これはアーセナルのCL史上、記録と記憶に残る試合となった。ホームであのアトレチコに4-0勝利。
とくに、後半のあの怒涛のような13分間。逆さにして振っていたケチャップの中身が急にドバっと飛び出てきちゃったみたいな。
今回はアルテタとシメオネのチームの対戦ということで、試合前には“boring”な展開を予想する声も少なくなかった。両者ともに、攻撃というよりは守備を基礎に強いチームを築き上げたことで知られるコーチだから、慎重な試合展開になるのではないかと。
しかし、これは思った以上にエキサイティングな試合だった。もちろん、われらアーセナル視点からであるが。この2チームを似たようなカテゴリに入れる向きもあるが、この試合においてはアトレチの消極的なアプローチが、アーセナルの積極性を浮き彫りにしたところもあり、両チームの違いは鮮明だった。
現時点では、今年のPLとCLのタイトルの本命のように観られつつあるわれらであり、今回はそれに恥じないすごいパフォーマンスだった。これは、まさしく宣言となる勝利。
試合後のソーシャルメディアでは、アーセナルヘイターたちのぐぬぬな声がたくさん聞こえてきてこれまた痛快だった。ふだんは何かと揶揄する彼らも、今回のわれらの圧巻のパフォーマンスには文句のつけようがなかった。
試合を振り返ろう。
Arsenal 4-0 Atletico Madrid: Viktor Gyokeres double in Champions League win
アルテタの試合後コメント「(ヨクレス)彼がこのチームをよりよくしている」
試合直後のアルテタのインタヴュー。AFC公式サイトより。
アルテタ:相手がとてもオーガナイズされたチームであることは、われわれも話していた。彼らの組織を崩すためには、教科書に載っていないことをやらねばならないし、ただパスをするだけとか、得点のパターンに頼ることではなし得なかった。
インスピレイションを見つけることによってそれをなさねばならず、そうしたマジックモウメンツを試合を通していろいろなやりかたでつくる必要があった。わたしは、チームがステップアップできて、そうしたときをつくれたことにとても満足している。
これはゴールのあまり入らないスポーツだ。だから、われわれは守備でベストである必要があり、攻撃でベストである必要がある。それはつまり、いろいろなアングル、違うやりかた、違う選手でゴールを決められるということ。われわれは、そのカテゴリーでもたしかに進歩している。
パフォーマンス全体でも素晴らしかったと思う。われわれの支配、勝利への権利、そして効率。これがCLのレベルでありカギとなるもの。
(ヨクレスの2ゴール)彼のためにもとてもうれしい。なぜなら、このチームのなかで称賛と笑顔がふさわしい選手がいるとすれば、それは彼なのだから。
彼がチームにもたらすものはすごいものだ。今日彼は2ゴール決め、笑顔が観られた。彼の周囲に選手が集まり、なんとうれしそうにしていたか。彼のマネジャーも同じだよ。
大きな相手に大きな勝利。大きなCLの夜。われわれはとてもハッピーで、個人としても集団としてもチームパフォーマンスが誇らしい。もちろん結果も。
試合後の記者会見。AFC公式サイトより。
(CLでこのパフォーマンスが築かれている……)
- わたしは極めて満足。とても強いチームに対しパフォーマンスと結果が誇らしい
- わたしは彼らを分析して非常に素晴らしいと思ったし、今日の彼らを観てもそう思う。だからわたしはその難しさがわかっていた
- 彼らの試合の状況への対処や、振る舞いはとても素晴らしい
- 大いにアグレッションや忍耐が要求された
- HTで0-0だったが、われわれは2-3のビッグチャンスをつくっていた。だから忍耐が必要だった
- だが同時に、ちょっとづつもっと打撃を与えるべき場所をセットしていった
- われわれはCLでそれを成し遂げた。とても効率的でもあったと思う
(ヨクレスにゴールが戻ってきた……)
- 彼がチームにもたらしているすべて、それにたくさんのエリアでいかに彼がチームを助けているかを考えれば、彼はそれにふさわしかった
