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【マッチレビューその2】21/22EPL アーセナル vs ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(24/Feb/2022)劇的逆転勝利【試合の論点】

ドラマティックな逆転勝利で、トップ4へ向けてさらなる自信をつけたウォルヴズ戦。これで彼らにダブル。そして3連勝で2月を終えた。われらは、悲惨な1月からみごとにカムバックしたのである!

試合レヴューエントリの前半につづいて後半を。。



試合の論点

アーセナル vs ウォルヴズのトーキングポインツ。

しぶとさで逆転。いまいちばん大切なものを守ったアーセナル

もしこの試合が悪い結果だったらと想像すると、今回の3ポインツの大きさがわかる。

消化試合数が違うとはいえ、ウォルヴズにはテーブルでうえを行かれていたし、トッナムとも3ポインツ差に迫られ。せっかく2週間前アウェイ&10人でファイトして勝ち取ったポインツが無効になるみたいな。

この試合の結果が、チームのムードとか、ファンの期待とか空気とか、それがごちゃまぜになった一体感とか、いまこのチームが「かなり」大切にしているだろうものに水を差すおそれがあった。

でも、試合のなかではその可能性はけっこうあっただろう。正直、ぼくは1-0で進む試合を観ながら敗けも覚悟した。

開始10分でガブリエルのエラーから失点してアウェイチーム有利なスコアで試合は進み、アーセナルの最初の得点は試合が終わる残り10分まで待たねばならなかったのだから。アーセナルはずっと攻めてはいたが、ウォルヴズのボックスで厚い壁に阻まれて、ショッツの数に対して決定的といえるほどのチャンスはほとんどなかった。さすがにヨーロピアンベスト級の守備をやるチームである。いま得点するのがもっとも難しいチームのひとつ。

そして残り10分で追いつくと、さらにプッシュをつづけて、ラカゼットのアレが94分。6分の追加時間だから、試合が終わるおよそ1分前という。今シーズンのトップ4争いのタフさを考えれば、われらには絶対に必要なゴールだった。

アルテタがアーセナルで相手チームの前半のリードをひっくり返したのは初めてだとか。つまり、アルテタのチームは前半でリードされてしまったら、もう試合に勝てなかった。これまでは。

こういうところだと思う。アルテタはHTのチームトークで「トップ4に入るためには何度も逆転をやらねばならない」と語ったそうだが、まさにそれが必要で、今回チームはそれをやってのけた。

強いチームというのは、どんな試合でも結局最後には勝つもの。仮にリードされてもひっくり返す。なぜなら自分たちのほうが強いから。けして流れに流されない。元日のシティには、それを目の前で見せつけられた気分だった。

いまヤングアーセナルは、そういう強さや、リードされても追いつける(と自分たちを信じることができる)しぶとさを身につけ始めているように観えてきた。今回の終盤のふたつのゴールズが偶然に見えるかどうか。そうではないだろう。これまでだと、いくらプッシュしてもがっかりな結果で終わっていたのを、今回は力づくでひっくり返すことに成功した。

これを単純に「勢い」と云ってもいいかもしれないが、それ以上のなにかだと思いたい。もっと確固とした、揺るがないなにか。それを築いている。

アルテタがよく云うところのレジリエンス。“resilience” = the capacity to recover quickly from difficulties; toughness。レジリエンスは、今後ヤングアーセナルがステップアップしていくうえで、もっと重要なキーワードになっていく気がする。今後も困難が待ち受けているのは必然で、それを乗り越えるキャパシティを持てるかどうかが、成功の決め手になるはず。

ウォルヴズはけっして弱くなかった。というか、かなり強かった。守備だけでなく、攻撃もちゃんと危険だった。われらが12月に2連敗したマンU・エヴァトンよりもはるかに強かっただろう。

だから、よけいにこの勝利とダブルは貴重で尊い。強いチームに勝ったことは、さらなる自信になる。

こうして、若いチームが経験をつんでいき、ファンとの一体感を育んでいき、それがチームをメンタリーに強化して、さらにパフォーマンスと結果に反映されて……という好循環こそ、間違いなくアルテタが切望しているもの。

今回は、その好循環をブーストさせる勝利だった。いまここにあるこの一体感を、できるだけ長く、損なわず、継続できればトップ4が見えてくるに違いない。

今シーズンも一時はどうなることかと本気で心配したものだが、いまはこのチームが正しい方向に進んでいると感じられる。

ラカゼットとぺぺのビッグレデンプション

完全に終盤のゲイムチェインジャーになっていたぺぺはアレだけど、ラカゼットはレデンプションてことはないか。

でも、最後の最後で不振のストライカーがウィナーを決めるというのはストーリーとしては出来すぎなところがある。

※記録はGKのOGだが、あれはラカゼットの執念のゴールだろう。ふつう入らないショットが入った。

ゴールが決まったあとのラカゼットの気持ちが高ぶるセレブレイションも感動したものだ。アーセナルのファンならみんなが彼の苦労や苦悩を知っていたから、とても共感できたと思う。チームでのセレブレイションも感動的だった。絶体絶命のピンチを救ったのが、ゴールに苦しんでいたわれらがキャプテンだったのだから、喜びもひとしお。

