ウナイ・エメリがEPL初勝利を飾った。
コーチ本人や選手たちもコメントしているように、まだまだこれから先も改善が必要で、結果ほどに楽な試合運びとはいえなかった。
それでも勝ったことは大きい。順位も17位から10位に浮上した。
試合を振り返りつつ、試合後のリアクションもまとめていこう。
Arsenal 3-1 West Ham United: Unai Emery secures first win as Gunners boss
スターティングイレヴン
4-2-3-1
オバメヤン
イウォビ、ラムジー、ミキタリアン
ジャカ、グウェンドゥージ
モンレアル、ソクラティス、ムスタフィ、ベレリン
チェフ
ここまで、このティング予想もなかなか当てられなかったが、今回もエジルの欠場はさすがに予想外だった。
直前になって「病欠」が伝えられ、結果さまざまな憶測が飛び交うこととなった。詳しくは後述。
ラカゼットは殊勝なコメントもありながら、やはりこの試合もベンチ。途中でラカゼットを入れてから試合の流れが好転していることはエメリも認めているはずだから(この試合でもそう)、彼をスタートから起用しないことはちょっとしたストレスを感じる。とくにオバメヤンが自信を失っているというのなら、彼をウイング起用するなど気分転換も必要だと思うのだけれど。
また、レノ、トレイラもベンチから。
中盤に関しては、ここまでの戦いを見ても、ゲンドゥージとトレイラの2CMを選んでもおかしくはない状況と思われたが、エメリはやっぱりジャカを選んだ。
後半のトレイラとジャカのコンビネーションを見ていたら、むしろ彼らを最初から使ってもよかったかもしれないと思った。
マッチスタッツ
以下、Arseblogより。
xGはアーセナル1.92、ウエストハム1.39。
SoTxGはアーセナル3.32、ウエストハム1.33。
シュートから見た結果シミュレーション。勝ちは妥当ながら、データからはアウェイチームを圧倒した様子は伺えない。
ボスの試合後のみことば
(プレミアリーグで初勝利です……)
エメリ:ハッピーだよ。3試合目にして初勝利だ。今日は勝つ必要があったしサポーターにもそれを示したかった。しかし、明確なのはわれわれがもっと進歩しなければならないということ。今日みたいにたくさんのつくられるべきではない。どのようにやられたのか、改善のために分析をするつもりだ。今日はファーストハーフではライトバックとレフトバックを攻撃にふんだんに使いたかった。そしてMFにはバランスが必要だった。ファーストハーフにはたくさんのオプションがあった。しかしこのバランスのなかで最初のゴールはヘクターから始まり、ナチョがフィニッシュした。また別のオプションではこの流動性を使った攻撃をせず、トランジションのバランスをとった。
(ウェストハムは1点よりもっと取る可能性があったという事実……)
彼らは良いコーチといい選手がいるいいチームだ。それでわれわれのディフェンスに問題を与えた。もしわれわれがもっとたくさんの選手を守備に使うなら、攻撃のパフォーマンスも失っていただろう。だからこのバランスで攻撃を失いたくなかった。バランスが必要だ。いずれにせよ改善が必要だ。今日は、思うに、ファーストハーフとセカンドハーフでかなり違っていた。セカンドハーフのほうがいいバランスを見つけられたと思う。ドレッシングルームで話して、選手も変えた。それがセカンドハーフで違いをつくった。
(ラカゼットのインパクト……)
試合前に話したが、われわれにはどの選手も必要だ。最初の11人はとても重要だが、ベンチの選手もとても重要だ。どの試合においても。彼らがプレイできるのは5分、10分、30分か45分。それが必要だ。今日の場合、違いをつくってくれた。ラカ、ルーカス、それにウェルベックもとても重要な3人だ。彼らは途中出場してチームを救った。だからわたしは満足しているし、どの選手も必要だというんだ。
(ラムジーのパフォーマンス……)
彼は90分プレイした。どの瞬間も気を抜かなかったよ。それがチームが求めるものだ。彼のスピリットはわれわれにとってとても重要で、彼の経験もまた重要だ。彼は難しい局面でもボールを与えられる選手だ。なぜなら彼はとても高いパーソナリティでプレイしているから。
もちろん、試合前にエメリとの衝突があったのではと噂されたエジルの欠場についても質問が飛んだ。
(メスト・エジルが今日プレイしないと伝えられたあとで、トレイニングを休んだって話しですけど……)
エメリ:英語で説明するのがちょっとむずかしいんだけど、まず、どっからそんな話が出てきたの? うそっぱちだよ。情報というのはまず真実を伝えるものである必要がある。誰がそんなことをいい出したのかね? わたしに訊いたり、ドクターに訊いたり、クラブに訊いたりするのかい? 彼は昨日病気だったんだよ。彼はドクター、わたしと話した。それで今日プレイしないと決めたんだ。彼はそのためにトレイニングをしなかったわけじゃないよ。具合が悪いから帰宅しただけだよ。
(彼が病気でなければプレイさせていましたか……)
彼は昨日病気で、今日も病気だった。彼は家に帰って、わたしはこう伝えたよ。もし具合が良くなりそうなら試合に来るように。で、今日彼は試合の前にはよくなっていたからチームとともにいたよ。
(なんて病気なんですかねえ……)
そりゃあ、キミ、病気といったらほら……。英語でなんていったらいいのかわからないんだ。スペイン語でいえば、”catarro(風邪・鼻づまり)”だよ。
彼は病気で具合が悪かった。選手となにか問題があるわけじゃない。その噂はガセだよ。ドクターに訊いてくれれば、彼ならもっとうまく説明できるよ!
