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クリスティアン・モスケラのインタビュー「ぼくは子どものころから落ち着いた子だった」

こんにちは。

クマ。ヤバいね。もう殺すなとか云って市役所に迷惑電話かけてるフェイズじゃない。やらなきゃやられる。すごい世の中だ。

さて、25/26シーズン序盤のアーセナルにおいて、最大のサプライズのひとつはクリスチャン・モスケラではなかろうか。今年からアーセナルに加入した21才の若きセントラルDF。

とくに、サリバのいきなりのケガでほとんど90分プレイした8月のリヴァプール戦は圧巻だった。タイトルを競うライバルとの直接対戦のプレッシャーにも関わらず、あの年齢に似合わない落ち着きと前方への正確なパスは、アーセナルファンのみならず誰もが驚いたはず。

その後にプレイした試合では、何度か21才らしい拙さを見せる場面も多少はあったものの、それでもアルテタの信頼を得て着々とプレイ時間を伸ばしている。ここまでのアーセナルの全17試合中、その半分はサブとはいえ、彼は12試合でプレイ。これは予想できなかった。U-21スペイン代表DFの加入は、アーセナルの未来にとって非常にポジティヴと云わざるを得ない。

そんな彼のAFC公式インタビューがあって、それをIB中にでも紹介しようと思ったら、今度はThe Guardianが彼の単独インタビューをやっていて、ちょうどよいので合わせて紹介しようと思う。



「モスケラ、つめあとを残す」by アーセナル公式サイト

AFC選手個人にフォーカスしたインタビューシリーズの最新エピソード。

Mosquera’s first impressions of life in London

(クリスチャン、ここまでアーセナルでの時間を楽しんでる?……)

CM:ここに来られてとてもうれしいね。みんなぼくが早く慣れるようにしてくれるし、とてもうれしいよ。最初の数カ月はすごかった。正直、ぼくはこんなに早く慣れると思っていなかったし、もうかなりうまくやれてる!

(ここまでのキミのハイライトは?……)

アンフィールドでのリヴァプールかな。あれがハイライトのなかのひとつだろう。でも、ここまではどれもとても重要になっている。結局つねに楽しまなきゃいけないということさ。

世界中のどんな選手だって来たがる、アーセナルのようなクラブにいる。だから、ぼくはそこで自分を表現しなければならないと思うし、プレイするときはいつも楽しむ。

(誰がキミをいちばん助けている? スペイン語話者がたくさんいるのは役立っている?……)

イエス。たしかにそれはすごく助かってる。ぼくは生まれてからずっとスペインにいたから、スペイン語を話すひとが多いのはありがたい。でも、ほかのチームメイトたちも云っているように、ぼくが早く慣れたのは彼らだけでなくドレッシングルーム全体のおかげだ。

ここにはすごいグループがある。彼ら全員が新しい選手が溶け込みやすいようにしてくれて、すぐに慣れるし、とてもハッピー。このチームにはそれがある。チームの周囲にいる全員が助けてくれる。

(キミは8月にホームでのリーズでデビューした。あのときはどんな気持ちだった? ステディアムには家族もいたのかい?……)

イエス。彼らは来られるときはいつも会いに来てくれる。あれは素晴らしいときだった。PLでアーセナルのひとりとしてデビューできた。あのファンタスティックなステディアムで。あれはすごかったし、夢の瞬間だった!

でも、そういう機会のためにこれからもワークをつづけることだ。そのためにここに来たのだから。チャンスが来るときのためにがんばるよ。

(リーズとリヴァプールの試合のあと、ミケルやコーチたちはなんと云っていた?……)

彼らはぼくにすごく満足してくれた。彼らはつねにぼくに試合のヴィジョンを与えようとしてくれる。ぼくはまだ21才で、成長の余地もかなりあるから。

それと、ここには素晴らしいスタッフたちもいる。彼らも全力でぼくを助けようとしてくれるんだ。あの試合後のことについてぼくが云えることは、彼らはとても喜んでいたということ。

でもさっきも云ったように、それは止めちゃだめなんだ。まだ長い道のりがある。だから、彼らにもワークをつづけるよう云われている。これまで同じようにやれと。そこが重要なんだ。ぼくがここまで来たのと同じようにいること。