個人的には、試合後にベルント・レノがラカゼットをアツく祝福していたのを観て、グッと来てしまった。

レノはもちろんシーズン中にNo.1を奪われるという屈辱を味わっている最中で、シニア選手としても苦しむラカゼットに共感するところもかなりあるだろうことは想像にかたくない。

こうしてがんばっている誰かが報われるのを観るのは、いつもよい。

それと、もちろんニコラ・ぺぺ。

彼がピッチに入ってから、右サイドの攻撃はずっと危険だった。ウォルヴズにとっても、嫌なタイプの選手だったろう。そして、あの流れるようなモウションからのファインゴール。あの極小エリアでよくぞ取ってくれた。あのゴールはアシストしたエンケティアも褒めておこう。

最近アルテタは、ぺぺについて何度かポジティヴに言及していて、ここに至る伏線はあったといえばあった。

ちなみに、ぺぺはこの試合の前日に赤さんが生まれていたようで(そういえばベイビーなセレブレイションもしていた)。アルテタのこんなコメントがシェアされていた。

アルテタ:ぺぺはゆうべ赤ちゃんが生まれたんだ。夜中の2時か3時くらいに、わたしに「チームを助けたい」とテキストしてきてね。だから、これが起きたのだし、偶然でもないのだ。これも、一体感と団結のおかげ。

夜中にボスにメールして「子どもが生まれたから明日試合に出してくれ」って、すごいな(笑い)。

でも、そういう積極性を彼はずっと見せてこなかったのだよね。たぶん。アルテタはよく選手のトレイニングでのアティチュードとか日々の振る舞いみたいなものを指摘するけれど、ぺぺはひょうひょうとして、熱意みたいなものをあまり見せなかった。自分から試合に出してくれなんて、これまで云わなかったんじゃないか。

これは非常によい兆候。

そして、こういう試合のあと、ラカとぺぺの将来はどうなるだろうと考えてしまう。

ラカゼットは、この試合のなかでは、どの選手もウォルヴズの守備に苦労したとはいえ、これまでどおりため息を誘うようなシーンもあったりした。最後の最後のゴールは感動的ではあったものの、それとこれとは別問題。もしあれがなくポインツを落としていたら、やはり悪い印象が残っただろう。

今回のようなラカゼットの復活劇?は既視感がけっこうあって、アーセナルではこれが初めてじゃない。彼はスランプに陥りがちで、復活しがち。そういうサイクルを繰り返しているところがある。アルテタのフォルス9にはハマっているが、ゴールスコアラーとしての一貫性は疑わしい。

オバメヤンが去ってチームのキャプテンになり、ファンにも人気。チーム一の高給と待遇も悪くないので、彼を狙うクラブの状況によっては、もしかしたらアーセナルの新契約を受け入れる可能性はあるのかもしれない。しかし、この夏アーセナルが全力で彼の慰留に努めるかどうかはやはり微妙か。

ラカゼットはもちろんいい選手だが、アーセナルのストライカーに必要なのはgreatやspecialであって、okayではダメなのだ。いまのラカゼットはゴール以外はgreat-goodでも、メインストライカーとしてはokayかそれ以下(いまだPLでG3)。このあと、毎試合でゴールを重ねるようなことにでもならない限りは、シリアスな慰留はなさそう。いずれにせよ、夏にはメインストライカーが必要になる。

ぺぺは、気持ちや態度を入れ替えて、いつもあのようなパフォーマンスをしてくれるなら、アルテタとしてはもちろん手放したくはないはず。仮にレギュラーではなくとも、チームにはいてほしい。

問題は、夏にいいオファーがあったとき。仮に40Mのようなオファーがあったら、かなり悩ましいように思える。30Mでは安いし、50Mなら悩む余地なし。みたいな。

そもそもぺぺはベンチに置いておくには高級すぎる選手で、売れないから残しておくのと、売れるのに残しておくのはだいぶ違う。

ぺぺも状況次第か。。サカとどちらをスタートさせるか悩むくらい毎試合で活躍してくれたらよかったのだが。

ぺぺのストライカー? どうだろう。役割がゴール関与だけなら、たしかにかなりいいかもしれない。だが、アルテタのCFに対する要求はそんなに甘くはない。アルテタには、ぺぺのための役割を用意してほしかった。

オーデガードのファインフォームつづく

ぺぺのゴールでは、OTTのスルーボールでプリアシスト。

エジル以降、ファイナルサードでああいうタイプのクリエイションができる選手が、アーセナルにいなかった。感慨深い。令和のセスク・ファブレガス。

オーデガードは、ちょっとだけ消えていると感じた時間帯もあったが、概ね試合を通して効果的だった。今回もまた。彼は今シーズン、去年のフォームを取り戻すのに苦労した時期もありつつ、いまはファインフォームを維持している。彼がフィットしているときのアーセナルは観ていて楽しい。

