先日、アーセナルのテクニカル・ダイレクターに就任した、元アーセナル/元インヴィンシブルのエドゥことエドゥ・ガスパール。
今回のコパ・アメリカのタイトルを取ったブラジルNTのテクニカル・コーディネイターを務めていたということもあり、アーセナルに新しい血脈を注いでくれるという期待は高い。
彼がアーセナルの公式インタヴューに応えていた。
かなり盛りだくさんのインタヴューで読むのも大変そうだ。ざっくり訳してみたのでシェアしたい。がんばって読もう。
(エドゥ、おかえりなさい。まずはアーセナルに戻ってきてどんな気分?)
エドゥ:ありがとう。もちろんホームに戻ってきたのだからうれしいよ。だってほら、わたしはここに5年いてあんなにナイスで美しくて、美しいときを過ごしたんだ。ここに来れたことはうれしいよ。
(あなたはコパ・アメリカからすぐに来ましたね。素晴らしい成功をおめでとうございます。ブラジルでの成功の秘訣はなんでしょう?)
ああ、それに関してはいろんなことがあるね。思うにブラジルのコンペティションをよく知ってるひとたちがいたってことかな。選手たちのメンタリティももちろんファンタスティックだったよ。ファンがいて、ホームでプレイしたんだ。簡単ではなかったけどね。
コパ・アメリカはまた一味違ったコンペティションだよ。だってこれはいつも云ってきたことだけど、コパ・アメリカではいろんなことと戦わねばならないからだよ。相手の選手だけじゃなくてね。コパ・アメリカにはとにかくいろんなことがあるし、それをよく理解しているスタッフや人間がいてこそ、成し遂げられる。
(あなたはブラジルにいて、そうしてコパ・アメリカを勝った。。ブラジルからロンドンに行こうと思った動機は?)
いろんな理由があるね。たくさんのいいことだ。最初に云ったように、ホームに復帰するというのはいつもいいことだ。しかしそれはビッグチャレンジでもある。なぜならクラブの初めてのテクニカル・ダイレクターになるということは自分自身へのチャレンジであるだけじゃなく、クラブにとってもそうなんだから。PLにしてもそうだよ。だってわたしが初めてのブラジリアンのTDになるのだから、ビッグチャレンジでありビッグな責任があるんだ。
自分自身がアップデートされていくこともとても楽しみだし、クラブにおける仕事にすべてのエナジー、経験を捧げたい。
ここにわたしの家族を連れてきていることも重要で、だってブラジルでは家族と離れて暮らしていたからね。ロンドンに戻ってきて、家族とまた一緒にいられること。それはわたしを力強くしてくれるし、大きなポイントなんだ。
(わたしたちはテクニカル・ダイレクターの役割について話してきましたけれど、選手としてのキャリアについて話しませんか。若いファンはあなたのことをよく知らないかもしれないので。あなたがここへ来たのは2001。。ふたつのリーグタイトルと3つのFAカップを取って、もちろん有名なインヴィンシブルズ・スクワッドの一員でもあった。PLのタイトルを取った初のブラジル人ですよ。。たくさんのいい思い出があるでしょうが、一番宝物のように思っているのはなんでしょう?)
たくさんあるね。わたしが最高に一番覚えている思い出は、正直なところ、あのグループにいたときの空気なんだ。
だってわたしたちはたくさんのことを勝ち取っていて、わたしたちのチームはほんとうに強く、ビッグネイムがそこいら中にいて。でもグループのメンタリティだよ、みんながいて、スタッフもグレイトで。みんながハードワークしていたけれど、同時にみんなはそれを楽しんでいた。それが重要だったんだ。だって、その当時も勝つのが重要だったけど、グループみんなでそれを同じように楽しんだ。それがわたしの最高の思い出だよ。ドレッシングルームもとてもとても最高だった。フィールドでも同じさ。
(もちろんインクレディブルな選手たちがいました。いまでも連絡を取り合っていますか?)
たくさんさ。たくさん。パトリック(ヴィエラ)。もちろん。彼は親しい友人さ。フレッド(ユングベリ)ももちろんだし。いまだによく話すよ。レイ・パーラーにデニス(ベルカンプ)、ピレス、ロウレン、ソル・キャンベル、マーティン・キーオンも。わたしがロンドンに来るときは、いつだって彼らと話す機会があったよ。彼はほんとにナイス・ガイだったなあ。レーマン……。うん、たくさんだ!
