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モンチ、オーフェルマルス。スポーツ・ディレクター候補をつづけて逃すアーセナル

最近のアーセナルはPLでもELでも進歩を見せていてファンのあいだでもだいぶポジティブな空気があるように感じていたが、一方AFC人事部方面では思うような動きができていないようで……

ASローマを退社した(解任された)モンチに、アーセナルがスポーツディレクター(テクニカルディレクター)就任のオファーを断られそうになっていることはすでにこのブログでもお伝えしたとおりで、その後にセヴィーリャがモンチの復帰を公式に発表したのは昨日(おととい)のできごとだ。

そして今度はセカンドオプションとも云われ、モンチがダメなら当然AFCがつぎに引き抜きに向かうであろうと思われていたアヤックスのマルク・オーフェルマルスについて、今日(昨日)アヤックスから新契約を結んだと公式の発表があった。

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アヤックス公式サイトは画像のリンクも外れまくりで、もうちょいがんばれ。

つまりアーセナルは先月づけで退職したチーフ・スカウトのスヴェン・ミズリンタットのあと、夏にあらたに任命しようとしているテクニカル・ディレクター(あるいはスポーツ・ディレクター)候補、本命ふたりに立て続けにそっぽを向かれたことになる。

その前にはクラブOBのエドゥにもオファーを断られていることを考えれば、痛恨の3連敗。これは痛い。いったい何が起きているのだろう。



モンチがアーセナルを断った理由

Monchi says he rejected Arsenal interest for Sevilla ‘project’

『Sky Sports』がモンチのコメントを交え成り行きを伝えている。

モンチ:アーセナルからの興味はありがたかった。ずっとわたしに一番の興味を示してくれたクラブだった。しかし結局はテーブルにあったすべてのオファーを検討して、自分を一番納得させてくれるものを選ぶことになった。

ほかにもオプションはあったんだ。もっとまぶしいような重要なオファーもあった。でもわたしはセヴィーリャを選んだよ。そのスポーティングプロジェクトに納得したんだ。

わたしがホームに戻るにあたって、それを後押ししてくれた全員に感謝したい。

セヴィーリャのひと以外からは多くのひとがわたしの判断は間違えていると云われた。続編に良作なしってね。

わたしはこういったすべての意見を考慮した。わたしがここにいるのはセヴィーリャのファンだからじゃない。彼らの救世主になるためでもない。クラブプレジデントとほかのクラブエグゼクティブと話し合った結果なんだ。彼らがわたしに伝えたセヴィーリャのあるべき将来の姿は、わたしが抱いているセヴィーリャの未来そのものだった。

わたしのアイディアはセヴィーリャを成長させること。セヴィーリャをベストのなかで戦えるクラブにしたいんだ。

よかったねえ。円満に古巣に戻れて。

彼は17年間セヴィーリャにいて(そのなかでエメリとの3年間があった)、その後ローマで2年過ごしたわけだけど、2年前にローマに転職した理由について触れている記事を見ていない。

どんな去り際だったのか。でもこうやって出戻りも歓迎されるのだから、悪い別れ方ではなかったんだろう。

ということで、モンチはアーセナルからのオファーはあったとゲロってしまっているので、結局アーセナルがモンチを狙っているといううわさは真実だったわけだ。

つまりアーセナルはメインターゲットを獲得することに失敗したということ。失敗した失敗した失敗した……。

オーフェルマルスがアヤックスと契約更新した理由

一方でモンチのつぎにアーセナルが狙うと云われていたオーフェルマルス。

彼の2024年まで契約延長が昨日発表された。本人のコメント。

オーフェルマルス:アヤックスではまだたくさんのチャレンジを残しているし、わたしはこれまでここでいい時間を過ごしてきた。ユースアカデミーとファーストチームの両方で一歩づつ進めている最中でもある。

スポーツの観点から、わたしたちが見せたいものはまだたくさん残っている。それにわたしにとり重要なのは、ここにいるひとたちとともに取り組むこと。わたしはそこに喜びを見出すし、満足を得ることができる。

