先週末、『ESPN』に戦術エキスパート、マイケル・コックスによるアーセナルMFアレックス・イウォビについてのコラムが掲載された。
「イウォビの動きとリンクプレイがアーセナルの再生にとって不可欠なものに」
Alex Iwobi’s movement and link play essential to Arsenal’s rebuilding process
エメリのアーセナルにとっていかにイウォビが重要な役割を担っていたか、また彼を従来の枠に当てはまらないユニークな選手だと論じている。
今回はこれを紹介しよう。※見出しは訳者によるもの
「イウォビの動きとリンクプレイがアーセナルの再生にとって不可欠」by マイケル・コックス
フットボールの世界においては、若い選手と過去の偉大な選手がよく比べられるものだ。そしてそこには、ネクスト・ディエゴ・マラドーナへの、ネクスト・ティエリ・アンリへの、ネクスト・クリスティアーノ・ロナウドへの渇望がある。
しかし、これまでのわかりやすいテンプレから外れたフットボーラーが現れたとき何が起きるのか? まあ、シンプルな回答としては、そんな選手の才能はいつも喜ばれるわけではないということだ。
FBの攻撃を活性化させるイウォビの役割
アレックス・イウォビについて、ナイジェリア代表の彼は実際ウインガーでもなければ、セントラル・ミッドフィルダーでもNo.10でもない。たくさんゴールするわけでもないし、アシストもドリブルもすごいわけじゃない。おそらく彼以前の選手で彼に似ている選手はいない。それでも、イウォビはエミレーツで使い勝手のよい役割としてのポジションを苦労して手に入れており、ウナイ・エメリのファースト・シーズンの大きな恩恵を受けている選手のひとりとなっている。
アーセナルは今シーズン、エメリの下でときに明確な戦術をなくすことがある。エメリは頻繁にシステムやメンバーをいじったり変更したりしている。しかし、そのなかで疑いなく特徴的なのはフルバックのオーヴァーラップの重要性だ。
シーズン前半にはこれはヘクター・ベレリンが担い、彼のオーヴァーラップはアーセナルの攻撃におけるボーナスというよりは、ほとんどそれが目的のようになっていた。より最近では、ベレリンの不在もあり、キーマンは左サイドのセアド・コラシナツとなっている。またしても、いいタイミングでの嵐のようなランやゴール前に送るクロスで、ボスニア人はしばしばアーセナルのチーフクリエイターになっていた。
この左サイドの攻撃における決定的な要素は、ずっとイウォビである。新聞では、アーセナルがしばしば彼を起用する理由は、アーセナルのほかの攻撃オプションよりもよりダイレクトで、ワイドを維持できドリブルもできることだと云われている。シーズン始めのワトフォード戦でのヒヤヒヤの2-0勝利における彼の途中出場がいい例だが、彼の出場でアーセナルの攻撃は完全に変わった。
イウォビの優れたボディ・ポジショニングと向き
チームにとって彼がここまで重要になっているのは、これらが組み合わさった貢献があるからだ。インテリジェントな動き、利他的なリンクプレイ、そしてこれがとくに重要だが、クレヴァーなポジショニング。
最後のクオリティ(ポジショニング)については、このところとくに称賛されている。
前回ロンドンで行われた「Opta Proカンファレンス」(ヨーロッパ中のフットボールアナリティクス関係者が集うミーティング)で、いくつかのキーになったプレゼンテーションのひとつに、バルセロナでアナリストをやっているCarlos Rodriguezから発表されたものがあった。彼が説明したのは、テクノロジーを使って試合中の選手たちのポジションをトラックすることがバルセロナにおいていかに重要性が増しているかということ。そして初めてこれを計測するに足る量が揃ってきたという。
「試合中の選手全員の動きの方向を組み込むことによって、スペースコントロール、パスの成功率、守備のプレッシャーといった時空間分析の進歩に多方面での利益があります」と、ロドリゲスは去年「バルサ・イノヴェイション・ハブ」のWEBサイトで説明している。
“Play the way you’re facing”は、フットボールにおけるお約束のアドヴァイスだった。そして実際、ボールを持ってプレイすべき道に面と向かうことこそが、イウォビの優れているところだ。