(スクワッドのなかでそんなにグレイトな雰囲気があったからこそ、そういった関係性がつづいているんですね。そして会えばいつだって友情があった)
イエス。わたしたちはよくそういったことを話していたよ。ドレッシングルームで一朝一夕では育めないものを育んでいったのさ。たくさんのパーソナリティがあり、たくさんのいい選手がいて、ときにはみんながおのれのヴィジョンを持っていた。しかしあのグループはナイスだった。なぜならみんながプッシュしていたけどそれが同じ方向だったからさ。
みんな云ってたよ「OK、解決策は見つかるだろう、でも結局はみんなでハードワークして状況を探求するしかないんだ。だってコンペティションは簡単じゃないし、PLはとくにヤバイ」。
わたしたちはCLにいたけど、それもまた簡単じゃなかった。でももちろんそれもまたわたしたちはドレッシングルームで議論になったものさ。ときどき状況がよく飲み込めないなんてこともあったよ。でも結局はなんとかしなきゃだし、お互いにやりあってもそれに対応した。
(そういった議論や衝突、それが健全だったのは同じ方向を向いてやりあっていたからと?)
もちろん。それは必要なことだったんだ。思うに重要なのは透明性さ。顔を向き合わせるということが重要なんだ。これは明らかにしておきたいんだけど、真実はいつもわたしたちの目の前にあったんだよ。だって後ろを向く必要なんてなかったのだから。自分たちの面倒は自分たちで見なきゃならなかったしね。
それが重要なことで、みんなにわかってもらいたいのに自分のことだけを考え始めたら、それはうまくいかないんだよ。クラブは全体で考えなきゃならない。自分たちだけではなくね。
(あなたはアーセナルに戻ったフレディについても話していましたね。またビッグ・アーセナル・レジェンドのスティーヴ・ボールドもまだここにいます。ラウルはあなたについて「トゥルー・アーセナル・マン」だと云っています。クラブの歴史とリンクしていることはあなたにとりどれほど重要ですか?)
そうだね。その役割で仕事を始めるにあたって、まずクラブを理解するということが重要だ。なぜならクラブを理解しなければ、ともに仕事をする仲間をほんとうには理解していないからだよ。それはわたしにとっては一歩前に進むということだね。ほんとうにクラブを理解する、何がそこで起きているのか理解する、ファンを理解する、クラブがこれからなりたいものについて理解する。そうすることで、わたしの仕事はやりやすくなる。
(最近ジョッシュ・クロンキがこんなふうに話しました。「エドゥはアーセナルのDNAを持っている漢だ。われわれにはインヴィンシブルがいる。エドゥは完全に勝ち方を知っている。そこにたどりつくにはある程度のワークとメンタリティが必要だ」と。どんなワークとどんなメンタリティが必要なんでしょう?)
ストロング・メンタリティでワークすること。そんなに簡単じゃないよ。いいメンタリティを築く必要がある。メンタリティについて語るとき、それは選手のことだけではないんだ。クラブも選手と同じメンタリティを持つ必要がある。同じメンタリティを持たなきゃだめだし、アーセナルのメンタリティを同じでなければいけない。自分たちの前にあるものに打ち勝たねばいけない。それがフットボールだよ。それが現実世界だ。
いいワークについて話したり、ほかのことについて話したりもするが、結果抜きではそれが意味があるのかどうかもわからない。フェアじゃないんじゃないか。でもリアリティとはそういうものだ。われわれは結果に対しファイトしなければならないし、現実世界を理解しなきゃならない。あなたが住んでる場所だし、いまいる場所のことだよ。
われわれはいまアーセナルにいる。ビッグクラブだ。状況を理解せねばならない。勝利。。勝利に向かってファイトすること。そしてどうやってそれを成し遂げられるのか? 準備万端にしないと。どうやって? ハードワークして、すべてを捧げて、もっとうまくやれるようにがんばって、クラブが成し遂げたいものになれるようほんとうにハードワークすること。
(エドゥ、わたしたちがあなたに出会ってからだいぶときが過ぎました。アーセナルを去ってからどれくらいあなたとクラブは変わりましたか?)
正直わたし自身は大して変わってないんだ。だってわたしはわたしの人生でパーソナリティがあって、個人的な人生のなかで仕事に身をやつしてきたのは同じパーソナリティなんだから。
すでに云ったけれど、透明性をもってなるべくフェイス・トゥ・フェイスで話をしようとすることが重要なんだ。そして考えを共有すること。オープンマインドでひとの云うことに耳を傾け、みんなで共有する。それが大事。クラブのなかでも外でも、だからわたしが変わらずいられるかということなんだ。個人的な生活でも仕事でも同じようにしている。
わたしがテクニカル・ダイレクターになってから9年たつけれど、うまくやっていると思うよ。だって、わたしはこのアプローチをつづけているから。これをつづけることがものごとをうまくやることにつながると思っているんだ。
(それがあなたがおいている価値でありクオリティなのですね。選手のことを考えるとき、ヴェテランや若い選手に同じクオリティを求めますか?)
