この夏にアーセナルとリンクされながらも、結局サウサンプトンに移籍した元ユヴェントスのMFマリオ・レミナ(Mario Lemina)。彼は今週のBBC SPORTS、Garth Crooks “The team of the week”(※ベスト11)にも選ばれており、非常に活躍をしたらしい。※WBAとの試合ハイライトを観たらヤベえミドルシュートをぶち込んでいた。
アーセナルが勝った週のTOTWはいつも楽しみで、今節はラムジー、ミキ、オーバと3人も選ばれていて、もちろん楽しく読んだのだけど、CMでラムジーと並んでいるレミナについてはまったくスルーしていた。
今回このマリオ・レミナについて書こうと思ったのは、ここで選者のクルックスがレミナについて、アーセナルにふさわしい選手。サウサンプトンでは才能の無駄遣いといったコメントをしていたのを知ったからである。
EPL25節BBC Sports “The team of the week”
http://www.bbc.com/sport/football/42939013
マリオ・レミナの寸評
クルックス:この若者はプレイするチームを完全に間違えている。いやまじで。マリオ・レミナはどう見てもアーセナルの選手である。
いいたいことは山ほどあるが、アーセン・ヴェンゲルはモハメド・エルネニーやフランシス・コクランといった類の選手たちでとにかく消耗していた。ヴェンゲルは夏にレミナに投資すべきだった。サウサンプトンに出し抜かれる前に。
レミナはセント・メリーではもったいなさすぎる。サウサンプトンのファンのみんなごめんよ。でも彼のベストを引き出せるほどのレベルの選手がサウサンプトンにはいない。
ウェストブロム戦での彼のパフォーマンスは激アツだった。まあまだこれほどのパフォーマンスというのはずっと見せられているわけではない。しかし彼が彼にふさわしいところでプレイすればいつも見られるようになるだろう。
え、レミナってそんないい選手なの? しかもアーセナル向き? ああ、違うか。アーセナル向きっていう話しじゃなくて、アーセナルがそのポジションに問題を抱えているってことな。そんなこといわれなくてもわかってるわい。
マリオ・レミナのプロファイル
Mario Lemina。仏ではマリオ・リミナと呼ぶみたいだ。
WhoScored.comによると、1993年生まれの24才。184cm。85km。右利き。オバメヤンと同じガボネーズ。ポジションはDM。CMやRBもいけるようだ。
コシエルニでおなじみのフランスのFCロリアンからマルセイユを経て、イタリアのユヴェントスへ。1年のローンから完全移籍を勝ち取ったものの、結局ユヴェントスでは多くの出場機会を得られず、17/18シーズンからイングランド、サウサンプトンへ。移籍金は17Mポンドだった模様。
ナショナルチーム歴は、ユース時代はフランス(U20、U21)に選出されている。その後シニアではフランスではなくガボンを選んだ。ガボネーズ・フレンチである(二重国籍)。
TransferMarktによると、マーケットバリューは15Mユーロ。
※ちなみに大変恥ずかしながらTransferMarktは最後のTの前にEが入らないということについ最近気付いた。
マリオ・レミナのプレイスタイル
今シーズンのパフォーマンスでは、クロスとタックルがベリー・ストロング。ドリブル、ロングシュート、ボールキープ、空中戦がストロング。ウィークネスはとくにナシ。
ドリブル大好き。クロスも好き。ロングシュートも好き。ショートパスも好き。間接フリーキックで脅威。攻撃ばっかだな。
Football Londonというサイトの記事によれば、強くてパワフル。広いエリアをカバーできるミッドフィルダーであると。とくに彼のスタミナや中盤ならどのポジションでもこなせる適応性が素晴らしい。ディフェンダーのカバーもときどき行う。ときどき?