過去にも病気だといってトルコ(※国の名前)で遊んでいることがバレたエジルだけに、今回の「病気」もいかにも疑惑がありそうで、さまざまな憶測が飛び交っていた。
病名を訊いたり仮病を疑うひともいるし、ヨーロッパの人種差別問題が絡んで、もちろんドイツ国内はおろか世界中でニュースになった例の件もあり、メンタルの病ではないかと心配するファンもいたくらいだ。
いずれにせよ、エジルの病欠はいまに始まったことではない(この1年で7回目とか……)。状況的に同情できる面もあるが、チーム一の高給をもらっているのならなおさら体調管理には気をつけなければならないはず。リーダーだという自覚を持ってほしいよね。
アーセナル vs ウェストハムの論点
さて、試合のポイントについて。
身体が動かない+プレイ精度を欠く
ぼくがとくに前半を見ていて一番気になったのがこれ。
とにかく、どの選手も身体にキレがなく、ふだんならやらないだろうパスミスやトラップミスをやる。ミキタリアンなんかは最初のいくつかのプレイをことごとくミスしていた。
そのせいで、攻撃でもなかなか波に乗れず、空気を読んだイウォビがドリブルで単独突破を試みたところでボールを奪われてから一気に逆襲され失点。しかも失点シーンはアーセナルがしっかり守備の選手たちが戻っていたにも関わらず、たった2人にやられている。攻めても守ってもうまくいかないという感じだった。
近年のアーセナルがアウェイで陥りがちなパフォーマンスで、とてもホームゲームとは思えなかった。
ひとつ理由が思いついたのは、トレイニングの負荷。負荷をかけすぎたんじゃないだろうか。そんなことあるはずないけど、まあ可能性として。彼らが極端に疲労していたと考えると腑に落ちるシーンが多い。
エメリが来てから楽しげなトレイニングの様子がSNSを通じて拡散されている。
どうもあやしいと思ったんだよ。ゲラゲラ笑えるほど練習が楽しいわけがない。
あれは目くらまし。じつはカメラが回ってないところではゲロ吐くほどの特訓をやってるはずだね。水も飲ませずに神社の長い階段を兎跳び。腕立てどころか、きっと指立て伏せもやってる。竹刀を持ったウメリの姿が思い浮かぶわ。さすが軍曹。
その視点で改めてトレイニングの動画を見るとムスタフィとか演技過剰で、めちゃくちゃティーチャーズペットに見えるゾ。
ということで、アーセナルの諸君はエメリの地獄の特訓で非常に疲労していた。そうに違いない。
エジルがいないアーセナル
やっぱりクリエイティブ欠乏症だったろうか。エジルがいないほうがプレスが捗るという見方もあるが、ハマーズが後ろでボールを回すようなチームではなかったため、この試合に関していえばプレッシングの見せ場はさほどなかった。
だから、プレスよりもやはりファイナルサードでの創造性とかそっちのほうが気になった。
試合を通して攻撃ではベレリンの上がりが効果的だったが、ちょっと一本調子だったような気がしないでもない。とくに真ん中からの崩しのアイディアに乏しく、悪くいえば攻撃時にボールをサイドに追いやられているともいえる。
結果的にベレリンの2アシストと、サイドアタックで優位を保ったが、攻撃のバリエーションという意味ではやはりエジルの不在を感じる時間も多かった。
攻められる時間が長い試合ではエジルなしで、攻める時間が長い試合ではエジルを使うというのが最適解のように思えてならないのだが。
