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イングリッシュ・プレミアリーグがウインターブレイクを検討中

先日メディアを騒がせていたこの話題。プレミアリーグがほかのトップリーグ同様、年末年始の「冬休み(ウインターブレイク)」の導入を検討しているという件。ちまたでは長いこと議論されているもんなあ。ついに来たかという。

Premier League: Winter break under discussion before new TV deal



TVマネーとプレミアリーグのウインターブレイク

BBC SPORTSの当該記事によれば、新しいTV放映権契約の話し合いに合わせてそれが検討されているとのこと。もしこれが決まると新しいTV放映権の契約締結と同時に発表になる模様。

運営やクラブに巨額のTV放映権料を支払うのがスポンサーTV企業である。当然彼らの意向はリーグのレギュレーション設定にも影響力を持つ。とくにプレミアリーグの商業的価値が高い(放映権料が大きい)のは、リーグ自体がコンペティティブでおもしろいということもさることながら、このウインターブレイクなしで他リーグが休んでいる間も試合をずっと提供していることも大きいはず。どのような話し合いになるのか興味深い。

昨今の欧州フットボールの試合スケジュールが、SKY SportsやBT SportといったTVの放送スケジュールに大きく影響されているのはよく知られている。プレミアリーグクラブでも総収入のなかでとくに大きな収入源になっているのがこのTVマネーだ。スポンサーの発言力は小さくない。

TV放送のせいで苦しい日程を設定されたクラブの監督たちが、それについて「スポーツよりビジネスを優先している」と苦言を呈すのはイングランドでもよく見られる光景だ。

プレミアリーグでは、以前にランチタイムキックオフの時間をさらに早めるかもしれないという議論があったことはこのブログでも書いたとおり。アジア地域など新興市場により高く放映権料を売るためなら、少しくらい国内ファンの不便があったとしても目をつぶる。それほどに巨額の金が動くということだ。現地のファンにとってはEPLのグローバル人気が招いた弊害としかいえないだろう。

そういうわけで、TV放映権の契約締結中はそれをFAの独断で勝手に動かすことはできない。FAは現在の契約が完了するまではウインターブレイクの導入は不可能であるとしている。

そして、これはつまりその次の契約からEPLにウインターブレイクが導入される可能性があるということになる。つぎの契約は2019-2022ということでプレミアリーグに冬休みが導入されるのは、いちばん早くても2年後の19/20シーズンからになるようだ。

EPLにおけるウインターブレイクの是非

ちなみに当該記事中にある読者投票によると、EPLのウインターブレイク導入に賛成するファンとそうでないファンは、58% vs 42%と拮抗している。

クリスマスにプレミアリーグが観られなくなるなんていやだ。でも休みがないことが理由でプレミアリーグがヨーロッパで勝てないのもいやだ。ファン心理としてはなかなか悩ましい。

しかし選手はもちろん、クラブの監督、とくにビッグクラブの監督からはこのウインターブレイクがないというのはEPLの悪しき習慣だと思われている。

グアルディオラはウインターブレイクなしの日程は「選手を殺すものだ」と発言しているし、モウリーニョも「(ウインターブレイクなしでは)チャンピオンズリーグで勝てない」と嘆いている

Pep Guardiola: Kyle Walker injury shows schedule is ‘killing the players’

カイル・ウォーカーの怪我で選手が守ってもらえないと憤懣やるかたないグアルディオラ。「選手はアーティストなんだ」と独特なコメント。ちょっとおもしろい。

ちなみにおれたちのベンさんは2015年にファンハールがEPLのスケジュールは”EVIL(悪)”であると発言したことに対し「ウインターブレイクがなくなったら導入されたら泣いちゃう」とコメントしていた。それこそがイングリッシュ・フットボールの伝統だと。もしかしたらいまは考えを改めているかもしれない。自分たちもきっちり犠牲者だし。

こうやって見ると、ヨーロッパを渡り歩いているようなビッグクラブのマネージャーがとくにEPLのウインターブレイクなしスケジュールを批判しているのかもしれない。そりゃあ、ただでさえ数多くの試合をこなして厳しいリーグ戦をなんとかやりくりしているのに、さらに今まであったリフレッシュ期間が一切ないとなれば、他の欧州のクラブに対して最初からハンディキャップが課されるようなものだ。

