いやあここまでエヴァートンにやられるとは想像してなかった。下手すると負けてましたよこれ?
プレビューエントリで触れたフースコの試合展望は当たらずといえども遠からずだった。これを「快勝」とかいっちゃう気持ちはおれには理解できない。
でも悪くても勝ったことが大きい。
この勝利でリーグ4連勝、12ポインツをゲット。格下8連戦プロジェクト24の完遂にまた一歩近づいた。
Arsenal 2-0 Everton: Alexandre Lacazette scores superb goal in victory
リーグ順位は6位にアップ。やっと定位置へ。
EPL的には今週チェルシーがウェストハムと分けたおかげで、6戦全勝はリヴァプールのみ(18ポインツ)。クソみたいにつええな。ついこないだまでショッボイ☆チームだったのにね。われらもあんなふうになれる日が来るんだろうか。
スターティングイレヴン
4-2-3-1
ラカゼット
オバメヤン、ラムジー、エジル
ジャカ、トレイラ
モンレアル、ソクラティス、ムスタフィ、ベレリン
チェフ
フィットネスに疑いのあったトレイラがついにスタート。それ以外はいつものレギュラーメンバー。
マッチスタッツ
シュート数が互角。SOTもコーナーもエヴァートンのほうが多いというのが、この試合の厳しさを物語っている。
Arsenal 2,1 Everton xG pic.twitter.com/HUV3tVTZ15
— Scott #Project24 Willis (@oh_that_crab) 23 September 2018
xGもエヴァートンが上回り(アーセナル1 vs エヴァートン1.13)、データ的にはこの試合の勝利に値したのはエヴァートン。あんだけチャンスをつくられればそうなってもおかしくはない。
ボスの試合後のみことば
(勝利について……)
エメリ:勝利がとても重要だ。これで3ポインツ。この90分を検証しなければならないが、とにかく今日は勝てたことが大きい。
(最初のゴールの前にサブを用意してましたよね……)
そうだ。別の個人クオリティを出して変化を加える必要があったからね。ゴールがあったので、それはやめたんだ。そしてつぎに入れる選手を再考した。
(ラカゼットが交代だった……)
それは重要じゃない。でもまあイエスだね。フットボールとはそういうものだ。
(セカンドハーフでの改善とスロースタート……)
90分のあいだには、敵の時間と自分たちの時間と両方がある。われわれにはGKに彼らの攻撃を止めてもらう必要があり、攻撃のときにはアタッカーに得点してもらう必要があったわけだ。今日がいい例だ。ファーストハーフではもっと試合をコントロールしたかった。なぜならやりたいようにボールを持てなかったからね。エヴァートンに2-3つ重要なチャンスをつくられた。しかしセカンドハーフに入る前にドレッシングルームでポジショニングを改善して彼らの攻撃を防ぐよう話したんだ。また個人においてもセカンドハーフにはもっとお互いに助け合った。フリーキックからのチャンスをひとつつくられただけだと思うが、ペトル・チェクがよくセイヴした。攻撃では20分よくプレイした。さいごの時間はGKの近くとボックス内でよく守りきった。
(ソクラティスについて……)
まだわからない。ドクターの最初の検査は明日まで待たなければならない。膝だね。さほど深刻なものでなければいいのだけど。
この試合の勝利の立役者、チェフについても語った。
(ペトル・チェクのパフォーマンス……)
エメリ:わたしはGKたちにとても満足しているよ。エミ、レノ、ペトル。ペトルには豊富な経験と高いクオリティがある。彼は今シーズンとてもいいスタートを切って、われわれが望んでいるパフォーマンスをしてくれていると思っている。今日彼はとてもいいところを見せた、毎日スピリットを持ってハードワークしていることを見せたね。ほかのGKにとってもそれは同じだ。彼らはみんなとてもいいし、チームに貢献できる準備ができていることを見せるためにハードワークしているよ。今日のチェクのようにね。
(チェクのクオリティを忘れちゃってるひとたちもいます……)
わたしはちょっと驚いているんだ。チェクがたくさんの疑問を抱かれていることにね。プリシーズンでも最初の何試合かでも彼はいいパフォーマンスを見せていた。ベルント・レノもわれわれとともに進歩しているし、ここでのコンペティションについて学んでいるところだ。彼についてはペトル・チェクのようなGKと毎日練習していることの恩恵もある。彼から経験について授けられたり、今日のような試合を観たりすることで、彼はチェクから学んでいるところだ。レノは若いGKでここでの将来が待っているだろう。しかしいまはとても競争のあるポジションだ。ペトル・チェクはわれわれにはとても重要だよ。
(レノにはなんていってるんすか……)
レノは落ち着いていてよく練習していることもわかっている。でもまたわたしたちには3人のGKがいてチェクがいいパフォーマンスをもたらしている。彼には別のコンペティションでチャンスを与えるつもりだ。そこではペトルのようなパフォーマンスを求めるよ。チームにも、GKにもいいパフォーマンスに報いることはいいことなんだ。
