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エメリファーストシーズンの守備と攻撃。エメリは支持に値するコーチか?【18-19シーズンレヴュー的ななにか】

エメリの見た目の好成績は高すぎるコンヴァージョンのおかげ

これを読んでもまだアーセナルはウナイ・エメリに全幅の信頼を寄せるべきと思っているひとがまだいるかもしれない(それはいないか)。合わせてアーセナルの異様な高CVレイトについてもあらためて振り返っておきたい。

以前にも貼ったグラフィックをもう一度。シーズンが終わっていなかった時期(4月)だとはいえ、おそらくシーズン終了後もそう大きくは変わっていないのでは。

PLの歴史上、今季アーセナルのコンヴァージョンは「ダントツ」のトップだったのである。2位との差、2位以降の差を見てもらえばダントツの意味がわかると思う。

今季アーセナルのCVレイトはあまりにも突出している。昨シーズンの1年で100点以上取っているマンシティよりももっともっと効率がよかったなんてありえない。しかしそれも、皮肉にも少ないシュート数のおかげでもあるし、少ないチャンスを決めたオバメヤンとラカゼットのおかげなのだ。

なぜわれわれが平均よりもずっと高いコンヴァージョンレイトを信頼してはいけないのか、それで得た結果を評価してはいけないのか。それは再現性が低く継続性がないからだ。

今後のシーズンで同じように攻撃の低パフォーマンス(少いシュート、少いチャンス)が続いたとしても、今季と同じ結果が得られるとは限らないし、その可能性は低いだろう。

(仮に来シーズンもPEAとラカゼットがいて今季と同じようなパフォーマンスを続けるなら、ミラクルコンヴァージョンコンビとして歴史に名を残すに違いない)

もし今季のCVが並だったとして、PLの順位ももっと低く(たとえばトップ6以下)、ELでももっと早いステイジで敗退していたら、それでもエメリは広く支持されただろうか。

セカンドシーズンでエメリの運命は決まる

と思う。というかそうであってほしい。

エメリは3年契約だそうなので、もちろん結果を出すまでに3年あるという意味だとも受け取れる。

サンレヒとヴェンカテシャンの数々のコメントから察するに、アーセナルボードだってファーストシーズンでこの程度のマイナスは想定している可能性は大いにある。

もしELタイトルを取っていたらと考えるとそれはそれで出来過ぎな結果だったと思うし。

しかし、問題はそこにインプルーヴメントのきざしがあるかどうかではないか。

いま結果が出ていなくても、将来的に結果が出そうなきざしが見えることが重要で、そういった点ではファーストシーズンの残念な結果とパフォーマンスの悪化からは、彼を擁護できるポジティヴな要素があまりなく、やはりそれなりに厳しい評価を与えざるを得ないのではないだろうか。

もし彼らが今季の現実を直視せず、エメリの「いいところ探し」に腐心するならば、そのプロジェクトは失敗する可能性が高まるだろう。

(かつてオーンステインが指摘していたようにサンレヒとエメリの個人的なつながりがパフォーマンス評価より重視されるようなことがあれば、それはそれで悪夢)

来シーズンもこの低パフォーマンスな傾向がつづくようなら、今シーズンの前半のようなラッキーが再現されるとは考えにくいので、つまり中位あたりが定位置になる。ありそうなシナリオだ。そこで決断ができるかどうか。

以前にこのブログでエメリを正しく評価するには、ライヴァルクラブのマネージャーと比較する必要があるという記事を書いた。未読のかたはぜひ。

ペップ、クロップ、ポッチェはプレミアリーグのキャリアをどう始めたか。エメリの及第点は?

