おととい、ぼくがよくチェックしているふたつのアーセナル系ブログが偶然にもスタッツをネタにブログエントリをアップしていた。
ひとつはグーナーご用達の「Arseblog」で、こちらは最近の@Orbinho(Optaのひとでグーナー)によるアーセナルのスタッツについての連続ツイートをまとめたもの。ぼくも彼のことはリストでフォロウしているので最近活発にツイートしていたのは断片的には見ていたけれど、こんなふうに整理されていてありがたかった。やっぱりこういうのはツイッターよりもブログのほうが読みやすい。
それともうひとつは、このブログではしつこいほど登場している「7amkickoff」のブログエントリ。”Arsenal’s Surrender Index(アーセナルの降伏インデックス)”というタイトルで、はてなんのことやら??と思って読んでみると、要するにアーセナルがスコアで先行したときとされたとき、そのスコア状況がアーセナルのプレイの積極性にどんな影響を与えるかについて考察をするという企画だった。これは新鮮な切り口でおもしろかった。
最近このブログでもしきりにエメリの保守的なスタイルを追求している(笑い)けれど、まあ結論から云えばそのコンサヴァ傾向は数字にもちゃんと現れていた。ウナイ・アーセナルの現在のパフォーマンスについて心配しているファンにとっても、かなり興味深い内容だと思う。
これらをざっくり紹介してみよう。
まずはArseblogによるOrbinhoのスタッツまとめ。そして、7amkickoffの「アーセナルの降伏指数」を順番に。
アーセナルの過去数シーズン&今シーズン序盤のスタッツ比較まとめ
Arsenal top of the league … in shots against, penalties conceded etc | Arseblog … an Arsenal blog
引用はOrbinhoのツイート部分のみ。
※今シーズンのデータについては、サンプル数が少ない(8試合)というのは大前提として共有されております。
被シュートについて
昨シーズンのアーセナルは、1試合の平均で13.1本の被シュートというクラブのワースト記録をつくった。今シーズンここまでで、それがさらに17本に増えている。
ヴェンゲルのワーストは2013/14シーズンの11.9本。ちなみにインヴィンシブルズは9.9本だった。
今シーズンの試合ごとの被シュートは、マンシティの6.9本がリーグベスト、リヴァプールは9.6。PLの平均は12.8本。
おもしろいことに、アーセナルが相手に与えているチャンスのクオリティは、現在リーグのなかでバーンリーについで2番めに少ない。対アーセナルでのシュートごとの平均xGヴァリューは0.09で、これを言い換えると、11本シュートを打たれても、想定される(expected)失点は1ということになる。
これはつまり、対戦相手がロングレンジの可能性の低いシュートを打ってきているということだ。だから問題はもちろん、その量ということになる。
今シーズンここまででは、アーセナル(136)より多くのシュートを打たれているのは、ノリッチ(143)とヴィラ(142)しかいない。
たしかに数字がひどいはひどいのだけど、今シーズンのデータに限っていえば、Arseblogのこのエントリでも指摘されているように、リヴァプール(25)やワトフォード戦(31 )でのスタッツが全体に大きな影響を及ぼしているのは否めないだろう。
とくにワトフォードなんかは、シュートだけはさんざっぱら打たれまくったが、その多くはボックス外からのもので、実際は被シュートのPLワーストレコードという見た目の悲惨さに比べれば、31回のシュートでつくられたビッグチャンスは3でしかない(それでも多いか笑)。サンプル数が少ないと、どうしても偏った試合の影響が大きくなってしまう。
しかしまあ、とはいっても、そういったいくつかのひどい試合がいまのアーセナルの本来の実力を現していないかと云えばそんなことはなく。被シュートは去年のクラブワースト記録から今年はまたさらに悪化しているというのだから、シュートを打たれまくっているという事実が、変わらぬアーセナルのパフォーマンスのひどさを物語ってはいる。われわれがトップクラブだということを思わず忘れそうになるデータだ。
xGA(被xG)について
※xGA(xG Allowed=xG Against=被xG)