チェフのコメント
チェフも試合後にコメントを残している。
(5連勝です……)
チェフ:とても満足だね。この試合は前回の試合とはだいぶ違っていたから。ぼくらはクリンシートで勝ったわけだけど、試合のなかではいくつか苦しめられたときがあった。彼らはいいチームで、たくさんのクオリティのある選手も買ったし、いくつもチャンスをつくった。なんとか耐えて、セカンドハーフにはふたつの素晴らしい得点を取れた。
(あなたにとってクリンシートの持つ意味……)
いずれに来るものだと思っていたよ。NC戦でだってぼくらはとてもよかったし、やられたのはさいごの数分のことだ。ぼくたちは無失点でいることの重要さを話していたんだ。今日のクリンシートがより素晴らしいのは、ファーストハーフにボールが足につかなくて、苦しんだからだよ。
(いいセイヴが何度もありました……)
そうだね。いくつかあった。いくつかのとてもいいセイヴ、とても重要なセイヴ。セカンドハーフに2-0にされてすら、彼らはたくさんのボールをこちらに入れてきた。クロスに対処したり危険なボールをクリアしたりは重要だった。とてもいい攻撃だったからね。みんなが自分の役割をこなそうとしていて、ぼくもその一部になれたことがうれしいよ。
(ディフェンスの改善をどう評価しますか……)
全員で守って全員で攻めるからチーム全体ではまだ改善の余地があるかな。ファーストハーフにはチャンスをつくられすぎた。試合でやられないためにときどきはやり方を考えないといけないし、試合ではその時々で難しい部分があるということを全員が理解しなければならない。今回一番満足しているのは対処の方法をちゃんとわかっていたことだね。
アーセナル vs エヴァートンの論点
得点(56分)までのグダグダ。前半と後半で変わる試合展開という最近の傾向
開始いきなりでウォルコットリチャーリソンに飛び出されてビッグチャンスをつくられるなどリチャーリソンには終始手こずらされ、いつもどおり守備局面では不安定さを露呈し非常に既視感のある展開。前半はわりとそんな感じが続いた印象だった。
その原因のひとつは、守備面というよりは、前半にボールを持てなかったとエメリも認めているように、敵陣での攻撃展開(ポゼッションからの攻撃)がうまくいってなかったからじゃないだろうか。攻撃がノッキングを起こしては、逆襲を食らうという展開。あるいは前からのプレスでボールを奪うという、こちらがやりたいことを逆にやられているというか。
NCでもそうだったんだけど、アーセナルのようなチームでポゼッションから攻撃の組み立てが停滞するというのは、エメリのコンセプトからするとわりと大きな問題ではないだろうか。
同じような試合展開が続いているということは、選手たちの自信うんぬんというよりはもっと構造的な問題のようにも思える。
相変わらずエジルがらしいところをなかなか見せられていないことが気がかりだ。ラムジーがセンターでエジルが右というのは果たして本当に適正なのか。
ちなみにNCでのエジルの試合後のパスマップを見ると、右ワイドとしての仕事をわりと疎かにして自由に動き回っており、結果右サイドを上がったベレリンを孤立させたという指摘があったが、この試合でのエジルのポジショニングはどうだったろうか。
エジルの自由奔放な動きというのは諸刃の剣で、いいときは誰にも止められないほどだが、チームバランスが大いに崩れる原因になることも多い。かといって彼を右サイドに貼り付けて彼のストロングポイントが出せるとも思えない。悩ましいところだ。
97 – @Arsenal have won 97 top-flight games against Everton – at least 11 more than any side has managed against another in its history. Tormentor. #ARSEVE pic.twitter.com/rScW9IhNk7
— OptaJoe (@OptaJoe) 23 September 2018
理想には程遠い試合ながらも、なんだかんだで勝ってしまった。必ず負ける運命にあるエヴァートンでよかった。
チェフが試合を救う
ハイライト観たらチェフのハイライトみたいになってた。ずっとチェフのターン。デ・ヘアがいなけりゃウンコとかどっかのチームをバカにできないねこりゃ。
チェフがここまで活躍した試合というのも久しぶりなんじゃないだろうか。
最近はやらかしや足元の不安定さばかりが注目されていたが、彼はもともとショットストップに関しては平均以上のクオリティがある。むしろ、その点ではレノのほうが不安だったかもしれない。
まだしばらくはチェフのターンが続きそうで、レノは我慢を強いられそうだ。
ラカゼットとオバメヤン
ラカゼットのゴールはちょっとヤバかったですね。ご飯が何杯でも。
こういう特別なゴールを決める選手にはいつもいてほしい。
