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【マッチレビュー】17/18UEL LAST4 2ndレグ アトレチコ・マドリッド vs アーセナル (3/5/2018) ヴェンゲルアーセナルはELセミファイナルで敗退

まあこんなものですよ。そもそもアウェイでまったく勝てていないのに、ここだけなんとかやれるなんて期待していたほうがどうかしてた。

ファーストレグに引き続いて全世界のアーセナルファンをストレスのどん底に落とし込んでくれたおれたちのガナーズ。攻めても攻めても得点できずカウンターであっさり失点という、いつもと変わり映えのないガナーズに安心したファンも多かろうて。

試合後の脱力したぼくのあたまんなかではこれが鳴っていた。まあアーセナルの負け試合ではよく流れてくるんだけど。「諦念」という気分にぴったり。ここで一曲お聞きいただきましょう。97年リリース、もう20年前の曲ですね、レディオヘッドで「カーマ・ポリス」。

This is what you get…

人生を捧げたという22年の集大成。あなたが得たものがこれですよと。

きっと勝ち抜けることだけを信じていただろうヴェンゲル監督も浮かばれない。

が、そのチームをつくったのもヴェンゲルさんなんだ。アーセン・ヴェンゲルのほか誰のせいでもない。その事実が、ただただ悲しい。



17/18UELセミファイナル敗退の雑感

あくまで想定内だったアーセナルのプレイ

ぼくはアーセナルがELに出ることになったときに、まあセミファイナルあたりで負けるだろうと予想していた。そこそこ期待させておいて、そこから落とす。アーセナルは予想を裏切らなかった。

アーセナルにとってアトレチコというチームは堅守速攻が武器で、とくに堅牢な守備が最大の長所というもっとも苦手なプレイスタイルのチームだ。バイエルンやバルセロナとはまた違った意味でイヤな相手。それは事前からわかっていた。

だからこそ攻撃は最大の防御とばかり、前後のバランスを崩すことも辞さない「攻撃フットボール」を標榜するアーセナルにとって、彼らは絶対に倒さなければならない相手だった。だってそうだろう? それはもはや思想信条の問題である。彼らのような屈強な盾を鋭い槍で倒してこそ、これまでこだわってきた攻撃フットボールの面目が保たれる。そうでなければ、ヴェンゲルの信じてきたフットボール自体が否定されてしまうようなものだ。

そしてそれは実際に否定された。

アグリゲートスコアは2-1ながら、この一見地味な得点差以上に完膚なきまでにやられたと思う。2試合を通して、いろいろな意味でことごとく彼らが上回っていたことを認めざるを得ない。

ファーストレグもセカンドレグもアーセナルはよく攻めたと思う。キツいプレッシングをかいくぐったし、ミドルパスでドン引きしたディフェンスを右に左に振り続けたし、狭いライン間を上手に使って、得意のショートパスからいくどもチャンスをつくろうとした。ただ、決定的な場面をつくることはほとんどできなかった(セカンドレグのショッツオンゴールはジャカのミドルシュート1本のみ)。

なぜか。

アトレチコはゴール前の守り方を知っていたし、なんならアーセナルからどう攻められるかのイメージもできていた。どうせバカ正直にスルーボールにこだわることもバレていたし、ターゲットマン不在もバレていたし、クロスの精度やミドルシュートの精度が低いこともバレていた。そうでなければあんなふうな極端にゴール前に人数を集めた守り方はしない。ラカゼットはスペースのない状況で輝くタイプではない。ここにジルーがいてくれたらとため息がでるようなシーンを何度見たことか。要する自分たちは攻めていると思い込んでいながら、じつは単に攻めさせられていたのだ。手のひらのうえで踊らされるとはこのことだ。

シメオネは戦う前からアーセナルをかなり研究していたと思う。ヴェンゲルはどうだったか。今回アーセナルが見せたアトレチコ対策は何かあっただろうか? 堅守をどう崩すか、カウンターにどう対処するか。グリーズマンやコスタをどう止めるか。ぼくにはいつもどおりに無策に戦って、いつもどおりに無残に負けたようにしか見えなかった。

得点を諦めたアーセナルのメンタリティ

この試合(セカンドレグ)が終わったあと、コスタにしてやられたとかアーセナルキラーだとかいくつもの記事を見たが、そんなこと問題じゃない。ベレリンがコスタをケアするのが遅れたとかそんなのは些末なことだ。この試合ではとにかく無失点だろうが1点2点取られようが、とにかくアーセナルには得点が必要だった。だからファーストレグをああいったかたちでやられてしまったからには、もう何をやっても得点するしかなかった。失点のリスクを負ってでもとにかく攻めるというのが、アーセナルのゲームプランだったはずだ。とくに終盤は死に物狂いで攻めるよりほかに方法がなかった。