また弱みとしては、気性の激しい性格の持ち主だという。ジャカみたいな感じか。あと攻撃力が足りない。ユーヴェでは43試合でたったの3ゴール。WhoScoredだと強みが攻撃ばかりなんだがどっちが正しいのか。
百聞は一見にしかず。こちらをご覧いただこう。16/17ユヴェントス時代のプレイ集。これはヤバい。
うめえなおい。ドリブルをかなりやりよる。これだけ観るとかなり素晴らしい選手のように見える。テクニックがあって中盤で攻守に効くという意味ではポグバみたいなところもある。しかしこんな素晴らしい選手をなぜユーヴェは手放したのか。このYouTubeに対するユーヴェサポーターのコメントから。
StewieGriffin(※2017年6月頃)
ユーヴェファンからすると彼はとてもいい選手だよ。ハードワーカーだし守備もいい。ちゃんとしたパッサーでもあるしドリブルもできる。強くて早い。でも。われわれの中盤というのは彼がいると弱くなってしまうんだ。彼はとても受け身な感じで彼は中盤でスルーされてしまう。ユヴェントスみたいなクラブだと、中盤を支配できる強さ、ピャニッチ、ケディラ、マルキージオみたいなプレイをする選手が必要なんだ。うちはトリッソとリンクされていて、たぶんレミナは夏には売られてしまうと思う。レギュラーでプレイする時間があればグレイトな選手になれるだろう。でも現時点ではビッグクラブでレギュラーでプレイするには十分じゃない。彼はモナコみたいなところに行くべきなんだよ。いい選手たちに囲まれてプレイすることが必要だし、モナコみたいなクラブでなら劇的に成長できるはず。1、2シーズン、レギュラーでプレイしたら、次のステップ(ビッグクラブ)への準備ができるんじゃないかな。
なるほどです。たしかにユヴェントスみたいなあんまりでかいクラブだと若手の出場機会が限られるからな。その点アーセナルはいい。いつもギリギリだし。チャンスがゴロゴロ転がっている。
マリオ・レミナとアーセナルのMFスタッツ比較
特筆すべきはディフェンススコア。タックル、インターセプトもダントツである。ドリブル(Take on)はMFの選手でリーグ1位というジャックに肉薄している。マリオ、キミがほしい。
アーセナルとマリオ・レミナ
ぼくはどういうわけか、こんだけ毎日アーセナルのことを考えていながら、レミナの噂については完全にスルーしていた。どうも去年の夏には、セリやトリッソなどとともに、アーセナルがレミナを獲得するという噂がかなり話題になっていたようだ。
状況としては、ユーヴェは手放す気満々で20M程度でアーセナルに売る気も満々だったらしい。本人ですら噂に対して好意的なコメントを残していた。
レミナ:ぼくの目標は階段を上っていくことだよ。もしユーヴェを離れなければならないなら、外国のクラブで経験を積みたい。
ぼくがリヨンに行くかって? そりゃあないね。OLがぼくに興味を持つとも思えない。ぼくは100%マルセイユっ子だ。マルセイユとリヨンのライバル関係を見れば、それはありえない。
マルセイユに戻りたいか? 個人的にはそれが正しい動きとは思えないな。
アーセナル? もちろんその話しはうれしいよ。でも個人的にはぼくは自分のクオリティを疑ったことは一度もない。いまとてもビッグクラブにいるけど、ぼくのほんとうのクオリティを見せられたとは思っていないんだ。だからぼくがクオリティを発揮できるビッグクラブの話しが来るのはうれしいよ。
それが、結局アーセナルはラカゼットとコラシナツのふたりを取ってがっかり市場は終了。要するに、レミナを取るだけの予算がなかったと。とにかく満足な補強をするための十分な金がなかったというのは、オーンスタインが指摘していたとおりだろう。アーセナル金なさすぎじゃね?
アーセナルがレミナを獲得することは出来たのに、しかしヴェンゲルはほかのエリアの補強を選んだという記事。
Arsene Wenger ignores Arsenal advice to sign Mario Lemina: Juventus midfielder snubbed
今季レミナがサウサンプトンで見せる活躍に苛立つグーナーも多いようだ。
Arsenal fans slam Arsene Wenger after transfer target Mario Lemina stars for Southampton
なんで取んなかったの? バカなの? 死ぬの? さんざんである。
数年後には、ロナウドやメッシ、イブラヒモビッチなどとともに「ヴェンゲルが獲得できたイレブン」に彼が名を連ねるようなことがなきゃいいけど。
まとめ
アーセナルにしては珍しく、現在スコッドの平均年齢がかなり上がってきている。とくにレギュラーは、オバメヤン、ミキタリアン、エジルあたりのアラサーに、チェフ、モンレアル、コシエルニなどの30オーバー。非常にらしくない。
一般にフットボール選手のプライムタイムは、24から28才という調査がある(攻撃の選手のピークは25、26才)。そう考えるとアーセナルの選手たちはいま少し上に偏りすぎである。クラブもおそらく来季以降、若返りを図りたいところだろう。
レミナは24才という年齢的にもちょうど旬の選手であり、またアーセナルの泣き所である中盤守備を補強できる理想的な選手だ。
まだサウサンプトンと契約して半年ほどしか経っておらず、2022年まで契約を残す彼をアーセナルが獲得するとも思えないが(もちろん夏に彼を獲得しなかった理由は予算だけではなかったかもしれないし)、彼のような若いDMを早く補強してもらいたい。
CBとDM(とGK)をきっちり補強したらいまのアーセナルはかなり強いと思う。