ローン移籍で昨シーズンを過ごしたボーンマスとの対戦を控えて、SKY SPORTSがジャック・ウィルシャーの特集記事を掲載した。『ジャック・ウィルシャー、アーセナルのキープレイヤーとしてボーンマスに凱旋』。
Jack Wilshere goes back to Bournemouth as a key figure for Arsenal
こうやって改めてデータを交えてジャックの復調を説明されると、さすがに感慨深いものがある。
エジルとサンチェスと同じ今季いっぱいの契約でありながら、彼らとは違って「アーセナルでプレイしたい」とアーセナル愛を隠そうともしない熱血漢。新しいスターだともてはやされたときもあったし、怪我が続き自暴自棄になったときもあった。アーセナルでの将来は絶望的かとも思われた。そしてこの復活劇である。泣けてくるな。
この記事をざっくり紹介したい。
ジャック・ウィルシャーの復活
- ウィルシャーは昨シーズンにボーンマスでプレイしていたときには、アーセナルに戻れる確証は持てなかった
- ヴェンゲルは17才から起用してきたウィルシャーに対する愛を語ったが、同時にトップレベルでの安定したパフォーマンスも要求
- 度重なる怪我に悩まされ続けてきた。ゆえにアーセナルも新契約には慎重になっている
- しかしゆっくりと、そして確実にウィルシャーはヴェンゲルの期待に応えつつある
- シーズン始めにはUELとカラバオカップでフィットネスを再構築
- 12月にラムジーが離脱してからはリーグに出場するようになる。そこから6戦連続で90分プレイしたのは2013年の2月以来のことだった
- アーセナルはフラストレーションの貯まる時期を過ごしている。FAカップも敗退した。しかしそのなかでこの元怪童がフォームを持ち直してきていることはうれしい誤算
- チェルシー戦で負った怪我も大したことなくて一同安堵。そして次の課題は契約の更新である
- クリスタルパレス戦でのサンチェスへのロングレンジパス、チェルシー戦で2-2のドローに貢献したゴール。キャプテンマークを巻いたスタンフォード・ブリッジでの活躍は最近のハイライト
- そしてその好調はスタッツにもディテールを見ることができる
ジャック・ウィルシャーの成長
- ウィルシャーの試合ではいくつもの成長を見ることができる
- 彼が呼ぶ「5メートルのバースト」。ヴェンゲルがいうところの「グレイト・クオリティ」
- ヴェンゲル「彼はボールを奪い取ったらプレッシャーをかいくぐることができる。小さなバーストで、一気に試合をオープンにできるんだ」
- 今季前にはウィルシャーがフィジカルを維持できるかが疑問視されていたが、しかし最近のパフォーマンスで自らを証明している
- 彼が敵をかいくぐるスピードは彼の若かったときに戻りつつある
- 彼の加速と狭いスペースでのボールコントロールは、サンティ・カソルラが離脱してからのアーセナルの中盤に新次元をもたらしている
- ウィルシャーは先日カソルラへの尊敬を語っていた。そのウィルシャーもいま90分平均で3.2のドリブルを行う選手に
- これはEPLのトップ10に入るものだし、セントラル・ミッドフィルダーのなかではトップ
- Optaによればリーグで90分あたりで1番ファールをもらっている選手でもある
ジャック・ウィルシャーのプロフェッショナリズム
- これは、スキルと同じくらいフィットネスレベルが増していることを示している
- 昨年10月にはかつてないほどフィットしているとコメント
- グルテン・ダイエットについても言及、体重を減らしフィットネスの回復を優先した
- これらは彼がかつてたびたび欠けていると指摘されていたプロフェッショナリズムの証。いま彼はピッチでその利益を享受している
ジャック・ウィルシャーのインテンシティ
- ボーンマスではインパクトを残せず苦しんだものの、今季リーグのデータは昨シーズンからの劇的なインテンシティの増加を示している