これでオーフェルマルスもアヤックスに残ることが決定して、アーセナルファン界隈はまたしてもクラブの失態かとざわついているが、こちらはそもそもアーセナルはオファーすらしていないのではないかというファンからの指摘もある。

そのコメントについては、オランダのTVでファン・デル・サールがアーセナルとオーフェルマルスとのあいだで交渉があることを示唆していたとのレスもあるが、いずれにせよ憶測に過ぎない。

多くのメディアやジャーナリストがオーフェルマルスはアーセナルのターゲットであると認識していたが、それが本当にそうだったかどうか、いまのところ定かではない。したがって、これをもってクラブの失態だと断罪することはできない。

モンチがアーセナルを断った本当の理由

当然こういった裏話も出てくる。

アーセナルインフルエンサーのひとり、Arsenicがツイートしているところによれば、アーセナルにとってモンチが最終的にオファーを断ったことは青天の霹靂だったという。

  • AFCとモンチが交渉を始めたのは2/9
  • 最初にAFCがオファーしたサラリーがあまりに低いのでネゴシエーションは困難に
  • しかし話しが進んで、双方が妥協案を見つけた
  • ローマでの状況(※CL敗退)がこの交渉を加速させた
  • 彼とのサインには契約が必要だった
  • 5日前にはモンチの周囲が彼はセヴィーリャに戻りたいと思っていると気づいた
  • AFCはすでにモンチがAFCに入社することを確信しすぎるほど確信していた
  • モンチがAFCのオファーを断る決心を伝えたのがつい最近のことで、AFCはこれが冗談だと思った

なにこれ滑稽すぎて笑える。われらってこういうの多くね?

モンチとオーフェルマルスがアーセナルを断った理由について私見

もちろん理由がたくさんあるとは思うのだけど、ぼくがひとつ考えていることは、やはりサラリーのこと。

アーセナルがクラブを清貧運営しようとしていることはもうはっきりしていて、なるべく金を使わないようにしていることもわかっている。

しかし、やはり部外者にはとくに納得いかないし理解できないことが多いんじゃないだろうか。

だって、アーセナルは世界で6番目に価値のあるビッグクラブで、キャッシュだってほかのビッグクラブに負けないほどたんまり持っているのだから。なぜそれをぼくに使わない?

仮にアーセナルとセヴィーリャとアヤックスが同じ額のサラリーを提示したとしても、その意味はだいぶ違う。

要するに彼らには「誠意」とか「(課題に対する)シリアスさ」の意識の欠如として捉えられるのではないだろうか。リスペクトがないと思われるんじゃないだろうか。

モンチは多くのオプション(オファー)があったと云っているし、おそらくオーフェルマルスだってそうだろう。アヤックスであれだけの手腕を発揮しているのだから、世界中からたくさんのオファーがあったはずだ。

彼らが仕事する場所を金で決めようとするならば、そもそもセヴィーリャやアヤックスを選ばない。

一方で、アーセナルはビッグクラブのひとつだと認識されていながらもオファーは並のクラブのレベルで、ひょっとしたら今回はセヴィーリャやアヤックスレベルだった可能性すらある。もっと払える財力があるのにだ。

アーセナルのことをよく理解しているひとならアーセナルFCが、あるいはアーセナルのオーナーがどういったコンセプトでクラブを運営していくつもりか知っているが、それを外部のひとに理解してもらおうとしても無理があるだろう。

前任者の突然の退社

それと、金銭以外のところではやはりミズリンタットの退社がリクルートに悪い影響を与えている可能性はまったくないとは云えないのではないか。

どんなクラブでも喉から手が出るほどほしい「ダイヤモンド・アイ」が、一年足らずで突然アーセナルを退社してしまったことは、メディアやファンだけでなく多くのフットボール関係者に驚きを与えたはず。

