、冷静に考えれば、たしかに15才にあせる必要はまったくない。ましてや、いまファーストチームはケガ人など問題を抱えている最中で、そんなときに彼のような子どもに頼るのは、むしろちょっとまずい。彼がシニアデビューの機会を与えられるなら、もっとプレッシャーのないときでなければならない。その余裕があるとき。と、ミケルも考えているかもしれない。
だから、マックスボーイのことは、ちょっと茶でも飲んで落ち着きましょうかね。
お聴きください。Mac DeMarcoで“On the Level”。チルいよ。
おわり