- 16/17シーズンに90分で46だったスプリント回数は、今季56にまで上がっている
- 走行距離も同じように10.7kmから11kmに増えている
- ウィルシャー「勘違いしないでほしいんだ。ぼくは一番走る選手じゃない。チームにはもっと走れる選手がいるからね。だけどぼくの数字がいいのはうれしいよ」
- ウィルシャーは2-2で引き分けたチェルシー戦で最後のホイッスルまで相手にプレッシャーをかけ続けることができていた
- ヴェンゲル「彼が苦難を乗り越えてきたことを賞賛したい。最大級の尊敬を贈りたいね。だって17の頃からスーパータレントだってずっとちやほやされてきたんだ。苦難を乗り越えてあのレベルにカンバックできたのは、彼の特別なキャラクターを示している」
ジャック・ウィルシャーの守備の貢献
- ヴェンゲルは何よりも彼の戦術的、守備的な成長に目を見張っている。
- ウィルシャーが一晩でアーセナルの問題を解決できるというわけではない(多くのファンは彼の中盤での相棒であるグラニト・ジャカを信頼していない)
- ムスタフィ「彼がボールを持っていないときのポジショニングは彼の知性を表しているよ。フットボールをいかに理解しているかということ。彼は(復帰以来)ほんとうにいい試合をしている。ぼくもうれしいよ。だって彼は試合に出るに値する選手だから」
- 彼の守備の貢献もスタッツにあらわれている。Optaによれば今季90分で平均8.9回ボールリカバリーしている。チームでトップだ。
- EPL全体でもマンUのマティッチ(9.1)に近い数字だし、ボール奪取のスペシャリストといわれるロメウ(8.5)やエンディディ(8.4)よりもいい数字だ
- この数字は印象的だしサウスゲイトが気づかないわけがない。ウィルシャーはEuro2016でアイスランドに敗れて以来、イングランドには呼ばれていない。しかしその18ヶ月後のいま、ライバルたちにチャレンジできるフォームであるといえる
以上。読みながらいつの間にかほとんど訳してしまった。※画像はすべてSKY SPORTS当該記事より
スタッツはもろもろ興味深かった。まさかここまでジャックが復調するとはね。一時はもうアーセナルに居場所はないと思っていた人も多いと思う。
考えてみれば、われわれは(おれだけ?)カソルラの不在ばかりいつまでも嘆いてきたわけだけれど、そこにいたんだな。中盤のマエストロが。中盤でボールを持てて、パスも出せるしドリブルもできる。守備力も高いなんて最高じゃないか。怪我だって、ちょっと足首をひねったくらいじゃびくともしない。な?
ムスタフィも指摘しているようにジャックがいいのは、やっぱりポジションをおろそかにしないことなんだよな。アーセナルのバランスはそれでだいぶ改善している面はある。そこがラムジーとの最大の違い。もちろんラムジーがダメってわけじゃないけど、彼が前がかりになるとどうしても攻撃偏重になりカウンターを受けたときにやられやすい。
ていうかラムジーが戻ったら中盤どうすんだろう??
ジャックとの契約更新について
これなかなか進んでないということなんだけど、理由がよくわからなかった。本人は延長したいといっているんだから。
何が問題か? まあ問題があるとしたらズバリ金でしょうな。希望の週給と現実に出せる金額に開きがある。それしか考えられない。どれくらいが適正なんだろう。なんといってもアーセナルのNo.10ジャージだからね。彼に怪我の不安さえなければ、最高給をもらってもおかしくはない。早く解決してほしいものだ。
結局エジルがNo.10を着ることはなかったか。それもまたフットボール。
ぼくは今日のボーンマス戦にはジャックは起用されないものと予想したけど、トレーニング写真にはラムジーはいないようだし、もしかしたらジャックでスタートするのかもしれない。ジャック・ダービーは日本時間今夜22:30より。DAZNの中継もあるみたい。