hotいま読まれているエントリ

Arsenal, EPL, Match, News, UEFA EL

【マッチレビューその2】18/19UEL LAST16 アーセナル vs レンヌ(14/Mar/2019)バードキャッチングとワカンダ・フォーエヴァーの巻【マッチスタッツと論点】

勝っちゃいましたな。

これでELはBATEにつづいて、連続での逆転勝利。タフな試合であればこそチームが強くなっていくとエメリは強調していたものの、裏を返せばあきらかな格下相手にいつも先行されてしまうということは、2レグを通して戦う試合への入り方が悪いということ。相変わらずアウェイの苦手が克服できていない。また後半のバウンスバックはPLのシーズン前半と似たような構図でもある。

ただ、それでもここでまたアーセナルが厳しい状況をくぐり抜けたことはポジティブに捉えたい。なぜならここからが強敵が出てくる本当の勝負で、苦しい時間もあろうなかでそれに反発する強靭なメンタリティが試されるからである。

前半のコメント集につづいて、後半エントリではマッチスタッツや試合の論点を語ってまいろう。



試合について

アーセナルのファースト11

まったく当たらないおれの予想が今回は驚きのビンゴ。完全に当てた。

しかし、1年間でカップ戦も含めて50試合くらいやってるはずだけど、2-3回しか当たらないってどんだけエメリは毎回変更しているのだ。

今回は予想どおり、マンU戦のシステムをそのまま踏襲。レノがチェフ、パパがムスタフィに変更になっただけであった。

マンU戦の前には、オバメヤン・ラカゼット・エジル・ラムジーの同時起用は攻撃的すぎるという見方もあったが、今回はホームで絶対に得点が必要な状況だったので、多くのファンがこのシステムにも納得できたはず。

もっとも、中盤守備を考えれば、ラムジーの奔放なポジショニングをどれだけ許容するかもカギになっていたと思う。

しかしそこはマンU同様、ラムジーがジャカの隣でいつになく規律のある動きをしていたのが印象深い。

そう考えると、彼のこれまで見せてきたフリーダムさは、そもそもそれを許していたインストラクションのおかげだったということにならないか。アーセン? あなたなのですか?

マッチスタッツ

数字はわりと互角で、なんならコーナーの数なんかはレンヌが圧倒している。これだけ見るとレンヌはホームのアーセナルとかなりいい試合をやったように見える。

ところがxGではこの印象がガラリと変わる。

アーセナルのxGが3.32(BCは5)に対し、レンヌのそれは0.66(BCは0)。レンヌは無得点が妥当だったし、アーセナルはビッグチャンスの数からすれば3点以上は取っていなければならなかった。

試合の論点

アーセナルはこの逆転勝利でつぎのラウンド、ラスト8にコマを進めた。

効率的なプレイが成功のカギ

エメリは試合後にポゼッションや試合のコントロールについてチームにやや不満げなコメントを残しているが、いくらポゼッションが高くても敗けてしまえば意味はない。アーセナルがそうした試合をやるのをぼくらはこれまでに何度も見てきた。

むしろこの試合では、仮に試合をコントロ―ルしていない時間があったとしても、それでも効率的で効果的だったチームを称賛するべきだと思う。

この試合、勝ち抜けには最低2点が必要で、得点が遅れれば遅れるほどアーセナルはプレッシャーがキツくなっていく状況だったが、試合が始まってわずか15分のあいだに2得点し、早々に試合をひっくり返してしまったことは望外の出来だった。

アーセナルらしくないといってもいいくらいだ。

アーセナルの効率的で効果的なプレイはスタッツにも現れている。もっとも注目すべきなのはオフサイドの数だろう。アーセナルの2に対しレンヌは10。この試合ではレンヌのゴール前でのスルーボールがことごとくオフサイドとなり、それによってアーセナルはだいぶ救われた部分もある(もっともオフサイドのシュートがネットを揺らすこともなかった)が、相手の攻撃の芽を効率的に摘んでいった。

この日のアーセナルのオフサイドトラップは冴えていた。ゴール前で勇気を持ってラインを保ったDFリーダーのコシエルニは称賛されるべきだ。もし加齢によって機敏な動きが全盛期ほどではなかったとしても、ディフェンスラインを統率するという、リーダーとしてやるべき仕事をきっちりとこなした。マンU戦で切れた脚をホチキスで止血して試合続行したというキャプテン。復帰以来、一時はもう重症でフットボールライフが終了なんて思われていたことなど忘れさせてくれるようなパフォーマンスをつづけている。