xGAを見ると、アーセナルがアンラッキーだとはどうも云えそうもない。
今シーズンのアーセナルは11失点(8試合)しているが、アーセナルが相手に与えているチャンスのクオリティは、平均的なチームのxGA(12.1)と比べられるべきだ。
昨シーズン、アーセナルは51失点し、xGAは54.5だった。その前のヴェンゲルのラストシーズンも穴だらけのディフェンスで51失点、それでもxGAは48.1だった。
過去2シーズンは51失点と同じ失点数ながら、
- ヴェンゲルさんのラストシーズン(17/18)は、xGAよりも実際の失点のほうが多い
- エメリのファーストシーズン(18/19)は、xGAよりも実際の失点のほうが少ない
ということで、エメリのファーストシーズンはあの失点数でありながら、むしろラッキーだったということ(もっと悪い可能性があった)。
ディフェンスの選手やストラクチャが変わっているのに、守備がうまくできないという本質的な問題はひきつづき改善できていない。
海外の人たちはほんとすごいっすわ。チェンさんもありがとうございます。
概ね自分の印象との差はありませんでしたけど、シュートごとの平均xGバリューがリーグで2番目に低いってのは驚きましたね。確かにエリアの外からシュートを打たれることが多いイメージでしたけど。
それでもトップクオリティのチーム相手に同じようなことを繰り返すとより高確率に決められるでしょうから、打たせてOKとはなりませんよね。さらにペナルティエリアまで進出を許すとPKを与える確率が高まり、さらにPKストップの可能性も低いという。。とても守備が機能してるとは言い難いですね。
中央からの攻撃を減らしていることに関しては、去年エジルやラカゼットがいるときは、中央の狭い場所でのコンビネーションが引っ掛けられてカウンターで失点というのを何度も見た印象があります。さらにエジルはハードワークもそこまで、というところからもエメリがサイドアタック偏重に切り替えたのかなあ?中央で収められるラカゼットがいればその辺も大きく変わる可能性がありますが。
とはいえサイドアタックに切り替えても、前回のボーンマス戦ではSBの裏のスペースを悪用されてラインも下がり、中盤がスカスカになる始末。。SBが上がってなくてもアーリークロスのチェックも弱いから危険なエリアにパスが通ることもしばしば・・。
ELではナポリとかバレンシアとか、CLレベルの相手をそれなりにコントロールして勝てたのが逆に不思議に見えてしまいますね。戦力でいえばさすがにPLのボトムチームよりは確実に上なんでしょうから。
週末の試合には期待したいところですが・・・COYG
感銘です。
そう、彼はモイーズではないんです。
確かに昨シーズンのビッグマッチで興奮した記憶はかなりあって、きっとそれがあるから今年はうまくいくんじゃないかと楽観してたのかもしれませんね。
週末が待ちきれません。
タイトルで吹きました。(←コイツが一番失礼)
リスクという話で言うと僕はベンゲル時代ずっと、
「何でこのオッサン(ベンゲル)は要らんリスクばっかり背負い込むんだ。一人くらい普通のアンカー使え!」
って思ってた。
低い位置でトリッキーなプレーメーカー使ってどうすんの!?とか。
今のエメリはまるっきり真逆で、意味のあるリスクすら取らないっていう感じに見える。
2人とも同じようなメンバーを使ってるのに、真逆の事をやってるのが面白いなって思う。
エメリが選んでるメンバーだって、決してリスクの低いメンバーじゃない。
ルイス・コラシ・AMN(ベジェリンでも同じ)・ジャカ・ペペ。
敵陣なら敵にとっての大惨事の危険があり、自陣なら味方にとっての大惨事の危険がある人達。(←失礼)
エメリはわざわざ彼らを選んで、その多くを自陣に配置してる。
2度の補強であれだけの大金を使えた立場なら、他に全くチョイスがなかったとは考えにくい。
ものすごく壮大なプランなのか、あるいはものすごい見込み違いをしてるのか。
できれば単純にエメリ個人の勇気の問題だと思いたいが。。。
モヤモヤの理由をこうやって解明していくのは本当に有意義ですね、まとめてくださって感謝です。
今のアーセナルの強みはなんといっても豪華な攻撃陣なのですから、確かにエメリにはそこを1番信頼して欲しいですね。
ラカゼット早く帰ってきてほしいですが、結局オーバメヤンとの併用は期待しちゃっていいんですかね?