仮に来シーズンにトップ4を逃すと、ファーストシーズンはトップ4を逃しても2年めでそこに入ってきたクロップやポッチェティーノといったPLの先輩コーチたちより劣っている証拠となりうる(その時点で彼を擁護できる要素はなんだろう?)。もしそれでもアーセナルがエメリを解任しないなら、ヴェンゲルさんのときのように「#EmeryOut」の嵐が吹き荒れるだろう。

おそらく来シーズンもアーセナルの目標は、引き続きCL出場(PLトップ4フィニッシュとELタイトル)になるはずだが、2シーズン続けてそれを逃すとき、また今季のように成長のきざしが見えないとき、3年めのチャンスをエメリに与えるようなアーセナルは見たくない。そういう野心のないクラブ運営を続けるならエヴァートン化は避けられない。それは誰も望んでいないことだ。

さすがに今度はエメリにプレッシャーを与えたほうがいいんじゃないかな(笑い)。

来シーズンにアーセナルのパフォーマンスが上向く可能性

どうしても悲観的になってしまう一方で、来シーズンにエメリの下でアーセナルのパフォーマンスが上向く可能性もまったくないとは云わない。

ぼくはそっちの可能性は低いと思うが、仮にもしそうなるのだとしたら、条件は不要な選手の放出(ムスタフィやエジルだけでなく思い切ってジャカを出してもらいたい。彼のポジションと役割はチームにとって決定的すぎる)と、新規獲得選手あるいはローンから復帰する選手のブレイク。それが揃って初めてトップ4が争えるチームになれると思う。

ムスタフィやジャカは失点の源泉かけ流しだし、攻撃ではファイナルサードでのクリエイティヴィティが圧倒的に足りず、ワイドでの攻撃はもっぱらFB/WBに頼り切り。

仮に新しいCB、CM、AM、ウインガーが大当たりになれば一気に競争力は増す。アーセナルが正しい補強をすれば、こういったことはありえないことではない。もっとも補強予算から考えれば来る選手のクオリティもお察しなので、その可能性は限りなく低い。安くてクオリティの高い選手のリクルートは年々難しくなっている。

逆に云うと、選手クオリティ以外で進歩を期待できる部分はあまりないような気がする。さすがにもうエメリはマジシャンじゃないとわかった。地道にチームをまとめてほしいが、今年1年をかけてパフォーマンスを悪化させていったチームを彼の力だけであらためて向上させられるような気はあまりしない。

おわりに

今シーズンはいいときはエメリ最高!と思ったし、悪いときはダズ~ンとなった。でもたとえどんな結果になろうとも、エメリは辛抱強く見守るべきだと思った。チェルシーみたいな行き当たりばったりなウンコクラブにはなるべきじゃないと思った。

しかしこうして不本意な結果でシーズンを終え、フタを開けてみれば数々のデータがエメリのフットボールの内容の悪さをこれでもかと示している。

これからも辛抱強くサポートしていきたかった。でもその気分はいま大いに揺らいでいる。

まあとにかく来シーズンだね。2年めで完全に目標を達成しろとも云わない。でも進歩のきざし。それが絶対に重要だ。未来への希望というご褒美もなく応援などできるものか。

COYG

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14 Comments on “エメリファーストシーズンの守備と攻撃。エメリは支持に値するコーチか?【18-19シーズンレヴュー的ななにか】

  1. 更新ご苦労様です。

    興味深いデータです。ご指摘の内容にも概ね同意です。少なくても絶対的な評価では今季のエメリは抜群の仕事をしたと言えないのでしょう。そしてご指摘の通りエメリの評価も来シーズンで決定的に決まります。

    だからこそ今夏のアーセナルが何をするか?ですよ。どうすればこの状況を改善できるかの答えがエメリにあるかどうかです。あるのならクラブ一丸となって実行するのみ。それがどれだけ困難でも実行するのみ!です。

    フロントはエメリが全てを解決してくれると考えていたかもしれません。しかしながら各種データはそれを否定します。監督を変えただけでは何も解決しないとクラブ全体が気付いたのなら・・・意味のある失敗だったと言えるでしょう。

