つい昨日、このブログでもGyokeresのアーセナル行きが泥沼化?なんてことを書いたら、なんと昨日の今日でスポルティングとアーセナルの交渉に待望のブレイクスルーが訪れた模様。
🚨 Arsenal in process of completing move for Viktor Gyokeres after taking final steps in negotiations with Sporting Lisbon. #AFC made formal advances on deal terms over weekend in bid to secure 27yo #SportingCP striker. 5yr contract lined up @TheAthleticFC https://t.co/sL5lKu4oPS
— David Ornstein (@David_Ornstein) July 13, 2025
オーンステインがブレイキング。
ロマーノも現時点までHere we goこそ出していないものの、今晩(※現地時間7月13日)には合意に達するだろうと認めている。
スポルティングCPプレジデンテの強気な発言から状況は一転。いったいこの間になにが起きたのか。
アーセナルとスポルティングがViktor Gyokeresの移籍で原則合意
日本時間今朝早くに公開されたThe Athletic(オーンステイン&Mario Cortegana)の記事から引用しよう。
アーセナルは、スポルティングCPとの交渉で最終段階を踏んだあと、Viktor Gyokeresとの契約のためのプロセスを完了しつつある。
原則合意は成立しており、移籍金は€63.5m(£54.8m)の固定に、€10m(£8.6m)のアドオン。この合意成立を援助するために、ストライカーのエイジェントは自らのフィーを放棄している。
この交渉は、スポルティングのプレジデントFrederico Varandasが、選手が信じる約束(€60m+10mアドオンのオファーで移籍許可)を拒否することによって長期化していた。
アーセナルのオファーはその金額を上回っており、これで彼らは移籍を実現するための条件について正式に進められる。
移籍金が安い?
ほかのメディアもオーンステインが報じている金額をそのまま伝えているところが多いので、€63.5m+€10mの移籍金は定説になりそうである。金額に微妙な端数が入っているところに、交渉の難しさがにじむような。
この金額は、前回このブログでも伝えた「スポルティングの要望€70m+10m、アーセナルの提案€65m+15m」とはわずかに金額が違っているが、おとといBBC Sportのサミ・モクベルが「アーセナルのオファーはアドオンを含めて€70m」と伝えていたのが、正解に近かったように思える。そこから最終的に少し上乗せされて、ダメ押し。みたいな。
これ、€だとまあまあの金額のように見えるが、£だとおよそ£55m+£8mみたいな見た目である。Maduekeとたいして変わらんのだが…… まあ、給与も含めるとかなり変わる可能性はあるか。
交渉の決め手は代理人手数料の放棄?
ハードネゴシエイターの相手と長期の交渉。それを最終的に打開したのは、代理人コストだったのか。クラブ間でどちらが支払うか揉めていたと云われるやつ。オーンステインはエイジェントがそれを「放棄した(waived)」という。
これに関してBen Jacobsの指摘。
🚨 Exclusive: Arsenal are expected to pay an initial fee of €63.5m for Viktor Gyökeres with a further €10m in add-ons.
Sporting no longer have to pay a 10% agent commission, which was required in their original €70m+€10m asking price.
The removal of this has allowed… pic.twitter.com/qyWuUctS9c
— Ben Jacobs (@JacobsBen) July 13, 2025
独占:アーセナルはViktor Gyokeresに対し初期費用€63.5Mを支払う見込みでさらにアドオンとして€10m。
スポルティングは、もうエイジェントコミッション10%を支払う必要がなくなった。これは、彼らが当初求めていた€70m+10mにかかるもの。
これを排除したことにより、アーセナルは固定の移籍金を低くおさえることができた。そして、スポルティングは手数料が免除されてそれを差し引く必要がなくなったおかげで、同じ金額を受け取る。
現在はアドオンの最終調整中。
この移籍に際しては、実現のためにGyokeresが本人のサラリーのなかから€2mを放棄すると云い出したり、今度は代理人が手数料を取らないという。なんというわがクラブの引きの強さよ。彼らはどうしてもアーセナルに行きたかったし、行かせたかった。いまのマンUじゃこうはいかんなあ。ガッハッハ。
それにしても、こんなのある? とくに代理人の決断。
いや、選手がサラリーの一部をあきらめるというのは、理解できる部分はある。どうしてもその移籍を成立させたくて、それが金でこじれているのであれば、それは高給をもらう選手が取れる手段のひとつだ。フットボーラーにとっては金がすべてじゃないから(なかにはそういうひともいるみたいだけど)。しかし、代理人の手数料というのは彼のビジネスそのものだろう。その免除を受け入れるとはいと信じがたし。
ちなみに、彼の代理人はHCM Sports Managementという大手エイジェンシー。TMによれば、顧客にはFrenkie de JongやAntonio Rüdigerといった有名選手も多数含まれる。そのような企業がなんの見返りもなく、こうした振る舞いをするとは思えないので、この決断から得るなにかしらの利益があるということなんだろう。表に出ないような。
彼らの会社の評判のため? 選手に尽くすいい代理店というイメージアップにはなるか。いやいや、それだけのために€7mだか8mといった金額を逃すとは思えない。日本円に換算すれば、12-13億円もの巨額である。あるいは、全体放棄ではなく、その一部だったとか。謎が多い。
いずれにせよ、この取り引きにおけるブレイクスルーに代理人手数料が大きな役割を果たしたのは間違いなさそうだ。
Gyokeresの契約にセルオンを持つものたち。スポルティングが高い移籍金にこだわった理由?
Gyokeresには複数クラブがセルオン(※将来に発生する移籍金%を得る権利)をつけているようだ。
こちらもBen Jacobs。
Coventry City retain a 10% sell-on as part of Viktor Gyökeres’ imminent Arsenal move.
Was originally 15%, but they sold back 5% to Sporting at the start of the season.🇸🇪
🚨 And Brighton have a 15% sell-on.
With @alex_crook. pic.twitter.com/zC4jh3Wf9y
— Ben Jacobs (@JacobsBen) July 13, 2025
コヴェントリーが10%。そしてブライトンが15%。あわせて25%? これは事実ならけっこうでかい。当然彼らもそういうもともとの契約で彼を安価に獲得しているわけだから、わかっていたことだろうが、自動的に利益の1/4を失うというのは痛い。仮に全体が€80mなら元クラブたちに支払わねばならない金額は驚きの€20m。
彼らが移籍金でしばらく譲らなかったのは、そういう背景があったのかもしれない。
アーセナルのビッグサマーはつづく
さあ、やっとGyoに目処がついた。ここからまたこじれるとかはやめてほしい。
つぎにアーセナルが本格的に向かうのは、パレスのEzeだと云われている。もしやこれはかなり順調では?
その他の案件について。
まず、すでにCWCファイナルを待たずにUSからロンドンに戻っているというMaduekeが月曜にメディカルということ。
それと、ヴァレンシアのMosqueraも最初のオファーこそ断られたものの、本人も移籍に前向きで、クラブ間の合意にも大きな問題がなさそうというので期待できる。
今週は、Maduekeのアナウンス、GyoのHere we goなどがありそうだ。あとワネーリの新契約もある。
ちなみにMaduekeは、アーセナル移籍が完了したあとCWCの分の休暇をとり、プリシーズンの途中で合流の見込みだとか。そうなれば、GyoやMosqueraの合流のほうが早いかもしれない。
ところで、これまでの獲得(交渉中を含め)と既存スクワッドをまとめたグラフィックが、チームバランスがわかりやすいとredditで好評だった(※JFedererJ氏のオリジナル)。
素晴らしいデプスとバランス。これはなかなかよいですねえ。
Rodrygoについて
Rodrygoは、いなくても全然強そうというか、おそらく彼はないだろうね。日々報じられるように彼のRM退団が濃厚になりつつあっても、最近はますますそう思うようになってきた。Maduekeの件に関わらず。
彼の移籍金(€80-90m?)はともかくとして、実際彼を獲得する場合、高い給与要求(300kpw↑)に加えて、高い代理人手数料や契約金といった表に見えない非常に高いコストがかかるだろうという。Haalandみたいなもんである。PSGやバイエルンも彼に強く興味を持っているそうで、移籍金だって釣り上がりかねないとなれば、ますますアーセナルが向かうタイプの案件じゃない。
上のバランスを観てもわかるように、以前にオーンステインが主張していたように、RodrygoのようなトップWGが来るなら、高く売れるマルティネリの売却は避けられないだろうし、アルテタがそれをやりたがるとは思えない。トロサールOUT、Rodrygo INは理想的シナリオではあるけども…… Ezeが毎試合でベンチとは思えないので、やっぱりないか。
売却について。キヴィオール? トロサール?
今週のアーセナルは売却でも忙しい一週間になるとHenry Winter。
興味深いのは、彼がジンチェンコやネルソン、ヴィエラといった売却対象のなかにキヴィオールを含めていること。彼本人はファーストチョイスではなくても残留にも前向きだったが、実際スクワッド事情からするとやや余剰戦力であることは否めず。比較的いい金額で売れそうな彼を軍資金のために売却しようとしてもおかしくはない。
それと、トロサールの周辺も騒がしくなってきた。彼が7月に代理人を変えていたのは以前このブログでも伝えたとおり。それがドイツ人?らしく。Christian Falkによれば、バイエルンからの興味は本物で、もしLuis Diazが頓挫すれば、オプションのひとつが彼になるという。もしLuis Diazがだめならって、ネリのサウジの噂のときと同じだな(笑)。
True✅ FC Bayern Munich is interested in Leandro Trossard (30) of Arsenal
❇️ The Belgian international is one of the candidates if the transfer of Luis Diaz falls through
❇️ Trossard also changed his management at the beginning of July and is now being advised by German agent… pic.twitter.com/9t0qqVeUR2— Christian Falk (@cfbayern) July 13, 2025
The Guardianのようなメディアも、トロサールについては「財政バランスを維持するために売却されるかもしれない」と指摘していた。バイエルンやサウジからの興味があり、想定される移籍金は€20m。
この件に関しては、トロサールの意向を考えればこういった噂が取りざたされるのは理解できる。この夏のアタッカーエリアの補強を観ても、新シーズンはプレイ機会がこれまでよりも減ることは十分に予想できるため、彼が新天地にプレイ機会を求めるのはまったくおかしくないから。
さて、まとまった金額になりそうな彼らを含めて、アーセナルはどれほど売却ビジネスをうまくやれるだろうか。
この夏は、アンドレア・ベルタがかなりファンに称賛されており、売却のほうの期待度も高い。これからどうなるか観てみよう。
おわり