エメリ監督についてのこちらのエントリや関連記事読む限り、勇気を持つのがまさにこの人の課題かも。ロシア時代から迷ってアプローチ変えるのが信頼失う原因みたいですし。コンサヴァ1番!と言えないでカメレオンに〜って言うのが弱さじゃないかと思います。言うこととやってることも違ってしまって。
リヴァプールを真似る割にプレッシングの練習して無いというのはコーチとして如何なものかと思いますが…
このプレッシングの話しはけっこう謎なんすよねえ。
どんなスタイルでも基本的にハイプレッシングは有効で、いまやPLのチームはほとんどみんなやってる。
それなのに、プレッシングの練習をあんまりしてない+実際プレッシングも大してやってない(リーグ19位のデータがありましたね)。
どゆこと??
熱い選手なんで嫌いじゃないですけど(最近暴走気味?)、4バックの選手がコラシナツとパパからティアニーとホールディングに変われば、両センターバックが足元うまい選手ななりますし、サイドバックの動きも改善されて少なくとも後ろから繋げるようにはなんじゃないかと期待してます。
エメリは昔からチキンですから。
セビージャのアウェーは、WOWOWの実況と解説がもっとリスクをかけて攻めてチャンスを作らないと点が取れません、これでは勝てませんよ!!と毎回批判してました。でもエメリはシーズン終了まで何も改善せず。エメリはアウェーだとリスクをかけてチャンスを作って点を取ることにビビります。
PSGでCL、カンプノウでバルサに世紀の大逆転を許した、あのチキンな戦い方が象徴的です。
そしてアーセナルでは更にチキンになりました。セビージャの時はホームは攻めまくっていたのに、アーセナルではホームですらアウェー化してしまいました。
何でこのメンバーでここまでチキンな戦い方になるのか甚だ疑問です。選手の長所を生かしてない。この戦い方なら、他の中堅以下のクラブでやりなさいよ。
セビージャという立ち位置のクラブが
アウェーでそんなにリスクをかけて攻めればいいかどうか
については疑問が残りますね。
アウェーでは負けない事が第一条件ですから、
相手と状況によるし解説なんて監督業をやれないかそれ未満の
ただの人かただのOBか監督リタイア組ですからね。
PSGとバルサを実際見てみれば分かりますが、
選手達がカンプノウでのプレッシャーに押し潰されて、
驚くほど自滅としか言えないプレーを連発しています。
カバーニのゴールは良かったですが、
ディマリアは元レアルですから試合中のヤジ含め
精神的には色々とあったでしょう。
そもそも監督が慎重でリスクを冒さないのと、
実際の選手がピッチで瞬間瞬間で判断するプレーには
そこに直接の因果関係はないでしょう。
ゲームの様に監督によって動かされてもいないし、
特に長期政権でもなければ監督の影響力は
選手の判断力にまで深く浸透しているわけがない。
それをしようとするかもしれないのがモウリーニョですが、
彼の様な自らの考え方を強烈に押し出す人は稀で、
エメリはそのタイプではありません。
むしろ厳しい試合やアウェーや逆境でも選手達を鼓舞できるかどうか、
勝負どころでのモチベーターとして、
エメリはベンゲルと同じく物足りないかなという印象です。
采配云々よりも選手に自信と精神的強さを与えられるかどうか、
その問題こそがバルサPSGで露呈していたし、アウェーで大事な事だと思います。
また、相手をしっかりやっつけて仕留めるんだという残忍さも必要ですよね。
エメリはやや中途半端で甘い。これもベンゲルと似ていますが