  2. アーセナルの監督になるまでエメリが率いていたチームの試合を全く見たことがなかったのですが実績やフロントへのスピーチなどからもっとレパートリーを持った監督だと思っていました。でも蓋を開けてみればサイドバックとウイングバックからのグラウンダークロスしかパターンがなく、ボールは持てないカウンターもできない非常に中途半端なチームになっていました。特にウイングバックによる攻撃を対策されて以降は1試合に何回か転がってくるチャンス(のようなもの)をオーバメヤンかラカゼットが決めくれるのを祈るだけの試合展開で見ていて全くおもしろくないサッカーでした。
    また気になったのが大量得点する試合がほとんどなかったことです。ベンゲルさんのころはハマった時は大量得点して勝負を決めてしまって若手を試せる試合が何試合かあったと思うんですが、レベルが上がったとはいえ本来は大差をつけてもおかしくないボトム10のチームに苦戦しギリギリで勝ち越しという試合をやりすぎたせいでエンケティアやウィロックなどにチャンスを与えられず、結局怪我人が出ても使える選手がおらずスタメンが出突っ張りになりパフォーマンスを落としてしまいました。
    あまりにベンゲルに慣れすぎたアーセナルを再建するためには来季のエメリの試合内容が悪く取り返しがつかないことになるために途中解任を決断するくらいの度胸があってほしいです。もちろんエメリが納得のいく試合運びをしてくれればなんの文句もないですが

  3. いつも楽しくblog拝見させて頂いてます。

    個人的には守備のタスクや攻撃の決まり事のせいで今までのような自由なアイデアのある攻撃が出来なかったのかなと思ってます。それでもシーズン序盤はサイドからの攻撃は上手くハマってたのですがベジェリンの怪我とコラシナツの攻撃のアイデアの乏しさがばれ、そこにホールディングの怪我から守備も崩壊していった感じがします、、コシエルニーの復帰やナイルズがフィットして何とか持ち直しましたがシーズン終盤は攻撃の手詰まり感と守備の崩壊でそれこそ2TOP頼みになってしまってましたね。。

    ジャカ放出は個人的には賛成です。エジルムヒタリアンのどちらかも放出してムスタフィとコラシナツかモンレアルも放出して新しいLBとCBと攻撃的なMFも獲得してほしいですね。

  4. 相手チームとしては、今のアーセナルは対策を立てやすいチームなんだなと痛感した最終戦でした。守備では、中央に人員を集めて縦パスのコースを切ってサイドに追いやれば、精度の低いクロスしか入ってこない。攻撃では、早めにクロスやロングボールを放り込めば、マークにつききれないディフェンダーしかいない。

    エメリは相手への対策を怠らない監督のようですが、相手の対策をどのように打ち破るのかについては手が回っていなかった印象を受けました。皆さまのご指摘の通り、2年目はエメリの深化と進化と真価が問われるシーズンとなると思います。

  5. こういったデータがまとまって載っているサイトを知っていらしたら教えてくださると嬉しいです。お願いします。

  6. 前半戦の連勝は運が良かったというのはもっともなんだけど、運と決定力だけで勝った訳でなくゴールに至るBCが1試合に2,3回は作れていたのが大きいと思います。
    そのBCを作り出していたのはコラシナツとベジェリンのSBが多かったのも事実で、後半戦に勝てないどころかチャンスすら作れないのはベジェリンの離脱によるSBのクオリティ不足が原因ではないでしょうか。
    シティなんてペップが来てからディフェンスライン全補強してますから、エメリにもちょっとは補強してあげないと可哀想。言い方は悪いけどリヒトシュタイナーは補強にはなってなかったので。

  7. フロントが・・・とか、選手のクオリティが・・・とか同情する気持ちはある
    ただ、「フットボールから楽しみが奪われてしまっている。ウナイ・エメリと彼の選手たちによって無理やり排除されてしまったみたいだ」
    この点だけで解任していいと思う。

    極端に言えばモウリーニョが来てEL優勝したとしても
    満足するグーナーなんてグーナーじゃないでしょ?

  8. ミッドテーブルとトップチームの違いは、選手層の厚さと、その厚さと能力がもたらす複数のバリエーションにあると思うのです。最後はコラシナツとナイルズの放り込みと、トップ2の個人技以外に代替策がなかったEL決勝がエメリの限界だとしたら、ファンペルシやサンチェスの1トップの意外性を試したり、中盤の創造性・連動性(ロシツキ、カソルラ)やファイナルサードにこだわったベンゲルの人を信じる強さ(それが仇にもなったが)がもたらす美しくも儚いフットボールが消滅し、マンC・リバプール・ToTには全く及ばない、ミッドテーブル固定化して終わる未来が濃厚な気がします。若手の将来は見ていて本当にたのしいのですけど、マンC・リバプールと伍するチームに早く戻ってほしい、願いはただそれだけです。

  9. 初めてコメントします。
    再現性のないゴールが多いというのは自分もずっと思っていました。少しストライカー2人に頼りすぎてしまっているなと。この2人が調子落としてしまった時勝つのは難しいと思ってました。EL決勝も2人がいつもの活躍できなくて負けてしまいました(2人だけのせいではないと思いますが、、)。この変どうにかしないと継続して勝ち続けるのは厳しいと思いますが、どうなるんでしょうかね、、

  10. 2回目のコメントです。
    ELの結果を経て、今はただただ来期の構想に思いを馳せるのみです。
    4-0から4-4にされたり、青田買いと揶揄されても若手を使っていたアーセナルが好きでした。
    そんな気持ちも込めて、来期のフォーメーションを。
            ラカ
    ネルソン  スミスロウ  イウォビ
       トレイラ  チェンバース(賭け)
    新戦力  ロブ  パパスタ  ベジェリン
            レノ
    オーバメヤンは中堅以下のアウェイとEL決勝まで先発
    エジルはどこかにサラリー半分負担レンタルでさようなら
    ムスタフィ―はケガ少ないのでバックアッパーとしてキープ(仕方なし)
    ナイルズはCMFとして使い育てる
    ジャカ、君が来てから中盤にスピードと華麗さが無くなった、さようなら。
    コラシナツ、エルネニー、ムヒタリアン、さようなら移籍金よろしく、コシエルニーありがとうさようなら。
    両SB(右は若手)、とにかく高身長DMF、ドリブル出来るウイング(フレイザーはいらない)獲得してください。
    ビエリク戻してみてください。

  11. こうしてデータでまとめていただきますと、今シーズンってなんだったのだろうとおもってしまいます。なにぶん、流されるたちなんで。
    ただ、サッカー素人でグーナー歴もうすぐ20年になりそうなあたしの個人的な意見を言わせていただけば、なんか選手や監督はやりにくい時代になったなと思ってしまいます。全部データデータって感じで。数字やグラフで視覚的に対比することってすごくわかりやすいしいいことだとも思います。ただ、ファンはほとんどの試合を見ていて、みんなそれぞれの見方や意見があって、一番大事なのは個人の印象なんじゃないかなと。データはいいのかもしれませんが、ムスタフィやジャカってすごい印象悪い。あたしとしては、ミキやオバメヤンも悪いです。ツートップはよかったかもですが、それでも勝てなかったのは、誰がラストパス出すのってことだとも思います。あたしの印象は、エメリはいい監督ですが、プレッシャーは感じてほしいですね。
    オバメヤン買いたいってクラブがあるなら、売ったほうがいいと思います、この先、売値が上がることはないでしょうし。ラカゼットはキャプテンっすからね。コシも出たいのですかね、さみしいけどこれがfootball。リバプールやシティが強いのはわかりますが、ファンにはなれません、グーナーなんで。
    このオフは、いろいろあってほしいですが、夢が見れる魅力的なチームになってもらいたいです。

  12. このエントリこの時期に再度読ませてもらぃました。まさかこのスカッドで悪化するなんて…。
    あの後ろからのパス回しからの失点とかもう見てられない。選手はあれしかするなと言われて路頭に迷っているようにすら見える。あんな点のとられ方ってベンゲル時代には見たような記憶はありません。
    もっとシンプルなフットボールできないのだろうか。

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