Lacazette with a mighty finish pic.twitter.com/1a7ulsCMLq
— JohnBappe (@JohnBappe) 23 September 2018
藪から棒に決める。あれを打たれたら誰にも止められない。こういうプレイを待ってた。このシュートのxGは0.06だったらしい。
S A U C E 🔥@LacazetteAlex 😎 pic.twitter.com/qotBKF1wlP
— Arsenal FC (@Arsenal) 23 September 2018
9 – Alexandre Lacazaette has been directly involved in nine goals in his last nine starts in the Premier League, scoring seven whilst assisting a further two. Buried. pic.twitter.com/auVAtSIXdm
— OptaJoe (@OptaJoe) 23 September 2018
ラカゼットはPLスタートの9試合で9点(G7 A2)に絡む。
3 – Pierre-Emerick Aubameyang and Alexandre Lacazette have both scored in three of the last five Premier League matches in which they have started together. Association. pic.twitter.com/w2kZTTm4HU
— OptaJoe (@OptaJoe) 23 September 2018
PEAとラカゼットはともにスタートしたPLの5試合でともに3得点。
12 – Since his Premier League debut, only Mohamed Salah (16) has scored more goals in the competition than Pierre-Emerick Aubameyang (12). Shrewd. pic.twitter.com/rHd3kC3ErX
— OptaJoe (@OptaJoe) 23 September 2018
プレミアリーグデビュー以来、PEA(12)より多く得点したのはサラー(16)のみ。
まあオフサイドなんですけどね。以前にもやったオフサイドゴールはエヴァートン戦だったとか。。
とにかくこのふたりがスタートすると必ず何かが起きる。何かというのはもちろん得点である。そんなコンビが尊くないはずがない。
試合後にはSKYの中継でふたりはハイライトを観ながらインタヴューを受けた。
Alexandre Lacazette and Pierre-Emerick Aubameyang talk goals, their partnership and more
ふたりの関係が垣間見えるようでおもしろい。
ふたりとも英語が得意じゃないみたいで、質問にふたりで顔を見合わせてしまう一面も。PEAがラカゼットに訳して教えてあげてた。オバメヤンのほうが英語苦手なんだと思ってた。
さいごのどっちが多く得点をとれると思う?という質問にラカゼットは「同じ」と回答。愚問。
ジャカとトレイラのコンビネイション。トレイラの初スタート
ジャカとトレイラはどうだったろう。ぼくらが期待したケミストリーはあったか。
ジャカはこの試合がアーセナルでの100試合目ということだったが、残念ながら印象的な活躍を見せたとはいえなかった。というか、あのポジションで致命的なプレッシャー耐性のなさをまた露呈してしまっていた。それだけは止めてほしい。
A century of @Arsenal appearances for Granit 👏#ARSEVE pic.twitter.com/89O84BgKDR
— Arsenal FC (@Arsenal) 23 September 2018
トレイラの初スタートについては、全体的に好ましい印象を持ったひとが多いようだ。
もちろんトレイラのプレイがよかったということもあるが、この試合の彼の評価については、おそらくまともなDMマナーが身についたプレイヤーがいかにアーセナルに欠けていたかということの裏返しでもあると思う。要するにファンにとっては非常に新鮮だということだ。
たぶんトレイラは、アンリをして「MFのポリス」といわしめたフランシス・コクラン以来のDM専というべき選手である。しかもパスができるという意味では、あきらかにコクランの上位互換機であり、まさにアーセナルがほしかった人材。おそらくこの試合のトレイラはまだ最高のプレイをしていないが、それでもアーセナルにとってはまたひとつ着実にスクワッドの穴をふさいだ格好なのは間違いない。
ぼくは個人的には彼にはかなり期待しているので、これからももっともっとクオリティの高いパフォーマンスを求めたい。
ジャカ、トレイラ、グウェンドゥージの比較。最適なCMコンビは?