もうひとつ注目のスタッツは、BC(ビッグチャンス)の数だ。アーセナルが5、レンヌはゼロ。ポゼッション、シュート数、パスなど多くの部分で互角の数字が残されているが(イエローカードも同数)、ゴール前のクオリティには大きな差があった。これはこちらの攻撃がより優れていたともいえるし、こちらの守備がより優れていたともいえる。今回は両方だろう。

攻撃に関しては、結果は3得点とチャンスの量からはやや物足りないものとなったが、得点したタイミングが素晴らしかった。開始15分と後半やや苦しい時間帯での追加点。どちらもチームを鼓舞する最適な時間帯での得点だった。

アーセナルの課題は今回のようにいつも効率的であること。攻撃ではチャンスをつくりそのチャンスを確実に決めること。それができるならポゼッションにこだわる必要はないはずだ。

そして試合後にコラシナツが語っていたように、スロースタートで自らを苦しい状態に追い込んでしまうようなことは、このあとのステージでは致命傷になる。この2連続の逆転勝利は相手のクオリティに助けられたことを肝に銘じるべきである。

エジルとラムジーが加わったベストチーム?

マンUとこのレンヌのセカンドレグで印象深いのはエメリのチームセレクションだ。

エジルとラムジーという、シーズン序盤以降ではエメリがスタートからの起用を躊躇していたシニアのスタープレイヤーふたりを使って結果を出すことに成功。

4-2-3-1でラムジーがNo.10、エジルの右ワイドというシーズン序盤の配置で思い通りにいかなかったことも、それ以来エメリを彼らの起用から遠ざけた原因と思われるが、難しい試合のなかで3-5-2(3-4-1-2)というシステムでふたりは見事に機能していた。

この2試合を観ていて、エメリがこれまでずっと試行錯誤を繰り返してきたアーセナルのレギュラースクワッド=ベストメンバーにひとつの回答が与えられた気がしている。選手たちの序列からいっても、落ち着くべきところに落ち着いたというべきかもしれない。

現在の彼らの契約状況のような特殊な状況を考慮しなければ、選手のクラスからいってエジル・ラムジーのような選手よりイウォビやゲンドゥージらのプライオリティが高いことはやや不自然でもあった。ヴェンゲルさんを想起してみれば、彼がエジルとラムジーをベンチに置き続けるなんてことをするわけがないし、ほかのどんなマネージャーだってきっとそうだろう。ふつうは使われなければおかしい選手だ。

一方で、もちろんエメリのイウォビやミキタリアンといったハードワーカーたちへの信頼が揺らいでいるわけではない。

実際この試合でも、後半に疲労もあるなかでやや空気が停滞していたクロージングステージでは、ここぞのタイミングでイウォビ・ミキタリアンを投入、攻撃の空気を生き返らせた。彼らが入った途端に3点目が入り、またBCを何度か迎えたことに一番悦に入っていたのは、エメリ本人に違いない。エメリが特別な信頼を寄せる彼らが、この試合においてとても重要な役割を果たしたのだから。

ベストメンバーにベストなサブ。ここにトレイラやゲンドゥージも入ってくる。

けが人は依然として重いものの、エメリはスクワッドにいい充実感をもってシーズン終盤に入ることができていると思う。チェルシーやToTといったややフォームを落としているチームとは対照的だ。これはありがてえ。

ひとつ残念なことがあるとすれば、このチームがどんなにうまくいっても今季限り(あと2ヶ月)だということ。ラムジーのイタリア行きは決定している。エジルの去就も不透明だ。

いまのエジルのフォームが今後の契約に影響を与えると思っているファンもいるかもしれないが、ぼくはそれはあまり期待できないと思う。

アーセナルのような清貧をやろうとしているクラブには、エジルの給与は単純に高すぎるのだ。彼がいると夏の補強への影響が大きい。どちらを取るかはチームの判断になるが、いずれにせよ頭の痛い問題である。

こんなふうに交代で退いた選手がみんなで喜んでいるのを見るのはうれしいね。ラカゼットだってエジルだって交代で下がるのは大嫌いなのだから。

クラシック・オバメヤン・ゴール

2得点&1アシストで文句なしのMOTM。そしてもちろんマスクセレブレーションも話題。このあとイエローカードがたまって大事な試合に出られないなんてことにならなきゃいいが。。

2得点はどちらもゴール前で合わせるだけの「tap-in」で、まさにこれぞPEAといったゴールになった。

終盤でふたつのBCを外してしまったことは残念だったが(どちらかひとつでも入れればハットトリック)、それもまたおれたちのバメやん。BCをあっさり外すなんて平常運転、平気の平左、想定どおりなのである。