- この数週間はゴールだけが足りなかったが、疑いはなかった
- 彼が信念を持ちつづけること。感情の状態を保ち、自由にプレイすることを楽しめること。今日の彼はそれをやっていたと思う
- 彼は2ゴールで報われた。笑顔があった。チームメイトたちもみんなうれしそうだった
(ゴールを決めないときもヨクレスのワークがあった……)
- つまり、彼がこのチームをよくしてくれているということ。われわれはもっと予測不能なチームになったと思う
- 彼はとてもフィジカルで、みんなのためにスペイスを開けてくれる。彼のプレス、ボールも持ち方、ただもうすごい
- そして結局のところ、われわれが彼について議論する最大のことはゴール
- 彼は今日ふたつの難しいゴールを決め、これで彼の勢いがつくことを願う
(スクワッドデプスがありながらチームを選ばねばならない……)
- とてもいいこと。今日はマイルズもガビーもスーパーブだったと思う
- インパクト、チーム、結果、彼らは最初から準備万端だった
- ああいう選手が入ってきて、われわれは違うやりかたで使うことができる
- わたしが考えるのは、彼らをずっと関与させつづけておくこと。そしてプレイするチャンスがあり、あのレベルでプレイできるなら、それは喜び。それが日々のトレイニングセッションのレベルを上げていく
- スタンダードも上がり、よりよく競えるようになる
(MLSのパフォーマンスについて……)
- 彼があの年齢で去年12月からこれまでやってきたことを見れば、これはすごいことだ
- しかし、わたしが以前にも述べたように、彼はとても集中している。とても謙虚。それがいい
- チャンスがあってプレイするとき、準備ができている。今日の彼はとてもよかったと思う
(ポジション争いがチームをプッシュしている?……)
- それこそ必要なこと。ヨーロッパのトップチームを見れば、どこにもそれがある
- われわれはそれをとてもまとまりのあるシステムでやりくりする必要があり、全員がそれぞれ違う役割があることを理解する必要がある
- しかし結局は試合に勝つ権利を得ることであり、試合に勝つこと。それが最終目標
(1ゴールを失いそうになったときの選手たちの反応……)
- それは感じられた。相手のフロントラインに少しでも時間と空間があれば、ボックスの周辺に走り込まれる。彼らにはそのクオリティがある
- 彼らは個人のアクションであのようにしてたくさんの試合に勝っている。信念がある
- 彼がバーにヒットさせ、ありがたいことに、その後にこちらがゴールすることができた
(アーセナルのプレイのスタイルへの批判への回答……)
- それよりは結果
- われわれの試合の準備は、つねにできるだけ相手を苦しめることであり、できるだけ頻繁にそれをやり、選手たちに最初からクオリティとキャパシティを出させるようにすること
- そしてこれはフットボール。うまくいったり、いかなかったりする
- 今日は恐ろしく効率的だった。このコンペティションではそれがカギになる。とてもうれしい
(この2シーズンと今年のCLの違い?……)
- 成熟や経験があると思う
- そしておそらく今年はCLでもっとたくさんの試合がある
- なぜなら、とくにホームでいくつかのとても成功した試合があるから
- そうした試合をここでプレイするときのエナジーは素晴らしいと思う。それがかなり助かる
さすがのミケルも上機嫌。
ヴィクター・ヨクレスの試合後コメント「ずっとゴールしたかった」
待ってましたの2ゴールといつもの献身的パフォーマンス。納得のMOTM。AFC Mediaによる試合後のインタビュー。AFC公式サイトより。
VG:ゴールを決めるのはいつだって素晴らしい。とくに、この場所、このコンペティション。グレイトなフィーリングだ。
ぼくはよりハングリーになっている。いつだってワークレイトやほかのことでもチームに貢献したいとは思っているが、ゴールも決めれば、それはちょっと特別になる。これがぼくがいつもやりたいと思っていたこと。
