前回のディフェンダー編につづいて、ミッドフィルダー/フォワード編を。CM/DM/AM/FW/Wingerの補強ポイントと候補について。
アーセナル2019夏の補強ポインツと獲得のうわさ(その2)
ポジション別に見てみよう。まずはMFから。つづいてFWを。
◆ミッドフィルダー(CM/DM/AM)の補強ポインツ
現在のラインナップは、CM/DMが、アーロン・ラムジー、グラニト・ジャカ、ルーカス・トレイラ、マテオ・ゲンドゥージ、モハメド・エルネニー。それとこのポジションではほとんどプレイしていないが、エインズリー・メイトランド・ナイルズも本来はここに含まれる選手。
AMは、メスト・エジル、ヘンリク・ミキタリアン、アレックス・イウォビがいる。今季はジョー・ウィロックがAMとしてファーストチームで何度かプレイしている。彼はCMでもプレイできる。また、1月からドイツのRBライプツィグでプレイしているエミール・スミス・ロウも。え? デニス・スアレス? どちらさまで……
このなかで退団が見込まれるのが、ラムジー(※確定)、エルネニー。それとエジル/ミキタリアンのどちらかあるいは両方を、予算捻出のためにアーセナルが放出したがっているという憶測も根強い。
オースティンはB2B MF(ラムジー)の補強プライオリティがCBと同じく一番高いと云っているので、ここは間違いなく夏の最大の補強ポイントになる。
プレイスタイルについては、今季のエメリがラムジーに求めていたロール「ハイインテンシティなNo.10」を思い返すに、B2Bというよりはやや前目でプレイするスタミナがあるCAMのようなキャラクターになるのではないだろうか。プレッシングにも積極的で、もちろんクリエイティヴも得点力もほしい。贅沢な要求だが、そういったクリエイティヴなハードワーカーは実際にいるし、もはやモダンフットボールでは攻撃の主役になりつつある。それに、ラムジーはじつはそういう意味で理想的な選手でもあった(だったらなんで手放すんだ以下略)。
そしてこれは同時にエジルのリプレイスでもある。エジルにやってもらいたくてしょうがなかったプレスの主導・チャンスクリエイト・ゴール&アシストを担える人材。
しかしいずれにせよ、市場でアーセナルの手の届く範囲でラムジーと同等のクオリティを持ったMFを見つけ出すことは困難を極めるだろう。
ここにどういった選手が来るか、アーセナルにとって影響はかなり大きい。シーズン終盤の失速とラムジー不在が無関係だとは考えられず、彼の不在を埋める戦力の補充が必要だ。
おそらく、来季は、ジャカ、トレイラ、ゲンドゥージ、新B2BのCMに、エジル/ミキタリアン、イウォビ、ジョー・ウィロック、(新AM)といった布陣になるのではないか。
ESRについては、1月にドイツに渡って以来ケガでほとんどの試合に出ておらず、来シーズンもひきつづきライプツィグでローンで過ごすことになると考えているひとが多い。彼が戻ってくるようなら、新しいAMは取らないかもしれない。
あとは、セリエAのインテルがグラニト・ジャカを狙っているというゴシップもある。彼のTM評価額は現在€50Mと高額なものになっているが、もし近い金額で売れるなら思い切ってそのお金で別の選手に投資したほうがアーセナルは幸せになれるかもしれない。ジャカは今シーズンも何回かポイントに影響するエラーをやらかした。最終的にたった1ポイント差でトップ4を逃した事実を合わせて考えると味わい深いものがある。もっとも彼がいないとボールをファイナルサードに運べなくなる問題もあるので、クラブがいま彼を売りたがるとも思えないけど。
◎ラムジーのリプレイスメントが必要。エジルとミキタリアンのどちらか退団するなら新しいCAMの補強も必要
ところで、おれたちのマテオ・ゲンドゥージだが、彼は先日CIESフットボールオブザーヴァトリーが発表した最新の「ビッグ5リーグのU20市場価値ランキング」でなんとジェイドゥン・サンチョに次ぐ第2位となっていた。あのおっちょこちょいでうっかり屋のあいつが。評価額は驚きの€70.1M(※TMでは€30Mだがそれでもすごい)。彼はエンケティアやウィロックがまったくチャンスを与えられないなかで、今季リーグとカップと合わせて47試合も出場している。20才になったばかりということでまだ荒削りながら、彼の将来性はわれわれが思うよりももっと高く評価されている。
第二のゲンドゥーの発掘が期待される。。
<MF獲得候補>
ここもいろいろな名前が出ている。
- クリストファー・ンクンク(PSG)
- アドリアン・ラビオ(PSG)
- ニコロ・バレーラ(カリアリ)
- デニス・プラート(サンプドリア)
- イズマイル・ベナセル(エンポリ)
- アンドレ・ゴメス(バルセロナ)
- ユーリ・ティーレマンス(モナコ)
- ドニー・ファン・デ・ビーク(アヤックス)
- マルコス・ヨレンテ(レアル・マドリッド)
- パブロ・フォルナルス(ヴィヤレアル)