この世界でも彼のスカウト能力を疑うひとはほとんどいないし、伝えられていたようにジェネラル・マネージャー格のラウル・サンレヒとの意見の対立で彼のような人材が辞職に追い込まれたのだとしたら、「AFCはブラックな企業なのではないか」と後任候補に思われても不思議はない。

そういった社内の政治的ないざこざで仕事に集中できない環境が少しでもあるかもしれないというなら、引く手あまたの人材に避けられしまっても仕方がない。

ぼくはこのふたつの理由が、彼らがAFCのオファーを辞退した理由のすべてだとは思わない。

大きな理由はやはりおのおののクラブへの愛情とか愛着だとは思う。でもだからこそ、アーセナルはそのうえで彼らを惹き付けることができるオファーをすべきだった。それに失敗したことは残念でならない。

アーセナルは社内人材をテクニカルディレクターに昇格か?

この先、どうなっちまうんだと思っていたところ、AFCはすでに社内にいるスタッフをTDに昇格させるプランもあるという報道があった。

Overmars & Morrow: Contenders to be Arsenal technical director after Monchi snub

『football.london』によれば、アーセナルは現在ユースでヘッドスカウト(head of youth scouting)をやっているSteve Morrow(スティーヴ・モロウ)を、夏にテクニカルディレクターに任命することを検討しているという。11年アーセナルで働いており、エンケティアやエミル・スミス・ロウを連れてきた功績が伝えられている。

しかし、スティーヴ・モロウがいかに優れている人材であろうとも、この世界のスターディレクターである、ミズリンタット、モンチ、オーフェルマルスの経験に比べれば見劣りせざるを得ない。

夏の移籍市場への影響

アーセナルが指名しようとしているスポーツディレクターやテクニカルディレクターは、移籍市場で大きな役割を担うポジションだと考えられている。

云うまでもなく移籍市場では出足の早さが肝心で、来たるべく夏のオープンに向けて一刻も早いアポイントが必要だと思われるが、現状でアーセナルは夏の移籍市場に向けてかなり厳しい状況に追い込まれていると思っていいだろう。

モンチを逃したことが青天の霹靂というのが真実なら、今週のAFCは泡を食っているはずだ。

予算の多寡はあるにせよ、アーセナルにとってこの夏は今後を見据えれば極めて重要になる。

来シーズンのチームのさらなるインプルーブメントのために迅速な対応が求められる。



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6 Comments on “モンチ、オーフェルマルス。スポーツ・ディレクター候補をつづけて逃すアーセナル

  1. ラムジー OUT
    ミズリンスタット OUT
    モンチ INすらせず・・・
    選手は頑張ってるのに。(T0T)

  2. オファーの額が低すぎて難色を示されるというのは選手の移籍交渉でもよく聞く話ですね、アーセナルの場合。
    使える金額に限りがあるといっても最初の時点で印象がまず良くないということでしょうか。

    1. 印象は悪いでしょうねえ。AFCに金があるのはみんな知ってるわけだし。

      選手リクルートでも、交渉のなかで両者で落とし所を探るというプロセスがいずれ生じて妥協するポイントまで上がっていくのだから、要は交渉テクニックが下手ということになるのではないかなあ。

  3. ミスリンのときも思ったけどサンレヒがガンなのではなかろうか。

    選手発掘のスペシャリストを呼ぶにしてもにサンレヒに権限集中してたらやりにくいでしょうしねぇ。

  4. 更新乙です。個人的には金額よりも権限のところで条件が折り合ってないのではないかと。
    フロント側は単なるスカウトマンが欲しいのに対して、TDレベルの権限が欲しいモンチやオーフェルマウス、そして去っていったミスリンみたいな。オーフェルマウスは上記のインタビューでも分かるようにアカデミーからトップチームまでを統括してることが伺えますし、モンチも少なくともセビージャでは監督の任免権を持っていたことがインタビュー本で分かります。ミスリンの退団の原因もサンレヒの過剰な介入っぽいですし。

    1. そういう内容のエントリをあとでアップするので読んでね。

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