(チームメイトたちからのサポート)とても重要。彼らは素晴らしい。ぼくらのグループにはちょっと違う特別なスピリットがある。
素晴らしい気分。チームは今日たくさんのことをやれたし、パフォーマンスもすごかった。
HTの(アルテタからの)メッセージは、このままつづけろということだった。もちろん、多少の調整はあったけど。でもぼくは前半もチームはよくやっていたと思うし、正しいことをつづけて、チャンスが来たときにそれをフィニッシュした。
試合に勝ち、こういうパフォーマンスができたとき、それがチームのなかで自信になる。信念はつねになければいけないが、それが信念をブーストさせるから。
ぼくらはこれからもこのように継続していきたい。
CL公式のインタビュー。UEFA公式サイトより。
(今日のパフォーマンスにはどれほど満足?……)
もちろんとても満足。スタートもとてもよかったと思う。相手にもいくつかのチャンスがあったが、ぼくらが全体的にコントロールしたと思う。
今日は4ゴール決めてクリンシートだから、ぼくらのプレイがよかったということ。
(13分間で4ゴール。ピッチ上はどのような感じだった?……)
ぼくらはつねに継続しようとしている。守備でも正しいことをして、ああいうチャンスがあったときのぼくらはめちゃくちゃ強い。今日のぼくらはとてもうまくやったと思う。
VGはCBS Sportsのポストマッチショウにも登場。アンリやキャラガーといったパンディットとのやりとりも。14シャツを選んだ経緯などについて話している。それにしても、このひとたちいつもキャッキャッと楽しそうである。
“There’s a lot of goals in that shirt and a lot of goals to come.”
Viktor Gyökeres on wearing Thierry Henry’s iconic No. 14 for Arsenal 🔴⚪️ pic.twitter.com/ZK6qLlGpHy
— CBS Sports Golazo ⚽️ (@CBSSportsGolazo) October 21, 2025
ガブリエルの試合後コメント「大きな勝利を楽しまないと」
死・税金・ビッグガビ。G1 A1でもうひとりのMOTMといえよう。Amazon Prime Videoより。
(試合を振り返って……)
ガブリエル:とてもうれしい。ホームでファンの前だ。それにアトレチコのようなビッグチームが相手。大きな勝利だし楽しむ必要がある。
でも、日曜の試合もあるからちょっと休まないとね。
(またしてもセットピース。あなたのゴールについて……)
ナイスだった。あれはぼくらがたくさん取り組んでいるもので、ぼくだけでなくチーム全体で。ボックスのいつどこでなのか。もちろんデクラン・ライスも。
(さらなるクリンシート。どれだけ自信になっている?……)
かなりの自信になっているのでいいこと。まだシーズンを始めたばかりだけど、これをつづけていく必要がある。プッシュしてたくさんワークして。
(まだ先は長いですが今年アーセナルはタイトルを勝ちとれる?……)
これをつづけていく必要がある。チームとしてワークして、お互いを信じること。もちろん今年大きなものを成し遂げたい。
(あなたとの英語インタビューは初めて! 完璧!……)
Thank you. Thank you.
最後はちょっと苦笑い。
Diego Simeoneの試合後コメント「アーセナルは今シーズン対戦したなかでベストチーム」
勝ったので。Amazon Prime Videoの試合後インタビュー。
DS:これも学習だ。われわれは進歩をしつづけねばならない。最初はわれわれもよく競っていたと思う。が、60分間は彼らのほうがいいチームであり、勝ちにふさわしかった。
わたしに云わせれば、今シーズンわれわれが対戦したなかでは彼らがベストチームだ。とてもよく競い、走って走って、ピッチ全体でクオリティがある。
この試合はもう終わったこと。うまくいったことについてトレイニングで集中していく。チームも進歩していく必要がある。