(キミはあの2試合のあともチームに入り、そして2試合で失点なし。ビッグガビとのプレイはどう?……)

正直、彼はこのグループの基礎だ。彼は素晴らしい人間でもある。実際、彼は初日からずっとぼくのほうにいてくれて、ずっと助けてくれた。それに彼はスペイン語も話すからそれもすごく助かってる。彼はいつも近くにいて、彼もぼくと同じ道筋を歩んでいる。彼もこのビッグクラブに若いときに来たからね。

彼にもキャリアのなかで適応の期間もあった。だから、彼ととなりでいっしょにプレイできるのはすごくうれしい。彼は世界ベストのDFのひとり。彼と対戦するよりとなりでプレイするほうがずっといい! 間違いない。彼はアニマルだから!

(キミはとてもヴァーサタイルなDF。自分の最大の持ち味はなんだと思う?……)

そうだな、ぼくはかなり速いかな。スピードがあるんだ。それとプレイに関しては、ぼくのキャラクターのひとつには集中があると思う。いつなんどきも集中している。それがあるのはとてもだいじなんだ。

それとアジリティ(敏捷)もあるね。ぼくの身体はいわゆる「幅広さ」がないかもしれないが、サイドのDFとしてプレイできるアジリティがある。

(キミはリーグカップのポート・ヴェイルでプレイして、英国のコンパクトなステディアムと典型的な雰囲気を体験した……)

イエス。そうだった。でも、PLで慣れているところより、違うステディアムでもプレイできなきゃいけない。ああいう場所に行くと、どのクラブにもたくさんのファンがいるんだと気づく。どのグラウンドにもビッグアトモスフィアがあることに。だから、それもまたいつものリーグ試合のようなものと思うようにしている。

そういう気持ちでのぞんで、あの試合はとてもうまくいった。だからあんなふうに勝てた。あれはとても英国っぽい雰囲気だったな。とても驚いたよ。

でも正直、スペインでも小さなステディアムに行くときは似たところはある。難しい試合になるのも同じ。

(最後に、ロンドンでの暮らしはどう? もういろいろ観て回った? 街や食事についてはどう思う?……)

2-3日ごとに試合があるようなものだから、あんまり時間がなくて。試合のあいだに休まなきゃだから。集中しつづけることが重要で、それがぼくがやろうとしていること。

でもそうだね、ロンドンについて知るにはちょっとだけ時間がかかった。すごい街だ。家族とでかけて、彼らも楽しんでいた。

ぼくはこの移籍にとても満足している。ぼくがここに来ることを決めた。スペインでは、ここの食事はスペインほどよくないと云うひともいるけど、実際ぼくはそれもとても満足しているよ。これまではすべてが素晴らしく、とてもハッピー。とても楽しんでいる。

モスケラ「子どものころからアーセナルファン。彼らにはオーラがあった」by The Guardian

つづいてThe Guardianによるインタビュー。Sid Loweが、スペインU-21チームが滞在するLugo(Galicia)を訪れた。

(8連続クリンシーツのあとサンダランドに2失点)失点せずにあれだけの試合をつづけてきたら、よけいに傷つくものだよ。でも、ほかのチームだってプレイするし、あんな記録をつづけるのは簡単じゃない。

(映画『フル・モンティ』の有名な「アーセナルのオフサイドトラップ」シーンを観て)ぼくは1980年代や1990年代のアーセナルに、そういう(守備の)アイデンティティがあったことは知らなかった。それをいま知ることができたのはよかった。チームが岩みたいに固くて、すごく手強い対戦相手になっている。

試合に勝つには自分たちも危険にならねばならないし、FWにはチャンスが必要だ。だからバランスがカギになる。守備だけじゃないし、DFだけでもない。でも、スタッツのおかげでぼくらの守備部分ばかりが取りざたされる。ぼくら相手にゴールできないと。実際数字はおかしなことになってるけど。

