BBC SPORTSが「どうしちまったんだレスター?」という記事を投下。今季不調のレスター・シティを分析している。
昨シーズンのEPL優勝チームのスタープレイヤー、ヴァーディ、マレズ、カンテの3人のうち2人が残るという予想外の展開に、意気揚々としたシーズンが始まってみれば、ここまで当初に思っていた以上の苦戦を強いられているのではないだろうか。
ここで挙げられているレスター今季不調のポイントとして、
- ヴァーディの不調
- マレズも不調
- カンテがいない
- 鉄壁のディフェンスが崩壊
- ラニエリ采配の不調
がデータを交えて指摘されている。さすがに岡崎慎司に対する言及はなかった。
正直、とくに観ていて楽しいわけでもないレスターなんてどうでもいいのだけど、結果的にアーセナルが獲得をしなかった/できなかった選手のいるチームとして、多少の興味はある。
アーセナルがレスターから獲得すべきだった選手
まず前提として、昨シーズン終了後にはレスターのスタープレイヤー3人ともアーセナルが獲得を狙っていると噂があったし、ジェイミー・ヴァーディについては噂だけではなく実際にアーセナルが好条件のオファーを出すまでに至っている。
今シーズンのプレミアリーグも日程の半分を消化し、ほぼ優勝の目はなくなった今、アーセナルが本当に獲得すべき選手は誰だったのかが見えてきているのではないだろうか。
もちろん彼から始めよう。
ジェイミー・ヴァーディ
ストライカーとしては昨季と比べ、今季あきらかに不調に陥っている。BBC SPORTが提示しているデータによると、ゴールにかかる時間、ビッグチャンスにかかる時間、平均シュート間隔、どれも昨シーズンの半分以下となっている。
24試合後時点の成績では、得点数はわずかに5、その他シュート数やチャンスクリエイテッドなどリーグのなかでも軒並み低ランクで、いまやすっかり並のストライカーになってしまった。
このレベルで今のアーセナルに在籍していたらと思うと背筋の凍る思いがする。まさにババを掴まされるとはこのこと。引き取り手のない高給取りのアラサープレイヤーとして不良債権化は免れなかった。
とはいえ、彼が不調なのは決して彼ひとりの責任ではないのはいうまでもない。ほとんどプレミア最強のコンビだった相棒のマレズも不調なのだ。
だからヴァーディがアーセナルに必要なかったとはいえない。
彼が前線にいたとして、ひとりで走り回ってスペースを開けてくれたり、アレクシスとともに前線から激しくチェイスしてくれたらそれだけでもファンはうれしかったろう。おれたちはがんばっている選手が大好きだからね。
だが、ひとこといわせてほしい。断ってくれて本当にありがとう。
逃した魚度 ★★☆☆☆
リヤド・マレズ
ヴァーディとともに不調に陥っているのが、サイド・アタッカーのリヤド・マレズだ。昨シーズン、チームの主力選手としてEPLで優勝し、PFAプレイヤー・オブ・ジ・イヤー、アフリカン・フットボーラー・オブ・ジ・イヤーを獲得した選手とは思えない低調ぶり。
昨シーズンはMFとして17得点というゴール数も立派であったが、やはり彼の持ち味としては、ドリブルからのカットインや正確なスルーパスやクロスボールといったゴールアシストやチャンス・クリエイテッドにあった。
データでは、肝心のチャンス・クリエイテッド(ビッグチャンスにかかる時間)が338分と昨シーズンの半分以下、ドリブルは若干増えているとはいえその成功率は下がっている。彼らの不調がそのままレスターの成績に現れているといえそうだ。
とはいえ、彼が不調なのは決して彼ひとりの責任ではないのはいうまでもない。ほとんどプレミア最強のコンビだった相棒のヴァーディも不調なのだ。
だからマレズがアーセナルに必要なかったとはいえない。
彼がアレクシスと逆サイドに張っていたとして、どちらにボールを振られても相手ディフェンスには脅威になっただろう。結果的に真ん中にスペースが空き、広いスペースを真ん中の選手たちが自由に使うことができる。アーセナルの基本的なプレイスタイルからしても理想的な展開である。
個人的には、もしそれなりにリーズナブルな取引ができるようであれば、来季のアレクシスの後釜にちょうどいいんじゃないかと思っている。微妙に大事なところで活躍しなさそうなのも、アーセナルにぴったりである。まあ、バイエルン退団の噂があるダグラス・コスタとどっちがいいかと聞かれれば、コスタを選んでしまいそうだが。
逃した魚度 ★★★☆☆
エンゴロ・カンテ
※画像はWikipediaより
BBCの当該記事からもリンクが貼られているが、カンテには契約解除金の設定(リリース・クロース)があったらしい。初めて聞いた気がするが忘れていただけかもしれない。青油はほんとにうまいことやった。いろいろ抜け目のないところは見習うべきだと思う。
レスターが不調なのは、はっきりいってカンテがいないからである。ヴァーディとかマレズとかドリンクウォーター(いってない)とかBBCがごちゃごちゃいっているが、それはもう原因はカンテに尽きる。カンテがいないから何をやってもうまくいかないのだ。
なにしろ2人分働くというのだから、いなくなったチームは一人少ないみたいなものだし、獲得したチームは毎回12人で戦えるようなものである。よくサポーターは12人目の選手なんていわれるが、だったら13人である。もはやチートであって、勝負にならない。
とにかく、カンテを制すものプレミアを制す。それがいいたかった。このままいけば、カンテは2年連続優勝である。
シーズンが始まる前には、「われわれには(同じプレイスタイルの)コクランがいる」とカンテ獲得をとくに重要なことだとは考えていなかったグーナーもいたと思う。
しかしいまになってみれば、それはウォルコットとオバメヤンを比較して、似たタイプのプレイヤーは二人もいらないと判断するようなものだろう。
既存の選手に似てるか似ていないかは問題じゃない。グレードアップできるかどうかでプレイヤーは選ばなければならない。それがカンテを逃したわれわれが得るべき教訓だ。
逃した魚度 ★★★★★★★★★★★★★★★
コクランとカンテ
ちなみにコクランとカンテの比較については、このエントリで触れたように、
データ上は、コクランを酷評しカンテをゴリ上げするほどの差があるわけではない。ディフェンス・スコアでいえば、コクランのほうがむしろいい成績を残しているくらいだ。
だがどういうわけか、かたや2年連続優勝のラッキーチャーム、絶好調チームの要、かたやスタメン出場でチーム勝率50%未満、落ち目チームの戦犯という正反対の状況になってしまっている。恐ろしいものだ。
青油の試合など普段はほとんど観ないが、観たときには確かにカンテがかなり効いてるなという感じはする。ディフェンスだけでなく、パスさばきもおおっと思うプレイを何度か目にした。やっぱりデータ以上の働きがあるんじゃなかろうか。
コクランで数年は戦えると思っていたのがすごく昔のことのようだ。