彼はグレイトな能力を見せつけるかのように(天然か学習したものかはともかく)、つぎのパスを送るための正しいポジションと向きでボールを受け、たいていはオーヴァーラップしてくるコラシナツかあるいはもうひとりのLBナチョ・モンレアルを使う。
たとえば、こんなことを思い返してみる。シーズン早い時期にフルアムを5-1で破った試合、アレクサンドル・ラカゼットのオープナーで彼がモンレアルとリンクしたやり方。あるいは、ボーンマスでコラシナツの後ろからこっそり入って、決勝点を決めたピエール・エメリク・オバメヤンへのクロスを送ったやり方。あるいはサウサンプトンでのミキタリアンのヘッダーをモンレアルとともにお膳立てしたやり方。カーディフ戦でペナルティを得たコラシナツとのやり方。
こういった貢献にも関わらず、イウォビはどの場面でもアシストを記録していない。いくつかのパスはどちらかといえばシンプルなものだった。しかし、それがイウォビの美点でもある。シンプルで、細かいことは気にせず、ほかの選手たちのベストを引き出す。
しかしそれは、ジェイ・ジェイ・オコチャの甥である22才におおよそ期待されるものではない。JJオコチャといえば、プレミアリーグにおいて間違いなくもっとも豪華で、ピュア・エンタテイナーな選手だったのだから。
しかし「フルバック活性剤」、これがイウォビの役割なのだ。
イウォビのロールには名前がない
選手たちはいまでも、すでに確立されたシステムのテンプレートへのフィットでジャッジされている。
イングランドでは伝統的な4-4-2、No.10を使うなら4-2-3-1、ワイドフォワードがプレイできる4-3-3もいいだろう。しかし、この数年では3-4-3システムが流行り始めており、これはチェルシーのアントニオ・コンテが流行らせたものだが、これにはやや新しい役割が生まれている。フォワード、ウインガー、No.10の中間に位置するようなものでそのポジションにはまだ名前はない。が、なんなら、インサイド・フォワードでもお好きにどうぞ。
エデン・アザールがいまだにそのポジションのマスターだ。チェルシーにとって彼とオーヴァーラップしてきたマルコス・アロンソとのリンクプレイはとくに有効だった。もっともアザールはアウトワイドでもNo.10でも、必要ならアップフロントでも優れていたのだけど。彼は役割に従う必要もない。イウォビはもっとスペシャリストのように見える。スペシャリストではあるが、そのポジションには実際まだ名前がないのだ。
もちろん、フルバックのためにスペースを開けるみたいなことはべつに新しいコンセプトというわけではない。それはフットボールの原理的な部分だ。
ダヴィド・シルヴァがシティでよくやっているようにワイドからインサイドへ切り込んで行くことみたいな、彼のひけらかされているたくさんのクオリティのひとつにすぎなかったりもする。シルヴァはほかにも明らかな才能を持っている。もっとも目立つのはたくさんのアシストだ。彼のフルバックとのコンビネーションは結果論のようなものだ。しかしイウォビにとっては、それが彼のメインのクオリティになる。彼はしょっちゅう鋭いファイナルボールを出すというわけではないが、彼が起用に値するのは、彼の後ろにいる選手の貢献を最大化するからである。
「わたしがナチョ・モンレアルとセアド・コラシナツに、試合のなかで誰がピッチで一緒にプレイしやすいか尋ねたら、ふたりともイウォビだと答えたよ」と先月エメリが述べている。
「つまりイウォビがオーヴァーラップする彼らにスペースを開けることができるということだろう。だからわたしはイウォビの貢献は大きいと思うんだ」
選手はサポーターやパンディットに評価されるよりも、しばしば異なるタイプの選手から褒められることを喜ぶものだ。エメリが実際に選手たちに誰と一緒にプレイしたいかを訊いていたことも興味深いが、しかしコラシナツとモンレアルからの回答には驚きはない。ふたりともイウォビの後ろでプレイすることで強力になっているのだから。イウォビはいまだにサポーターからは完全に受け入れられているわけでもないというのに。
これからのイウォビに必要なこと
アーセナルのなかでレギュラーポジションを維持するには、おそらくイウォビはまだまだファイナルサードでの貢献が必要だ。数年前、彼はティエリ・アンリに云われたことばを思い出していた。
「彼(アンリ)にはいつもこんなふうに云われてたんだ。うまくプレイできる選手はたくさんいる。だから、もし試合でインパクトを残せなかったり、みんなを納得させるようなプレイができなかったとしたら、いないも同然なんだって」彼がアーセナルのWEBサイトで語ったことだ。
「攻撃的な選手なら、基本的にはゴールを取らなきゃならないし、あるいはアシストをしなきゃならない」
エメリは偏執的に分析をやるマネージャーだけれど、生のエンドプロダクトについても見ているだろう。パスのコンビネーションやxGチェーンに隠れたスタッツ。おそらくは身体の向きさえも。それらはモダンなスタッツで、モダンなタイプの選手を見るためのものだ。
いつの日か、われわれがネクスト・アレックス・イウォビを見つけようとする日が来るのかもしれない。
以上
なかなか興味深い考察がいくつもあったように思えるが、どうだろう。
数字に現れない貢献を見つける
このなかでもっとも興味深いと思ったのは、いくつかの印象的なゴールへの貢献のなかで、それらに深く関わっていたイウォビながらアシスト(もちろんゴールも)というわかりやすい記録を残していないということ。
たしかに、イウォビの数字だけを見れば、アタッカーとしてゴールもアシストも少々もの足りないものだ(※現時点でPL27試合でG3 A5)。しかしその控えめな数字にも関わらず、エメリの彼に対する信頼は現在のチームのなかでもかなり大きいものだと云ってもいい。
一見平凡に見える選手のタレントを見つけること。
これは、近年急速にフットボール・アナリティクスが隆盛していることのもっとも大きな動機のひとつだとも思われる。要するに、これまで広く使用されてきたゴールやアシストやパス本数などの基本的なスタッツだけではわからなかった選手の本来の価値が、より詳細で、プレイの関連性も含めた高度な分析であらたに見出せるようになったこと。まだ評価の定まっていない「原石」を見つける重要性はビッグクラブの間でもますます高まっており、それがこの分野のさらなる発展を促している。
もちろん、これまでだって優秀なマネージャーはそんなデータ分析がなくたって、それと同じようなことを自分の目を信じて感覚的にやってきたはずだ。しかし、現在ではそれがデータで定量化され特別な目利きスキルや能力がなくても、誰の目にもわかりやすくなっていくという現状がある。
そういったモダンな分析のなかで、これまで光明が当たらなかった隠れた貢献をしている選手が明るみに出てより重宝されるようになり。モダンフットボールにおいてアレックス・イウォビは典型的なそういった選手のひとりであるということ。そういう理解をした。
結果の基本的な数字しか見ないファンがいたとして、彼がそれをもってイウォビの貢献を判断するなら、それは片手落ちもいいところであると。
今後より細かく深い分析ができればできるほど、彼のような選手が発掘されやすくなるし、また評価も高まっていくのだと思われる。
イウォビのポジション/ロールの名称について
もうひとつ興味深かったのは、コックスがイウォビのポジションにまだ名前がついてないと考えていること。
云うまでもなく、マイケル・コックスは素人じゃない。この世界でフットボールタクティクスエキスパートとしてもっとも著名なひとりであり、当然あらゆるポジションにもロール(役割)にも精通している。その彼が、イウォビの役割についてこれまでにない「新しいもの」だと云っている。
フォワードとウインガーとNo.10の間で、フルバックを使うポジション/ロール。いわゆるハーフスペースを悪用するタイプ。
たぶん現状でもっともしっくりくるのは、このなかでも言及されているように「インサイド・フォワード」(ぼくもこのブログでは3-4-2-1の2についてはそう書くようにしている)なのだろうが、わざわざ名称がまだついていないというくらいだから、きっと何かしら新しい名前をつけたいのだろう。そして、ああいうイウォビのようなプレイをやる選手が増えてきた/増えてくると考えているのかもしれない。
いつか、彼が新しい役割を命名することになって、それが普及するようならそれもおもしろい。
文中で「フルバック活性剤」と訳したオリジナルは、”Full-back enabler”。これだとまんまだし、あんまりゴロがよろしくないかな? やっぱりボランチとかレジスタのような英語以外の外国語由来のほうがそれっぽいのかも。
ちなみに日本だと、このワントップの後ろふたりを「シャドー」と呼ぶことが多いようで、しばしば見たり聴いたりするが、ぼくが知る限りイングランドではあまり使われない(何度か見かけたことはある)。戦術先進国のスペインやドイツではよく使われるのだろうか。
アーセナルではワイドで勝負できるウインガータイプの選手の不在が久しく指摘されているけれど、イウォビのロールはウインガーとはまた違った強みをアーセナルのサイド攻撃に与えているという視点はぼくらも持っておくべきかもしれない。実際に今季のフルバックを使ったサイド攻撃はアーセナルにとってかなり大きな武器になっている。
もしこの「イウォビ・ロール(仮)」がもっと広く一般化するようなことになれば、それがエメリ・アーセナルを代表するユニークな戦術ということになるかもしれないし、なんならこのイウォビの名前のない役割自体が、後年にエメリの発明した戦術みたいに認識される可能性だってないとは云えない。ロマンがあるじゃないか。
これからのイウォビに期待
ファイナルサードで改善の余地があるというのは、イウォビがファーストチームに上がってからずっと云われていることだ。ボールを持ってボックスに侵入するまではいいが、時間も空間もないなかで状況判断が遅く、いつも判断を誤ってしまう。
しかし逆に云えば、彼の場合課題は明確で、改善のポイントがはっきりしているということは、それだけそこにトレーニングのリソースを集中できるということでもある。
今シーズン前半、イウォビの進歩は著しいものがあったのは誰もが認めるところだろう。ドリブルのテクニックに磨きをかけ、もちろんFB/WBとの連携からの左サイドの攻撃は対戦相手にとり大きな脅威になっていた。
いつ頃くらいからか、それまでの目覚ましいパフォーマンスと比較すると、徐々にその進歩はまた停滞を見せ始めているように思えたが、エメリの彼への変わらぬ信頼を見ているとまだまだ期待は大きいものだと思われる。
アカデミー出身ということで、エメリだけでなくクラブや周囲からの期待も大きい。いまだファンから信頼を得られていないのも期待の大きさの裏返しでもある。
アーセナルのようなクラブにとって、手塩にかけて育ててきたアカデミー出身選手の成功は、まさしくクラブのフィロソフィを体現するものだ。
先日オバメヤンもメイトランド・ナイルズについて、クラブはもっと彼を誇るべきだと主張していたが、イウォビもそんな存在のひとりである。
これからも彼を暖かく応援していこう。たとえ大事な試合でちょっとぐらいヘマをやっても。。
興味深い内容でした。
ただいかにサイドバックとの連携が良くとも一人で点数を生み出せるアザールらに及ばないのもまた事実。
やっぱアタッカーは点、アシストを稼いでナンボですよ。
イウォビの記事、楽しく読ませていただきました。
少し前のPOTYの話題で、イウォビ推しの声がほとんど無かったのが意外でした。シーズン通して彼は重要な役割を果たしていると思うのですが。
彼の確実に受けて、はたく。というプレーは大好きです。
あまり周りを信用していなかった在籍後半のアレクシス・サンチェスも、イウォビにはボールを預けていましたよね。
あったまりました心が。
インパクトにかけるイメージなですよね、イオビって。一番は数字でしょう。グーナーはアンリを見てきたわけですからね。でも試合を見たら確かに効いてる。
イオビロールを続けてほしいという思いはみんなあると思います。でも左ウィングを補強する話しはずっとで続けていることも事実。もしとれば今のイオビと共存はできないでしょうし。
どうなるんでしょうね。
どちらにしても今シーズンはイオビロールをさらに成熟させてほしいです。
同感でございます
前半戦のベジェリンのアシストもムヒタリアンの気の利いたポジショニングや繋ぎの結果だと思うんだよなあ
ムヒも不調とか言われてたけど
彼はその上でアシストと得点ができる
イウォビも成長しているけど、経験含めて一日の長ありって感じ
イウォビがブレイクしたシーズン(サンチェスが0トップやってた時だったと思います)ですかね、サンチェスとエジルに絡めているイウォビをみて、こりゃすごい選手が出てきたな、と思いました。
以前のアーセナルのワイドプレヤーといえば、ゴリゴリのドリブル野郎、今バイエルンで活躍しているナブリーなどが典型ですが、そういうプレーが”わかりやすい“選手ばかりでしたし、テクニック=ドリブルが上手い選手、ぐらいの位置付けでした。
しかしイウォビはといえば、ドリブルは上手いと思いますが、相手をスピードでぶっちぎるタイプじゃないし、彼のドリブルは抜くというよりボールを運ぶ、時間を作るものです。