緊張感のなかでの落ち着き

(プレイ機会)ぼくは絶望しない。落ち着いているし、自分のときが来るまで待てる。

多くのひとはぼくを知らない。ほとんど観たことがないんだ。お金のことについてもわからないね。「バーゲン」とか、ぼくはソーシャルメディアを観ないから。でもぼくに気づいたひとがいるのは事実で、この移籍がいい取り引きだったとたくさんのひとが云っているのは聞いている。クラブにいるぼくの周りのひとたちも「みんなキミに満足している」と云っている。だから、そういうこと。ここに来て、つめあとを残す。

(リヴァプール戦のあとも冷静にみえる)そこはたくさん訊かれたよ。「あんなにたくさんの観客の前で緊張しなかった?」。ぼくはつねにノーと云う。ぼくはあんなに緊張したりドキドキしたことはない。あの状況で頭を整理するのは難しい。でも、それがぼくのクオリティ。落ち着いて、リラックスできる。それがあの日のぼくだ。ぼくに対してマネジャーは、ただ自分でいろと云っていた。

子どものころ、ぼくはとてもとても落ち着いていたんだ。ほかの子はみんな友だちの家に遊びに行きたがったけど、ぼくはなぜか行く気になれなかった。ぼくには弟がいて、彼と遊んだりしていた(※Yulian 14才。ヴァレンシアアカデミー)。彼は活発だったけど、ぼくは落ち着いていた。

コロンビア移民の家族と早すぎる旅立ち

うちは両親が2000年代はじめにコロンビアからやってきた。おかしいのは、いつも疑問があること。「(スペインとコロンビア)どっちが好き?」。でも、ぼくはふたつの文化、ふたつのアイデンティティがあることは難しいことじゃないと思ってる。ぼくは、新しいスペインの、新しい世代の象徴になれることに満足を感じている。

コロンビアの家族のことも超誇らしい。ぼくは模範になろうとしている。うちの両親は仕事と安定を求めてここに来た。ここには多くの機会があるから。彼らも若かったし。でも簡単ではなかった。父さんは建設現場で一ヶ月働いたり、レストランで皿洗いをしたり。母さんは、家政婦をしたり。

(子どものころ従兄弟に誘われてバスケからフットボールへ)5才くらいのときは、ぼくはどこでもプレイしていた。でも自分がいつもいちばん背が高かったから、コーチにディフェンダーにされたんだと思う。

(Hérculesで見出されヴァレンシアアカデミーへ。17才でデビューすることに)うちの両親もかなり犠牲をはらったし、ぼくも自分を犠牲にしたと感じる。12才のときに家を出たのだから。とても困惑した。11か12の子どもが、ビッグクラブに欲しがられる。母さんとぼくはそのことについてよく話した。簡単な決断じゃなかったが、結局それがぼくをここまで連れてきた。

母さんが云うには、もし彼女にまかせていたら、ぼくは行くことはなかっただろうと。「ふつうの」ひとだったら、11才や12才で親元を離れるなんて考えにおよびもしないはず。うまくいくかどうかもわからない。

ぼくの世代でも、そういうひとは多くはいない。でも、いい部分もあった。なぜなら、彼らが面倒をみてくれるし、学ぶことも多く、成長も早い。早すぎたくらい。良かれ悪しかれ、それをどう観るかによるんだ。

でも最後には、こうなった。ぼくはそうやって生きてきて、その特権を得た。簡単じゃないことはわかっている。でも、大人になり、それで人生について教わることになる。もしぼくに子どもがいたら、彼らが同じ道を歩むよう支援するよ。

そしてロンドンへ

ぼくはいつもPLを観ていた。実際、マイチームはアーセナルだったんだ。選手、シャツ。ぼくは彼らのことはちょっと違う存在だと思っていた。なんというか、オーラがあった。

ぼくが決断する前、チームの誰かが云っていた。「ミケルと話したら、彼に説得されないはずがない」。そしてまったくそのとおりになった。電話が済んだあと、ぼくの行き先はこれ以上ないほどはっきりした。

(アルテタは見た目どおりインテンス?)イエス。まったくそのとおり(笑)。彼はフットボールのために生きて、それで育ち、すべてを経験してきた。彼が話すのを観ればわかるだろう。彼はディーテイルを愛し、目では見えないものを観ている。