そうだね。それはいいポイントだ。みんなが理解するべきなのは、もうタレント(才能)というのは十分じゃないということ。みんながタレントを求めていて、タレントについて話している。もちろんタレントというのはフットボーラーにとって大事なことさ。でも現実世界ではもうそれだけじゃ十分じゃないんだよ。
彼らのことを気にしてあげなきゃいけないし、彼らのことをうまく伝えてあげなきゃならない。クラブに居心地をよくしてあげる必要もあるね。彼らもクラブがどう思っているか理解しなきゃだし、要するにお互いが一緒にワークするということだ。同じときを過ごし、同じ方向を向く。その考え方を全員が理解することが重要なんだ。選手、タレントがある選手も。才能があるってだけじゃもうダメなんだってね。
彼らだってハードワークしなければならないし、自分自身の面倒をみなきゃならない。トレイニングの前には入念な準備が必要だ。トレイニングのあともそう。ピッチの外でもそう。それが彼らをよりよくする。タレントに加えてそれがあれば、トップトップレヴェルになれるよ。
(あなたがおいている価値、パーソナリティについて話してもらいました。あなたはわれわれの初めてのテクニカル・ダイレクターです。あなたの業務は日々の、あるいはシーズンごとの取り組みにどのよう関わるのでしょう?)
やることはたくさんあるね。でもわたしはほぼ全体のことについて説明してみたいと思うんだ。
一般的には、テクニカル・ダイレクターというものは選手契約について関わっていくことが仕事だと思われているよね。契約したり売却したり、キープ、ローンに出したりも。それは重要な仕事の一部ではあるし、わたしもそう思ってる。
しかしわたしにとってはもっと重要なことがあるんだ。それはいまも見守る必要があることだよ。ハードワークしなきゃならないことだ。スクワッドをどうするか。
未来は未来だ。選手契約は将来のことでもある、もちろんわたしが関わらねばならないことだよ。でもわたしは同様にいま現在も見ていかねばならない。わたしは選手たちに説明したよ。わたしは誰かがメッセージを伝えに来るまでオフィスにこもっている人間じゃないってね。
わたしはプロセスに関わっていきたいんだ。内部のことをわかっていたいし、彼らと一緒にいたい。ウーナイと一緒にやりたいし、スタッフともだ。もし必要ならアドヴァイスもしたい。とにかく関わっていくことが重要で、それがわたしが信じていることだ。
アカデミーとのリンクはとても重要だよ、だってみんなそれを忘れてしまうのだから。ビッグネイムとのサインとかでね。でもそれと同じようにアカデミーをケアする必要があるんだ。それがわたしがリンクしなきゃならないと思っているポイントだよ。
(それが短期的に解決すべきことですか。そして中期的にも?)
イエス。それがわたしの仕事の一部だ。フットボールでは短期、中期、長期とチャレンジがあるからね。もちろんさ。でもどうやってそれを共有するか? わたしは短期・中期・長期で見なければならないが、ウーナイが見ているのはとても短期だ。水曜、土曜。それにトレイニングセッション、対戦相手のことと試合の戦略を見ている。
わたしは彼にこの状況を見る時間を与えなければならない。そして彼は全身全霊をもって眼の前のことにエナジーを捧げてもらう、彼はそれに見るし、わたしはそれを助ける。中長期には、アカデミーは重要だ。それにアカデミーとつねにリンクしておくことも。ウーナイにはとても短期的な部分を見てもらうし、それをわたしはサポートするんだ。
(ウーナイはテクニカル・ダイレクター・ロールについてはあなたは「パーフェクトマン」だと云っています。あなたはウーナイと以前にもともにワークしていますね。ヴァレンシアで彼がコーチであなたは選手でした。一緒に働いた彼はどんなでしたか?)
わたしには彼とまた一緒に仕事ができることは大きなよろこびだよ。彼がコーチだったときにだってなんの問題もなかったしね。わたしがいまテクニカル・ダイレクターだったとしても、お互いリスペクトをもって話ができるよ。どんなポジションだろうが関係ないんだ。わたしが選手だったときにもお互いたくさんのリスペクトがあったと思うし、いまのポジションでもそうだ。
でも彼は変わらないね。ほんとにたくさんのエナジーでハードワークしている。それがクラブにも選手にも重要なことなんだ。
(あなたはUSに行くためにブラジルからロンドンに飛んできましたね。大して睡眠も取れていないでしょうが、あなたは選手、スタッフ、コーチたちと一緒にトレイニングピッチにいます。どこにでもいるみたいです。わざわざアメリカまで来たことはどれほど役立ってますか?)