彼はこの試合のG&Aでエミレーツでの13試合で14得点に絡んだということ(G10 A4)。試合に出れば1点は取って/取らせてくれる漢。

現在PLでもゴールランキング2位(タイ)でゴールデンブーツを争っているが、このようなストライカーがいないとチームは強くならない。

彼がアーセナルにいるこの数年のうちに、なんとか大きな結果を残してほしいものだ。

メイトランド・ナイルズの成長

マンUとこのレンヌの2試合でWBとして、かなりいいパフォーマンスを見せたのがおれたちの「バードキャッチャー」ことAMNだ。

攻撃では、最初の得点はAMNの持ち上がりが起点(プリアシスト)になったものだし、2点目はもちろんPEAのファーサイドへのドンピシャクロスに合わせたヘッダー。

彼にはかなりうれしい得点だったことは「(ゴールを)なんと表現していいかわからない」と答えたインタビューからもよくわかった。

もちろん守備でも非凡なところを見せていて、この部分ではベレリンよりもAMNのほうが安定感があるくらいだ。

先日アップされたStatsBombのアーセナル分析記事によれば、今シーズンのふたりの比較では、ディフェンシブアクションでかなりAMNが勝っている。

もっともAMNは出場試合のサンプル数が少ないので、一概にAMNがベレリンより優れているとは云い切れないが、この2試合のパフォーマンスは、今後もアーセナルが彼をRWB(RB)の戦力としてカウントしてもおかしくはないものだった。

シーズン終了までこのフォームをつづけられるようなら、この夏も限られた予算だと云われるなか、補強プランに影響を与える可能性すらある。ぼくにはそんな出来に思えた。

CMが本職ながら右サイドでもこういった安定したプレイができるなら、違ったポジションでも対応できる選手を好むエメリにとって貴重なオプションになっていくことだろう。

PEAが云うとおり、クラブもファンも若い彼のことをもっともっと誇るべきなのかもしれない。

だって、ユースの選手がレギュラーになったら補強費がめちゃくちゃ浮きますから!

残念パフォーマンスと残念メンタリティ

今回、唯一小言を云いたくなる選手は誰か?

そんなのムスタフィしかいない。

この試合で最大のピンチのひとつは、ムスタフィの自陣ボックス近くでの切り返しでボールを奪われたところから始まった。

彼はなぜあんな危険な場所であんな愚かなプレイをしたんだろう? 集中力がなさすぎるし、うっかりをやりすぎる。うっかり八兵衛である。

この試合のムスタフィはパス成功率も低かったが(62%)、その場面以外はそこまで悪いところはなく(ボールリカバリー7、クリアランス9)、ラッキーにもシュートが外れたから助かったものの、たったひとつの不注意で試合に大きな影響を与えるところだった。

云うまでもなく、フットボールではポジションが後ろへいけばいくほどひとつのミスが重くなる。だからCBやGKはとくにコンセントレーションが求められるのだ。

最近ファンベイスでもクオリティ不足が理由でムスタフィを夏に放出することは既定のように語られているが、彼はこれでますます評価を落としてしまったように思える。

彼はもっとシンプルなシステムやプレイスタイルのチームのほうが輝けるのかもしれない。残念ながらいまのアーセナルは決まりごとが多くシステムも起用する選手も毎回違ったりする。プレイするのがだいぶ難しい部類のチームだろう。

もうひとつ試合後に話題になっていたのはこの件である。

AMNがヘッダーで2点目を決める直前のPEAがクロスをあげるシーン。

コラシナツラムジーのワンタッチのスルーボールに対し、オフサイトポジションにいたラカゼットコラシナツがボールへの関与をしていないことをアピールしながら後ろに戻るなか、PEAがオフサイドトラップを抜けてボールに追いつくとギリギリのクロスボールをあげる。

ちょうどその瞬間を捉えたのがこの場面。多くのひとはまずボールがラインを越えていたかどうかに注目したはずだが、中をよく見ると写真に写っている11人のうち、たったひとりだけボールが生きていることに気づいていない選手がいた。

メストである。

このシーンはビデオで観てもエジルがボールの行方を追わず、ファーストアクションだけですぐにプレイを諦めてしまった様子がよくわかる。彼よりも遠くにいたAMNがクロスボールに気づいてゴール前に走り込んでいる。

これはいけません。

このシーンが話題になっていたのは、おそらくこれがエジルの悪いほうのメンタリティを表す象徴的なシーンに思われたからだろう。

彼はボールを追わない。奪われたらすぐに諦める。しつこさがない。淡白。薄味。淡麗辛口(褒めてない)。

これは絶対にエメリが好きじゃないプレイだった。彼が選手に求めるのは不屈の闘志であり、諦めなさでありしつっこさであり粘っこさである。油でぎっとんぎっとんのプレイをしてくれないと。