2試合で精彩を欠いたため、この試合でエジルの復活を期待していたのに、それについてはひとまずお預けとなった。
ラムジーの重要性
Arseblogのレイティングなんかを見ると思いの外評価が低いのだけど、ぼくは個人的にはこの試合のMOTMはラムジーではないかと思っていた。※SKY SportsのMOTMはラムジー。
エジルがいないアーセナルの中盤で随所にらしいプレイを見せていたし、もし彼がいなかったらアーセナルはもっと攻撃で苦しんだのではないだろうか。
後半から入ったラカゼットと後半途中から入ったトレイラ、そしてラムジーはこの日のアーセナルにとくに重要だったと思う。
エメリもラムジーの重要性について語っていた。
ウェストハムの元ガナーたち
ジャックとファビアンスキはスタートから。ルーカス・ペレスは途中出場。
ジャックは残念ながら90分で印象的なプレイを見せることはできなかった。おそらく、もっと強いチームにいたらまた違ったパフォーマンスを見せていた可能性もあるが、はっきりいってあのプレイを見てなおジャックを失ったのは間違いだったと考えるグーナーはいないだろう。残念である。
ファビアンスキはかなりよかった。ぼくはGKたちのスタッツを見て、レノじゃなくてファビアンスキを買い戻したほうがよかったのではないかと考えていたが、この試合でも安定したパフォーマンスを見せていた。
とくにハーフウェイラインを越えるロングボールをしっかり収めたのにはしびれた。
レノがなかなか登場しないのでまだなんともいえないが、ショットストップが苦手なレノよりやっぱりファビアンスキのがよかったなあという日が来るような気がしてならない。
Good to see you yesterday, @JackWilshere 👍
Once a Gunner, always a Gunner 🔴 pic.twitter.com/mqLi0kiryh
— Arsenal FC (@Arsenal) 2018年8月26日
ウェルベックが足で得点を決める
足で……だと……?
試合後のコメント
ヘクタ・ベレリン「時間の問題」
(シーズン最初の勝利です。安心した?)
ベレリン:安心とはちょっと違うかな。この2ヶ月間はまじでハードワークしてきたし、時間の問題だってことはわかっていた。クラブでたくさんのことが変わったのにいきなりタフな試合が続いた。ぼくらはそれが時間の問題、チャンスを決めるだけの問題だとわかっていた。今日はそんな日だったよ。それでももっと効果的になれたはずだね。たとえ1点先行されていても、ひっくり返したし、チームのリアクションにも満足だよ。
(最初の試合に勝つことにプレッシャーを感じていた?)
さっきもいったように、プレッシャーではないんだ。時間の問題だといったでしょ。ホームでサポーターとともにプレイしていた。彼らはタフなチームだったよ。夏にたくさんいい選手を取ったし。トッププレイヤーを何人も取った。まあ彼らもお互い慣れる時間が必要だけど、タフな試合になるということはわかっていた。スコアがピッチ上でいかにハードだったかを表してはいないと思うけど、さっきもいったように、結果が出るのは時間の問題だったんだ。チーム全体がとてもハードにやってきたから。
(このシステムにチームが慣れてきた?)