記事にあるイウォビのポジショニングが上手いは同意します。それこそが、彼の明確なストロングポイントであり、彼がエジルやサンチェスの邪魔をせずにプレーできた理由だと思います。
イウォビは、とにかく相手の間でボールを受けるのが上手なんですよね。ゾーンで守っている相手の守備を撹乱できる。まさにゾーンディフェンス破壊の申し子です。
そのかわりと言ってはなんですが、ボールを持った時はシンプルなプレーに徹して、そこがファイナルサードでの迫力が足りないと言われてしまうところだと思います。
イウォビのロールに役割がない、というのは現状イウォビの方向性が定まっていないからで、例えばこれからミドルシュートが上手くなればデ・ブライネ的になり、ラストパスが上手くなればエジル的になり、相手を突破するドリブルが上手くなればアザール的になります。現状、イウォビはそれらが上手くないので、SBを使う、という選択肢が第一に来てしまうのではないかと思います。
個人的な意見を言えば、現代的な(ワールドクラスの)二列目のアタッカーは、ポジションの良さに加えてプラスアルファの違いを作る能力をみな持っているし、イウォビが彼らに対して革新的なロールがあるとは思いません。デ・ブライネだってシルバーだってポジションを厳密に定義しろと言われても難しいし、イウォビがそこから外れているとは思いません。
イウォビのロールをあえて言えば、ボランチと前線の攻撃を繋ぐ“リンクマン”でしょうか。エジルのように芸術的なラストパスを出すパサーではなくて、誰かが決定的なラストパスを出せるような前線までボールを運んでいくロール。プレアシストを量産するイメージです。
長文失礼しました。
> 以前のアーセナルのワイドプレヤーといえば、ゴリゴリのドリブル野郎、今バイエルンで活躍しているナブリーなどが典型ですが、そういうプレーが”わかりやすい“選手ばかりでしたし、
話しの腰を折るみたいですけど、グナブリってそんな印象ありました?
いまTMで調べてしまったんですが、彼がまともにAFCのファーストチームでプレイしたのって、ほぼ13/14のワンシーズン(9試合464分)だけで、ぼくも当時観てたけど彼がドリブル野郎だったという記憶があんまなくて。
最近彼がヴェンゲルさんの慰留を断ったってエピソードがニュースになってたんでアレですが、ぼくのなかでは彼は当時まだ全然ヤングプロスペクトの域を出てなくて、ホッフェンハイムからのいまの成長っぷりは正直驚きのほうが強い。もちろんバイエルンが取ったんだから有望株だったことに間違いはないんでしょうけど。
アーセナルの13/14でそんないわゆるドリブラー的にプレイしてたっけ?と。
あと、アーセナルのワイドプレイヤーって、この20年(ヴェンゲルさん時代)で「典型的」といえば、どっちかというと、ドリブラーってよりはワイドに(足元でボールを欲しがる)プレイメイカータイプを置く傾向があるってのが定説な気がしますけども。
返信が遅くなって申し訳ないです。
ナブリーに関しては、確かに出場時間が短いのでおぼろげですけど、カップ戦等を振り返る限り、(今のコラシナツのロールのような)典型的な縦への突破をするドリブラーだったかなと。
相手を抜けるか抜けないかは別として、敵のSBの裏をつく、という意味でのドリブラー気質がありました(一方でイウォビは相手のSBの裏をつかないのに、ワイドプレイヤーとして仕事ができているのが新鮮だったのです)。
ベンゲルさんはよく二列目の買いすぎ、アーセナルは「二列目の王国」って言われるほど小柄で視野も広くコンビネーションとパスができるトップ下気質たくさん取るってイメージがありますけど、実際はサイドにはウォルコット、ポドルスキ、チェンバレン、ジェルビーニョ等、プレイメイカータイプではなくてサイドを抉れるワイドプレイヤーを置いてきたというのが実情だと思いますね(自分がアーセナルを見始めたのは無冠時代からですけど)。
セスク、ウィルシャー、ラムジー、カソルラ、ロシツキー、アルテタ、エジルとかが(ワイドもある程度できる)プレイメイカータイプの典型だと思いますが、彼らがワイドで活躍している図があまり思い浮かばないんですよね。怪我しがちというのもありますが、ワイドには本職の”抉れる”選手を置くことが多かった気がします。
ワイドで仕事できる選手の中で、縦にえぐるだけではなくて、状況によって斜めに入ってきてスルーパスも出せるって選手がアルシャビンとサンチェスぐらいしかいなかったので私にはイウォビが新鮮だった、というお話です。