ぼくはそれでもエジルは以前よりもずっと変わったと思っているが、ひょんなところで、うっかり素が出てしまった。そんなシーンだった。

試合については以上。

勝ててほんとに良かったな。おめでとう。

チェフ、ラムジー、もしかしたらエジル。彼らのためにもタイトルは絶対にほしい。

UELラスト8ドローが行われる

昨日さっそく行われたドローで、8チームの組み合わせが決まった。

すでにご存知のようにアーセナルはなんと、もっとも避けたかった相手であるナポリを引いた。。なんというくじ運。それもまたアーセナルらしさだろうか。それともファン・ホーイドンクのせいだろうか。

ナポリやアンチェロッティについて、詳しくはあとでまとめてお伝えしよう。

アーセナルニュース

モンチはセヴィーリャ復帰か

ファンもメディアもローマを離れたモンチは当然アーセナルに来るのだろうと思っていたら、おとといあたりからだいぶ雲行きがあやしくなってきた。

スペインで古巣であるセヴィーリャがモンチの復帰をオファーしているという報道のあと、セヴィーリャのプレジデントもこれを認めた。しかもかなり自信を持っている様子。

Jose Castro:セヴィーリャはいまスポーツ・ディレクターを探していて、最高の人材が求められている。そして最高というのはモンチのことだ。彼との会談はうまくいっており、彼もとても前向きだ。

われわれはモンチがベストチョイスだと思っているし、すでにネゴは始めている。彼はかなり前向きだよ。われわれの将来のプランについても合意する必要があるが、それには双方が楽観的だ。

これは決まりっぽいな。。いったいなんだったんだモンチ。ミズリンタットの退社といい、この世界はなにが起こるかわかりませんな。

たしかに彼はアーセナルに行くとはひとことも云っていなかったと思うし、いくつかのコメントをしていたときでもセヴィーリャを含め複数の選択肢があったんだろう。

まあしょうがない。さっさとつぎへ行こう。ぼくはオーフェルマルスがいいと思う。

【祝アヤックス記念】マルク・オーフェルマルスのインタヴュー@AS

アーセナルが16才のワンダーキッド、マルチェロ・フローレスとサイン

アーセナルがイプスウィッチ・タウンのメキシコ人ワンダーキッド、Marcelo Flores(マルチェロ・フローレス)を獲得。

まだ公式には来ていないが、アーセナルと契約した本人が公式よりも前にSNSでゲロってしまっているのは過去にも見てきた光景である。

去年からミズリンタットが目をつけていた案件だとのこと。名前でググると、たしかに去年の夏に交渉中というニュースがあった。

Arsenal transfer news: Gunners in talks to sign Ipswich wonder kid Marcelo Flores

リヴァプール、チェルシー、バルセロナが狙っていた逸材だそう。去年の時点で15だから今年16才かな。ということはプロ契約ではなくアカデミー契約になるのだろう。

期待しよう。

以上。

つぎの試合は4/1のPLニューカッソー(H)ってどんだけ先なんだ。。ドバイキャンプとNTに期待するしかない。



※コメントくださるかたにお願い
プレヴューエントリでは、試合の結果がわかるようなコメントはお控えください
お互いリスペクトしあって楽しく使いましょう

4 Comments on “【マッチレビューその2】18/19UEL LAST16 アーセナル vs レンヌ(14/Mar/2019)バードキャッチングとワカンダ・フォーエヴァーの巻【マッチスタッツと論点】

  1. とにかく勝ってよかった!
    しかし、2点とる+アウェイゴール阻止という集中力MAXで挑む試合で注意散漫なのはさすがにもう無理でしょう、ムスタフ。エジルも背中の10番がバッチリ写真に残っちゃって…
    そして次は引いてしまったナポリ。
    バイエルン時代にヴェンゲルを10-2でボコボコにしたアンチェロッティのチームとは…
    エメリならノープランで試合に挑むことはないでしょうが、事情上の決勝と思わないとヤバいですね。なんで引いちゃうかなあ。ナポリ。

  2. ナポリ戦、オスピナはどうなるのでしょうか?
    怪我したみたいだし大丈夫かな。

    1. オスピナはいずれにせよ親クラブとの対戦で出場できないのでは?

      しかしあれ衝撃的でしたね。ぼくもハイライト見ただけだけど、一度プレイに戻ってからぶっ倒れてたからなあ。心配。

  3. やっぱりその縛りありますか。
    PL外だからもしやとも思っていたのですが。
    久しぶりに見たかったのですが残念です。
    ちなみに無事に退院出来たようですね。
    大した事なかったみたいで良かった良かった。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *