紆余曲折を経て2018年1月にアーセナルを退団。その後フランスに渡ると、すぐにリーグ・アンのプレイヤー・オブ・ザ・マンスを獲得するなど目覚ましい活躍を見せ、ワールドカップの予備メンに選ばれるまでに見事に復調したマシュー・ドビュッシー(32)。
この6月にはサンテティエンヌと2021年までさらに契約を延長、乗りに乗っている彼。ドビュッシー本人およびサンテティエンヌのジェネラル・マネージャー、フレデリック・パケが語った。
Mathieu Debuchy, “un vrai atout” pour Saint-Étienne
「マシューは本物」サンテティエンヌGM。「若手に経験を伝えたい」ドビュッシー
パケ:彼はクラブにとって本物のアセットだよ。コーチ、社長、そしてジェネラル・マネージャーにとってそれはとくに大事なことなんだが、彼は模範的なんだ。
ドビュッシーはフランスに渡って4ヶ月で15のリーグ試合で4ゴールを決めた。しかし、ワールドカップメンバーに入ることはできなかった。
ドビュッシー:フランスチームの予備メンバーに入ることになって、とあるプログラムを受けていたんだ。そうしたらコーチに呼ばれて、つねに準備をしておくようにいわれたよ。でもつぎに連絡があったときの話は、バケーションを楽しんでくれというものだった。受け入れ難かったね。
彼は水曜にプレシーズンのトレーニングのためにクラブに戻る、いまはもうつぎのシーズンに集中している。
ドビュッシー:リーグテーブルでも上位にいたい。まずは昨シーズンよりもいい成績を残すことだ。コーチはべつの目標を決めるかもしれないけどね。
若い選手が何人か加入している。彼らをただしく導くのはぼくの役割でもある。よく話し、よくコミュニケーションを取ってぼくの経験を共有したいんだ。
パケ:マシュー・ドビュッシーは、われわれの望む人物でもある。彼は数ヶ月でもう彼の持てるすべてを見せてくれた。スポーツ面でも人間性でもね。彼はチームを構築するための礎石のひとつになるんだ。
以上。
アーセナルにしてみれば、ある種戦力外で退団した選手が移籍直後に活躍するというのはあまり楽しい出来事ではないかもしれない。しかし、在籍中の彼をアーセナルがどうすることもできなかったのもたしかだった。
彼は複数回、悪いタイミングで怪我してしまったし、ドビュッシーの離脱によって起用されたベレリンがリーグ随一のRBにまで成長したことはアーセナルにとってはもっけの幸いでしかなく、ベレリンを優先したためにドビュッシーのペッキングオーダーが下がってしまったのもやむを得なかった。アーセナルはドビュッシーの怪我に感謝してもいいくらいだったかもしれない。
結局ドビュッシーは最後まで消化不良のまま退団となったが、サンテティエンヌでは、アーセナルではついぞ叶えられなかった自分の本当の実力を発揮する機会が与えられ、そしてそれを見事に掴んだ。
しかし、本来ならそれがアーセナルが期待した彼の才能であるし、実際にそれが彼の実力だった。
順風満帆な彼のフットボールライフで、ピーク時に在籍したアーセナルでだけ、しかも実力とは関係ない理由でまったく輝けなかったことは、運命のいたずらとしかいいようがない。
あともう一歩というところで逃したワールドカップ2018出場。現在32才ということで、ドビュッシーにとっては事実上のラストチャンスだった今回、フランスはラスト4に残り優勝候補にまでなった。
彼は今晩のフランス・ベルギー戦をどのような気持ちで観戦するのだろう。