それなのに。ファーストハーフの最後に1点失点しただけであんなに意気消沈してしまった。なんなんだ? 1失点なんか想定内ではなかったのか。だって1失点ならまだこちらが1点を取れば試合は振り出しに戻るだけだったのだ。あんなにがっかりするような失点じゃなかった。

1点さえ取れば、ということを選手たちは理解していたんだろうか。ぼくにはとてもそんなふうには見えなかった。攻めても攻めても跳ね返されどんどんやる気が削がれていくように、彼らの足は試合終了に向けてどんどん動かなくなっていった。アウェイのスタジアムの空気に飲まれていった。1点さえ取ればゲームオンというモチベーションを最後までキープできなかった。

残り時間がわずかになってまだグラウンダーのボールをつなごうとしていたのには目を疑った。たしかにパワープレイに向いた選手はいなかったが、カップ戦でここで得点しなければ終わりというあの状況なら失点のリスクをかけてもロングボール一本で全員でゴール前に殺到するくらいしてもよかったのではないか。それがアーセナルらしくないのは知っている。でもそれがなんだというんだ。ボスへの手向けだなんて口ばかりのおべっか使いばかりで、彼らからは「死んでも勝つ」という気概は見られなかった。

あまりにも固い城塞を前に、彼らにはもう戦う気力が残っていなかったんだな。たぶん。

選手たち自身が自分たちを信じることができなかった。93分に1点取るという未来を信じられなかった。それが敗因のひとつだと思う。

セルフコンフィデンスはもちろん急に失われたわけではなく、今シーズンを通してじわじわと蝕まれていったのだ。チームに自信を植え付けるマネージャーがいる一方で、ヴェンゲル監督は今シーズンをかけてチームに成功体験を味合わせることなく、ただひたすら選手たちからここぞというときの自信を奪っていった。ビッグクラブには勝てない。アウェイでは勝てない。先に点を取られたら追いつけない。守られたら崩せない。

おれたちはどうせビッグクラブに勝つことはできない。そんなメンタリティを残していくなんてとんだボスからの置き土産である。

「メルシ・アーセン」に水を差した敗戦

ぼく個人的にはこの敗戦にはさほどショックを受けていない。奇跡を起こせなんて書いておきながら奇跡がそう簡単に起こるとも思っていなかったし、だてにアーセナルのファンとして毎試合の敗戦を噛み締めていない。

ただ、ボスのアーセナルでのキャリアの締めくくりを彼の偉業を讃えて送り出そうというこのタイミングで、われわれのハートウォーミングな気分には大いに水を差した。来季のチャンピオンズを逃したことと合わせてのダメージは小さくない。

試合後のインタビューはまだちゃんと読んでいないので(確認する気力がない)、ボスがどんなふうにこの敗戦を捉えているかわからない。

ヴェンゲル監督には、もう汚名をすすぐ機会もないということが悲しい。

PS
来季CLなしは新監督にもかなりの逆アピールになりますな。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “【マッチレビュー】17/18UEL LAST4 2ndレグ アトレチコ・マドリッド vs アーセナル (3/5/2018) ヴェンゲルアーセナルはELセミファイナルで敗退

  1. 欧州でホントに勝つ気ならディフェンス陣を整備し相手に対する戦術を備え、さらに折れないメンタルを持ってから来なさいよ、とアトレティコ先生に教えられましたね。
    ここまでの状況を放置したフロントの責任は重いです。
    コッシーのケガでムスタフィは残留させざるを得ない感じですね。
    来期、補強にあまり資金を使えないのであれば、イタリア辺りから監督コーチをお招きし組織的ディフェンスを叩き込んでもらい、とりあえず攻撃陣は今のメンバーで崩しかたを教えてもらう、とかどうでしょう(笑)
    もちろんDFの補強は必要ですがムスタフィだってドイツ代表だったくらいだから、ちゃんとした守備戦術を用いる監督ならもう少し伸びないのかな、と。守備が、いい加減なチームだから獲得したDF皆ダメになっちゃうのかな?と思います。
    ウィルシャーは…いらないかな…

    1. ほんとにねえ。アトレチコ先生ですよ。バケツ持って廊下に立ってろ!つって。シメオネ似合うなあ。あのツラ昭和感あるもんなあ。

  2. このタイミングでのコシの怪我とか、もうなんかいろいろTHE ARSENALですな!!!やはり期待を裏切ってくれませんでした。選手達もベンゲルに対して思い入れが無いのでしょう。そう思わせる試合でした!

    1. おはようございます。

      や、選手たちの思い入れ自体はあったんじゃないですかね。
      彼らのボスをいい感じに送り出したいという気持ちにうそはなかった。
      でも、自信とか勇気とか鬼軍曹とかもろもろが決定的に足りなかった。みたいな?

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