しつこく選手名の発音エントリです。忘れたころにやってくる。
このブログでなぜそこにそこまで選手名の発音に執着するのか理解できんという方もいらっしゃるだろうが、じつはだんだん自分自身でもそんな気がしてきた(笑い)。
もはや「おまいは誰と戦っているんだ?」状態の本件ながら、相変わらず関心を持ち続けている。
さて、ひょんなところからおもしろいものを見つけた。
きっかけはUEFAサイトにあったこちらの記事。
How to pronounce the players’ names correctly
この特集ではイングリッシュ・スピーカー向けに発音の難しい有名選手たちの正しい(?)発音を紹介している。2017年と2018年と2年続けてアップされているので(それ以前は不明)、反響があったのかもしれない。
以前にもどこかで触れたことがあるように、日本人にとってだけでなく英語を話す人にとっても非英語圏の人名というのはどうやって発音するのかわからないものらしく、しばしばそれが話題になっており、UEFAのサイトがトピックとして取り上げるくらいなのである。
楽しく読んでいたところ、その流れでふとこのようなサイトを見つけた。
ネイティブに選手名を発音してもらうプロジェクト
How are World Cup Players’ Names Really Pronounced?
バンベルグ大学(オットー・フリードリヒ大学バンベルク)の学生という方が、立ち上げたプロジェクトで、ワールドカップに出場する選手たちの人名をその国の正しいスペリングとネイティブ発音のオーディオで共有しようというもの。ワールドカップ2018出場選手のみなのが残念だが、意欲的なプロジェクトだと思う。
概要を読んでいると、FIFA的なやり方(ある種の多様性を考慮しないやり方)への不満がベースになっているようである。
これがあれば、世界中のテレビやレディオでコメンテーターやアナウンサーもネイティブの正しい発音について確認でき、迷ったり間違った発音をせずに済むというもの。
WM 2018 – Otto-Friedrich-Universität Bamberg
サイト全体は残念ながらドイツ語。しかし、音声を確認するには何の問題もない。
ページ冒頭でプロジェクトの概要について説明されているので、それを引用してみよう。
このプロジェクトについて
ようこそ。FIFAワールドカップ2018の選手やレフェリーやコーチの人名の正しい発音とスペリングについて興味を持ってくれてありがとう。
チームは8つのグループに分けてあり。選手ごとにボックスがあり、サウンドファイルだけでなくシャツナンバーだとかクラブやポジション、バイオグラフィみたいなデータや出生などの情報も掲載してある。最終的にスクオッドに残らなかったみたいな選手についても分けて載せている。
この音声ファイルは、ネイティブスピーカーかあるいはその国から来た人たちにしゃべってもらった。ひとつの地域にひとつの言語がいつも使えるわけじゃない。とくにスペイン語みたいな地域によって発音に大きな違いがあることばもあるし、ベルギーやスイスみたいにナショナルな言語がひとつ以上の国もある。
選手名はその国で使われているスペリングを採用した。英語のアルファベット文字だけを使っているFIFAとは違うから、多くの見慣れない文字に出会うことができるかもしれない。
ラテン文字以外の文字を使う国については、ラテン文字に翻訳してある。これは科学的な書き換えであり、FIFAがやっているような英語での発音上の書き換えではない。しかし、ナヴィゲーションを簡易にするために、FIFA式のスペリングも併載してあるから検索もしやすいし、FIFA式と比べたりも簡単にできる。
いくつかの国では、残念ながら、まだ録音ができていないところがある。もしネイティブスピーカーあるいはその国から来たという人で手伝いたいという人がいたら、ぼくに連絡してほしい! それほど手間はかけないし、このプロジェクトの大きな助けになる。
リーガル情報も見ておいてほしい。名前の発音をぜひ楽しんでほしいな!
似たようなプロジェクトでは、以前にTransferMarktの選手ページに名前発音機能が搭載されたことを紹介したことがある。
あれもネイティブ発音を確認できるなかなかのスグレモノだったが、確認したい発音が難しそうな名前ほどサウンドファイルが未掲載で、ぼくの印象では大してプロジェクトが進んでいるようには見えず残念である。
ネイティブな発音を聴いてみよう
グループAからグループHまで、ワールドカップのグループ分けと同じ状態でページが分けられている。
興味のある国の選手名のネイティブ発音を聴いてみよう。
まだ音声がないものがあるということだったが、ぼくがざっくり確認した範囲ではすべて音声ファイルがあり、ないものは見つけられなかった。ドイツの大学ということで世界中から来ている留学生なんかに協力を仰いだのかもしれない。
ちなみにグループHには「JAPAN」もあり、音声を確認すると男性の声が収録されている。しゃべり方が若干機械音声っぽい(笑える)が、まあこれも日本人ネイティブの発声だろう。
ただ、日本の場合はアルファベット表記と発音はほぼ同一であり、議論になる余地はあまりない。
イングリッシュ・スピーカーにとって議論になりやすいのは、やはり東欧系やアフリカ系などだろうか。
気になる発音はあったかな?
ぼくがネイティブ発音にこだわらない理由
ここまでの流れでこういうのもなんだけど、ぼく自身はネイティブ発音にはあまりこだわっていない。イングランドで呼ばれている呼び方を参考にしている。
なぜかといえば、それは本人(選手)がこだわってないからだ。なんなら非ネイティブでの通称のほうを本人が自称している場合もあるし(チェズニーとか)、そっちのほうが圧倒的に流通していたりする(ミキタリアンとか)。
いろいろな呼び方があるなかでどういうカタカナ表記にするか迷ったときに、基準があれば都合がいい。それがぼくの場合はイングランド(英語)であり、決して日本の雑誌やWEBメディアでもないしましてや日本語ウキペなどでもない。最初から信用してないし。
ところで先月くらいに、女性ファッション誌のELLEが「エムバペ」表記は間違っているという記事で少しバズっていたのでそれを読んだ人もいるかもしれない。もちろんぼくも興味深く読んだ。
このご時世に多様性(ダイヴァーシティ)を尊重しないなんておかしいみたいな主張であったけれど、当事者でもない日本人がそのことを気にもしていないだろう当事者のアフリカ人を慮ってフランス人の呼び方を否定するという、いくら移民問題なんかでセンシティブになっているとはいえ、なんというか典型的な行き過ぎたポリティカル・コレクトネスのように思えて仕方がなかった。
エンバッペが自分でムバッペと呼んでほしい、ムバッペが唯一の正しい発音なんだ、おれたちの誇りなんだと主張しているならまだしも、そういう話しもついぞ聞いたことがない。
本人はきっとそんなんどっちでもいいと思ってるよ。知らんけど。
思えばぼくがこういうことをよく考えるようになったのは、ネットの動画配信で外国語にふれることが日常的になったおかげで、あまりにも日本での呼ばれ方とかけ離れていることにどんどん違和感が拭えなくなってしまったからだ。
PS
プリシーズンでの活躍が話題になっているマテオ・ゲンドゥージ、この「ゲンドゥージ」ぼくは彼自身の発音を聴いてそのカタカナ語を採用したのだけど、どうも英語コメンタリは「グウェンドゥージ」が主流派っぽい。そうなると日本で主流になりつつあった「グエンドウジ」表記もいうほど遠くないと思えてきた。なんかゴメン。