もちろんここに来てみんなと一緒にいることが大切なんだ。云っているように、なるべく早くプロセスを理解することが重要なんだ。なぜならわたしの仕事はクラブにとっても新しいものなのだから。わたしはここでプレイしていたのだからクラブは新しいものではないが、クラブにとってこの役割は新しいものだ。
みんながわたしのこの役割とプロセスに適応してくれることが重要で、それはわたしにとっても重要だ。たくさんの人がいるからね。
わたしが去ってからもクラブはとても大きくなったし、このツアーに参加すればより居心地がよくなる。休んでる場合じゃないよ!
(クラブの未来を憂えているファンに対して、エドゥ、どう云いますかね? ファンのなかにはポジティヴなひとたちとそうでないひとたちがいるようです。ポジティヴになれないひとたちにはどう説明しますか?)
ファンのことも理解しないとね。その必要があるよ。重要なことだ。しかし彼らもまたわれわれを理解する必要がある。なぜならわれわれにはフィロソフィがあるからだよ。クラブはたくさん変わっている。わたしがテクニカル・ダイレクターとしてサインする以前、わたしがアーセナルを退団してからも多くの変化がある。
クラブのストラクチャは大いに変わった。それがプロセスだということだ。そして時間が必要だ。
わたしはこの時間が問題になるということも理解している。しかしそれについてはそうしたことも必要だとわかっている必要がある。
しかし、いずれファンたちにもいいものを与えられると確信しているんだ。なぜならわたしがこの仕事について、ラウルやヴィナイと話し始めたときからクラブのエナジーを感じていたからだよ。わたしはこのクラブの周辺にとてもポジティヴなことがあると感じていたんだ。だからわたしは信じたし、わたしがここにいる。これからもここでいいことがやれると感じているんだ。未来の未来の話じゃないよ。すぐだ!
(ここから1年未来に飛んでみましょう。またわたしたちはあなたにインタヴューしています。クラブはどこを目指しているでしょう?)
夢についは話さないよ。しかしCLに戻る戦いに集中しているだろうね。もちろんそれが目標だから。スクワッドを強化すること。ファンが楽しんでいること、昔みたいにね。あるいはもっとだ。
わたしは彼らがどうクラブと過ごしているか、どれだけクラブを愛しているかを知っているし、取り戻さねばならないものがある。またクラブを楽しんでもらうために。
以上。
長かった。。けど、彼がファンに伝えたいことはちゃんと伝わったと思う。いいインタヴューだったのでは。
一点だけ気になったのは「オフィスにこもっている人間じゃない」という部分。
彼はもちろんスヴェン・ミスリンタットがなりたかったテクニカル・ダイレクターに就任したわけで、結果的にエドゥは直接の解任理由となったような存在だけれども、ミスリンタットが解任された理由のひとつに、彼があまり現場に出ないことをサンレヒたちが気に入ってなかったという話があって、もしかしたらこの発言はその説に呼応したものなんだろうかと。思った。
もしサンレヒやヴェンカテシャンがミズリンタットの解任について、エドゥにそのように説明していれば、彼がそういうふうに自分をアピールしたとしてもおかしくはないなと。
ちょうど同じようなタイミングでミズリンタットがドイツでインタヴューに応えていて、アーセナルのストラクチャが変わって、テクニカル・ディレクター就任の約束を反故にされたのが退社の理由だと説明していたという話もあり。
人事はごたごたしているけれど、エドゥでもろもろうまく転んでくれたらいいなとおれは思います。
長文失礼。
奈良クラブのGM曰く、フロント主導でプロジェクトや哲学を作り、それに合う監督を任命し共有、そこの擦り合わせにより必要な選手をスカウトする、ことが今は必須とのこと。確かにクロップ就任後のリパポのそのバランス感は絶妙でこの躍進。シティもチキ、ソリアーノがいてペップ任命、あとは莫大な金。うちも金こそないけど、やっと形だけは理想に近づいたかと思うとエドゥには期待するし責任は重大。
気になったのは、ミスリン曰く英国ではTDが基本ベンチに座ることはない、TDに内定し一日中チームの近くで仕事をする予定だった、らしくむしろ現場に出たいのかと思ったけど違うのかな。まぁ結局エドゥがチームに近いのは大歓迎ではあるが。