この件でヴェンゲルのように「英国の伝統」の肩を持つのは明らかに少数派である。

まず試合数を減らせという意見

ヨーロッパでの競争力が問題だというなら、その前にやることがあるだろうと。

BBC SPORTSやESPNなど、このウインターブレイクの件を報じた記事のコメントを見るに「リーグカップ(今年はカラバオカップ)を廃止しろ」や「リーグカップとFAカップを統合しろ」など、国内のカップ戦に言及するひとが多い。とくにリーグカップの人気がない。今季のアーセナルにとっては唯一タイトルに現実味のある大会なのがまたなんとも。

リーグカップはどうにかしたほうがいいという過去エントリにも書いたが、リーグカップからヨーロッパのコンペティションに参加しているクラブを除外したほうがいいという意見も見られた。

EFLカップ(英リーグカップ)は人気なし。どうにかしたほうがいいんじゃないかという話

ユニークな意見では、プレミアリーグでウインターブレイクを導入したって、どうせ金のためにドバイやアメリカに行ってフレンドリーマッチをやるんだからムダであるといったものも。さもありなん。

他トップリーグのウインターブレイク事情

国リーグ休み開始休み終了休み期間
独ブンデスリーガDec. 20Jan. 1222 days
仏リーグアンDec. 20Jan. 616 days
伊セリエAJan. 6Jan. 2114 days
西ラ・リーガDec. 23Jan. 311 days

※表はGOALより

ヨーロッパ5大リーグでウインターブレイク期間が一番長いのはドイツ。22日間もある。ブンデスのファンは暇な年末年始になるな。長い順にリーグアンの16日、セリエAの14日、リーガの11日と続く。この次がプレミアリーグの0日と。

各国内リーグではすべてのクラブが同条件で戦っているので不公平はない。

問題はヨーロッパのコンペティションである。たとえば、単純に休み期間を「フィットネス・ボーナス」だとすると、UCLのタイトルを争うクラブでは無条件に以下の値のボーナスが与えられていると考えられる。

  • バイエルン +22
  • PSG +16
  • ユヴェントス +14
  • マドリッド、バルセロナ +11
  • シティ +0

もっとも、身体を動かしていたほうがフィットネスを維持できるという考え方もあるので、一概に休みが長いから有利とはいえないかもしれない。がしかし、やはりどう考えても休みがあるほうが有利だろう。休み期間だってリラックスした状態でフィットネスの維持くらいはしているだろうし。これで公平な戦いができるかといえばたしかに無理がある。グアルディオラやモウリーニョがプンスカ怒っちゃうのも仕方ないのだ。

プレミアリーグはウインターブレイクの導入でヨーロッパでの競争力を取り戻せるか

UEFAによる最新のクラブランキング20位まで。

UEFAクラブランキングはチャンピオンズやヨーロッパリーグなどUEFA主催のヨーロッパでのコンペティションの成績をもとに算出されるランキングで、よりシビアにクラブの実力が示されるものと考えられる(もっとも、ヨーロッパリーグで三連覇したとはいえ、セビーリャのようなクラブがプレミアリーグのクラブよりも上位にいるのは少し納得がいかないが)。

いまや世界のトップ選手やトップマネージャーが集う世界最強の呼び声高いプレミアリーグにも関わらず、トップ20には5つのクラブ(マンシティ(8位)、マンU(11位)、チェルシー(12位)、アーセナル(13位)以下略)が入っているものの、トップ10クラブは8位シティのみだ。

短絡的に判断することはできないが、現在のEPLへの金やタレントの集まり具合を見ると、やはりヨーロッパで実績を残せない理由をウインターブレイクに求めるのも間違ってはいないだろう。

EPLはただでさえリーグ下位から上位まで格差の少ないといわれるリーグだ。ウインターブレイクがないことでさらに足を引っ張られていれば、シーズン佳境に入った頃行われるヨーロッパのトップクラブとの対戦でいい結果が出せないのも無理はないのかもしれない。

いずれにせよ、プレミアリーグにウインターブレイクが導入されれば数年で、プレミアリーグクラブの真の実力が示されるはずである。本来、これだけ世界中のトップの才能がつぎつぎと集まっているリーグのクラブが弱いはずがないのだ。



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2 Comments on “イングリッシュ・プレミアリーグがウインターブレイクを検討中

    1. あってません!

      ボスは「ウインターブレイク導入反対」を表明してました。本文修正しました。

      全然気づきませんでした。ご指摘ありがとうございます。。

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