こんな選手が£30Mでほんとによかったのかとファン大興奮。

ジェイムズ・マディソンとの比較。噂されていたお値段は倍だった。去年の夏、アルテタとエドゥは正しい選択をしたようだ。

オーデガードが試合後のセレブレイションの輪に加わっていなかったのが、すこし話題になっていたのだけど、じつは試合で走りすぎてヘトヘトになっちゃってたという。試合が終わった瞬間にはピッチに座り込んでしまっていた。

12.02kmの走行距離は、今シーズンのアーセナルの選手で最長。

ただ走るだけじゃない。この試合の彼のプレッシャー(17)はチーム最多。彼の特別なところは、クリエイターであるだけでなくハードワーカーなところだと、今回もまたつよく実感したものである。まさしくモダンNo.10。

オーデガードがひきつづきフォームを維持することも、アーセナルの今年の目標達成にますます欠かせなくなっているように感じる。

パーティとサカもこの試合では、目立ってよかったが、ちょっと長くなりそうなのでこのあたりでやめておこう。なあに、彼らを称賛しまくる試合はこれからもたくさんあるさ。

その他試合について

  • GKへの軽率なバックパスというガブリエルのエラー。フェアにいえば、もうちょいボールに勢いがあれば、相手は追いつかなかったかもしれない。しかし、彼はあれの前にもハイプレスの餌食になりそうで危なっかしかった。ああいう経験から学ぶしかない。コシエルニだってアーセナルに来た当初はやらかした
  • パーティはほんとによかったな。彼があの狭いエリアでボールを奪われずにいてくれると、周囲には多大な恩恵がある。シュートだけはもうちょいなんとか。あんなにパスは上手なのだからシュートだけいつもダメなのは、シュートの考え方に問題があるのではなかろうか
  • マーティン・アトキンソン。ウォルヴズの時間稼ぎにはもっと厳しくしてほしかったのはある。それと、スタート1分のボックス内のマルティネリへのチャレンジは、時間をかけてちゃんと確認すべきだった。相手DFはボールに触れてないということは、ペナルティの可能性はけっこうあったのではないか。その後ウォルヴズのゴールのオフサイド判定ではVARであんなに時間をかけたのに。サカのカードも厳しすぎ。アルテタもなんでやねんと激おこだった。てことはやっぱりアーセナルに対してバイアスがあったのか。XXが
  • レフといえば、55分。珍しくアトキンソンがウォルヴズに微妙な判定をやったとき、4thオフィシャルのケヴィン・フレンドがラージとアルテタのふたりから詰め寄られていて笑えた
  • アーセナルの現在のフォームをいちばん喜んでいるのがAmazon Prime Video説。ここまでは、なかなかの撮れ高でしょうな

この試合については以上。

※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

3 Comments on “【マッチレビューその2】21/22EPL アーセナル vs ウォルヴァーハンプトン・ワンダラーズ(24/Feb/2022)劇的逆転勝利【試合の論点】

  1. 久しぶり?の濃密な2部構成レビューありがとうございます!
    それを書きたくなるような濃密な試合でしたね!
    自分も「あーミスからの失点で負け試合とか最悪やん」と途中で諦めかけたなかでの逆転劇で思わず叫びました(笑)
    ラカゼット、ジャカなど勿論移籍市場くればリプレイスが念頭におかれる面子ですが、彼らがアルテタのもと役割を調整しながら今季いいパフォーマンス見せてくれてるのは有難いですね
    ラカゼットのリンクマン、ジャカの少し前目な6/8ロール、守備での頑張り。。
    今更ですがベンゲル後、紆余曲折なモノがいよいよ結実しかかってる感が強いです

    パーティはパフォーマンスが上向こうがなにしようがシュートがアレなのはきっと幼少期に
    「エリア外からのシュートは相手に脅威を与えるのが第一義だから、とにかく力強く振り抜こう!」とコーチに洗脳されたからだと思います
    あんだけ技術ある選手がプレッシャー関係なくフカしまくるのはきっと心理面。。

  2. すごい試合でした。
    あたしは後半はバスの中で歯を食いしばりながら見てましたよ。ペペのゴラッソと最後のヤツ。満員の中、無言で二度もfightingpose。いい時代になりました。
    この扇システムはすごいですね。ジャカってきっとアルテタの要求はかなり理解してるんでしょうね。ただ、頭でわかってても身体が落ち着かないからすぐ引っ張るみたいな。今の役割ならロコンガの方がもっと攻撃のバリエーション増えそうと思いますが、守備のときのカバーとかがまだなんでしょうね。
    ゲーム中にモメゴトが起きたらジャカが一番にかけつけるとこはかなり好感もてるんですけどね。

    おれたちのB、もう完全にモンスターですね。
    そしておれたちのマーティン、すごすぎ。
    アルテタはホントにfootball優等生集団をつくりたかったんですね。完全なチームアルテタを。
    土台はほぼできつつあるようで、ワクワクがとまりません。
    次も早くみたい。COYG

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