試合前に7amkickoffがデータを交えて、ジャカを落としてトレイラとゲンドゥージのコンビを使ったほうがいいと冗談めかして主張していたが、この試合を観たらジャカじゃなくてゲンドゥージを使ってみてほしかったと思った。とくに最初のゴールが決まるまでの約1時間、全体的にパフォーマンスが停滞するなかで、彼の機動力とドリブル、パスはジャカとまた違った意味で役に立ったに違いない。
Stats prove* that it’s time to drop Xhaka
こちらで紹介されている3人の90分ごとのスタッツ比較を引用させていただこう。注目のスタッツだけ色を付けてみた。
All stats p90 | Guendouzi | Torreira | Xhaka |
---|---|---|---|
Goals against | 1.9 | 1.1 | 1.9 |
Accurate own half passes | 28.7 | 28 | 35.8 |
Accurate opposition half passes | 27.4 | 36.8 | 36.7 |
Accurate long balls | 4.6 | 2.7 | 6.3 |
Accurate final 1/3 passes | 6.9 | 14.3 | 16.8 |
Key passes | 0.5 | 1.1 | 1.4 |
Assists | 0 | 0.5 | 0.2 |
2nd assists | 0 | 0 | 0 |
Inaccurate passes | 5.6 | 7.1 | 13.1 |
Inaccurate short passes | 3.8 | 4.4 | 9.3 |
Innacurate long passes | 1.8 | 2.2 | 3.5 |
Big chances created | 0 | 0 | 0 |
Tackles | 3.6 | 3.3 | 1.6 |
Interceptions | 3.1 | 2.7 | 0.9 |
Blocked passes | 0.5 | 0.5 | 0.9 |
Dribbled past | 1 | 2.2 | 0.9 |
Errors for a shot | 0.3 | 0.5 | 0 |
Errors for a goal | 0 | 0 | 0 |
Penalties conceded | 0 | 0 | 0 |
Yellow cards | 0.3 | 0 | 0.7 |
Total duels won | 12.9 | 7.1 | 5.8 |
Ground duels won | 7.2 | 7.1 | 3.7 |
Ground duels % | 76% | 65% | 53% |
Aerial duels won | 0.5 | 0 | 2.1 |
Fouls | 0.5 | 1.1 | 2.3 |
Was fouled | 2.8 | 2.7 | 1.9 |
Dispossessed | 0.8 | 0.5 | 0.2 |
ジャカが優れているのは、おもにパスに関するスタッツで(空中戦もあきらかにポイントが高い)、彼がポゼッションに大いに貢献していることがわかる。
一方でグウェンドゥージとトレイラは、ジャカよりもタックルやインターセプション、デュエルなどボールを持っていないとき、守備局面での貢献度が高い。
若いふたりがCMにいると中盤の守備、また非ポゼッション時に重要な働きができるということができる。
そしてわれわれがこれまでに観てきた試合でのプレイの印象からすると、ジャカのストロングポイントである長短のパスについても、トレイラやグウェンドゥージのクオリティは決してジャカに劣っているとは思えないがいかがだろうか。
(このスタッツだとジャカのパスはたしかにほかのふたりより優れているが、不正確なパスもまた多い。パス関係のスタッツでは%がほしかった)
エメリがPLでジャカを落としてくるとはGKでチェフを外す以上にありえそうもない。が、トレイラとゲンドゥージのコンビは試してほしくて震える。
ソクラティスのけが
パパは膝をやってしまったようで、彼が離脱するとなれば、ムスタフィとコンビを組むのはこの試合でも交代出場で無難にプレイしたホールディングが務めることになりそうだ。
彼はここ数試合で印象的なパフォーマンスを見せていた。ここでソクラティスが離脱するとなれば、大きな痛手になることは間違いない。
この試合については以上。
つぎの試合は日本時間木曜早朝(3:45)キックオフのカラバオカップ、ブレントフォード戦。リーグやヨーロッパの戦いとはまた一段重要度の下がる国内カップ戦ということで、多くの控えや若手の起用が予想される。もうU23レヴェルとはいえなくなってきている、エンケティアにウィロック、スミスロウあたりは出場のチャンスがあるかもしれない。
そして週末は絶好調ワトフォード(現在リーグ4位)をホームに迎える。
まだまだ負けられない試合が続く。COYG
チェフ様様でしたね。
エジルとラムジーを逆にしてほしいなあ。
そしてミキが戻ってきたら、またスターティンで使ってほしい。ベレリンとのコンビネーションが見たい。
でもエジルもラムジーもどうせポゼッション時はフリーダムに動きまわるんですよねえ。
究極的には前の4人が全員で感応しあって補完しあって自由に動き回ってケイオスをつくるみたいなのが理想のような気がしますが、現状では単にバランスを崩しているだけで、その境地にはだいぶ遠い。
大変苦しい試合でしたね。
攻守に渡って落ち着かず、ベジェリンがリチャーリソンにきりきり舞いにされてたのと相まって、昨シーズンのワトフォード戦を彷彿とさせる内容でした。
それでも勝ち切れたこと(しかもクリーンシートで)はアーセナルの成長した点としてポジティブに考えて良いと思います。
確かにチェフありきのクリーンシートではあったものの、なにかきっかけが必要だと思っていたのでこれを機に自信を持ってプレーしていただきたいですね。
あと、途中出場1試合で判断するのは尚早かもしれませんがホールディングが安定した仕事をしてくれたのは今後に向けても明るい材料だと思いました。