ついにこの日がやってきた。UEFAヨーロッパリーグ、セミファイナルのファーストレグ。ほぼ1年に渡り超絶不甲斐ないシーズンを送ったガナーズにとって、ボスが退任を決めた今シーズンを救えるかどうかがかかる最大の2試合。それがこの試合と来週のマドリッドでのセカンドレグである。
UEFAクラブランキング3位という、戦えるチャンスがあるだけでラッキーというかつてない強敵にわれらアーセナルがホーム・アウェイで勝てるなんて、おれの傷ついた脳みそでは想像もできない。だが、やるしかない。
Arsenal v Atletico Madrid: Arsene Wenger sees semi-final as a ‘Champions League’ night
「事実上の決勝戦」とかいい出すひとがいそう。もうひとつのセミファイナルはマルセイユvsザルブルグだし。でも悪いフラグが立ちそうなので、思っていてもいわないでおこう。
空気読め。→ ’I think this is the final’ by Raphael Honigstein on the BBC Radio 5 live
予想スターティング
4-3-3
GK チェフ
CB モンレアル、ムスタフィ、コシエルニ、ベレリン
MF ラムジー、ジャカ、ウィルシャー
FW エジル、ラカゼット、ウェルベック
だいぶ離脱者が復帰しているとのこと。使えないのは、ミキタリアンとエルネニー。そしてオバメヤン。エルネニーはシーズン絶望(ラストゲームに間に合うかどうか)の見通しながらなんとかワールドカップには間に合いそうだという。おとといのCLで負傷してワールドカップも絶望だというチェンバレンのような選手もいると思えば、多少の気休めにはなるかもしれない。
それにしても、エルネニーはずっと良かったので、彼がこの試合で使えないのは本当に痛い。
バック3ならコラシナツやAMNのウイングバック、バック4ならジャックのCM起用。どちらが信頼度が高いか。バック4を予想した。
ぼくの注目選手はラカゼット。彼はグリーズマンともマブダチということで(愛称はグリーズィー。10年来の友だち)、この試合にかける思いもあるはず。インタビューではグリーズマンとのフレンドシップについてやけに熱く語っており、そっち系の妄想もはかどりそうなふたりである。
マッチアップ
ビッグゲームのときだけ貼っているような気がする。グラフィックはいつものフースコ様より。アーセナルのスタート予想はメンツはぼくのと同じながらジャックをNo.10にした4-2-3-1となっている。
対してアトレチコは、なんとディエゴ・コスタのスタートが予想されている。チームに帯同してるだけで驚かれていたというのに。SKY SPORTSではスタートは予想されていないが果たして。
フルバックのフェリペ・ルイスとファン・フランというレギュラーが欠場するようだ。
アトレチコは守るときはとにかく9人でファイナルサードを固めるみたいなチームらしいので(よく知らなくてごめん)、アーセナルは押し込んでもつねにカウンターを警戒しなければならない。アウェイゴールを食らったらそこで試合終了くらいの緊張感が必要である。
それぞれのコメント
ボスの辞任は解任だなんだ次に行くクラブがどこだとかとにかく騒がしいが、とりあえず試合に関するコメントを。ウェルベックとともに出席したプレスカンファレンスより。
(アトレチコはホームゲームで2018年のほとんど失点していません……)※ホーム15試合で3失点。シーズン全体では9失点。
ヴェンゲル:ヨーロッパの試合ではアウェイゴールのルールがとても重い。だから最初の試合をホームで戦うときは心理的な影響があるんだ。得点はしなければならないが失点はとてつもなく大きいハンディキャップになりえるからね。
(アトレチコのクオリティ……)
彼らの強みはわかりやすい弱みがないことだといえる。効率的なチームで、敵の弱点をつく試合をする。全体的にそれが彼らの強さだよ。
(ヨーロッパリーグのトロフィが最大の満足になりますか……)
さあ。いまはわたしは自分のことは考えていない。うまくやることだけだ。勝ちたい。人生で行ってきたことを続けたいし、それは次の試合に勝つということだけだ。次の試合はヨーロッパの試合で、その次はマンチェスター・ユナイテッドへ行く。そこでも試合に勝ちたい。それがわたしのずっとしてきたことだ。みんな自分がやりたいことをするし、それを受け入れなければならない。
(ヨーロッパリーグに負けたらうんこみたいなシーズンになっちゃいますかね……)
イエス。もちろんだ。でもそれは全体の一部に過ぎない。わたしが何度もいってきたことについて撤回する気はないんだ。それはある点では、チャンピオンズリーグに20年連続で出場してきたことはいうほど簡単じゃなかったということだ。まるでうんこみたいだといえばそのとおりだよ。まさにうんこだよ。だからわれわれは決勝に向けて死ぬ気で向かっていくのさ。
(おとぎ話みたいなエンディグを信じてますか……)
選手たちのためにそうしたいよ。彼らのアチーブメントとしてね。彼らは特別なメンタルクオリティを持っているし。わたしの最大の満足はいまの選手たちとともに成功することなんだ。彼らがシーズン中に見せてきたものはそれに値するよ。
(アーセナルにとってヨーロッパのトロフィはどれだけ価値がありますか……)
さあね。わたしが何度もいっているようにマネージャーには3つの側面があるよ。クラブを形づくること、選手たち個人に与える影響力、そしてもちろんプレイスタイルと結果だ。それらは明日の試合の一部でもある。もしわたしがしてきたことに何か加えられるとするなら、それはそれでとてもうれしいよ。
(このチームはレジェンドになれるでしょうか……)
わたしがいいたいのはこのチームにはクオリティがあるということ。2年前にはリーグ2位でフィニッシュしたし、去年だって75ポイント取ってFAカップも取った。コミュニティ・シールドも取った。リーグカップファイナルまで進んだ。そしていまヨーロッパリーグのセミファイナルまできた。選手たちにはクオリティがあり、シーズンの終わりまでにそれをもう一度見せることができると確信している。未来に確信しているし、2、3人加えれば、チームはタイトルを狙えるだろう。
あと2、3人でタイトル? まじですか。そんなことをいっているから解任されたん……
ボスと揃って会見に臨んだウェルベックのコメント。
(ヴェンゲルのために勝ちたいと……)
ウェルベック:イエア。でも試合に勝ちたいことに別のインセンティブを設定する必要はないと思うよ。だってボスが辞めるっていう前からぼくは勝ちたかったし。それにやつらもみんな集中している。もちろんもしボスがトロフィを掲げるところを見られたらそれはうれしいに決まってるけどね。
(ファーガソンやヴェンゲルみたいなマネージャーってこの先……)
ふたりの巨頭と仕事をできたことは幸運だと思っている。ふたりをすごくリスペクトしてる。今日でこんなにも長期間フットボールクラブのマネージャーをやるということについて語るのは難しいね。とにかくふたりのもとでプレイできたことはもうただただ幸せだ。
ディエゴ・シメオネのコメントについても。
シメオネ:(アーセナルFCとのリンクについて)いやいやアーセナルの誰とも話してないよ。アトレチコにいるのが好きなんだ。
ヴェンゲルといえば、わたしが最初に考えるのは敬意だね。彼にはもう一度やり直すことが必要だったよ。
わたしはまだ若輩のコーチだと思っている。だから彼をよく観察して学びたい。彼がフットボール界に占めてきたものは素晴らしいよ。
彼(オジル)はインレクディブルなヴィジョンを持っている。彼がスピードとトランジションを司っている。彼がチームに素早くプレイさせたいときはチームを素早くプレイさせるんだ。この試合を望み通りにできるかどうかはわれわれ次第だよ。勇気をもって戦うよ。
わたしがマドリッドに来て以来、チームは素晴らしい取り引きをしている。その分、批判も多くなってきている。
わたしはいまの自分がいるところに満足だ。アーセナルの強いスタジアムでだって気持ちが束縛されないようにプレイしたい。ファイナルに行くために勇敢になる必要がある。
今シーズンもここまでラ・リーガでバルセロナに次ぐ2位と、これだけ成功させているにも関わらず批判が多くなってきているというのはどういうことか。問題はチーム状況と最近のフォームだ。昨日のBBC SPORTSに興味深い記事が来ていた。
アトレチコ・マドリッド、一時代の終わり?