~最近だとこのあたりだろうか。
このなかでもっともありえそうなのは、PSGのエンクンク。彼には1月に獲得に動いた実績があって、今夏も獲得に向かうと見られている。オーンステインのリポートでも言及されていたので確度は高い。
同じくオーンステインが言及していたラビオについては、やはり人間性に問題がある(笑い)との指摘。また彼は法外なサラリーを要求するとも云われ、ママ代理人は解雇したという話しもあったが、とにかくピッチ外の評判が悪い。ラムジーをリプレイスする選手としておそらく能力は申し分ないが、エメリが余計な頭痛のタネをドレッシングルームに持ち込みたがるとも思えない。
アンドレ・ゴメスとユーリ・ティーレマンスについては、ふたりともローンでそれぞれエヴァートン、レスターで意欲的なシーズンを過ごし、PLでも適応できることを十分証明した。ゴメスは去年にもアーセナルとの噂はあったが、エヴァートンでの活躍を見て獲得に動くことはあるのだろうか。
アヤックスには、ファン・デ・ビークだけでなくアーセナルが狙っているという選手が複数いるが、CLであそこまでアヤックスの選手の素晴らしさを全世界にプレゼンテーションしたということは、アーセナルが彼らを取れる確率はかなり低そうに思える。
そういえば、昨日AFTVのトランスファー特集でゲストのGFFN(Get French Football News)のひとが、アーセナルにおすすめしたいリーグアンのヒドゥンジェム(秘宝)ということで、ニーム・オリンピックのTéji Savanier(テジ・サヴァニア)という選手を激推ししていた。
彼はすでに27才で若い選手ではないが、ニコラス・ぺぺなんかと並んで今季リーグアンのNo.1プレイヤーだとのこと。いずれPSGやマルセイユのようなビッグクラブにステップアップするだろうと云われていた。
GFFNのひとがアーセナルに推薦したいというニーム・オリンピックのCM、Téji Savanier(テジ・サヴァニア)。中盤を制圧するテクニックは最高、今季リーグ1のNo.1プレイヤーだと絶賛。初めて聞いたわ。取ろう。
Galatasarayın yeni gözdesi Téji Savanier skills – YouTube https://t.co/WawRvS1WHD— Mr. Arsenal Chan (‘3’)/” (@NewArsenalShirt) May 16, 2019
アーセナルが狙っているという報道はどこでも見ていないが、リーグアンでそれだけ印象的なプレイをしているとなれば当然レーダーには引っかかっているはず。テジ・サヴァニア。注目しておこう。
◆フォワード(CF、ウインガー)の補強ポインツ
さてお待ちかねのアタッカーについて。
現在のラインナップは、アレクサンドル・ラカゼット、PEオバメヤン、ダニー・ウェルベックにエドワード・エンケティア。
アーセナルにしては珍しくセンターフォワードにはまったく困っていない時代を過ごしているが、一方でファンのあいだでもウインガー待望論は相変わらず根強い。
アーセナルのウインガーロールとしては、イウォビとミキタリアンといった選手が務めているが、彼らはナチュラルウインガータイプではない。エメリも彼らをCFのうしろでインサイドFWとして起用しており、実質現在のアーセナルはファーストチームにウインガーがひとりもいないという奇特なクラブになっている。
トップ6クラブすべてに備わっているドリブルができてスピードがあってサイドで一対一で勝負できて得点できるワイドフォワード。それがアーセナルにも必要だと多くのファンが考えている。
今季限りで退団が発表されているウェルベックのリプレイスメントについては、オーンステインは新しいCFが来るならエンケティアはローンに出されるだろうと予想している。たしかに今季のような扱いなら彼の大切な時間を浪費させるべきではない。ローンで経験を積める環境に身をおくべきだろう。今季の冷遇具合から考えて、エメリはエンケティアをウェルベックのリプレイスメントに足る選手だとは思っていないのだからなおさらだ。
ウインガーについては、じつは将来に向けてはチーム内に人材が豊富だったりもする。
ホッフェンハイムで1年過ごしたリース・ネルソン(20)。今季アカデミーで印象的なパフォーマンスを見せているというザビア・アメイチ(18)にバカヨ・サカ(17)。彼らはみんないまのファーストチームには人っ子一人いないワイドで輝けるアタッカーだということで、来シーズン若い彼らにチャンスが与えられるかは興味深い。とくにサカに関しては、オーンステインが地味になんども口にしている印象がある。好きなんじゃないか?(笑い)金のないアーセナルが来季17才や18才を大抜擢しない理由はない。
ところでこのところバルセロナやPSGといったビッグクラブがラカゼット・オバメヤンを狙っているというゴシップがファンのあいだでも話題になっている。いまアーセナルが彼らを売るとも思えないが、しかしどちらかひとりなら絶対に売ってはいけない理由もたぶんない。
今季このふたりは絶妙なパートナーシップを発揮して、われわれの期待以上にうまくハマったけれど、このふたりのキャラクターは「ボックス内ストライカー」という意味で極めて似ており、チームにいるフォワードの組み合わせとしては、じつは云うほど理想的ではない。あるいはこのチームを上から下まで俯瞰してみれば、そこだけ不自然に戦力が集中している。贅沢だしアンバランスなのだ。
したがって、不人気な意見を云えば、その金額によってはどちらか一方を手放すという考えを排除すべきではないとぼくは思う。もちろんふたりいるに越したことはない。しかし、このクラブはいずれどこかで人気選手の売却によって予算を捻出しなければ、ライバルチームと競っていくことはできないのだ。もしいまオバメヤンを£100M以上で買おうというクラブが現れたら拒めないし拒むべきでもない。それがわれわれが未来のリヴァプールになる足がかりになる。
来シーズンの組み合わせは、ラカゼット、オバメヤン、ネルソン、新FW/ウインガーになりそう。
◎ウインガー(ウェルベックのリプレイスメント?)の補強が必要
<FW・ウインガー獲得候補>
ここも噂だけはたくさんあるポジション。
- ウィルフレッド・ザハ(CP)
- ライアン・フレイザー(ボーンマス)
- デイヴィッド・ネレス(アヤックス)
- ハキム・シエシュ(アヤックス)
- ニコラス・ぺぺ(リール)
- イスマイラ・サー(レンズ)
- ムサ・デンベレ(リヨン)
- レアンドロ・トロサール(ゲンク)
- ベニト・ラーマン(フォルチュナ・デュッセルドルフ)
- アントニー(サンパウロ)
- ガブリエル・マルティネリ(Ituano)
ザハは本人がCLでプレイしたいとクラブに退団希望を告げたということで、この夏に動きがあるのではないかとざわついているところながら、CPは彼に£100Mを要求するそうで(笑い)、果たしてそれを払うクラブは現れるかという。アーセナルはザハのプレイスタイルやクオリティに関心を持っていてもおかしくはないが、予算レンジからかけ離れている。リールのニコラス・ぺぺと同様、実現することはまずないだろう。
このなかで予算的にもありそうなのは、ボーンマスのフレイザーあるいはレンズのイスマイラ・サーあたりでは。ただし、これらはどちらもアーセナルファンの100%理想のターゲットとは云えなさそうだ。
フレイザーは今季チャンスメイクはリーグでトップということで生粋のチャンスメイカーといえるが、あのプレイスタイルでドリブラーではないのが気になる。正確なクロスボールは魅力だが、一対一で相手を翻弄してひとりでDFを何人も引きつけてくれるような、そういうタイプではないようだ。もちろんPLに適応済というのはポイントが高い。
ちなみにフレイザー自身はアーセナルとのリンクを歓迎するコメントもありながら、あと1年契約が残るボーンマスへの残留もほのめかしていて、場合によっては来年フリーエイジェントでウマウマな移籍をやろうとしているのかもしれない。
レンズのサーについては、ELで対戦したときスピードはたしかに関心するものがあったが、彼もアーセナルのレベルのクラブでプレイするにはまだ荒削りな原石という印象だった。将来化けないとは限らないが、現時点では絶対に化けるとも云えない。わりとリスクのある賭けになりそう。
アヤックスのふたりについては、アーセナルが取れれば理想的ながらやはり競争を勝ち抜けられるとは思えない。ハキム・シエシュに関しては、€25Mのリリースクロースがあるとかないとかで盛り上がっているが、やっぱりそんなものはなかったみたいな話しもある。
彼らは現在それぞれ30M前後のマーケット・ヴァリューとなっており、今季CLの快進撃が反映されたらそこからさらに爆上がりしても不思議じゃない。
そもそもアーセナルはアヤックスの彼らを取っている場合じゃなくて、アヤックスに入る前の彼らを取らねばならなかった。BVB、アトレチ、アヤックスになりたければ、選手リクルートではいつもライバルに先んじていなければ話にならない。なんでミズリンタットを手放し以下略
サンパウロのアントニー(19)、イチュアーノ?のガブリエル・マルティネリ(17)というふたりのストライカー。ここへ来てアーセナルにも久しぶりに南米の選手がリンクされるようになってきたのはサンレヒ効果か。あるいはエドゥ効果か。
後者のガブリエル・マルティネリに関しては、以前にこのブログでもお知らせしたようにすでに契約済みという報道がある。昨日英国の移籍市場がオープンしているということは近々発表があるのかもしれない。ただし、彼はまだ17才ということで、よほどの逸材じゃない限りはよくてU23でのプレイからスタートになると思われる。
ひとまず以上。
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