結局は、フットボールだよ。うん。それがぼくらがずっとやってることだし、いつもいくつかの調整はあるし、コーチのやりたいプレイスタイルのために合わせる必要がある。でももちろん、ぼくらはシステムが変わってもお互いに長いあいだプレイしているから、結局は同じ選手たちだ。相互理解と助け合いがある。つまりチームワークについての話しだし、今週もハードにやってきた。得点のために何をすべきかも理解している。それがぼくらが一緒にやってきたことさ。
🅰️🅰️ Provided the ball in for two goals
🔝 Most crosses
😤 Most aerial duels
💪 Five clearancesAn action-packed performance in #ARSWHU – nice one, @HectorBellerin 👊 pic.twitter.com/hu1P6pLbmi
— Arsenal FC (@Arsenal) 2018年8月25日
アーロン・ラムジー
(シーズン最初の勝利です……)
ラムジー:前半は難しくて、とくに攻撃面で苦しんだ。でも後半はいくつかのチャンスをつくったし、得点もなんとか決めることができた。ぼくらには新しいプロセスで難しいスタートになったけど、どの試合でも成長しようとしている。できれば、つぎのカーディフでも続けたいね。
(オープンな試合でした……)
もちろん難しかった。ぼくもプリシーズンを通して90分試合に出たのは初めてだったし、だからぼくはこのシステムでは入れたことがうれしいんだ。どの試合でもみんなまだ適応中だけどね。まあちょっとオープンではあった。けど勝ててよかったよ。
(どの辺が成長してますかね……)
彼はプレスをさせたがってるし、とても高い位置からね。それがやっぱり大きいよ。もちろん同時に前に出ていくことも求められる。だから来週もこのふたつを合体させてまた勝てるといいな。
(試合の最後に我慢しなきゃです……)
前半に難しいことがわかって、たぶんちょっとだけオープンにしすぎたんだ。でもハーフタイムに団結しようということになって、結局それだけが重要だった。そして3ポイントを勝ち取ることができた。
ナチョ・モンレアル aka La Cabra
(チームパフォーマンスについて……)
モンレアル:最初の3ポイント。うれしい。でももちろんぼくらのベストパフォーマンスじゃなかった。改善しないと。前半は1-1で済んだけどもっと失点の可能性はあった。そこから学ばないと。しかし3ポイント取れたことはほんとうにうれしい。試合前からそれが目標だったから。
(シーズン最初の得点……)
そりゃあうれしいよ! 得点でチームを助けることができて3ポイント取れたんだからうれしいに決まってる。得点はぼくの仕事じゃないけど、得点チャンスがあればがんばるよ。
(守備でもっとやらなきゃいけいないことがたくさんあります……)
そうだね。ぼくらは新しいマネージャーと新時代に突入した。成長を続ける必要があるよ。たとえば、チェルシー相手にぼくらはいい仕事をした。けれど、3失点して0ポイントだ。そして今日、ぼくらはこの前よりも悪いプレイをしたかもしれないことを認めなければならない。試合には勝ったけどね。ぼくらは正しい方向に向かって進んでいると思うし、トレイニングで毎日学んでいる。進歩し続けることをやめないことだ。
📊 There were 17 consecutive passes in the lead up to @_nachomonreal‘s equaliser#ARSWHU pic.twitter.com/YxFGLcyLcA
— Arsenal FC (@Arsenal) 2018年8月25日
ナチョのゴールだが、興味深いスタッツが。
彼のアーセナルでの得点は、0-0のときが7回、0-1のときが3回とすべて得点が必要な場面でのものらしい。さすがおれたちの#LaCabra
マテゥ・グウェンドゥーズィ
さいごにゲンドゥージがRMCの取材に応えている。エジルの件についても語っている。
ゲンドゥージ:いやいやいや、チームのなかにそんな緊張なんてあるわけないよ。もちろん最初の2試合には負けたけど、その2試合でもとてもポジティブがあったよ。これは知っておくべきことだね。
そしていまぼくらはウェストハムに勝った。この勝利でぼくらを疑ってたひとたちに示せたかもしれない。今季はぼくらだっているし、シーズン最後まで注目すべきだとね。
ぼくらは自分たちに何ができるか知っている。グレイトなスクワッドがあるしグレイトなスタッフもいる。グレイトなクラブだ。今年グレイトなことを成し遂げるよ。
以上。
プロジェクト24は最初の3ポイント奪取。残り21ポインツ。
つぎは日曜のカーディフ(A)。ラムさんの古巣。アウェイだからここで勝てばでかい。COYG
なかなか興味深い試合でしたね。
これがガナーズの試合じゃなかったら面白い試合だなあ、なんて呑気に観れるのかもしれませんが。
個人的に気になったところで言えば、
バメヤンはかなり自陣深くまで守備に戻ってくれますけど、ハードワークしすぎてカウンターのときいないのが気になります。
あとはジャカ。パッションはあるけどシステムに合っているかと言われると疑問が残ります。
ベレリンとミキティは結構生き生きしてて右サイドのコンビネーションは好きです。
あとチェフ!彼に救われる場面もありましたね。
ジャカは後ろ向きでボール貰っても自力で前を向いたりプレス回避出来るタイプじゃないので後ろからのビルドアップに参加させるのは危険ですよね
チェフや、DFラインからの1本目の縦パスにジャカは危険という意味です
チェフやDFラインからのパスも気が利くパスではないので明らかにボールの狩りどころになってますしね
ジャカを生かしたいならコンテやアッレグリがピルロを生かす為にサポートを2人つけた中盤が逆三角形の433や352ですが、現実的ではないのでエメリはジャカの扱いをどうするんでしょうか
エメリのアイデアと手腕が見物です