Arsenal v Atletico Madrid: End of an era for Gunners’ Europa League opponents
前半のアトレチコの状況に言及した部分だけ要約すると、
- アトレチコは今夏に大きな変化を迎える
- クラブの象徴でもあるフェルナンド・トーレスの退団は決定的
- グリーズマンとオブラクの去就も不透明
- その他の主要選手たちも高齢でキャリアの終わりに差し掛かっている
- キャプテンのガビ(34)、ファンフラン(33)、ゴディン(33)、フェリペ・ルイス(32)
- 2014年以降タイトルがない
大改革が必要なのは、アーセナルだけじゃなかったんだな。続いて現在のフォームについて。
- ホームで11試合連続クリンシート
- しかしアウェイでは8試合クリンシートなしで、ここ4試合で3負け
- それにしても34試合で18失点という鉄壁だけど
ホームで激強、アウェイで激弱。おいおいアーセナルかよ。って失点数ではまったく相手にならないな。ちなみにアーセナルは34試合で46失点である。同じフットボールクラブだろうか?
アーセナルがボスの退団で感傷的になっているとき、アトレチコもまた来るべく一時代の終焉に向けて最後に一花咲かせようと躍起になっていると。
スタッツから見るアトレチコ・マドリッドのプレイスタイル
Arseblog News – the Arsenal news site
7amkickoff氏の寄稿。もろもろはしょってスタッツ比較部分だけ。タックルのダブルスコアはあれど、あれ、思ったよりおれたちと似てね?という。
Arsenal | Atletico | |
Tackles | 22 | 43.2 |
Dribbled past | 9.1 | 20.5 |
Successful tackles | 12.9 | 22.7 |
Interceptions | 12.7 | 14.5 |
Blocked passes | 7.7 | 8 |
Blocked shots | 2.7 | 2.8 |
Saves | 2.8 | 3 |
Dribbles | 24.7 | 19.7 |
Successful dribbles | 15.3 | 13.7 |
アトレチコ・マドリッドは一般的に守備のチームと思われがちだけれど、スルーボールも多いし、パス成功率も高く、ポゼッションもできる。アンチ・フットボールのチームだと思ってかかると痛い目にあうよと。
タックルもそうだけど、とにかく相手のストロングポイントを消してくる。どう見てもアーセナルは苦手なタイプだ。
アトレチコ・マドリッドの4-4-2
現代の4-4-2といえば、彼らのシステムが代名詞のようなものだ。組織だった守備とハードワーキング。アトレチコのシステムを分析している動画。昨シーズンのもの。
4-4-2だけでなく、4-4-1-1、4-2-3-1なども併用している。これを見ると、前からガンガンプレッシャーをかけまくるということはなくて、自陣で守備陣型を組んだなかでプレスして相手をはめてそこでボールを奪ってからグリーズマンを経由してカウンターが始めるということが多いようだ。そうなの? ぼくが観たことあるなかでは結構前からプレッシャーをかけていたように思ったけど。
もし彼らが今季アーセナルをよく研究しているなら、当然前からプレスをかけるだろう。リヴァプールとローマの試合も見てるだろうし、あんなふうにプレスがハマったらそりゃ楽しいに決まってる。
試合結果予想
WhoScored.com 2-1でホームチームの勝ち
SKY SPORTS 2-1でホームチームの勝ち
おいおい勝つのかよ。SKYはともかく、血の通わない予想しかできないフースコ様が勝ち予想とは。しかし失点は避けられないというのがわりと致命的。なぜならわれわれがアウェイで得点できる可能性は非常に低いからである。
もう一度いおう。彼らは現在ホームで11試合連続無失点である。アウェイでまったく輝けないアーセナルがそこで得点できたら奇跡という状況。奇跡が起きるのか?
以上
試合は、日本時間明日金曜早朝4:05。とにかくまずはいい結果を残さないことには始まらない。COYG