ぼくは彼がいてくれてとてもうれしい。彼は素晴らしいひとでもあり、ぼくをすごく助けてくれる。スタッフもやりやすくしてくれる。アーセナルは素晴らしいクラブさ。

(チャンスが来るのは思ったより早かった)ぼくは超早く慣れたね。ここに来るまでは思ってもいなかったけど、最初の数日でそんな気もしていた。

ロンドンについてぼくがいちばん好きなところは、実際来てみたら、英国人が冷たいなんて話は全然事実じゃなかったことだね。すぐに溶け込めた。それはチームとコーチングスタッフのおかげだけではなく、外部からは見えないクラブにいる人たちのおかげでもある。ホテル住まいのときも、家さがしを手伝ってくれた。

(St Albansの自宅もこれから過ごしやすくなる?)そのつもりだよ(笑)。ぼくは以前スポーツサイエンスを学んでいて、いまはオンラインでインテリアデザインの大学学位取得を始めた。ずっとそういうものに惹かれていて、思ったんだ。だったら、なぜやらない?と。

ぼくはいろいろなところを訪れている。家族とロンドンの観光地を観て回ったり。母さんが旅行者ガイドだ。すごい街。すべてがある。すごくコスモポリタン。この多文化のフィーリングが大好き。

英国フットボールのアイデンティティを愛す

(チームにも助けられている)最初の数週間は、たくさんのスペイン語話者がいてかなり助かったが、いまはぼくも英語でうまくやっている。たくさん授業も受けている。だいたい理解できるし、スピーキングもうまくなってきた。でも、ここ数年はもっと勉強したがまだ学校で少し話している程度。本来の英語力を発揮できていないかもしれない。

チームトークはいつも英語。ここはロンドンで、これはアーセナル。でも、フットボールラングエッジならもっと簡単だけどね。

(スペインと英国のフットボールの違い)Mucho.(Very) それに、そのペイス。行ったり来たりで、よりダイレクト。大好きさ。

(ひとつのタックルに6万人が熱狂する英国フットボール)それがあの高揚感、プライドの高まりをもたらす。それこそが、マネジャーやスタッフたちがぼくらに云っていること。守備を楽しめと。ああいう典型的なアクションがあるね。タックルあるいはブロックしたときのセレブレイション。あれがチームに命をもたらし、エナジーをもたらす。

そこが重要であり、このグループにはそれがある。あのチーム全体が走って戻る姿を観てみるといい。あれこそが今シーズンの基礎。

(アーセナルの最後のタイトルはキミが生まれる2ヶ月前)ぼくらは、自分たちがやるべきことはとてもはっきりわかっている。目標は、自分たちの家には誰も入れず、自分たちの敷地には誰も近づけないこと。そして、攻撃では危険になる。

当然、動きかたみたいな戦術的要素もある。だが、ぼくがよく思うのはそれは精神面であり、姿勢だということ。われわれの家:立入禁止。ドレッシングルームのなかで、ぼくらは自分たちを信じる。ぼくらは、自分たちに何ができるかわかっている。どこに行けるか、ぼくらにはわかっているんだ。

以上。Our house. Do Not Enter.

 

大学の話が出てきて、急に彼が賢いキャラに見えてきた。21才で随分とまた大人っぽい話し方をするなあと思ったら、そういう方面のひとだったとは。

ちなみに、彼はスペインU-21チームではキャプテンも務めており、リーダーシップもかなりある選手らしい。

こうやってインタビューを読むと、これまでなんだかんだ彼のことを全然知らなかったと思う。同じようなひとがいたら、これでよりよく彼のことを知ってくれたら幸い。

 

ガブリエルがケガでしばらく離脱することが確定的になったいま、LCBにはヒンカピエではなくモスケラの起用を予想するファンも少なくない。どうなるか。

いずれにせよ、彼の今後ますますの活躍を期待したい。

 

The Guardianのインタビューでは、ジョージ・グレアム時代のアーセナルディフェンスのリファレンスとして彼に『The Full Monty』(1997)のクリップを見せたみたいで、なんだか久しぶりにまた観たくなってしまった。失業者たちが男性ストリップショウをやるコメディで、当時日本でもけっこうヒットしたと思う。

 

おわり



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

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